15周年を迎えた『MEETS THE REGGAE』。BAGDAD CAFE THE trench townの番長さんとプロデューサーの西平さんに聞く、この日、この場所にしかない化学反応のカタチ。

2022年5月22日、服部緑地野外音楽堂で3年ぶりに開催された『MEETS THE REGGAE』。レゲエミュージックの祭典として多くのファンに愛され、15周年という大きな節目を迎えた関西を代表するフェスの一つです。今回はフェス当日のリポートも織り交ぜつつ、『MEETS THE REGGAE』を立ち上げたBAGDAD CAFE THE trench townの番長さんと、プロデューサーとして企画運営に携わる西平さんにインタビュー。唯一無二と評され、あの化学反応が起きまくるステージは一体どうやって生まれてきたのか!?そこに辿り着くまでの苦難や裏話、今後の展望などを、いろいろ聞いてきました。アーカイヴ配信などはないので、フェスに行けなかった人は悔しさしか残らないかもしれませんが、その悔しさと音楽愛はぜひ来年にぶつけてください。『MEETS THE REGGAE』に絶対行きたくなる、観たくてたまらなくなる、そんな2人の熱いソウルが詰まってます!!

出演してもらうアーティストさんの原曲を、毎回40曲以上アレンジ。出来上がった時はめちゃくちゃ楽しいけど、それまでは苦しさしかない。

関西が全国に誇るレゲエミュージックの祭典『MEETS THE REGGAE』ですが、まずはこのフェスを立ち上げたきっかけから聞かせてください!

番長:BAGDAD CAFE THE trench townを2001年に結成してから、ライブハウスやクラブなどでは自分たちがオーガナイズするイベントをしてたんです。でも、もっとおもしろいことがしたかったし、もっと大阪を盛り上げることがしたいなと。それを実現するにあたって、「自分たちしかできないフェスって何やろ?」って考えてたんです。アーティストさんはみんな自分に自信を持ってやってるし、僕らもレゲエというジャンルに特化してやってきた。ただ、レゲエ以外のジャンルのアーティストさんも好きやし、「その人たちがレゲエしたらどうなるんやろ?」という素朴な疑問から、自分たちが出演アーティスト全員のバックバンドをしようと思いついたんです。

『MEETS THE REGGAE』の醍醐味であり、唯一無二の部分ですよね。

番長:いろんなアーティストさんを呼んで、とにかくその日しかできないことをしたかったんです。みんな普段は自分のバンドでライブしてるけど、そうじゃなくてこの場所でしか見れないものがしたかった。それを続けたくて立ち上げたのが『MEETS THE REGGAE』なんです。

この日、この場所でしか見れないし、BAGDAD CAFE THE trench townがバックバンドをすることでアーティストさんとの化学反応も生まれる。それってすごい贅沢なこと。

番長:しかも経費削減にもなるし(笑)。バンドで呼んじゃうと、とてつもなく高くなっちゃうんで…。

西平:『MEETS THE REGGAE』に来てもらうのはボーカルの方だけやしね。

番長:1人だけなんで、移動費や宿泊費もコスパがよくて…。

西平:でも、コスパありきで企画したフェスじゃないやろ(笑)

番長:もちろん違うけど、よく考えるとすごく理にかなってるフェスやなと(笑)

BAGDAD CAFE THE trench townの番長さん。

しかも、スペシャル感がありまくりですしね。でも、「出演アーティスト全員のバックバンドする」とサラッと言いましたけど、めちゃくちゃ大変じゃないですか?

西平:自分たちの曲以外に、毎回40曲以上アレンジして演奏しないといけないですからね。アーティストさんの原曲のアレンジを考えてる時って、どんな感じなん?

