Interview & Writing
金輪際セメ子
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依藤 寛人

天神橋筋商店街を南に抜けたところにある、ポップな看板が目印の『週間マガリ』。ここは、ある時は「オカルト怪談BAR」、またある時は「熟女スナックひととき」、そしてまたある時は「大人の保健室」と、店長によってテーマが変わる「日替わり店長」形式のカフェバーです。この店のオーナー(兼アルバイト)の小西亮さんが、これまでマガリを通じて出会った人は延べ3万人。33歳にして早くも、普通の人が一生に出会う人数に達してしまっています。テーマによって異なる属性のお客さんを華麗にさばきつつ、コロナ前には自身が主催したイベントで約2000人を動員、さらに編集者・箕輪厚介の対談相手に指名されるなど、多方面で活躍する小西さんとはいったい何者なのか。その正体に迫ってみました。

就活で150社ぐらい受けて、内定がひとつももらえなかったんです。それで、就職を諦めて、自営の道を選びました。

まず、『週間マガリ』がどういうお店か、教えてもらってもいいですか?

「ヘンな出会いがきっとある」をコンセプトにした、毎日違う人が店長を務めるカフェバーです。店で提供するのはドリンクのみで、店長のテーマによって料理が出る場合もあります。普通のカフェバーとしても営業しているので、全然テーマに関係なく、飲みに来ていただいても大丈夫です。

なぜ小西さんが『週間マガリ』を始めたのか、きっかけを聞かせてください。

就活に失敗したんです。150社ぐらい受けて、ひとつも内定が出ませんでした。就職が決まらなかったのでもう1年大学に残ったんですけど、次の年もうまくいかなくて。そこで、どうも自分には就職は無理そうだと思って、自営も考え始めたんです。

2年就活して結果が出ないというのは、なかなかですね……。それで、違う道を考えようと思われたんですね。

当時、2013年頃はコミュニティスペースとか、シェアスペースがすごく流行ってたんですよ。コミュニティデザインみたいな言葉が出てきた時期で。僕も漠然とそういうスペース運営みたいなのをやりたいなと思って、就活と並行していろんな場所を見に行ってたんです。その中で、当時すでに日替わり店主のスタイルで営業されていた中崎町の<common cafe>の存在を知って、めっちゃ面白いやん!って思ったんです。それと同時期に、友達に誘われて、天満にある日替わり店主の店の月曜枠を担当することにもなって。もう就職も決まらないし、これはもう店をやる流れかなと思って、大学5年の途中から開業の準備を始めました。

新卒で開業っていうのも、なかなか勇気がいる気がします。

僕1人ではなくて、就活で知り合った友達と一緒に始めようって話になってたんです。でもその頃はなんせ無知なので、友達と2人合わせて30万円ぐらいあったら店が出せると思ってたんですよ。当たり前ですけど、不動産屋に行ったらそれじゃぜんぜん無理ですって断られて。仕方がないから、お金を貯めるために就職することにしたんです。

ここでまた就活に戻るわけですね。

でも長く勤めるつもりじゃなくて、お金を貯めるためだけなので、<common cafe>の向かいのビルにある会社に入社しました。そこなら、毎日<common cafe>に行けるかなと思って。当初は1年ぐらい働いてから辞める予定だったんですけど、思ってたより会社員が向いてなくて、2ヵ月しかもたなかったんです。育ててもらうのが会社にも申し訳なくて、扇町公園で土下座して、辞めさせてもらいました。

なんとなく、内定が出なかった理由がわかる気がします……。

人とチームを組んで何かをするのが本当に無理でしたね。でも親にはせっかく入った会社を辞めたとは言えないので、会社に行くふりをして服部緑地公園で時間を潰してたんです。そしたらプール監視員募集のビラが飛んできたので、すぐ応募して。さすがにバイトが決まったら親にも黙ってられないので、会社は辞めたけど、でも日替わり店長の店をやる構想はあるねん!っていうのを必死でプレゼンして、許してもらいました。

許してくださったんですか。すごい、いいご両親ですね。

日替わり店長の店とか、何を言うてるねんって思ったでしょうけどね。それで、僕がバイトで貯めた80万と友達の20万の100万円で物件を借りて、2013年の12月に『週間マガリ』をオープンしました。

味園ビルとかでやったら、いかにもサブカル&アングラな店になってしまうから、就活で1回降りただけの南森町に決めました。

お店は、最初からこの場所で始められたんですか?

ここですね。別に何か縁があったわけではなくて、普通に不動産屋で探しました。南森町なんて就活で一回降りただけでしたけど、物件が気に入って。
だいたい物件見るときって、1件目に変なところを見せて、2件目にいい物件を見せるじゃないですか。ここ、1件目だったんですよ。「一応見ます?入口もわかりにくいし、よくわからない物件ですよ」って案内されたんですけど、この広さが気に入って。天満で日替わり店長やっていた店が、10人も入るといっぱいで、広いところがいいなと思ってたんです。でも20人ぐらい入れる物件って家賃がすごく高いんですけど、ここは予算内だったので、すぐ決めました。

たしかに変わったつくりですよね。2階で、畳敷きで、奥に細長くて。

普通の飲食店はまあ入らないですよね。でもそれが良かったのかなと思います。この店を路面店でやるのも違うし、スナックビルでやるとハードルが上がるし。あんまり水商売っぽい感じにもしたくなかったので。こういうタイプの店は味園ビルとか裏なんばとかってなりがちですけど、そことは一線を画したいなと。あ、僕は味園ビル自体は好きですし、よく行きますけど(笑)。
ただ、この店をもし味園ビルとかでやってたら、いかにもサブカル&アングラの店になってしまうと思ったんです。僕はもうちょっと幅広い人に来てほしいなと思っていたので。

わかりにくい入口、入りにくい2階にある店舗。勇気を出して階段を上った先が『週間マガリ』。

そう考えると、南森町というのはいい場所だったんですね。

南森町は天神橋筋商店街や中之島公園もあるし、結果的にここでやってたから、幅広い客層にリーチすることができたんだと思います。

キタでもミナミでもなく、南森町って絶妙な気がしますね。お店の営業は、スタートから順調でしたか?

一緒に始めた相方が、半年ぐらいで辞めちゃったんですよ。編み物職人になりたいって。

え、いきなり大変じゃないですか。

いや、でも集客とかは困らなかったんです。僕あんまり友達がいないんですけど、知り合いが多くて。就活でも150社受ける間に、知り合いがどんどん増えるんです。当時はFacebookでつながってたんですけど、数友が1000人ぐらいいて。それと、大学時代もサークルに50個ぐらい入っていたので、とにかく知り合いだけは多かったんですね。その人たちが来てくれたので、最初から集客には苦労しなかったんです。

友達じゃなくて、知り合いが来てくれるんですか?

友達は来ないんですよ。友達はわざわざ店で会わなくても、ほかで会えるから。知り合いぐらいの距離感の人がわりと来てくれるんです。高校時代に1回しか喋ったことのない同級生が、いま常連になってくれてますし。数友が1000人いたおかげでスタートダッシュが切れたので、就活も無駄じゃなかったなと思ってます。

入口すぐのソファ席。畳敷きの店舗はもともと鍋屋さんだったらしく、天井のライトなどにその名残が。

たしかに、2年分の就活が報われましたね。「日替わり店長」というスタイルも、最初からですか?

最初からですね。自分だけでは勝負ができないのがわかっていたので。料理もできないし、おしゃべり上手でもないし、キャラが立っているわけでもないから、人まかせです。

「日替わり店長をやりたい!」という方は、すぐ集まりました?

協力してくれる人もいましたし、僕から声を掛けてお願いする場合もありました。でも、例えばイベントスペースとかだとしっかり企画を立てたり、誰かタレントや文化人を呼んだりしないといけない感じですけど、「面白い一般人」まで対象を広げると、やってくれる人はけっこうたくさんいるんですよ。

ゲストとかを呼んで「イベント」にしなくても、一般の人が自分の好きなテーマで、ゆるくやれる感じなんですね。

「探偵ナイトスクープ」みたいなイメージです。芸能人を出すんじゃなくて、素人の面白い人に出てもらうっていう。関西で目立ってるクリエイターさんみたいなご当地有名人って、「またこの人か」ってなりがちなんですよ。大阪って都会ですけど村社会的なところがあって、仲間以外のイベントにいかないカルチャーなんです。身内最強みたいな。だから、味園ビルとかロフトプラスワンとかの有名な箱で目立ってる人は絶対呼びません(笑)。そういうイベントは他でやってるから、うちの店ではやらなくていいかなと思って。

節操のない店と思われてるかもしれないですね、各分野の人から。Googleレビューにも書かれます、「サブカルの店としてマガリは中途半端」って。

『週間マガリ』は普通のカフェバーというより、小西さんが最初に意識されていたコミュニティスペースとしての役割も大きいと思います。その辺りは、今はどのように考えて運営されてますか?

コミュニティスペースに興味を持って始めたんですけど、今はそこを全面には出してないですね。コミュニティとか場づくりとかサードプレイスとか言っちゃうと、そこのクラスタの人ばかりになってしまうんですよ。かといってサブカル売りをすると味園化するという現象もあって。そこの調整が難しいですね。今は普通に飲食店っていうスタンスですかね。

たしかにマガリは、コミュニティスペースでもないし、サブカルに全振りでもない感じはします。

節操のない店と思われてるかもしれないですね、各分野の人から。Googleレビューにも書かれます、「サブカルの店としてマガリは中途半端」って。でも、サブカルの店だと思われたくないので、そのコメントは逆にありがたいです。

「マニアじゃなくてミーハー」と言う小西さんが集めたレトロ雑貨。何に反応するかで、だいたいの年代がわかるそう。

どこかに偏らないように、あくまで「飲食店」という立ち位置に?

そうですね。例えば、『meets』のような街の一軍みたいな人と、ロフトプラスワンとかに行くサブカルの人と、『ソトコト』的な場づくり系の人、それぞれ1人ずつ来てくれたらうれしいみたいな(笑)。この人たちはきっとお互い、普通では出会わないと思うんですよ。それがマガリに集まって、こんな人がいるんだ!ってなるところを目指してるので。

異文化交流的な(笑)

コミュニティスペース界隈では、いろんな人がつながってイノベーションが生まれるとかよく言うんですけど、でも外から見てると、結局同じジャンルの人同士でつながってるんですよ。出会ったきっかけのイベントに参加してる時点で、同じ属性やんって思うんです。本当の意味のイノベーションって、これは僕の勝手なイメージの話ですけど、ミーツとロフトプラスワンが交わることだと思うんですよ。

たしかに、それは見てみたい気がします。

街場のおしゃれな店のコの字カウンターを陣取ってるミーツ系の人と、ロフトプラスワンのカルト宗教ナイトとかに行ってる人が、わずかの確率で意気投合してイベントやりましょう!ってなったりするほうが、僕としては面白いんです。

実際にジャンルの違う人同士が集まると、どんな感じになるんですか?

ほぼ交わることなく終わることもあるし、たまに揉めたりもします。そのプロレスを見るのも好きなんです僕は。でも、ここはさすがに交わらせたらあかんなと思ったら、一部の人はカウンターに座ってもらって、いけそうな人たちはソファ席で交流してもらってみたいな感じにはします。

なるほど、この広さがあれば、ちゃんと棲み分けができそうですね。

最近は、店内のレトロ雑貨が目当てのカップルとか、家族連れも来られるんですよ。ブックカフェとして本を読みに来る人もいるし。そういうお客さんは交流を求めてないので、入口近くのソファ席で普通の飲食店として過ごしてもらったり。入口近くのソファ席はレトロフューチャーな喫茶店、真ん中はミーツ×ロフトプラスワン×ソトコトが交わるプロレス場、カウンターはマガリの常連客が内輪ノリみたいな(笑)

壁一面に収納された書籍は約2000冊。「周りがわいわいしてる中、ひたすら村上春樹を読んでいる方もいらっしゃいます」

交通整理の人みたいですね。

そうなんですよ、僕の職業はバーデンダーでも経営者でも、もちろんコミュニティデザイナーでもなくて、交通整理員だと思いますね。ややこしいジャンクションで事故が起こらないように誘導してるみたいな。

陽キャにも陰キャにもなれず、かと言ってぼっちにもなりきれない、そんな次元のはざまみたいな人間なんですよ。

ちなみに小西さんご自身は、どこの属性に近い感じですか?

僕は、どのクラスタにも入れてもらえなかった人ですね。ヒエラルキー上位の人たちの「俺ら最高!」みたいな仲間意識も苦手ですし、オタクはオタクで結束が強くて陰キャに誇りを持ってる感じもちょっと嫌で。結局僕は陽キャにも陰キャにもなれず、かと言ってぼっちにもなりきれない、そんな次元のはざまみたいな人間なんです。

どこの属性の人でもないから、ちょっと引いた感じで見られるのかもしれないですね。それって、昔からですか?

