このチームでしかできないことを、やる。daichicrewさんたちが表現する、『TASOGARE COFFEE』という圧倒的な世界。

大阪・南船場のコーヒーショップ『TASOGARE COFFEE』が、南堀江に移転し、2024年8月28日にリニューアルオープン。プレオープン中から行列が絶えないなど、その人気ぶりは周知の事実ですが、フェスやイベントにお呼ばれするとなれば、店を何日も閉めて徹底的に作り込んだ空間を現地で披露するなど、その動き方と取り組み方は普通の店にあらず。まさに彼ららしいというか、TASOGAREにしかできないこと。そんなチームを率いるdaichicrewさんは、「僕らは作ることが大好きで、みんな裏方タイプなんですよ」と話してくれましたが、その真意とは。リニューアルオープンの当日にお邪魔して、新しい店のこと、TASOGAREというチームのこと、見据えてることなど、色々伺ってきました!今までやってきたことが、やりたかったことであり、常にその延長線上を歩み続ける『TASOGARE COFFEE』は、これからも僕らにどんな世界を見せてくれるんでしょうか。おいしいコーヒーを飲みながら、そんな想いを巡らせて黄昏るのも、いいかもです。

バックパッカーになって、5年で65カ国を巡って世界一周。帰国後、昔からのダンス仲間と立ち上げたのが『TASOGARE COFFEE』なんです。

移転リニューアルオープンおめでとうございます!南堀江に移った経緯なども聞きたいんですが、まずは『TASOGARE COFFEE』の成り立ちから伺えればなと。南船場にオープンしたのが2016年9月23日ですが、どういったきっかけでスタートしたんですか?

『TASOGARE COFFEE』の創業メンバーは、同じダンスチームの仲間なんです。僕とケイ君が幼稚園からの幼馴染で、中学生の頃から通い始めたダンススクールにいてたのが、1つ上のシミちゃんと4つ上のカツヤ。同じ先生からブレイクダンスを教えてもらってたから仲良くなり、もっと上手くなるために自主練で集まるようになっていって。当時はOCATとかでも練習してましたけど、なんばパークスで始めたのは僕らが最初なんですよ。ダンス界隈では“パークスの子たち”って言われてて、僕らも“PARKS B-BOY FAMILY”っていうクルーを作ってました。それが、TASOGAREの原形でもありますね。

昔からのダンス仲間だったんですね。そこからお店ができあがっていくまでには、どんな経緯があったんでしょう?

ちょっと色々あるので、順番に話していきますね。若い頃からダンスをしてたけど、それだけでは食べていけないっていう現実問題があるじゃないですか。当時は他にもメンバーがいてて、みんなそれぞれが進む道を考えて模索してる中で、僕も19歳の時にアパレルの通販部門で働き始めたんです。最初はアルバイトからスタートして社員登用の話ももらったんですが、このまま社員になって安定を取ってもなと。それはちゃうなと思って。自分の好きなカルチャーの本場を見るために、海外に行ったんです。

安定よりも海外、というか、いろんなことを経験したり、吸収するための時間を取ったと。

ちょうどその頃は僕らメンバーの中で海外ブームが来てて、カツヤはカナダに留学してたし、シミちゃんも入れ替わりでイギリスに行ったりしてたんですよ。僕は5年かけて65カ国を巡り、世界一周しました。

『TASOGARE COFFEE』の立ち上げメンバーの1人でもあるシミちゃんは、焙煎やグラフィックデザインも担当。

すごい!その時にしかできないことですよね。一度も帰国せずに世界一周したんですか?

1ヶ月海外に行って、帰国して1~2ヶ月働いてまた海外へって感じです。

だいぶフットワーク軽いですが、そんなに都合よく仕事見つかったんですか?

実は、社員に誘ってもらった会社で働かせてもらってたんです。社員でも契約社員でもない、臨時長期社員っていう枠で(笑)。ちゃんと働いて実績も残してたから、帰国する度に働ける環境を用意してもらえてました。

めちゃいい会社ですね。それで海外に行ける環境を作れたわけですが、最初はどこの国に?

ブレイクダンスしてたのでアメリカも考えたんですが、最初に巡ったのはフランスとスペイン、オランダです。その次はカツヤと相談して、2人で動ける日数を考えてタイになりました。その時に初めてカオサンに行ったんですよ。今はアッパーの街になってるけど、当時はバックパッカーの聖地で、大阪で言えば西成みたいな雰囲気の街。小説を読んだりネットを調べてバックパッカーという言葉に憧れを持ってましたが、こんなにもいるんだってビックリしました。そこからスイッチが入ったというか、「バックパッカーになろう!」と思い、中東に行ってシルクロードを巡り、インドも一周して世界を周るようになっていったんです。

daichiさんがそこまでバックパッカーに惹かれた理由って?

音楽やダンスカルチャーを体感するために海外に行きましたが、僕が好きだったのはバックパッカーという存在であり、その成り立ちだったのかなと。バックパッカーが世界を歩んだ道は、その昔はヒッピーが歩んだ道であり、さらに遡ると商人たちが歩んだ道。それこそシルクロードとか。そういう歴史と紐づいてるのも魅力でした。

なるほど。世界の歴史というか、いろんな文化の形成にも繋がってると。

ベトナム戦争でヒッピーが生まれ、それがカウンターカルチャーを象徴するウッドストック・フェスティバルを生み、ビートルズが誕生して、そのビートルズがゲストハウスも作り、そこに泊まった時はすごく感慨深かった。歴史と自分の好きなカルチャーを全部繋げてくれたのがバックパッカーの存在とその背景だから、僕もバックパッカーとして旅を続けてたんです。

daichiさん自身も、バックパッカーとして旅をすることで、いろんな歴史とカルチャーの成り立ちを追体験していったんですね。その中で、コーヒーの文化や魅力にも触れたんですか?

いや、コーヒーは中学生くらいからめちゃ好きで、ずっと飲んでたんですよ。お酒を覚えたのもTASOGAREを始めてからだし、見た目によらずパーティーピーポーじゃないので(笑)

そうなんですね!(笑)

イベントなどではお酒も飲みますが、基本的に家では飲まないですし。だから、もっぱらコーヒー派で、コーヒーしか飲まない日もあるくらい。

それも極端な話ですね。じゃぁ、海外を旅してた時もコーヒーをよく飲んでた?

そうですね。コーヒー農園を巡ったりもしましたし、将来はコーヒーショップをやりたいなって、バックパッカーをしながら考えてました。当時の日本は今みたいなコーヒーショップもなくて、街にあるのはチェーン系か喫茶店、そしてカフェくらい。世界のいろんなコーヒーショップを見てきたから、なんとなく自分でもイメージでき、やれそうかなと。

こちらは昨年開催されたGREEN ROOM BEACHでの出店風景。写真の一番右側が、昔からのダンス仲間であり、メンバー内の兄貴的な存在でもあるカツヤさん。

それで帰国後に、『TASOGARE COFFEE』を始めたと。

まぁ、そうなんですが、そこに至るまでの縁というか、タイミングがあったんです。

どんな縁が?

ダンス仲間のカツヤが先に帰国してて、中国に日本の商品を輸出する仕事を始めてたんです。いわゆる中国人の爆買いが話題になり始めた時期で、現地の会社が日本でのパートナーを探してるってことで、英語も堪能なカツヤに声がかかってね。中国でも通販のネットワークが構築される頃だったから、日本の商品がすごく売れてたんです。でも、同じようなことをみんながやり出すので売れ行きも伸び悩んでた時に目を付けたのが、コーヒーでした。

daichicrewさんと幼稚園からの幼馴染でもあるケイ君は、バリスタとして活躍。

なぜコーヒーに?

中国はお茶文化で、そもそもコーヒー文化がないんです。ただ、マーケットは大きいのでセカンドウェーブ系の大手コーヒーショップが上陸してましたが、まだまだお茶が強い状況でした。そんな状況下で色々考えた結果、お茶文化に近いドリップパックコーヒーならいけるんじゃないか。しかもドリップパックコーヒーは日本が開発したアイデアだし、メイドインジャパンという信頼もある。それでドリップパックコーヒーを輸出したら、見事にヒット。で、たまたま僕の帰国が、そのコーヒー事業を本格的に始める頃でね。カツヤから誘われて、「グッドタイミング!」って感じで参加したのが、TASOGAREの始まりなんです。

daichiさん自身もやりたいことだったし、縁もタイミングも全てがマッチしたんですね。

そうですね。ただ、すぐに店舗の物件は見つからなかったので、まずはドリップパックコーヒーを販売するためのショップをネットで立ち上げ、自分たちのオリジナルコーヒーを開発しながら中国との輸出ビジネスも続けてました。そして、帰国して約1年後の2016年9月23日に、『TASOGARE COFFEE』を南船場にオープンしたんです。

僕らは前に出るタイプじゃないし、裏方が向いてるなって気づいたんです。その代わり、演出とかで徹底的に魅せたいタイプ。
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Profile

daichicrew

TASOGARE COFFEE代表。19歳から海外へと旅に出て、バックパッカーとして65カ国を巡り、5年かけて世界を一周する。帰国後、昔からのダンス仲間と2016年9月23日に南船場に『TASOGARE COFFEE』を立ち上げ、フジロックやサマーソニックなど様々なフェスにも出店。2024年8月28日に南堀江に同店をリニューアルオープン。Twilight Clubs名義で、DJとしても様々なイベントで活躍中。朝から寝る前までコーヒーを欠かさない、根っからのコーヒー好き。

Shop Data

TASOGARE COFFEE

住所:大阪市西区南堀江1-16-11
営業:月〜金 10:00〜19:00/土日祝 9:00〜18:00
休み:不定休

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