国内外の映画祭で受賞し続ける『虹が落ちる前に』が、大阪で再上映決定!監督のKoji Ueharaさんが抱いてきた映画への想いと愛と、これからについて。

長編初監督作品となる『虹が落ちる前に』が国内外のさまざまな映画祭で受賞し、門真国際映画祭2021では最優秀作品賞、ハンブルグ日本映画祭では特別芸術賞と映画賞をダブルで受賞するなど、新人監督として今大きな注目を集めてるKoji Ueharaさん。大阪での再上映が決定したということで、いろいろ話を聞いてきました!アメ村で青春時代をくぐり抜け、バンド活動を続けながらずっと抱いてた映画作りへの想い、葛藤、そこから生まれた『虹が落ちる前に』への熱量など、生粋のストリート育ちであるKojiさんが歩んできた道や思考には、今を切り拓いてくヒントがいっぱいあるように思えるんです。それに、夢中になれるものがあるって、やっぱ最高だなと。
『虹が落ちる前に』は、9月16日(金)から9月22日(木)までアメ村のBIGSTEPにある『シネマート心斎橋』で上映されるので、ぜひぜひ観に行ってください。Kojiさんや役者の方々が紡ぎ出す世界観、空気感、言葉に、マジでシビれますから!

『虹が落ちる前に』は、自分の頭の中でずっと描いてたラストシーンを引き伸ばすようにして生まれた映画。

『虹が落ちる前に』はKojiさんの長編初監督作品ですが、バンド活動もされてる中で、映画を撮ろうと思ったきっかけの部分から聞かせてください。

まずはシンプルに昔から映画が好きだったのと、役者の知り合いも多くて、自分の中ではいつか映画を撮りたいという想いがあったんです。ずっと想いだけで留まってたんですが、それが沸々と高まってきたのがきっかけ。バンド活動は続けてましたがコロナの影響で思うように動けず、下を向くよりは逆に今までやれなかったこと、やらなかったことをやるべきだなと思うようになったんです。

バンドでの表現とはまた違うカタチで、これまでの想いや出会いが必然性を増していったんですね。

実は友だちから教えてもらったんですが、中学の卒業文集には「将来の夢は映画監督!」と書いてたみたいで(笑)。多分、書くこともなくて書いてただけだと思うし、全然覚えてなかったんですけどね。

でも、書くってことは、潜在的にも映画が相当好きだったんでしょうね。

親父がかなりの映画好きで、内容も分からないのに観せてもらってた記憶はあります。寝る前には必ず映画を観てたし、日常の中に当たり前のように映画があったんです。

ちなみに幼いながらにも印象に残ってる映画はありますか?

武田鉄矢さんの『刑事物語』ですね。

シブ過ぎますね(笑)

深い意味なんて当然分かってないですけど、「男って、こういうもんなんかなー」って感じてたのは覚えてます(笑)。アニメとかよりも、『刑事物語』の方がすごく印象深かったなと。

愛とか人間模様とか男の縮図的なやつ、いいですよね。そうしていざ映画を制作することになるわけですが、Kojiさん自身はバンドのMVも制作されてたとはいえ、長編となると全くの別物だと思います。『虹が落ちる前に』は、どこから着想したんですか?

ストーリーの内容はちょっと控えますが、ラストシーンの絵が頭の中に強く描かれてたんです。その場所自体を自分がすごく好きだったし、雰囲気もいい。ここでいい絵を撮りたいという想いが最初からありました。それをMVで使うのか、短編か、どれで実現するかは今まで決めてなかったけど、自分の頭の中にある絵を引き伸ばしたら長編でもいけるんじゃないかと思ったんです。だから、『虹が落ちる前に』はラストシーンから生まれた映画なんです。

『虹が落ちる前に』の1シーンより。

なるほど。Kojiさんの頭の中にあったラストシーンからストーリーを組み立てていったんですね。

そうですね。どんなストーリーかは決まってなかったですが、ラストシーンだけは明確にあったので。そこから自分の経験、見てきたことや聞いたことをブレンドさせてストーリーを作っていったんです。

でも、いきなり2時間近い長編の脚本を作るのって、めちゃくちゃ難しくないですか?

難しいというか、そもそも脚本家でもないし、2時間の映画に必要な脚本のボリュームすら分からない状態。ただ、『虹が落ちる前に』を制作する前に実験的に短編も撮ってたので、肌感として何となくは分かってた部分もありましたが、やっぱり脚本作りには一番苦労しましたね。

で、実際にはどのように脚本を作っていったんですか?

最初はすごく原始的で、自分で喋りながら時間を計ってましたね。「あ、このシーンでこれくらいの時間がかかるのか」って感じで。それを繰り返しながら、後は想像で作っていきました。当初からなるべく2時間以内で仕上げたいと思ってたんですが、結果的にどのシーンも丸ごとカットすることなく今の尺になったのでよかったなと。2時間の映画に必要な脚本のボリュームも、今となってようやく分かることができましたね(笑)

「嘘に近づいてる」ってセリフも、別にこの映画のために作った言葉ではない。自分の中で潜在的にあった言葉であり、自分にも言い聞かしてる言葉だった。
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Profile

Koji Uehara

映画監督、音楽家。2019年にプロトタイプで制作した短編オムニバス映画『#000(シャープスリーオー)』が関係者上映会ながら、東京、大阪、名古屋の3都市で行われ、約1,000人以上もの観客が来場して高い評価を獲得する。長編初監督作品となる『虹が落ちる前に』はさまざまな映画祭で受賞し、短編2作目の『Orange girl friend』は、先日行われた岩槻映画祭で観客賞と審査員特別賞をダブルで受賞。

その一方で、素顔を隠して活動している某ロックバンドではヴォーカリストを務め、3年連続出演のサマーソニック、ロッキンジャパンといった国内の大型フェスだけではなく、ロンドン、韓国、台湾など海外でも多数のイベントやフェスに出演。さまざまなアーティストへの楽曲提供やプロデュース、ミュージックビデオの制作なども行っている。

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