25歳のさすらい系フリーシェフ・浦口司さん。日本食を世界に広めるために突っ走ってきた型破りな道と、その次なるステージとは。


次なるステージは香港!二つ星フレンチでスーシェフとして働くけど、それも世界に出て行くための土台作り。

ブルガリアから帰国してもう数ヶ月が経ちますが、行く前と比較して「ここが変わったな」と思う部分はありますか?

総体的に思うのは、料理との向き合い方ですね。言葉が100%伝わらない環境にいたので、料理を通じてこの人をどれだけ喜ばせることができるか、そこに対する向き合い方はさらに深くなったかなと。もちろん、料理で喜ばせたい気持ちは人一倍強いと自覚してましたが、ブルガリアでの経験をふまえて、これまでは言葉で補足していた部分もあったんじゃないかと思えたんです。話して伝わるのと、話さなくても伝わるのは大きく違うから、料理の面では後者でありたい。例えば、その人の好きな食材をさりげなく使って料理にストーリー性を持たせたり、テーブルコーディネートにもそんな演出を忍ばせたり。より細部に至るまで、どうすれば喜んでもらえるかを考えるようになったと思いますね。

料理と提供する相手に対して、よりストイックに考察するようになったんですね。帰国後は、フリーシェフとしての活動を継続してるんですよね?

現在はそうですね。大阪や東京、地方を行ったり来たりの生活で、家も借りてなくて…。絶賛ホームレス状態です(笑)

さすらいですね(笑)。でも、どうしてですか?

各地を飛び回ってるのもありますし、香港の話も正式に決まったので。

ついに、次は香港へ!どんなレストランなんですか?

ミシュランガイド香港・マカオで二つ星を獲得してるフレンチレストラン『Arbor』で、スーシェフとして働く予定です。3月くらいには香港に入る予定なので、「25歳までに海外を拠点にして働く!」という目標は、実現の一歩手前まで来てるかなと。

25歳で二つ星レストランのスーシェフですか…。有言実行してるけど、正直スゴイことですよ。当然オファーがあったから行くとしても、香港という場所、そのレストランに決めた理由って?

「25歳までに海外を拠点にして働く!」という目標と、「日本食を世界に広める!」というミッションが僕にはあります。世界に出て行くなら、まずは文化の近いアジアから攻めようと思っていて、中でも一番勢いのあるのが香港かなと。そこからシンガポール、インドネシア、カンボジアなどのローカルエリアにも日本食を広めていくと考えた時、スタート地点としてはやっぱり香港がベストだと思ったんです。

なるほど。香港はイノベーティブな街だし、グルメにおいてもそう。そこで浦口司としての新たな土台が築ければ、よりアジアを攻めやすくなりますよね。

その通りです。そして『Arbor』に決めた理由は、王道フレンチではないから。フィンランド人のオーナーシェフが作るのは、いろんなカルチャーを取り入れた北欧フレンチなんです。日本のカルチャーも大好きな方で、コースの中に寿司を織り交ぜたり、メニュー名に「SHIMESABA」と日本語を取り入れていたりしてるから、日本人の心をそこにプラスできるんじゃないかなと思って。

これまでの経験を丸ごと注ぎ込めそうな環境ですね。

自分だからできることがあるだろうし、逆に『Arbor』のアイデンティティーもしっかり受け入れたいと思ってます。それでまた成長できるだろうし。

浦口さん自身の「日本食を世界に広める!」というビジョンが明確でデカいからこそ、どんどん受け入れても、その受け皿があふれることはないかもしれませんね。あふれそうになる頃には、またデカい受け皿となるビジョンが見えてるだろうし。

そのためにも、まだまだぶっ飛んで行きたいですね。「北欧フレンチってどんな料理?」って思われるかもしれないけど、僕もよく「どんな料理を作るの?」って聞かれることがあります。でも、自分の中ではフレンチとか和食とか限定してなくて、相手が喜ぶものを作ることが全て。日本食を広めると言っているのも、そこに根づく日本人の心やアイデンティティーも伝えたいからこそなんで、わざわざ枠を狭める必要はないなと。だから、そのスタンスはこれからも変えず、攻めていきますよ!

ジャンルレスと言うか、そもそもジャンルの概念すらない。境界線すらもない。自分が動き続ける限り、広がっていくってことですね。香港でのさらなる活躍も期待してます!!

ありがとうございます!とりあえず『Arbor』は2年契約なんで、自分の年次表にある次のステップを踏むまでは、世界に出るための土台をしっかりと固めたいと思ってます。そして、28歳で世界に出る!自分の店を持つ目標もありますけど、自由に動きながら世界のいろんな場所で、日本食を広める活動をしていきたいですね。フライパン片手に世界を飛び回り、現地の食材を使って日本食を僕らしく表現していきますよ!!

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Profile

浦口 司

1996年生まれ、徳島県出身。元甲子園球児で、強肩を買われて外野手からピッチャーとなって活躍する。部活引退後から料理の道を志し、現在はフリーシェフとして日本各地で料理を振る舞う。2022年3月頃には香港に渡り、二つ星レストラン『Arbor』のスーシェフとして活動する予定。

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