中学生までは中途半端な立ち位置ゆえに、肩身が狭かったんです。オタクともつるめないし、もちろんヤンキーにもスポーツマンにもなれない。でも高校生になったときに、なんかチャレンジしてみようと思って、同級生全員と喋るっていう企画を勝手にやったんです。学年全部で300人ぐらいいたんですけど、ポケモン図鑑みたいな感じで、ヤンキーから誰から全員と喋ろうと思ってやってみたら、意外といけたんですよ。それで、こういうの向いてるなと思って。

適度な距離感でいろいろな人と話すのは大丈夫だと。

そうですね、分散を覚えました。それまで我慢して媚びてどこかのグループに属そうとしてたんですけど、もう属すのをやめました。大学のサークルも一か所になじめないので掛け持ちして、全部で50個ぐらい所属しました。そのどこにも居場所はなかったんですけど、居場所のない人同士で仲良くなったりして。あと、大学生になってもまだ学年全員と喋ろうとしてましたね、名簿見て、「あ、●●くんだね!」みたいな。完全にこじらせてますね。

店内に飾られている、小西さんの高校時代の修学旅行の写真。学年全員と喋るチャレンジをしていた頃。

いろいろなお客さんを相手にされていて、すごくコミュニケーション能力の高い印象だったんですが、むしろ真逆だったんですね。

ぜんぜんコミュ力は高くないです。上辺の小賢しいコミュニケーションに長けているだけで。2人でお茶とかぜったい無理です。親友とかもいないですし。

じっくり付き合って仲を深めるのではなくて、点だけをつないでいくみたいな。

日替わり店長の店なんて、まさにそうですよね。一期一会がずっと続いているようなものなので。多分まともな人はできないと思うんです、普通は仲良くなりたいし、コミュニティ化したくなると思う。でも僕は、アバンチュールしかしないです(笑)

誰かと深く仲良くなりたいという願望はないですか?

ないですね。でも、人との距離感がわかってる人は居心地いいから好きです。楽しく喋って場を盛り上げてくれるけど、ふとした瞬間の顔が悲しいみたいな人(笑)。そういう人は常連ぶらないし、まわりの人と上手くやってくれるから店でも人気者になるんです。人気者ゆえに店外デートに誘われるんですけど、でもその人たちは絶対に行かない。そこも僕と気質が似てるなって。僕もお客さんとは外で絶対に飲まないので。

誰かと付き合うにしても、適度な距離感が大事なんですね。

そうですね。店外デートしたがる人とは仲良くなれないです。常連風を吹かせて店外デートをしたがる人から、出禁になっていきます。

出禁にするんですね!それはお客さんに直接言うんですか?

自動的にそうなっていく場合が多いですけど、言うこともありますね。自分だけの居場所と違うからって。

みんながほどよい距離感で過ごすための交通整理もされるんですね。でもそれって、メンタルが強くないとできなくないですか?

いや、僕メンタル豆腐ですよ。たまに、「客は神」みたいなことを言ってくる人がいるんですけど、僕はこの場を提供しているから、お客さんともお互い対等だと思ってるんです。だから、高圧的な態度で言ってくる人には言い返してしまいますね。本当だったら上手にあしらわないとだめなんでしょうけど、煽り耐性ゼロなので。だからGoogleレビューに悪口書かれるんです。

『マガリ』は仕事、事業というより、ライフワークみたいな感じだと思います。晩ごはん食べるのと同じような。

『週間マガリ』は今年で丸9年とのことですが、日替わり店長の店は大阪にもいくつかある中で、これだけ長く続いているのはすごいと思います。

この前専門学校生の女の子に、「小学生の頃、前を通るたびに何の店か気になってたんです」って言われてびっくりしました。9年って、子供が大人になる年月ですよね。この辺はけっこう店の入れ替わりが激しくて、この店をオープンしたときに「あんな店絶対続かんやろ」とかすごいバカにされたんですけど、でも当時まわりにあった店はほぼなくなりましたね。

もはや天神橋筋1丁目の古参ですね。小西さんはこの9年を振り返って、なぜこれだけ続いてきたと思われますか?