番長:基本的にアレンジはバグダッドのメンバーみんなでやって、出来上がった時はめちゃくちゃ楽しいけど、それまでは苦しさしかない。「こんな感じはどうかな?」と聞いても、「原曲よりも良くないんちゃう?」と返ってきたり。とにかくすごくシビアに考えてアレンジしてる。

西平:やっぱり原曲を超えないといけないしね。

番長:本質的に原曲を超えてしまうことはできないねんけど、僕ら的にはその瞬間の勢いとか派手さとかを大事にしてて、そこに辿り着けたら「やったね!!」って感じかな。ただ、どうしても辿り着けない時は、「この曲は原曲っぽい感じを残しながらいきましょか」って(笑)

原曲って、そのアーティストさんのイメージとか、想いとかも詰まってるものだから、かなり繊細な作業になりますよね。アレンジする原曲は誰が選ぶんですか?

番長:アーティストさんと一緒に選ぶこともあるし、指定されたり、僕らが「この曲やりたい!」って伝えたり。さまざまですね。

毎回40曲以上アレンジするってことは、制作期間もけっこう費やしそうですが。

番長:ブッキングが決まってからすぐ着手するんですけど、8〜10組のアーティストさんの原曲を半年くらいかけてアレンジしてますね。

西平:今年の『MEETS THE REGGAE』が終わったら、すぐ来年の制作が始まるような感覚。なるべく早くオファーしても、こんなコンセプトでしてるからとにかく時間がかかるんですよ。

番長:僕はアレンジの制作もしてるからアーティスト側の人間でもあり、そうじゃない主催者側の動きや考えもあって、バクダッドのメンバーからは割と嫌われてたりもしてて(笑)

それはスケジュールを考えて、詰めたりもするからですか?

番長:それもありますし、アーティストさんからの原曲が予定とズレて届いた途端に「さぁやるで!」って急に始めたりするからですね。みんな「え!ちょっと待ってや」みたいな感じになるんですけど、「俺のせいちゃうんやん!」と心の中では思ってます。

西平:番長はアーティストさんの窓口もしてるから、さらに大変なんです(笑)

番長:フェスの当日とかも、リハーサルで言われてないことを突然言い出すアーティストさんもいて、聞いてないぞーと思いつつも同調して「よし!行こかー!」って(笑)。だから、メンバーからは「あいつはまたあっち側に行ったわ!」と言われてますね。

『MEETS THE REGGAE』の企画運営に携わるプロデューサーの西平さん。

大変ですね(笑)。心中お察しします…。リハーサルはいつ行ってるんですか?

番長:ほとんどの人が前日ですね。事前にアレンジした音源を送ってて、前日にちょっと合わせてみましょうって感じ。何かあればその時に調整しますけど、今まで1回も変更はありませんでしたね。みんな「これでお願いします!」って。

ちなみに西平さんはアレンジされた音源を事前に聴いてるんですか?

西平:前日のリハーサルで初めて聴きますね。毎回「すごい!こんなアレンジになるんや!」って驚きつつ、大変そうやなと思ったり(笑)。どちらかと言えば、当日のお客さんの感覚に近いかもしれませんね。「これはおもしろい!」と感じれるし、参加してくれるアーティストさんもおもしろがってくれる人が多いんですよ。

番長:オファーした時に「どうなんの?」「想像つかない」って言われることもあるけど、おもしろがってくれたり、新しい化学反応を楽しみにしてくれる人は多いですね。

西平が助けてくれるまでは、ステージ上でトラブル対応してた。演奏の真っ最中なのに、スタッフが来て耳元で伝言してくるんですよ…。
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Profile

番長

日本を代表するレゲエバンドBAGDAD CAFE THE trench townをはじめ、BAGDAD RIDDIM SECTION、AFNICA、ワンダフルボーイズ、Z番長などさまざまなバンドでドラムを担当。藤原ヒロシ氏のバンドにもドラムとして参加している。2007年に『MEETS THE REGGAE』を立ち上げ、同フェスの中軸として日本のレゲエシーンを盛り上げている。

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Profile

西平 幸胤

DENBAK-FANO DESIGNに所属するディレクターとして、フレッドペリーをはじめとする国内外のブランド、行政関連のイベントなどを手がける。2011年から『MEETS THE REGGAE』にプロデューサーとして参加し、企画運営を担う。

http://www.denbak-fano.com/

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