音楽、バンド、執筆、余生…。大阪が生んだ稀代のPOPMAKER、Sundayカミデさんの果てしない才能と、ウィットな人生に迫る。
アンコールの時に初対面のやついいちろうさんを呼び込んで、「君が誰かの彼女になりくさっても」を一緒に歌ってもらった。今思うとすごい失礼な無茶振り…。
ちょっと突っ込んだ話になるんですが、バンドや『Love sofa』の活動が順調に進んで軌道に乗っていく中で、生活や金銭面に困ることは?
うーん、これを言うとアレなんですが、お金に困ったことはないんですよ。
それは普通にすごいです!
そうではなくて、お金がなかったら借りたらええやんという考えなんで。それは今も変わらずですし。
(笑)
20代後半の頃は、OSAKA SKANKIN’NIGHTのDJをしてたMATSUMOTOさんに毎日ごはんを食べさせてもらってましたし、車のガソリン代とかも出してもらってました。今日の撮影で場所を借りてるCONPASSの西岡君には、ケータイ代やいろんな支払いとかもけっこう払ってもらってましたし。
マジですか(笑)。昔から周りに支えてもらってましたけど、さらにですね。
近所の珈琲館でごはん食べたり、コーヒー飲んだお金も支払ったことないんですよ。僕だけ、珈琲館でお金を支払わなくてもいいシステムが確立されてまして、いつも店員さんが「firefly(現CONPASSの前々身)に請求しときますね」って感じで。だから、よく珈琲館で過ごしてました。
まさに、お金には困ったことない環境ですね(笑)
周りの人からすごく支援されて生きてます。今もお金があるとかないとか考えないし、もしどうしても必要な場合は借りるしかないしね。
周りの人にとってSundayカミデさんは、どうしても支えたくなる存在なんですね。
多分、周りの人はこいつを世の中に出したら面白くなるんじゃないかと思ってて、そのおかげでずっと支えてもらってるんですけど、なかなか世の中には出ないという…。
そんなことないですよ!
申し訳ない気持ちでいっぱいなのと、そこまで世の中には出たくはないという自分もいるんですけどね。
(笑)。でも、現在は東京でも活動の幅をどんどん広げてますよね。ちなみに、上京するきっかけは?
ちょうど10年前くらいに上京したんです。その2年前くらいに奇妙君が東京に出てたので、ある意味、奇妙君が呼んでくれたと言ってもいいくらいで。
そうなのかもしれませんが、謙遜というか照れ隠しというか(笑)。Sundayカミデさん自身も、ほんとに周りの人に感謝して生きてますよね。で、上京してからの話ですが、大阪と東京の音楽マーケットの違いとか、難しさとか感じたことはありました?
東京だからとか、マーケットの規模は違ってもやってることは変わらなし、難しさはないと言えばないですね。明らかな違いで1つ言えるのは、テレビで見る人に会うことがけっこう多い。それだけが大阪との違いかな。
それは確かに(笑)
街で偶然見かけることもあるし、仕事で会うことも明らかに多い。そんな部分が、東京っぽいなと。コロナ禍で開催できなかったんですが、『Love sofa』の20周年イベントをリキッドルームでする予定で、そこにはウッチャンナンチャンの南原さんにも出演していただく予定でした。その頃、南原さんの単独公演の音楽プロデュースをさせてもらってて、そこでの関係もあり「Sunday君のイベントに呼んでもらえるなら出るよー」と言っていただけてたんです。まぁ、どこで人との繋がりが広がるか分からないのも、東京のすごい部分かもしれませんね。
東京でも、天性の支えたくなるオーラが発揮されてますね。
東京では奇妙君もそうだし、やついいちろうさんも僕を世に出すために動いていただいたりもしてて。いろんな人にきっかけをいただいて支えられ、生かされてます。
その部分においても、大阪とか東京とか場所は関係ないですね(笑)。ちなみに、やついさんとはどういった経緯で知り合ったんですか?
8〜9年前に島根の『たぬき音楽祭』というフェスにワンダフルボーイズで出演させていただいた時に、やついさんもDJとして出演されてたんです。出演前に挨拶はさせてもらってたんですが、僕らの出番が最後だったので、アンコールの時にやついさんをいきなり呼んでしまって。何も打ち合わせしてないのに、アンコールで用意してた曲「君が誰かの彼女になりくさっても」を一緒に歌ってもらうという…。
気心の知れたバンド仲間ならまだしも、やついさんとは初対面なのに(笑)
今思うとすごい失礼な無茶振り。やついさんも僕らのことを知らないし、「初対面でこんな振りするの?」的な感じでしたが、その場をめちゃくちゃ面白く感動的に終わらせてくれたんです。やっぱすごい人だなと。でも、やついさんもその日に僕のことを調べまくってくれて、朝方まで質問のLINEが止めどなく届きました。
そりゃ無茶振りした張本人がどんな人間か気になりますよ…。
「今日の最後の曲は奇妙さんも歌ってますけど、あれはSundayさんが作った曲だったんですか?」とか。そんな質問を18個くらい答えて、朝方までやりとりしてました。やついさんには、そこからすごくお世話になってます。
例えばどんな感じでお世話になってるんですか?
2018年にはやついさんとライトガールズというユニットを組ませてもらい、たくさん勉強させてもらってます。ドラマに何度か出演させてもらったこともあるんですが、その時もいろいろアドバイスをもらいましたね。
何のドラマに出てたんですか!?
『左ききのエレン』では、社員A。今年の1月から放送されてた『おいハンサム!!』では、第6話にヤギを飼ってる岩田さんという役で出演してます。セリフは2行くらいですけど。
才能の多彩さがどんどん広がってますね(笑)。そもそも出演依頼はどんな経緯で届いたんですか?
かなり前なんですけど、ゲッターズ飯田さんに「Sundayさんは役者とかもやってみてもいいんじゃない!」言われたことがありまして。それで、ゲッターズ飯田さんの事務所の方や周りの方が動いてくれたみたいです。
やっぱり、支えたくなる存在…。畑違いですが、演じることにワクワク感はありますか?
緊張もありますし、ゼロからのスタートなんで新人としてやらせてもらってます。映る時間は5秒とかですけど、5秒もいただけるなんてありがたい話ですよ。観てても絶対気づかないでしょうし、「出るよ」と伝えてた人でさえ気づけませんでしたから。
次の出演を楽しみにしてます!いろいろお話を聞く中でちょっと気になったんですが、音楽は当然こだわりを持ってやってらっしゃいますが、その場面や人との繋がりで起きることがラバダブ的というか、セッション的というか。フィーリングをすごく大切にされてるなと。
人と出会って、その人たちと何ができるか。それが最初にあるし、そこを考えるのが自分の役割でもあるかなと。やついさんには、無茶振りしてしまいましたけどね。『Love sofa』で言えば、「おしゃれにしてやる!」「これが最新の音楽だ!」なんて鼻息は荒くしてなくて、自分たちが仕掛けると絶対にそうなるってことだけは分かってたんです。出会うべき人が集まって作られていくイベントなので、出演していただける人がかっこいいイベントにしてくれますから。
人との出会いや繋がりも大切にされてますし、それ自体をすごく楽しんでますよね。楽曲提供やプロデュースの面で大切にしてることは?
楽曲提供に関しては、自分が本気で歌えない曲は提供しないって決めてます。ゆるめるモ!から楽曲提供の話が来た時も、本人が歌ってもいいし、自分が歌っても不自然じゃなく、心から歌える曲を作ろうと思いました。男性ミュージシャンでも女性アイドルユニットでも、そこは変わりません。これまで提供した全ての曲において、自分が本気で歌えるというのは共通してますね。
本気で歌えるからこそ、楽曲提供するアーティストさんと同じ目線でいられるってことなんですかね。プロデュースの面では、どうでしょう?
あいみょんのサウンドプロデュースをしてて、今となってはありえない話ですが、例えばあいみょんのことを誰も知らなくてもフェスや会場が絶対に盛り上がる、そんなイメージでサウンドを作ってます。
でもそれって、めちゃくちゃ難しくて大変じゃないですか?
楽曲提供でもサウンドプロデュースでも、自分の中に決まり事とゴールがあるから、意外と悩んだりはしないんですよね。けっこう仕事は早いって言われますし。もちろん妥協はしませんが、ずっと自分がしてきたことだから悩んで眠れないとか、追い込まれてヤバイとかっていう状況にはなりませんね。まぁ、そこまで仕事してないってのもありますが。
またまたそんな謙遜を(笑)
適度にって感じですよ。暇になると、ふんわり仕事がやって来ますから。誰かが見てるんちゃうかなって思う時もありますね。「Sundayちょっと暇そうやな、そろそろ仕事あげようかな」みたいな。
Sundayカミデ
OSAKAUNDERGROUNDのPOPMAKERでありワンダフルボーイズのボーカル。 21世紀の名曲「君が誰かの彼女になりくさっても」の作詞・作曲としても知られ、様々なアーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースも手掛ける。 また、ラジオ、トークライブ番組でのMCや自らのエピソードをまとめたエッセイ集を出すなど活動の幅は多岐に渡る。自身がオーガナイズするイベント『Love sofa』はスタートから22年目を迎え、熱烈な音楽ファンから深く愛されている。