あんまり仕事的な感じでやってないからですかね。営業前にシャワー浴びるんですけど、風呂上りの晩酌ぐらいの感覚というか。仕事、事業というより、ライフワークみたいな感じだと思います。晩ごはん食べるのと同じような。

仕事というより生活の一部みたいな。

だから事業展開もしないし、従業員も雇わない。うちは日替わり店長の店ですけど、店長をする人と雇用契約を結ぶわけでもないし、一緒に事業をやるわけでもない。ちょっとややこしい人だったらそっとフェードアウトしますし。僕のワンオペの店なので、それで続いてるだけだと思いますね。

以前「ゆとり起業家」としてインタビューを受けておられるのも拝見しましたが、例えば多店舗展開とかを考えたりは?

ゆとり起業家、そんなことを言っていた時期もありましたね。20代は事業展開とか考えましたし、本屋を始めようと思って物件を借りて3日で手放したりしましたけど。でも、もういいかなって思います。

コロナ前に主催された「恋人イナイイナイバーEXPO」というイベントでは、通算の来場者が2000人とかなり盛り上がりましたよね。

あの時はちょっと意識高かったんでしょうね、インフルエンサーになりたいみたいな。ちょうと同じ頃、編集者の箕輪厚介さんの対談相手に指名されたんですよ。

あの、箕輪さんですよね。

そうですそうです。イベントの主催の人に声を掛けてもらって、箕輪さんのような意識高い系の代表がサブカルの殿堂みたいな味園ユニバースでイベントをやったら、異なる人たちが交じり合えるんじゃないかっていうコンセプトが面白かったので引き受けたんですけど、まあ死ぬほどすべりまして。

東の天才・箕輪さんに対して、「西の天才・小西亮」って紹介されているのをネットで見つけました。

あれはもう黒歴史ですね。デジタルタトゥーです(笑)

日替わり店長が立つカウンター。店長のテーマによっては料理が提供されることも。

メディアではわりと「場づくりの人」みたいな感じで取り上げられていますが、そのあたりはいかがですか?

この前も久しぶりに新聞社さんが取材に来られて、記者の方がすごくいろいろ聞いてくださったんですけど、掲載された見出しには「人と人がつながる場」って書かれてました(笑)。上の人からのお達しだったみたいです。人と人をつないでコミュニティの場をつくるサードプレイスみたいな紹介をされてて、そうか……ってなりました。ありがたいんですけどね、そこの人たちにも来てもらいたいから。

小西さん的には、コミュニティスペースではないんですよね。

そうなんですよね。この店の業態が何に近いか考えたら、「相席屋」かもしれないですね。相席屋は面白くない男の人だと喋ってもらえないしおごらされて終わりですけど、うちは女性のお客さんが優しいから、話しかけられても無視しないしおごらせるとかもないんですよ。コンカフェみたいにプロの人じゃなくて、一般の女性が笑顔で喋ってくれるって、夢のようじゃないですか。だから、居場所を求めている人たちが来ちゃうんですよね。でも、そういう出会い厨みたいな人は出禁ですけど。

まさか、相席屋が出てくるとは思わなかったです(笑)。カウンターで夜ごと、いろんなドラマが繰り広げられてるんですね。

「あのお客さんに言い寄られてるねん」って女性のお客さんからラインのスクショ見せてもらうときが、いちばん店をやってておもしろい瞬間かもしれないですね(笑)

「カウンターを見てると、なにを言ったら嫌われるかとか勉強になります。女性脳は~~とか、ありがちな男女論を展開するおじさんは煙たがられますね。僕もよく言ってましたけど。」

うちの店に向いてないのは、南森町に勤めてる4人組のサラリーマンかな(笑)。仲間内で盛り上がりたい人は絶対、鳥貴族とか行ったほうが楽しいと思います。

いよいよ来年は10周年ですが、これから何か始めたいこと、挑戦したいことはありますか?

特にはないんです。仮にあるとすれば、今年34歳なんですけど、40歳ぐらいになったら移転するかもしれないですね。もうちょっと広さが欲しいんです。あと、路面店も1回やってみたいですね。日替わり店長の店にはしますけど、広いところで路面店でやったら、どんなふうになるのかなって構想はありますね。でもわからないです、定年までここでやってるかもしれないし。

ここ2年ほどはコロナの影響も大きかったと思いますが、コロナ禍を通じて変わったところはありますか?

