カラフルなパッケージにときめく『YACCO -感じのよい豆富店-』の店主・神原裕さんが追求する、新しい“町の豆腐屋さん”のカタチ。


大豆は長野県産の青大豆を使用。大豆本来を味を引き立てるため、ニガリの量を減らして柔らかい食感に仕上げています。

豆腐作りをするうえで、何か苦労はありましたか?

最初はシンプルな絹豆腐を作ろうとしたんですが、固まらない、腐りやすい、乳酸発酵しちゃう、そもそも味がおいしくない……、数え切れないくらい失敗しました。豆腐業界って少し閉鎖的なので、先人に教えてもらうこともなかなかできなくて、誰に頼ればいいんだろうと頭を抱えていたんです。そんな時、親切な大豆屋さんがいろいろ教えてくれて、ようやく納得のいくものを作れるようになりました。大豆はその方が勧めてくれた、長野県産の青大豆を使用しています。1万種以上ある国産大豆の中でも希少な在来種と呼ばれるもので、これを使い始めて味や食感が安定しやすくなりました。オープン後も試行錯誤しながらやってきたので、満足できる味になったのはここ1年くらいですね。大豆本来の味を感じてもらうため、一般的な豆富よりもニガリの量を減らして、柔らかくもったりとした食感に仕上げています。

商品の種類はどれくらいあるんですか?

豆腐は季節によって入れ替えつつ、常時10種類を用意していて。その他、豆乳と納豆、スープなどを展開しています。なかでも、豆腐用の青大豆を使った大粒のクラフト納豆はめっちゃおすすめです。スーパーで買える一般的な納豆は、輸入物や国産でも安価な大豆を使うことが多いので、独特の臭みが出てしまうことが多いんです。だけど、うちは豆腐用の大豆を使っているから、臭みが少なくしっかりとした豆の味を楽しめます。通常より蒸し時間を長くして柔らかい食感にすることで、大粒だけどご飯と一緒に食べても邪魔にならないように仕上げました。

納豆もこだわって作ってらっしゃるんですね。

大阪や京都に比べて神戸は納豆屋さんが少ないこともあり、一度挑戦してみようかなと。僕は納豆に何かを乗せて食べることが多かったので、佃煮やしそわかめなどの食材を合わせた食べ方を提案することにしました。佃煮といえば京都かなと京都の佃煮屋さんを回ったんですが、京都の佃煮は甘すぎて、あんまりマッチしなかったんですよね。調べてみると、東と西で佃煮の味って結構違うみたいで、うちは塩味のある東京の佃煮を使っています。

佃煮入りの納豆、食べてみたいです。

豆腐もそうですが、調味料に関しても、まだまだ知らないことが多いなと感じています。豆腐作りを始めてからは、調味料や食材が“なぜそこにあるのか”という背景について考えることが増えました。郷土料理に豆腐が使われる理由を調べていく中で、土地の水質が深く関係していることを知ったんです。たとえば九州は硬水で、硬水にはえぐみを旨味へと変える力がとても強いという特徴があります。だから焼酎や豚骨ラーメンなど、少しクセのあるものがおいしく仕上がるんですよね。『YACCO』でも、この土地ならではの味わいになればと願い、自然に流れる水をそのまま使って豆腐を作っています。

豆腐の地味なイメージを取り払う、カラフルなパッケージがこだわり。神原家をモチーフにした、年々成長するイラストにも注目してください。
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Profile

神原 裕

岡山出身。大学進学を機に神戸に住み始め、卒業後はカフェに就職して30歳で独立。イタリアンやカフェなどの運営を経て、日本の伝統食である豆腐の製造&販売をスタート。年々減少する“町の豆腐屋”を残すべく、従来のイメージを覆すおしゃれな豆腐を提案する。

Shop Data

YACCO -感じのよい豆富店-

078-330-7531
神戸市中央区琴ノ緒町1-6-9
11:00〜19:00 日・月曜休

https://yaccotofuten.official.ec/

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