植物は、神様からのプレゼント。植物屋<fytó>の寺田悠佑さんが教えてくれる、日常の中にある小さな喜びの見つけ方。

暮らしの中に小さな彩りを添えてくれる観葉植物。コロナ禍のおうち時間で高まったブームもすっかり定着、もはやグリーンのある生活は当たり前になりつつあります。そんな中、独自のスタイルで植物を愛する楽しみを発信しているのが、大阪・森ノ宮の植物屋<fytó>の寺田悠佑さん。寺田さんはサボテンや多肉などの植物に、似合う鉢をコーディネートして販売しています。着せ替えのような鉢コーデが人気を呼び、ネットショップでは完売も多数。関西のみならず、東京のイベントやポップアップにも出店されています。今回は<fytó>を間借り営業されているヘアサロン<irini>にお邪魔して、常にやさしいまなざしで植物を見つめる寺田さんにインタビュー。「植物への愛」をお聞きするつもりでスタートした取材ですが、その愛が向かう先は植物だけにとどまらない、もっと大きなものでした。「仕事って?」「幸せって?」というところまで思いを馳せてしまう、寺田さんの考え方とは。生き方のヒントにもなるかもしれないそんなインタビュー、最後までぜひ読んでください!

植物屋さんになりたくてなったわけではないんです。今も生活の軸は、聖書を読んでよく考える時間をとるのが中心で。

まず、寺田さんが<fytó>を始めた経緯をお聞きしたいのですが、どんなきっかけでこのお仕事を?

小さい頃から植物は好きでしたが、この仕事をずっとやりたかったわけではなくて。全然違うことが理由になるんですけど、どこから話したらいいのか……。僕、クリスチャンで。

そうなんですね!

はい、大学4回生の時ぐらいから、けっこう真剣に聖書を勉強し始めたんです。ちょうど就職活動の時期で、どういう仕事をしたいかよりも、どういう人になりたいかっていうのを考えました。それで聖書を学び始めたら、自分の人となりを良くしていくのに、いちばん聖書がしっくりきて。だから、それを中心とした、聖書を毎日勉強できるような生き方をしたいと思ったんです。

就活のタイミングって、将来についていろいろ考える時期ですよね。

そうなんです。将来のことを考えたときに、人生の意味って何かなと思って。仕事としてなりたいものになって成功をおさめたり、誰かに注目されたりお金を持ったりって、別にそんなに意味もないなって思ったんです。それよりも、人としていい人間になりたいなと思いました。そうすれば、周りの人ともいい関係を築いて楽しく生きていけるかなと。

将来のことを考えたときに、どんな仕事をするかより、どう生きるかを考えられたと。

職業として、何かになりたいっていうわけではなかったです。だから、普通の社会人として勤め始めたら自分の思うように時間がとれないなと思って、大学生の時からやっていた塾の運営のお手伝いを、そのまま続けることにしました。

塾の運営のお手伝いというのは?

一軒家を借りて、高校の後輩の3年生たちの受験勉強を見るっていうのをやっていたんです。会社に勤めるよりは自由がきくかなと思って、卒業後もそのまま続けました。でもやっぱり、大学受験の講師ってめっちゃ忙しいんです。休みも自分の時間もとれなくて。仕事は本当に楽しくてやりがいもあったんですけど、でもやっぱり自分が決めたこととはブレていたんですよね。聖書を学んで自分という人間を良くしていくことを軸にしたいと思っていたのに、塾の仕事が中心になってしまっていて。これは違うなと思って、25か26の時に辞めました。

やりがいはあったけれど、それは目指した生き方ではなかったんですね。

時間がとれる仕事ならなんでもいいから、コンビニの夜勤でもしようかなと思ってたんです。そんな時に、この美容室をやっている兄夫婦が「植物が好きなんやから、ここで販売の仕事してみたらいいんちゃう?」って声をかけてくれて。それなら、ダメもとでやってみようかなと思って、2019年ぐらいから始めました。

そんな経緯だったんですね!意外でした。

だから、植物屋さんになりたくてなったわけではないんです。今も生活の軸は、聖書を読んでよく考える時間をとるのが中心で。この仕事は楽しくてやりがいもあるんですけど、自分の時間を確保しながら、生活を支えていくための手段という感じでもあります。

そういう職業選択の発想がなかったので、すごく新鮮です。

なぜ植物屋さんになったんですかって聞かれるんですけど、こんな感じなので、なんかすいませんって思います(笑)。でも、楽しいのはすごく楽しいです。ただ、軸はここじゃなくて、勉強を軸にするためにこの仕事をしている感じで。だから仕事が大きくなりすぎて、また自分の時間がとれなくなるのは本末転倒なんです。いつも身軽でいられるような距離感で植物の仕事をしています。

そうなんですね!すごく植物を愛していてのお仕事なのかと思っていました。

やりがいもあって楽しいし、すごく好きな仕事ですよ。それこそ、僕はクリスチャンなので神様の存在を信じていて、神様が自然だったりあらゆるものを作ってくれたっていう考え方なんです。だから植物なんて僕からしたら、まさに神様からのプレゼント。そういう意味でも自分にとってぴったりだし、喜びながら、感謝しながらできる仕事だと思っています。バランスよく楽しみながら、大事なことを大事にしながらできてる仕事だなって感じです。

今の仕事や生活のスタイルは、理想とされていたものに近いですか?

そうですね、以前に比べたら。でもやっぱり仕事が忙しくなっちゃったら嫌になることもあるので、そこはまたバランスを取り直しながら。あまり詰め込みすぎず、楽しくストレスのないように、いろんな事にチャレンジしていこうと思ってやっています。<フェリシモ>さんの冊子で植物の連載をさせてもらったり、植物のことを紹介できるような仕事をしたいと思っていたのも実現しているし、頭の中でイメージしていたことが少しずつ形になっているのかなと思います。

雑草のお花、野花はお金と全く関係なく、ただその存在に気付ける人にだけ、毎日喜びや癒しを与えてくれる、まさに感動させてくれるプレゼントっていう感覚なんです。
1234
Profile

寺田 悠佑

奈良県出身。兄夫婦のヘアサロンの一角で、2019年より植物屋< fytó>をスタート。植物一つひとつの個性に合わせ、かわいい鉢に植え替えて販売するスタイルが人気。Instagramでは、植え替えやお手入れの方法もレクチャー。フェリシモの冊子『くらそび』で「お世話するしあわせ 植物といっしょ」を連載中。趣味はサッカー鑑戦。

植物はオンラインショップでも購入可能。
営業日やイベント出店などの予定はInstagramから。
https://fyto.thebase.in/

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE