“身体に優しいお菓子”のイメージが変わるかも!?白砂糖を使わない焼き菓子店『Teddy’s Bake Shop』の長井咲季さんが作る、ときめきがいっぱいのスイーツ。
かわいくて身体に優しいお菓子になかなか出合えなくて。それなら自分で作っちゃおうと思ったんです。

インスタでお見かけしたお菓子がとってもカラフルで。グルテンフリーやヴィーガンといった身体に優しいスイーツは、見た目もナチュラルなイメージがあったので、長井さんの作るお菓子のかわいさにとてもびっくりしました。
ありがとうございます。私自身ケーキや焼き菓子を食べるのが大好きで、ナチュラルな素材で作られたものを選ぶことも多いのですが、なかなかときめくルックスのものに出合えなくて。だったら自分で作っちゃおうと。それがカラフルなお菓子を作るようになった理由です。
あと、グルテンフリーやヴィーガンのお菓子は優しい甘さのものが多いんですが、私はしっかり甘めに作っています。「お菓子を食べた」という満足感をしっかりと得られるのも、うちのお菓子の特徴かもしれませんね。

長井さんのお菓子を食べると、“身体に優しいお菓子”の概念が少し変わるような気がします。ヴィーガンのお菓子には動物由来の食品を使っていないんですよね。牛乳やバターを使わなくても味の濃厚さや深みって出せるものなんでしょうか?
全てをその手法で作るのは難しいですが、今日のラインナップでいくと、ブラウニーを使ったイチゴのケーキとチョコチャンククッキーはヴィーガン仕様になっています。ブラウニーとクッキーはうちの定番商品で、ヴィーガンじゃなくてもハマってくれる人が多いんです。私自身がヴィーガンじゃないので、そういう人にもおいしいって言ってもらえるお菓子を作りたくて。ココナッツオイルや豆腐などを使うことで、しっとりとした食感や濃厚なコクをプラスしています。

工夫を凝らして作ってらっしゃるんですね。カラフルな色味はどうやって表現しているんですか?
天然の着色料です。例えば、ピンクはイチゴ由来のもの、グリーンは野菜パウダーや藻を原料にしたものを使っています。食材を元にした着色料に関しては、前職のお菓子作りで学びました。
カラフルなお菓子のインスピレーションはどこから?
やっぱり映画かもしれないですね。店内にディスプレイもしているんですが、クラシカルなお菓子のレシピやデザインを参考にすることも多いです。


子どもの頃に夢見たような、物語の中に出てきそうなお菓子がたくさんありますね。インスタでお見かけしたホールケーキもかわいかったです。
お客さんにオーダーしていただいたものですね。ホールケーキは基本、お客さんの要望に合わせてフルオーダーで作っています。味やデザインはもちろんケーキの土台も選ぶことができて、キャロットケーキやチーズケーキにすることも可能です。変わったものだと、カボチャチーズケーキを土台にデコレーションしたりとか。値段はピンキリですが、シンプルな4号のホールケーキで大体4,000円ほどになります。

ホールケーキのフルオーダー、めちゃくちゃいいですね。壁に貼っている手描きのイラストは、長井さんが描いたものですか?
得意ではないですが、イラストを描くのはすごく好きで、店内のボードやボックスの文字も全部手描きです。お店もできるところはほとんど手作りしています。ただ計画性がなさすぎて、自分の結婚式とオープン準備の時期がガッツリかぶっちゃって……(笑)。結婚式が23年の9月末、お店のオープンが10月20日で、あの時はほんと毎日てんやわんやでした。友達がめちゃくちゃ手伝ってくれて、なんとか間に合わせることができたんです。
想像しただけでもめちゃくちゃ大変そうです(笑)


思い入れのあるお菓子について、いくつかお話を聞かせてください。
季節ごとに味やデザインを変えて、ほぼ毎日用意しているものだとキャロットケーキですかね。

めっちゃかわいい!こんなかわいいキャロットケーキ初めて見ました!!
普段はニンジンが刺さったようなデザインなのですが、今の時季はカカオニブをブレンドしたバレンタイン限定のデザインになっています(※取材は2024年1月末)。
キャロットケーキってデコレーションできるキャンバスが広いので、意外と自由度が高いんですよ。ハロウィンはオバケの絵柄にしたりクリスマスはラム酒を入れてシュトーレン風にしたり、色々遊べるのが楽しいんです。おいしいものが大好きなので、食材の組み合わせなどは他のお店のお菓子や料理を食べて参考にすることもあります。

オープンからずっと作り続けているものってありますか?
クッキーとスコーンはオープンからずっと置いている定番商品です。特にクッキーが人気で、20枚取り置きしてくださいっていうお客さんもいるほど。うちは季節や気分で結構ラインナップが変わるので、その日出合えるものを楽しみにしてもらえたらありがたいですね。同じお菓子であっても、その日の天気や気温によって少しずつ味や配合を変えているので、同じレシピで作り続けているものが少なくて。暑さが厳しい日だと、「さっぱりとした味にしよう」「ふんわりエアリーな食感にしてみよう」とか。その日食べたくなるものを意識して作っています。あとはパイもほぼ毎日用意していて、今日はチェリーパイです。


チェリーパイってアメリカンなイメージがあります。私、食べたことないかも。子どもの頃に読んでいた物語によく出てくるお菓子だから、ちょっと憧れていました。
チェリーパイを食べたことがない人って結構多いんですよ。私はパイがすごく好きなので、グルテンフリーではないけどずっと作り続けています。北海道産のバターと小麦粉を使ったサクサクの生地に、ジューシーで甘酸っぱいチェリーをふんだんに詰め込みました。今日は作ってないですが、冬はリンゴの季節なので、いいりんごが手に入ったらアップルパイもよく作ります。おばあちゃんとの思い出もあるので、私の中でも大切にしたいお菓子の1つです。

長井 咲季
大阪府出身。白砂糖を使わない焼き菓子の専門店『Teddy’s Bake Shop』の店主。子どもの頃からお菓子作りが大好きで、ケーキ店のパティシエなどを経て2023年に独立してオープン。グルテンフリーやヴィーガンのナチュラルなイメージを覆す、物語に出てくるようなかわいいお菓子に出合える。