「美しいパターンは光って見える」<MIHEY>デザイナー・楠本美佳、元パタンナーならではの服作り。
「“着る人に合わせた既製服”を作りたい」 元パタンナーだからこそのこだわり。
<MIHEY>の服を作る時のこだわりってありますか?
“着る人に合わせた既製服”を作りたいと思っています。量産されている服は、基本的に平均的な体型に合わせて作られますが、一方でオーダーメイドの服はその人の体型に合わせて、その人だけのために作られます。
しかも単に体型に合わせて作るのではなく、その人が美しく見えるように作るんです。例えば、右肩が下がっている人に対しては、右の肩パッドを厚くして左右対称にするといった具合です。
となると、“着る人に合わせた既製服”というのは矛盾しているように思えますが……。
MIHEYは確かに既製服なのですが、できるだけオーダーに寄った服作りがしたいんです。
具体的にはどういうことでしょうか?
私はデザインもパターンも一人でやっているうえ、受注生産で作っているので、お客様の体型やお好みに応じた微調整が加えられます。受注展示会に並べるのはMサイズのサンプルですが、「もう一回り大きくして欲しい」と言われたらLサイズで作れますし、大きな仕様変更は難しくても、「もう少し丈を短くして欲しい」といった細かい要望ならその都度対応することもできます。
お客様は嬉しいと思いますが、美佳さんは大変そう……。大きく作ってONEサイズ、みたいな作り方はしないんですか?
オーバーサイズにするのも一つの手なんですが、一口にオーバーサイズと言っても“その人にあったオーバーサイズ”があるんです。普段Sサイズを着ている人に似合うオーバーサイズと、普段Lサイズを着ている人に似合うオーバーサイズって全然違う。だから大きめのサイズを作るときも、必ず着る人に合わせる必要があると思っていて。
そのためにも<MIHEY>の服は基本的に女性を想定して作っています。
ということは、僕のような男性には着れないのか……残念です。
ただ、最近は男性にも見てもらったり、着てもらったりする機会が増えてきたので、男性が身につけてもできる限りきれいに着られるように考えを振り絞っています。
それは朗報!ぜひ着てみたいです。
はい、一度挑戦してみてください。
ブランドをやっていて、楽しい瞬間、苦しい瞬間ってどんなときですか?
楽しい瞬間はやっぱり展示会でお客様と話せたり、お渡しした服を着てくれているのを見たりするときです。対して、苦しい瞬間は服作りで行き詰まって、誰にも相談できないときですね。
服作りで行き詰まるというのは?
このアイデアを形にしていいのか迷ったとき、「作ってみたけど、全然ダメだな」とボツにしたとき、ボツにしたあと「何回同じことを繰り返せば気が済むんだ!」と自分を責めてしまうとき……いろいろです。でもそういう時間があるから次があると思っているので、また前を向いて作るんですけど。
これから<MIHEY>をどんなブランドにしていきたいですか?
ゆくゆくはランウェイみたいな場を設けられたらと思いますが、今はとにかくいろんな人に知ってもらうのが先かなと思っています。そのためにも受注展示会を続けつつ、置いていただけるお店を増やしていきたいですね。ライフワークとして、コツコツ続けていけたらと思います。
次の受注展示会はいつなんですか?
よくぞ聞いてくれました(笑)。5月4日〜10日にあるんです。場所は珈琲とたまごかけごはんのお店『zawa』もあるGrowLevel galleryです。こんなご時世ですが、アポイント制などを取り入れた万全の体制で開催する予定なので、ご都合が合えばぜひ遊びにきてもらえたら嬉しいです。
アポイントはどこから取ればいいんですか?
Instagramのプロフィールページから予約してもらえるようになっています。
これはぜひ見にいきたい!楽しみにしています!
楠本 美佳
アパレルブランド<MIHEY>代表。専門学校卒業後、パタンナーとして約10年働いたのち独立。デザイン、パターン、縫製全てを一人で行う。