「北新地では流行らん!」と言われて10年。チューハイ文化を根付かせ、オリジナル缶チューハイまで発売した『蜆楽檸檬』の植岡慶さんが、この街から発信してること。


宝酒造さんに「缶チューハイ作りたい!」と冗談半分で言い続けてたら、まさか実現するなんて。

北新地に出店したことを聞いてきましたが、ここからはお店のことについてもじっくり聞かせてもらえれば。そもそも、なぜチューハイの専門店にしようと思ったんですか?

実は物件を契約した時、まだどんなお店をするか決めてなかったんです(笑)。それくらい、まずはこの場所に惹かれてしまって…。

なるほど!でも、飲食業するには場所はかなり重要なポイントですからね。

それで何を始めるか考えてた時、たまたま阪神百貨店の地下にあるジューススタンドで生搾りジュースを飲んだんですが、「コレだ!ここにアルコールを入れよう!」とひらめいて。そこから生搾りチューハイの研究を始めたんです。

完全なゼロスタートですね。フルーツを搾ってお酒を入れて、混ぜるってだけじゃないでしょうし、すごく大変だったのでは?

最初から手探り状態でした。まずは、生搾りフルーツと合うベースのお酒を見つけることからスタート。いろんなメーカーさんのものを使いながら試作を繰り返し、自分の中で「コレだ!」と思えたのが宝酒造さんのものでした。ようやく生搾りフルーツに合うお酒を見つけたとは言え、一歩踏み出しただけの状態。フルーツそれぞれに特長がありますし、搾る力加減やどれくらい搾るかなど、フルーツに合わせたベストな搾り方にまで辿り着くのには、さらに時間がかかりましたね。

フルーツごとにサイズも硬さも違うし、当然味も違う。チューハイとしてベストな味に搾る難しさは、想像以上ですね。

まずは店名にも入ってるレモンから始めて、定番のオレンジ、グレープフルーツなどの搾り方を極めていきました。表皮や果肉部分にも皮があるため搾り過ぎると苦味が出るので、果肉の旨みを最大限に引き出せるポイントの見極めが大変でしたね。バナナは水分が少ないので商品化まで1年かかりましたし、キウイは果肉入りにするための搾り方にちょっとしたコツが必要でして…。それに、リンゴはとにかく硬い(笑)

フルーツに個性があるからこそ、搾り方もさまざまなんですね。ちなみに使ってるフルーツは、やはり国産のものを?

そうですね。国産で無農薬のものをできる限り揃えてます。後は、スポット的に季節ごとの旬のフルーツも登場させていて、岡山のマスカット、愛媛のデコポンとか、いろいろ楽しんでもらえるようにしてますね。

旬のフルーツも生搾りで楽しめるのは魅力的!植岡さんが直接仕入れに行くんですか?

定番メニューはいつもお世話になってる福島の『フルーツショップタマヤ』さんで仕入れてますが、旬のフルーツは生産者さんに直接会いに行って自分で目利きしてます。コロナ前の話になりますが、愛媛県とコラボイベントもしてたんです。産直フルーツで生搾りチューハイを作ったり、愛媛県のイメージアップキャラクター・みきゃんに登場してもらったり、生産者さんを招いたり。この場所と生搾りチューハイを通じて、フルーツのさらなる魅力に出会ってもらうためのイベントでした。本当は愛媛県を皮切りに、全都道府県とコラボするイベントをしたいと思ってたんですが、今は残念ながらコロナの影響もあってお休み中です。

おもしろいですね、それは!普通にカットしたフルーツを味わうんじゃなくて、生搾りチューハイだと意外な発見もありそうだし、お酒の力もあるからとにかく楽しそう。でも、そんな行政絡みのイベントって、どこから話が来るんですか?

お客さんと話す中で、「こんなことしたい!」「あんなことしたい!」っていつも言ってるんです。すると、僕の話を覚えてたお客さんが誰かを紹介してくれたり、話をつなげてくれたりして、いつの間にか目的が叶ってるような状態で。めっちゃ他力本願ですけど(笑)

言霊ですね。やっぱ想いを伝えるのは大事だけど、それが実現してるのは植岡さんの人柄だったり、『蜆楽檸檬』というお店が愛されてるからこそ。

いえいえ。お客さんに甘えてばっかりなだけですよ。

ひょっとして、1月18日に宝酒造さんから発売されたオリジナル缶チューハイ<スーパーレモンサワー>も、そのパターンですか?

はい(笑)。そのパターンです。宝酒造さんがお店に来る度に「缶チューハイを作りたい!」って言ってたら、実現しちゃいました。

こちらが宝酒造から発売された、『蜆楽檸檬』のオリジナル缶チューハイ<スーパーレモンサワー>。生搾りの旨みと風味を再現した味わいで、飲みごたえも十分です。パッケージには『蜆楽檸檬』のキャラクターであるレモン店長も登場!

大企業まで動いたと(笑)。それはマジでビックリです!開発期間はどれくらいかかったんですか?

1年くらいですね。『蜆楽檸檬』としては、監修という立場でプロジェクトに入らせていただきました。生搾りの旨みや風味を缶に閉じ込め、開けた時にその味をいかに忠実に再現できるか。何度も何度も試飲を繰り返して、みんなベロベロになりながら完成までこぎつけました。生搾り感を出すことはかなり難しいんですが、宝酒造の開発の方たちがすごくて、自分としても納得できる味になってると思いますね。

搾りたてのレモンの味が楽しめるってことですもんね!

はい!『蜆楽檸檬』のオリジナル缶チューハイ<スーパーレモンサワー>は、全国のスーパーやコンビニで発売されてるので、ぜひ味わってもらえればと思います!冗談半分で言ってたことが本当に実現したので、お店を10年続けてきてよかったなと。発売した時は、かなり感慨深かったです。

元々はHIP HOPダンサー。ヘルニアを患い、自分の踊りに満足できなくて引退を決意した。
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Profile

植岡 慶

北新地の蜆楽通りにある生搾りチューハイ専門店『蜆楽檸檬』のマスター。大阪屈指の歓楽街・北新地にありながら、北新地らしくない異国情緒ある路地裏を盛り上げ、街の文化創生に貢献中。紳士的な出立ちのその内には、元HIP HOPダンサーとしての熱い魂を宿らせている。

Shop Data

蜆楽檸檬

大阪府大阪市北区曽根崎新地1-6-24
TEL/06-6344-2828
営業時間/17:30〜深夜
定休日/不定休

※新型コロナウィルス感染拡大などにより、営業時間・定休日が異なる場合があります。事前にお店までお問い合わせください。

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