やりたいことは、みんなで!新しい時代のコミュニティスペース『chignitta』を立ち上げた谷口さんに、今ここで生まれてること、これからの動きについてたっぷり話してもらいました。


コミュニティメンバーで作ったレコードがFM山陰のヘビロテになって…。しかも、ヒゲダンと並んで!僕らはめちゃくちゃ興奮した。

コミュニティメンバーの方のお話も出たので、『chignitta』のオンラインコミュニティについても聞かせてください。どんな方々が集まってるんですか?

アーティストやイラストレーター、グラフィックデザイナー、webクリエイター、写真家、建築家。他にも会社員の方や農業を営む人、地方でホステルを運営する人、音楽ディレクターなど、職種も地域も越えた人たちが集まってます。先にも少し話した『chignitta』が発信するメッセージの一つである「君の自己実現をみんなでやろう」のオンライン版ですね。個人のやりたいことに対してメンバーがアイデアを出し合い、カタチにしていくために日々コミュニケーションしています。

それだけ多種多様な人が集まってると、いろんな視点からカタチにしていけそうですね。ちなみに、どんなことを話し合ってるんですか?

アートの分野で言えば、NFT*の勉強会がスタートしています。どうやって作品をミント(出品)するのかということから、マーケットの中での立ち回り方、コレクターとのつながり方、リアクションのタイミングなど、詳しいメンバーが中心になってみんなで共有してるんです。NFTのマーケットには日本人中心のコミュニティがまだ少なくて、何をするにも英語が必要。だから、僕らが率先してコミュニティを広げて、興味のあるアーティストたちがどんどん入って来れるようにしたいと思っています。

*デジタルアートと仮想通貨のブロックチェーン技術を組み合わせたもの

情報をクローズドにするのではなく、オープンにするのも「君の自己実現をみんなでやろう」だからこそですね。まだ手探りな人も多い今、細かい情報を惜しげもなく共有してるのはかなり貴重な場だと思います。

僕自身も「へー、そうなんや!」って毎回勉強になってますからね。

リアルだけじゃなく、NFTアートといったオンラインにも表現の幅が広がることで、アーティストを取り巻く環境もどんどん変わっていきそうですね。大阪や東京など、もはや在住するエリアすら関係なくなってきてますし。

これからもっと変わると思いますよ。NFTはエージェントやギャラリーに頼らなくても、アーティストが自身で作品を販売することができるコンテンツ。コレクターに購入される時だけではなく、転売された場合も収益が入るんです。これまでの現代美術って、デジタル作品を創ってるアーティストにはかなりアウェーな環境で、言わば原画ありきの世界。なかなかフックアップされにくい環境でしたが、NFTの登場で新たな潮流が生まれてますね。それに、SNSなどで個人発信も簡単にできるので、アーティストにとってはすごくいい時代になってきてると思いますよ。

なるほど、勉強になります。

時代の流れてるスピードもすごく速いし、話も日々進んでいくからフォローアップするのも大変だけど、やっぱりその場に身を置くとおもしろいんですよね。他にもコミュニティでは、農家さんの生産物の販路を広げるにはどうしたらいいか話したり、レコードを作ったりもしました。

えっ、レコードですか?

コミュニティメンバーの一人が、Youtubeで見つけたアメリカ人のAORシンガーに「君の音楽最高だ!」とDMを送ったところ、本人から「キミが日本で最初のファンだよ」とレスが来て「アナログレコードを日本で出そう」と盛り上がり、zoomミーティングをして決めました。レコードプレスするのも初めてだったし、お金もかかるので、クラウドファンディングを立ち上げて、コミュニティメンバーがファンにアピールし、予約を取ることで制作費を調達しました。「チグニッタレコード」はそうやってスタートしたんです。

僕たちはアナログDJもしていて、コロナ禍の前は韓国や中国、上海でDJイベントもしたりしていました。今、アジアでは日本のシティポップがブームで、山下達郎さんや角松敏生さんらの影響を受けて若い子らがどんどん音源を作ってる。しかも、めちゃくちゃいいのよ!そんな若手アーティストのシティポップを日本でアナログリリースして、アジアでプレイしたいなと思ったのが最初です。第1弾はアメリカ人でしたけど(笑)

それがチグニッタレコードの野望なんですね。

そう!日本でシングル盤を作って、「シティポップの母国である日本のお墨付き!」という触れ込みで海外に出したら、彼らの評価もまた上がるだろうと思って。そして、僕らはそのレコードを持ってアジア各地でDJツアーをするっていう野望なんです。残念ながらコロナ禍で頓挫してるけど、必ず実現します(笑)

谷口さんがコミュニティメンバーと作ったレコードがこちら。このレコードを持って、アジアでDJツアーする日が来るのも近いかも。

自己実現の一歩手前までは辿り着いてますね!

制作メンバーもノリノリですよ。コミュニティメンバーの一人がFM山陰のDJに現地まで会いに行ってお願いすると、なんとヘビーローテーションになって…(笑)。しかも、その月のヘビロテ邦楽曲がヒゲダン!松江の人らは訳わからん状態かもしれんかったけど、僕らはめちゃくちゃ興奮しましたね。

みんなの熱量がすごいです(笑)。好きなことへのひたむきさ、プロセス、そしてオチまで完璧ですね。

オチはたまたまやけど、「やりたいことをカタチにすることはできる」というのをコミュニティメンバーと実現できた好例だと思う。『chignitta』を立ち上げるプロセスもそうだし、「何でもやっていいんや!」「声を上げていいんや!」、そう思えるキッカケづくりにこのコミュニティは機能している。僕や笹貫が何かを教える場所ではなく、仲間内でどんどん話が進みカタチになっていく。オンラインでもリアルでも、そうありたいと思ってますね。

才能のある人、熱い想いを持ってる人に対して、誰を紹介できるか。どんなチャンスを提供できるか。そして、成長していくための手法・ノウハウ・テクノロジーをどれだけシェアできるか。その媒介者でありたいと僕たちは思ってる。
1234
Profile

谷口 純弘

1963年生まれ。京都府出身。デザイン会社のコピーライターを経て、FM802に入社。1990年より若手アーティスト発掘プロジェクト『digmeout』のプロデューサーとして、数々の企業プロモーションやアートブックの発行、国内外での展覧会を手がけるなど「街」と「アート」と「人」をつなぎながら多岐に渡って活動。2015年にはプロデューサーとして『UNKNOWN ASIA』を発足してアジア各国のアーティストと日本をつなぎ、各方面で注目される国際アートフェアへと育て上げる。2021年6月にFM802を退社し、クリエイティブコーディネイターの笹貫淳子と『chignitta』を設立。アーティストやさまざまな表現者たちの自己実現のために奔走している。

https://chignitta.com/

Shop Data

chignitta

大阪府大阪市西区京町堀1-13-21
営業時間/13:00〜20:00
定休日/月曜

https://chignitta.com/

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE