15周年を迎えた『MEETS THE REGGAE』。BAGDAD CAFE THE trench townの番長さんとプロデューサーの西平さんに聞く、この日、この場所にしかない化学反応のカタチ。


西平が助けてくれるまでは、ステージ上でトラブル対応してた。演奏の真っ最中なのに、スタッフが来て耳元で伝言してくるんですよ…。

©渡邉一生

『MEETS THE REGGAE』の成り立ちや制作の裏話を聞かせてもらいましたが、運営していくのもすごく大変だと思います。西平さんはプロデューサー的な立場で運営に携わっていますが、いつ頃からジョインしたんですか?

西平:ボーカルのmaiちゃんが抜けたタイミングやんな?

番長:そうそう。実はBAGDAD CAFE THE trench townには闇の時代が一回あったんですよ。バンドのボーカルが抜けてしまうっていう…。

西平:まさかのインストバンドになってしまってたからね。

番長:どうしたもんかなと悩んでた時に、たまたま西平が近くにいたんですよ。かれこれ20年前くらいの付き合いで、「西平、助けてくれ!もう何ともできへんねん!」と相談したのがきっかけ。ちょうど10年前くらいですね。

西平:先輩が企画してたイベントを通じて番長と出会い、自分が<フレッドペリー>のイベントを企画した時に出演してもらったのを機に仲良くなったんですよ。偶然にも同じ歳でしたし、プライベートで『MEETS THE REGGAE』にも行ってましたし。

番長:それで、ほんとにいろいろ助けてもらいましたね。今まではバンドや音楽が中心だったけど、西平には街の人を繋げてもらい、もっとたくさんの人に協力してもらえるフェスになっていったんです。おかげさまで、ボーカルも無事に戻ってきましたしね(笑)

戻ってきてくれて良かったですね。西平さんは『MEETS THE REGGAE』のファンでもあったわけですが、実際に深く関わることで何か感じたことはありましたか?

西平:さっきも言いましたけど、リハーサルが想像以上に大変やなと。今までフェス当日の楽しさしか知らなかったから、「マジでヤバいやん!」状態でしたね。とにかく番長たちが制作に集中できるように、まずは裏方業務などを任してもらうようにしたんです。行政関連のイベントもしてたので街の人とも交流があったし、『MEETS THE REGGAE』にこれまでなかったいろんな繋がりを持たせて、バンド主体のフェスではなく、音楽好きが集まる街のイベント的に育てていこうと思いました。年1回のフェスですが、徐々にそういう風には認知されてきてるかなと。お客さんの年齢層も幅広いですし、家族連れも多いですからね。

番長:ほんとに助かってますね。それまでは自分たちの分も含めて50曲以上やりながら、ステージ上でトラブル対応までしてたんですよ。演奏の真っ最中なのにスタッフがやって来て、耳元で「今、受付でこんなトラブルありました!」と言うてくるし…(笑)

西平:「受付に○○さん来てますけど、ゲストで入れていいですか」とか?

番長:「いいよ!いいよ!もう入れてー!」って感じ。演奏中やのに、そんなことまで俺に聞くの?状態(笑)。全部やってたからストレスも溜まる一方だったし、「そんなこと聞くから集中力切れたわ!」みたいなこともありましたから…。今は、西平がいるおかげで安心して演奏に挑めますね(笑)

演奏中に耳元でそんなこと囁かれたら、確かに集中できないですよね(笑)。他にも印象に残ってたり、思い出深いエピソードってありますか?

番長:楽しかったこととか思い出深いことはあり過ぎますね。ただ、失敗系のエピソードで言えば、絶対に必要なものを忘れてしまうのは毎回あります。僕か西平のどっちかが忘れてるんですよ。

西平:フラッグとかね。

番長:ステージのメインになる飾りなんですけど、現地に到着してから「フラッグないやん!どうすんの!?」って。

西平:でも、服部緑地野外音楽堂は大阪市内からも近いんですぐに取りに戻れるんですよ(笑)

番長:現地に到着して1時間半くらいの間は、必ず誰かがいなくなってますね。あと、自分のことで言えば、たまに譜面を忘れてしまうことがあるんです。だいたい覚えてるので譜面がなくても演奏に支障はないんですけど、ないと不安。「ない!ヤバいやん!」って、めっちゃ焦ってしまいますね。

そんなハラハラする裏話も、この日、この場所にしかないことですね。今回の『MEETS THE REGGAE』は3年ぶりの開催になったわけですが、お2人の心境を教えてもらえますか?

