ボカロP、シンガーソングライター、作家。マルチな才能を発揮し、現代人にぶっ刺さる曲を生み出し続ける大阪出身のアーティスト・すりぃってどんな人?


今後はよりパーソナルな部分を出して、僕自身のことをもっと知ってほしい。いつか大阪城ホールでライブをするのが目標です。

来たる「グラデーション」のツアーに向けた意気込みや考えている仕掛けはありますか?

まさに今模索してる段階です。最近知ってもらえる機会も増えたけど、まだまだ僕のパーソナルな部分は謎なことも多いと思うから、すりぃという人間ごと知ってほしい。曲だけじゃなく人柄ごと好きになってほしいです。自分の得意なジャンルや好きなものを限定せず、今の気分を1番大事にして曲作りをしてるんでテイストもバラバラだけど、それも含めてすりぃなんだって思ってもらえたら嬉しいな。たまに自分の好きを貫いてる芯のある方に出会うと、すごくかっこいいなと思うんですよね。そういう方には逆に、僕の柔軟性が羨ましいって言われます。お互いないものねだりなのかもしれませんね。

幅広く活動できるってすごく楽しそうだなと思います。普段から興味の幅は広いんですか?

興味が湧いたらとりあえず手を付けるようにしています。実は最近カメラを始めたくて買ったんですが、フィルムタイプを買っちゃったから現像が面倒で全然使えてなくて。「どんな風に撮れてるかわからんのがええねん」って友達に言っちゃったけど、結局まだ1度も現像できてないっていう(笑)。興味の幅は広いけど、続かないのが悩みでもあるんです。

逆にずっと続いてる趣味はあるんですか。

子どもの頃デュエル・マスターズが好きやったっていう話をしましたが、今でも新幹線に乗った時はスマホゲームでデュエルをしています。あと小学生の頃は漫画も描いていて、6巻ぐらいまで続けて友達に配ってたんですよ。ドラゴンボールのパクリみたいな感じで、めっちゃ下手だったけど(笑)

あと最近は執筆活動もしていて、昨年は短編の恋愛小説を書きました。もともと読書をするタイプではなかったけど、自分の考えを文字にするのは好きで。最初は本を作るやり方がわからなかったので、好きな本を映していくところから始めました。音楽もコピーバンドから入ったから、それと同じやり方をしちゃったのかもしれません。

どちらも“表現”という意味では同じですもんね。ちなみにアニメもよく観るんですか?

最近のアニメはあまり観てなくて、昔好きだった作品を何度も観るタイプなんです。『コードギアス』がめちゃくちゃ好きで、たぶんもう5周くらいしてるんちゃうかな。『ガンダム』も最終話だけ何度も観ました。昔のアニメを観ていると、話の筋に関係ない余計な要素が多くて、展開がゆっくりしてるなって思っちゃうことが増えてしんどくなってきちゃったんです。

それは考えたことありませんでした。どうしてなんですかね。

ショート動画の弊害かもしれないです。YouTubeやTikTokのスピード感に慣れすぎてしまって、昔観ていたアニメに対して、「展開が遅いな。早く次の場面にいってほしい」みたいなことを思っちゃう。その肉付けがあるからこそ、本筋が引き立つのもわかるけど、ずっと観てると疲れてくるんです。僕でさえこんな感じなんだから、今の中高生はよりその感覚が強いんじゃないのかな。

なるほど。それはご自身の音楽に対しても同じことを思いますか?

もともと60秒の曲が多くて長尺ものがあまりなかったので、そこまで思うことはないですね。逆に自分でライブをやるようになって、ここはイントロが長い方が盛り上がるんだ、ちょっと溜めた方がいいんだってことはよく思うようになりました。普段はサブスクで聴いてもらうために作るけど、直接お客さんに曲を届けるライブになると、作り方が変わってくるんだなって。それも含めて曲作りなんだと感じました。

それは新しい発見というか、ライブをしないと見えてこない視点ですね。

ここで照明がバンって点いたらかっこいいっていう、曲以外の演出を考えながら作ることもあって。ボカロPの活動をメインにしていた頃は、そこまで考えて作ることがなかったので、すごくワクワクするしおもしろいなって思います。

これは愚問かもしれませんが、すりぃっていう名前は3月3日にボカロを始めたからなんですよね。拍子抜けしちゃうくらい単純な理由というか、逆に名前に対するこだわりはなかったんですか?

ボカロPの人ってめっちゃ適当に名前を付けることが多くて、それが当たり前だったから僕も同じような感覚で付けちゃいました。最初は仕事っていうより遊びの延長やったんで、楽しそうっていうノリのまますりぃを始めて、今でもその感覚は忘れずにいます。ま、もうちょっと考えて付ければ良かったなって思う時もありますけどね(笑)

答えてくださってありがとうございます(笑)。最後に、今後やってみたいことや目標を教えていただきたいです。

ライブをするようになってから、それがめちゃくちゃ楽しいんですよね。だから曲をたくさんリリースして、ライブの頻度をもっと増やしていきたい。大阪出身としては、大阪城ホールでライブをするのは目標の1つですね。大学生の頃に路上ライブをしていた思い出の地でもあるんで、できるってなったら家族も友達も喜んでくれると思います。あとはパーソナルな部分をみんなに知ってもらって、僕の人柄ごと好きになってもらいたいですね。

今作りたいと思っている曲などはありますか?

ライブのセットリストに組み込むことを想定した曲作りですね。一応頭の中にイメージはあるので、それをしっかり音楽に落とし込めたらいいなと思います。

ライブって観る側はもちろんだけど演者側も楽しいんですね。

ずっと1人でやってた反動かもしれません。今まではネットで曲を配信するだけだったから、リスナー側の反応や表情が全然わからなくて、一体どんな人が聴いてくれてるんだろうって思っていて。そんな中、初めてライブをした時にファンのみんなが来てくれて、こういう人たちが聴いてくれてるんだという実感が初めて沸きました。それがすごく嬉しかったです。

今まで実態のなかったものが具現化されたんですもんね。とっても嬉しいと思います。

「すりぃさんの曲を聴いて学校に行けるようになりました」「仕事で嫌なことあったけどがんばれそう」と、DMで言ってくださることもあって。僕の曲が誰かの心を軽くしてるんだって実感できると、音楽をやっていて良かったなと思います。


<すリぃさんのお気に入りスポット>

瓢箪山駅周辺エリア(大阪府東大阪市昭和町)
ばあちゃんとじいちゃんの家があって、幼い頃からよく行っていた場所。夏休みは1ヶ月まるまるここで過ごしたりもしていて、夏の思い出がいっぱい詰まっています。駅の近所に一箇所めっちゃ臭いヘドロが溜まってるところがあって、この前見に行ったらきれいに整備されて家が建っていました。月日が経ったんだなぁと実感しましたね。

太陽の塔(大阪府吹田市千里万博公園)
太陽の塔そのものというか、その横の大きな道路を車で走りながら眺めるのが好きだったんです。小さい頃から病気がちで病院に通ってたんですけど、その行き帰りに必ずその道を通っていて。僕は不思議と病院に対する恐怖心はなくて、むしろ消毒液のような匂いが大好きでした。それもあって、車の中から太陽の塔を眺めるのがお気に入りでした。

実家の近くにあった公園(大阪府東大阪市稲田上町)
徳庵に実家があって、その近くのでっかい公園でよく遊んでいました。友達の家に遊びに行く時、本当は公園を突っ切ってショートカットするのが1番早かったんですが、いつも怖い先輩たちがいたから遠回りしてたんです。お気に入りのベイブレードを取られるとか怖い思いもしたけど、それさえも今は笑える懐かしい思い出です。

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Profile

すりぃ

ボカロP、シンガーソングライター、作家。2018年3月3日にボカロPとして活動をスタート、同日に初投稿した「空中分解」が後にニコニコ動画で初殿堂入り。Adoを筆頭に様々な人気アーティストへの楽曲提供をする他、シンガーソングライターとしての一面もあり、最近はライブ活動に力を入れる。短編恋愛小説「トキメキ因数分解」を手掛けるなど、執筆活動も行う。

HP:https://three0303.com/
YouTube:@THREEE_0303
TikTok:@iii0303iii
ニコニコ動画:userID:78655994

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