おもちゃみたいな佇まいにときめきが止まらない!食品サンプルの可能性を切り拓く、クレハフーズさんのもの作り。
なんでここにシュウマイが?!日常に不思議な違和感を生むことができるのが、食品サンプルの魅力です。
次に、クレハフーズとしてのもの作りについてお聞きしたいです。お店の商品を参考にしているのではなく、全部オリジナルで作ってるんですよね。
実際にあるものから型を取って、色は自分の感覚で付けています。スクール時代は、よりおいしそうに、リアルに見せることを追求していましたが、作家活動するようになってリアルすぎるものは作らないようになりました。例えば、パステルっぽい色味をたくさん使ったり魚に焼き目を付けずに仕上げたり。そうした方が不思議な存在感が出るんです。
作品を眺めていると、そのマインドが現れていると感じます。Instagramの世界観もとってもすてきです。改めて、食品サンプルの魅力を教えてください。
ミニチュアと食品サンプルってリアルを追求している点で少し似ていて。だけど私は、実物大の食品サンプルにより魅力を感じるんです。ミニチュアも同じイミテーションだけど、“作りもの”感が強いぶん、違う世界のものっていう印象があって。リアルなサイズの食品サンプルだと、「どうしてここにあるの?」っていう違和感が生まれるのがいいなぁと。日常にちょっとした違和感を演出できるところに、ものとしてのおもしろさを感じます。
ミニチュアと食品サンプルは、似て非なるものだと。確かにそうかもしれません。出店の際、準備期間はどれくらいなんですか?
結構かかりますね。大阪・北浜の『子どもの本屋 ぽてと』で「ままごとバイキング」をした際は、12種類のおかずを作らなきゃいけなくて、2~3ヶ月前から型取りから始めました。作品をたくさん販売する場合、本当は型をいっぱい作っておいた方が効率的だけど、型を取る時間がなかったので、1つの型をひたすら使い回しました。5段のガスオーブンに同じ焼き時間のものをずらっと並べて、これは1分、これは5分……と、タイマーで測りながら焼いて。ひっきりなしにタイマーが鳴って、部屋もぐちゃぐちゃでした(笑)
昨年末に東京で「おでんパーティー」をした時も、残り1ヶ月で8種類の具材を作ることになって大変でした。だけど、前回の反省を生かして型を2、3個作っていたので、思ったよりバタバタはしなかったです。
色付けはどのようにされているんですか?
色を作ってエアブラシで塗って、上からコーティングをかけています。色付けはそこまで時間がかからないので、数時間あれば大丈夫です。
今後、作ってみたい食品はありますか?
かわいいかまぼこを作りたいですね。何度か作ったことがあるんですが、中に入る柄のアレンジが効くし、1つの型があれば色んなことができそうでお得感もある。幅広いシーンで活用できそうな気がします。
かまぼこができるなら、いずれはおせちなども?
おせち!!!考えるだけでやばそうです(笑)。全部自分で作ると思うと震えますね。海老の型取りを考えた時点でもう……。
失礼しました。かなり大変そうですね(笑)。今は会社に勤めつつ作家活動をされていますが、今後はどのようなスタイルで続けていく予定ですか?
しっかり軌道に乗れば、会社を辞めて1本でやっていきたいです。だけど、本当にちょっとずつ進歩していけたらという感じですね。一人前のアーティストとして、食べていけるようになるのが目標です。
とはいえ色々と活用できる技法ではあるので、ゆくゆくは食品以外のものを作ってみたいなと。作家活動している友人とコラボしたり、食品以外のものにも挑戦していきたいです。
<クレハフーズさんのお気に入りスポット>
ピサヌローク(大阪市西区南堀江)
アジアのチープなプラスチック製の雑貨が好きでよく行きます。入るだけでテンションが上がるお気に入りのお店。
冷麺館(大阪市浪速区敷津西)
とにかくおいしくて、特に夏はめちゃくちゃ通います。お酢をいっぱいかけて食べるのが好き。