カラフルなパッケージにときめく『YACCO -感じのよい豆富店-』の店主・神原裕さんが追求する、新しい“町の豆腐屋さん”のカタチ。
豆腐の地味なイメージを取り払う、カラフルなパッケージがこだわり。神原家をモチーフにした、年々成長するイラストにも注目してください。

カラフルなパッケージもすてきですよね。豆腐のイメージがガラッと変わります。
海外の豆腐って、パッケージがすごくおしゃれなんですよね。スーパーに並んでいるだけで、ちょっとした絵になるというか。それに、僕自身は子どもの頃から“ヨーグルトや牛乳=青”というイメージがあって、色で食材を認識していたところがあるんです。だから、豆腐もカラフルな存在として印象付けられたら面白いんじゃないかなと考えました。デザインをお願いしたのは、イラストレーターのTakeshi Wadaさん。僕の家族をモチーフに、サザエさんのようなタッチで描いてほしい、とオーダーしました。

確かにサザエさんみたいです。神原さんのご家族がモデルとは知りませんでした。
お客さんが気付いているかわかりませんが、子どもの成長に合わせてデザインもちょっとずつ変化していて。一応長男が主役なんですが、少しずつ大きくなったり兄弟が増えたり。デザインって1つ描いたらそれで終わりで、どうしても古くなっていくじゃないですか。だからデザインを育てようぜっていうので、オリジナルをどんどん成長させています。僕らは30年間このお店を続けるのが目標なので、子どもが30歳になるまで描けたらいいよねって話していて。これからも増えていくと思うので、そちらも楽しみにしていただきたいです。

今後の目標はありますか?
特に大きな目標はなくて。おいしいものをきちんと作っていきたいのと、1年に1つは新商品を出していけたらいいなと思っています。次は年明けくらいに豆乳ヨーグルトをリリースする予定で、そちらもぜひ注目してもらえたら。今は土曜日だけ予約制で朝ごはんをやっていて、それが結構好評なので、いつか朝ごはんのセレクトショップみたいにできたらいいなと考えています。朝ごはんをしっかり食べる習慣って、子どもに絶対必要だと思うから。僕らのコンセプトは「0歳から100歳まで楽しめる豆富」ですが、重きを置いているのは子どもなので、子どもの朝ごはんに役立つ商材があればなおいいなと思います。もはや大豆も関係ないけど、無添加の干物とか作れたらいいですよね。

子どもの頃に『YACCO』のような豆腐があったら、もっと豆腐が好きになっていたかもしれません。
好きになってもらえたらいいなと思いながら日々豆腐を作っています。「とうもろこし豆腐」は子どもにとても人気があって、「また食べたい」と買ってもらっている姿もよく見かけるんです。子どもが来たらたまに豆腐をおまけしたりもしてて。昔は「あんたこれ持っていき」みたいなことって結構あって、今思い返すとあったかい文化だったなぁと。そんな昭和の文化を残していきたいんですよね。
最後に、今後は豆腐がどんな存在になっていってほしいですか?
単なる食卓の数合わせじゃなく、料理として楽しめるものにしていきたいです。今までの豆腐屋のイメージを覆して、「豆腐屋ってカッコいい」と子どもたちに思ってもらえたらいいですね。そうやって次の世代に町の豆腐屋の文化を受け継いでいきたいです。



<神原さんのお気に入りスポット>
西天満竹井(大阪市北区西天満)
バーを併設した浮世絵屋さん。もともと古物の販売をしていた友人が営んでいて、めちゃくちゃマニアックなお店です。うちに飾っている浮世絵もそこで購入しています。バーに『YACCO』の豆腐クリームチーズを卸したりもしてるので、来店した際はぜひ食べてみてください。

神原 裕
岡山出身。大学進学を機に神戸に住み始め、卒業後はカフェに就職して30歳で独立。イタリアンやカフェなどの運営を経て、日本の伝統食である豆腐の製造&販売をスタート。年々減少する“町の豆腐屋”を残すべく、従来のイメージを覆すおしゃれな豆腐を提案する。

YACCO -感じのよい豆富店-
078-330-7531
神戸市中央区琴ノ緒町1-6-9
11:00〜19:00 日・月曜休