番長:3年ぶりなので気合いは入ってますけど、そんなに若くはないから気合いだけっていうテンションでもないんですよ。開催に至ったのも、今足を止めたら動けなくなってしまうから、今動くしかないなと。業界的にもフェスの集客は完全に戻ってない状況だけど、そこを考えてしまうと立ち止まってしまいますからね。生きるために傷つきに行くような感覚ですね。

生きるために傷つきに行く。その言葉、すごく重いし深いです。

番長:でも、開催することを告知したら、楽しみにしてくれてる人がすごく多くて。

西平:ファンの方々からの反応はめちゃ感じますね。

番長:コメントでも「絶対に行きます!」とか「家族で行きます!」とかね。楽しみにしてくれてる子どもたちもいるんだなと。

西平:実は去年も開催することを50%くらいの確率で考えてたんですけど、僕ら世代のお客さんは家族連れが多いし、「こんな状況でも来てくれるかな?」と思って。番長も子どもがいてるし、そこを考えると無理する必要はないかなと思って断念したんです。ただ、今年は早い段階から開催する方向で準備してきましたね。

オンラインで開催するイベントもありますが、『MEETS THE REGGAE』はあえてその選択をしてませんよね。その理由って?

番長:普段のライブならオンラインでも大丈夫ですが、『MEETS THE REGGAE』に関してはやっぱりこの瞬間にしかないものにしたいんです。オンラインになると、その時のテンションで楽しめてしまうけど、それだと『MEETS THE REGGAE』の楽しみが伝わってない気がしてね。僕らとしては、そこは絶対に守りたいなと。服部緑地野外音楽堂の空気感とか、緑の清々しさとか、飲食ブースのある環境とか、トータルで感じてこそのフェスなので。

西平:ファミリーがいたり、いろんな街の人がいたり、朝まで仕事してた飲食店の人が疲れてるけど楽しそうにしてたり。集まる人たちも含めてですよね。

そして唯一無二のステージがあると。

番長:いろんなアーティストのステージが楽しめる、日常と切り離された空間ですからね。そこに浸ってほしいと思います。

この日、この場所にしかないものがある。それが『MEETS THE REGGAE』ですもんね。やっぱりリアルで楽しむのがフェスの醍醐味だなと思います。

西平:それと、個人的には出会いかな。ここでしか出会わない人もいたりして、年に1回顔合わすだけだけど「久しぶり!元気?」みたいなコミュニケーションが生まれるのも重要だと思うんですよ。そんな場所が変わらずあるのは、やっぱりイイなと。

それもオンラインとは違うリアルの良さですよね。個人的にはステージ上のアーティストさんが見せる汗とかも、ボルテージが上がっていくスイッチかなと思ったりもします。

西平:番長は毎回3回くらいTシャツ着替えてますよ。

番長:DJやMCタイム以外の4〜5時間は出ずっぱりやから。そりゃもう、べちょべちょになりますよ。

『MEETS THE REGGAE』当日のライブシーンをお届け。錚々たるアーティストたちとBAGDAD CAFE THE trench townが繰り広げるセッションは、まさに唯一無二です!
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Profile

番長

日本を代表するレゲエバンドBAGDAD CAFE THE trench townをはじめ、BAGDAD RIDDIM SECTION、AFNICA、ワンダフルボーイズ、Z番長などさまざまなバンドでドラムを担当。藤原ヒロシ氏のバンドにもドラムとして参加している。2007年に『MEETS THE REGGAE』を立ち上げ、同フェスの中軸として日本のレゲエシーンを盛り上げている。

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Profile

西平 幸胤

DENBAK-FANO DESIGNに所属するディレクターとして、フレッドペリーをはじめとする国内外のブランド、行政関連のイベントなどを手がける。2011年から『MEETS THE REGGAE』にプロデューサーとして参加し、企画運営を担う。

http://www.denbak-fano.com/

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