おもちゃみたいな佇まいにときめきが止まらない!食品サンプルの可能性を切り拓く、クレハフーズさんのもの作り。

昔ながらの喫茶店や洋食屋さんのガラスケースにずらりと並び、料理の魅力やおいしさを伝える食品サンプル。メニューを忠実に再現した佇まいに、どれを食べようかなぁ、おいしそうだなぁとじっくり眺めてしまうこともしばしば。そんな食品サンプルの世界に飛び込み、アーティストとしてオリジナルグッズを展開しているのが<クレハフーズ>さん。会社勤めをしながら作家活動を行う彼女は、大学時代に食品サンプル職人の養成スクールに通い、スキルを身につけたのだそう。クレハフーズのプロダクトは、リアルを追求した一般的な食品サンプルとは違い、パステル調の色味を多用したキッチュな世界観が特徴。ただポツンと置いてあるだけで、不思議な違和感を漂わせてくれます。今回は、クレハフーズさんに、食品サンプルに興味を持ったきっかけや制作の難しさ、もの作りへのこだわりなどを伺いました。この記事を読み終える頃には、一度実物を見てみたいと思えるはず!ぜひチェックしてください!!

高校3年生の時、食品サンプルの道に進むと決意。大学に通いながら養成所で専門知識を学び、スキルを身につけました。

初めてInstagramを拝見した時、「こんなにカラフルでかわいい食品サンプルがあるなんて!」と感動しました。食品サンプルの作家さんってかなり特殊だと思うのですが、どのようにして作り方を学んだんですか?

大学に通いながら、大阪・難波の道具屋筋にある「食品サンプル制作技術者養成スクール」に通っていました。

というと、道具屋筋の入り口付近にあるあの食品サンプルのお店ですか?

そうです。1年のカリキュラムを組んで食品サンプルの職人を養成するスクールを開校していて、私は大学4年生の時ダブルスクールという形でそこに通っていました。

そうなんですね。ちなみに大学では何を学んでいたんですか?

近畿大学の文芸学部の文化デザイン学科で学んでいました。芸術系の大学ほどガッツリではないですが、グラフィックデザインを専攻していて、IllustratorやPhotoshopを使ったデザインの勉強をしていました。

食品サンプルに興味を持ったのはどうしてですか?

高校3年生の頃、「食品サンプルを作る人になろう」と決めたんです。もともともの作りが好きだったので、将来は何かを生み出す仕事をしたいなと。だけど絵の才能あるわけじゃなかったので、自分がやってみたいことを考えた時、「食品サンプルがいいかも」と思いついたんです。平面じゃなく立体、形のあるものとして存在している点に魅力を感じました。食べ物自体の見た目にも魅力を感じていて、それも食品サンプルに行き着いた理由の一つです。

ダブルスクールにしたのはどうしてですか?

最初は、大学に行って何かを学びたいという意欲がそこまでなかったので、高校を卒業してすぐ養成スクールに入ろうかとも考えたんです。だけど、親や先生に「大学は行っておいた方がいい」と止められて。当時の担任が美術の先生で、大学と養成所に並行して通うダブルスクールっていう道があると教えてくれたんです。本当は芸大にも興味はあったんですが、何を専攻するか固まってなかったので、今後の可能性を考えて文化デザイン学科に進学しました。在学中は、4回生で養成スクールに通うことを考えつつ授業を組んで、お金を貯めながら過ごしました。

高校生の段階で、食品サンプルの道に進むと決めていたんですね。スクールにはどんな人が通っていたんですか?

1年ごとにメンバーは入れ替わるんですが、うちの代は全部で6人いて、20代からおじいちゃんまで年齢層は幅広かったです。高卒で入る子もいるみたいで、タイミングは人それぞれです。

スクールでは、どんなことを教えてくれるんでしょうか?

イチから食品サンプルの作り方を学べます。型取りや色作り、焼き方など、専門技術に関する講義がメインですが、独立の際に役立つ経営的なことも教えてくれます。お客さんの注文を受ける時に気を付けるポイントとか確定申告のやり方とか。その学校は週2回、1年間のカリキュラムなんですが、講義の日は1時間目から6時間目までみっちり詰め込まれていました。

なかなかハードな日々を過ごしていたんですね。食品サンプル職人さんの世界ってどんな感じなのか気になります。

私もそこまで詳しくないけど、色んな業態があるそうで。基本は食品サンプルの会社に職人さんが在籍していて。依頼されたお店から写真を送ってもらって、実物にマッチする型に液体状の塩化ビニール樹脂を流し込んで焼くんですが、新しい型が必要だったら商品を送ってもらったり自分で型を取りに行ったり。大きな会社だと、型取り、色作り、焼き……と、工程ごとに担当する人が変わるんです。私はスクールに通っていたから全ての工程を学べたけど、メーカーに入っちゃうと、なかなか1人で作れるようにはなれないみたいです。離職率を減らすため、意図的にそうしていると聞いたこともありますが。

食品サンプルの会社に入るだけだと職人を目指すのは難しいと。興味深いですね。

養成スクールができるまで、職人になるのに10年ほどかかると言われていたんです。師匠に付いて教わりつつ、長い時間をかけて技を学んでいく仕事ですから。最近は職人を目指す人も減ってきて、それを食い止めるためにできたスクールみたいです。

自宅の一角を活用した作業スペース。とってもかわいいです!
お部屋には、食品サンプル作りの道具がたくさん。大きなガスオーブンもあり、作業の様子が浮かびます。
マイナーなジャンルだから、自分で模索するしかないのが難しいところ。新しい作品に挑戦するたび壁にぶち当たります。
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Profile

クレハフーズ

1998年生まれ。高校生時代に食品サンプルの世界に憧れを抱き、大学に通いながら「食品サンプル制作技術者養成スクール」で専門知識を身につける。現在は会社勤めをしつつ、オリジナルの作品を展開する食品サンプルアーティストとして様々なポップアップを開催。2020年に発行したZINE『100均商品だけで食品サンプルを作ってみた』も好評。

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