リンダとマーヤが見つめてきた、移りゆく西宮の街と音楽シーン。
合言葉は「ロックンロール!」。兵庫県西宮市出身の3ピースバンド N’夙川BOYSが突然の活動休止を発表した2016年、メンバーのリンダdada、マーヤLOVEは「リンダ&マーヤ」を結成し、ユニットとして音楽活動を開始。19年にはパルコの50周年テーマソングを手がけ、変わらぬ熱量とメロディセンスが炸裂した楽曲『50’YOUTH』で話題をさらいました。現在もマイペースに音楽活動を継続中。今回は、2人が通っていたという思い出のビストロにお邪魔してインタビューを敢行。マーヤさんの地元である西宮の話から最近の音楽シーンの話まで、たっぷりお届けします。
音楽を始めたのも、チーズ×蜂蜜の味を知ったのも西宮。
こちらの『Bistro de NATURE』さんには、どのくらい通ってらっしゃるんですか?
リンダ:どれくらいやろ、思い出されへんくらい前から来てる。
マーヤ:10年以上前かな。僕がね、店出てすぐ目の前くらいの、ガールズバーの上に住んでたんですよ。通ってるうちに自然と僕たちのこと覚えてくださって、だいたいいつもこの席に座ってました。
リンダ:美味しくて安くて、最高なんです。私はウニのパスタが好き。2人でランチが多かったけど、友だちとディナーに来ることもあって。
マーヤ:誘ってもらえなかった日は「ちぇっ」って気持ちになるんですよね。人生において、そういうお店って少ないじゃないですか。僕は普段からあんまり外にも出ないし。
リンダ:ロンドンとか、台湾とか、海外ツアーに行って帰ってきた後の打ち上げとして食べに来たり。
マーヤ:ここに来ると、不思議と切り替えられるんですよ。「はい、というわけで日本帰ってきました」って感じで。味は洋食だけど、僕らにとっては故郷の味ですね。
このチーズのピザもめちゃくちゃ美味しそうです。
マーヤ:これ食べたことありますか? 僕は、クアトロフォルマッジというピザをここで初めて知ったんですよ。食べる前は、そんなんチーズに蜂蜜かけてうまいわけないやん、と思ってまして。それで食べたら、もう、めちゃくちゃうまい!っていう。衝撃でしたね。
リンダ:よかったら皆さんも食べてみてください。ぜひ。(店員さんに)すみませーん! フォークとお皿追加でください。
ありがとうございます! お2人はお酒も飲まれるんですか。
リンダ:私は飲みますけど、マーヤは下戸です。
マーヤ:下戸って言うな! でもね、お客さんから差し出される時はあるんです。僕がやってるKING BROTHERSってバンドのライブ中は、客席から一升瓶が届くことがあって。ノリで一気に飲んで、あとで大変なことになったり……。
それは心配です。お2人にとって関西で一番思い出深い場所はどこですか?
マーヤ:僕はもう幼い頃からずっと西宮なんで。音楽をやり始めた街やし。阪神大震災もちょうど高校生の時にくらったし。切っても切り離せない場所ですね。もともとはこの辺の街並みも下町っぽさがたくさん残っていましたが、震災後は最新の耐震設備を備えた新しい建物が増えていき、嘘みたいに便利になり続けている印象があります。
リンダ:引っ越した後に、急に便利になったよな。
古き良き昔の街並みと、今の西宮、どちらがお好きですか?
リンダ:どちらも好きです。便利なのもやっぱいい。
マーヤ:伝統をもって未来を創る。我々が敬愛する、ヴィヴィアン・ウエストウッドのデザインコンセプトのような街になると良いなと思います
リンダ:私は生まれが沖縄なんですけど、大阪の生活が長くて。西宮に住み始めてすごくよかったのは、スイーツとパンが美味しいことですね。
マーヤ:それはほんと、リンダのおかげで気付けました。老舗も、新しい店も、オリジナルで美味しいパンを作ってる店がたくさんあってびっくりしましたね。
リンダ:なんか、夙川に集まってるんですよね。甲陽園〜苦楽園〜夙川〜香櫨園〜芦屋にかけてくらいまでが、激戦区。
マーヤ:当時マネージャーをしてくれてた若い子が、パン大好きだったんですよ。ツアー帰りに「パン食べたい?」って聞いたら「食べたいです」って言うから、朝8時くらいでばり眠いのにみんなでパン屋巡ってな。その時に食べた、焼き立ての塩パンがめっちゃうまくて。その子は興奮して、車運転しながら黙ってハンドルをバンバン叩いてたんですよ。おもろかったな(笑)。
リンダ:そうそう。それくらいうまかった。
リンダ&マーヤ
兵庫県西宮市出身。3ピースバンドN’夙川BOYSの活動休止発表を経て、リンダdadaとマーヤLOVEで2016年に結成したロックンロールユニット。17年、1stミニアルバム『LIFE IS ACTION!』をリリース。DMBQ、 巨人ゆえにでかいで活動している和田シンジをサポートドラマーを迎え、フェスやライブに出演。19年、パルコ50周年ムービーのテーマソング『50’YOUTH』を手がける。カップリングに原曲の『SADISTIC’YOUTH』を加え、自主レーベル『R&M RECORDS』よりCDとアナログ盤をリリース。