お客さんが若返りましたね、10歳ぐらい。コロナの前は僕より年上の人が多かったのが、今は年下の人が大半です。あと、客層の幅も広がりました。カップルや家族連れなんて、コロナ前は全くなかったですから。お客さんの数自体も、1.5倍ぐらいになってると思います。

客層が若返って幅が広がって客数も増えてって、最高じゃないですか。

コロナ前までは、日替わり店長の店1本だったんですよ。でもそれだけだと、射程距離が狭かったんだなと思います。いくらいろんな人が来ると言っても、日替わり店長の店って普通の飲食店に行くよりハードルが高かったと思うんです、変なイベントばっかりやし。それが、本屋を3日で潰したことで大量の本がマガリに入ってきて、ブックカフェという側面が出てきたんです。あと、僕が懐古厨なのもあって、コロナの最中に暇すぎてメルカリとかヤフオクで90年代ぐらいの雑貨を買いまくったんですよ。そしたら、たまたま平成レトロブームが来て、レトロカフェみたいな見え方もするようになって。

カウンターの後ろのファービーコレクション。「別に好きってわけじゃなくて、流行ってたなって。それだけです(笑)」

日替わり店長の店、ブックカフェ、平成レトロな映えスポット、3つの顔を持つお店になったわけですね。

あとは、コロナ禍の最中にオンライン営業をしていたことも大きいですね。オンライン営業の時は、1000人ぐらいが見てくれてたんですよ。コロナの最初の頃は売上もなくて本当にやばい状況で、オンライン営業と掛け合わせてクラウドファンディングもしたんですけど、そこでもたくさん応援していただけて。結果的に、今までお店に来たことのない人にもリーチが広がりました。

コロナ禍を経て、新しい客層にもアプローチできたんですね。これまでで延べ3万人以上の人と出会ってこられましたが、これからどんな人に来てもらいたいですか?

僕自身がこんな人と会いたいとかはないですね。お客さんもこんなメガネのサブカル崩れより、お客さん同士で喋ってたほうが楽しいと思うので、僕は交通整理に徹します。面白い人に来てもらって、カウンターでいろんなドラマを見せてほしいです。

逆に来てほしくないのは?

全種族いろんな人に来てほしいですけど、向いてないのは、南森町に勤めてる4人組のサラリーマンかな(笑)。それはあくまで例えですけど、居酒屋のように仲間同士で予定調和を楽しみたい人には、中々きつい空間だと思います。内輪で盛り上がりたい人は絶対、鳥貴族とか行ったほうが楽しいです。

4人組ってところが重要ですね(笑)。では最後に、来られるお客さんに、マガリをどんな風に楽しんでもらいたいですか?

オープンした時からお店のキャッチコピーは「ヘンな出会いがきっとある」なんですけど、これは自分で振り返ってもほんまやな、と思います。いろんな「ヘン」な出会いがあるので、そこを楽しんでもらえたらいいですね。


<小西さんのお気に入りのお店>

YAMASTORE(大阪市北区中崎)
古着と雑貨、セレクトブランドを取り扱うお店。よく買うんですけど、集めて来る服とか物のセンスがぶっちぎりに好きです。どこで見つけてくるんや!みたいな。

JYUKU(大阪市中央区西心斎橋)
塾をテーマにしたお店。古着を扱ってるんですけど、店長はレトロじゃなくて、今これがかっこいい!という感覚。あくまでモードファッションの店なんです。

tototoRECORDS(大阪市北区天神橋)
行ったらワインを飲ませてくれることもあるレコード屋さん。まちのレコード屋さんをテーマにしているから、値段も手頃。南森町で数少ないカルチャー系のお店です。

Profile

小西 亮

『週間マガリ』オーナー兼アルバイト。大阪府豊中市出身。甲南大学卒業。ゆらゆら帝国が大好きな文系サブカル男子でありながら、中高時代は水泳部に所属。2013年に24歳で、一日店長が日ごとに店を「間借り」するカフェバー『週間マガリ』を開業。

Shop Data

週間マガリ

「ヘンな出会いがきっとある」がコンセプト。1000職種の日替わりマスターが様々なテーマを持ち寄り、バーやカフェやイベントを開催。テーマに関係なく、通常の喫茶バーとしても楽しめる。

大阪市北区天神橋1丁目11−13 2階
水~金 19:00~24:00/土・日 17:00~24:00(月・火 定休)
入館料チャージ ¥500(茶菓子付き・本も読み放題)+別途ドリンク代
※フードのご用意はありません。

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