布施ローカル発・ストリート育ちなピザショップ『That’s PIZZA』。地域密着を掲げて10年間、ふたりで積み重ねてきたものとこれから。


当時は街で完全に浮いた存在。どれだけダメな時期でも離れないで続けることが一番大事なことだった。

オープンまで大変な道のりだったと思いますが、当時のお店の様子ってどんな感じだったんですか?

ダイスケ:布施っていう年齢層がちょっと高めな土地柄もあって、「ピザ=デリバリーのチェーン店」っていうイメージが街に根付いてた。しかも俺らはタトゥーまみれやから、街の人にも「タトゥーを隠せ」ってよく言われて、オープンして最初の 2 ヶ月ぐらいはラッシュガードを付けて営業してたんです。

ヨウヘイ:「お前らもっと普通にやれ!」って怒られたけど、店のスタイルもタトゥーも僕らにとっては普通のことやから、感覚が布施の人たちとだいぶズレてたんでしょうね。お客さんも最初は全然つかへんくて、商店街でも完全に浮いてて。

店に飾られていた、オープンしてすぐの頃の写真。

それが段々と街に馴染むようになったと。街のリアクションの変化は、どんなきっかけがあったんですか?

ヨウヘイ:何かを大きく変えたわけではないんですけど、何を言われても自分らのスタイルを貫き続けたことが、だんだん馴染んできたんやと思います。それでも、街に受け入れられてるなって感じ始めたのは、3、4店舗目を出した時くらいかな。この辺は商人の街なんで、実力主義みたいなところがあるんですよ。今年の4月からは商店街の理事にも選ばれて、ようやく街の一員になれたって、素直にめっちゃ嬉しいです。

ヨウヘイさんにとっては地元ですし、余計に嬉しいでしょうね! 布施のローカル発で、市内にこれだけ展開しているピザ屋は他にないでしょうし。

ダイスケ:ミナミに店を出すっていうのはずっと話をしてたんです。布施に人を呼ぶことが当初の目標やったけど、距離的にもなかなか難しい部分も感じて。それなら俺らが出ていく方が早いってことで、営業終わりにミナミのいろんな場所で出店するようにしたんです。

体力的にめっちゃキツそうですね……。

ダイスケ:朝から夜まで通常営業をした後に、焼いたピザを箱に詰めて近鉄電車に乗って。クラブのイベントや先輩のバーでピザを売って始発で帰る。で、また出勤っていう繰り返し。休みは月に1回で、それを3年はやってたかな。その休みの日もヨウヘイと一緒におるから、マジで365日一緒にいたな。

ヨウヘイ:やっぱりだんだん仲が悪くなってくるんですよ。毎日ちょっとしたことで舌打ちしたり、余裕がなくなると人間やっぱギスギスしてきて。

完全に倦怠期ですね。普通はそこで一緒に居るのも嫌になってしまいそうですが。

ヨウヘイ:当たり前のことやけど、何があっても店はちゃんと開けるっていうことをふたりで最初から決めていたので、どれだけ仲が悪い時期でもずっと一緒に店に立ち続けてました。

ダイスケ:ほんまに10年間でちゃんとした理由で店を休んだのは2回だけ。蓄積した時間がやっぱり信頼に繋がるから。先輩の居酒屋で殴り合いのケンカをしたこともあったけど、ダメな時期に離れないっていうのが一番大事なことやったと思います。南堀江店ができて、俺がそっちに立つようになってから、関係性も回復した気がするなあ。

キツい時こそ一緒にいるって、どのジャンルの仕事にも当てはまる大事なことですよね。お店を新しく出す時は、どちらから言い出すんですか?

ダイスケ:俺が店を出したいって言ったのは南堀江だけで、あとは全部ヨウヘイ。

ヨウヘイ:もちろん僕らのピザを広めたいっていう気持ちもあるんですけど、どちらかと言えばウチで働いてくれている職人の子が、ちゃんと活躍できる場所を作ってあげたいんですよね。それでも、基本的にはどっちかが反対してたらやめるようにしてます。

ダイスケ:そんなことないやん!豊崎も玉造に店を作る時も、一回は俺が反対してるから(笑)。悩んでたらそれで止まる時もあるけど、ヨウヘイの中で決まってたら何言っても止まらん。そしたらもう進むしかないから、店舗も増えていったんです。

この街できっちり顔も名前も覚えてもらえたら、他の店舗でも大丈夫。ウチの職人はみんな、街に育ててもらってるんです。
1234
Profile

梶原 洋平

カフェバー『cafe That’s』を経て、ピザの本場・ナポリにピザ修行に出向き、2015年に『That's PIZZA』を地元の布施で創業。不動のピザ職人として布施店の厨房に立つ。

Profile

岩下 太輔

長崎県出身。アパレル業界で働いたあと『That's PIZZA』の立ち上げに関わりピザ職人の道へ進む。主に新店舗の立ち上げや出店、アパレル企画を担当するグループのNo.2。

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE