イーグル野村という漢が挑む、嵐を呼ぶ32時間営業。【前編:誕⽣と師弟愛】
イーグル野村。関⻄のファッション好きならその名を⽿にしたことがあると思うけど、決してプロレスラーや芸⼈じゃありません。<THEモンゴリアンチョップス>所属の看板スタッフであり、ブランド代表の安藤さんとディレクターの⼭本さんが「僕らのファッションミューズ!」と認める⼈物なのです。そんな彼の冠イベントが、毎年恒例の“イーグル野村の32時間営業”。2020年はコロナ禍によって開催が危ぶまれてましたが、万全の対策を期して12⽉5⽇〜6⽇に実施するってことで、その舞台裏を密着してきました。まず前編ではイベント概要とイーグル野村について、安藤さんと⼭本さんのエピソードも交えつつご紹介。イーグル野村、ホントいい漢なんです。
イベントは中⽌するつもりだったけど、イーグル野村の直談判で開催が決定した。
“イーグル野村の32時間営業”は今回で何回⽬ですか?
⼭本:イーグル野村としては3回⽬ですね。
安藤:元々はナチョス店⻑(現在は退職)の在籍時に始めたイベントで、彼で2回しているのでイベントとしては5回⽬になります。
32時間ぶっ通し営業ってスゴイんですけど、そもそもイベントを始めたキッカケは?
山本:スタッフの名前を売るのが⽬的だったんですよ。当時、僕らが店頭に⽴つとお客さんも来て商品も売れるけど、⽴たない時は全然売れなくて。そういう状況を改善して、「このスタッフに会いに⾏く!」っていう⽬的を作るために、スタッフの名前を冠にしたイベントを始めたんです。
安藤:1回⽬は24時間、2〜4回⽬は延⻑して36時間、そして今回は体調も気づかって32時間(笑)。
とは⾔え、超過酷ですよね。
山本:まぁ、世の中的な働き⽅としては完全にアウトですね(笑)。ただ、お客さんにも商品を買っ ていただくキッカケが⽣まれるし、スタッフの名前も売れる。僕らとしては、まさに⼀⽯⼆⿃(笑)。
安藤:ただ、当の本⼈はめっちゃしんどい(笑)。
でも、イベント後はスタッフにも変化があったり?
⼭本:限界やツラさを乗り越えるから、⼀⽪むけると⾔うかね。成⻑が⽬に⾒えてわかりますね。
安藤:仕事に対しても、イーグル野村という⾃分⾃⾝に対しても、意識が変わってる気がするし。
基本、⼀睡もしたらダメでしたっけ?
安藤:昨年までは⼀睡もダメってルールでしたが、そろそろええ歳にもなってきてるから、今回は仮眠ありやんな?
⼭本:今回はあり(笑)。でも、⼝にできるのはお客さんからの差し⼊れのみやけど。
安藤:みんな⾊々差し⼊れしていただいて、前回も冷蔵庫がスゴイことになってて。飲み切れない量のエナジードリンクとか、僕らもしっかりおこぼれいただいてます(笑)。もちろん、差し⼊れいただいた⽅にはイーグル野村のノベルティも⽤意してるんでね。
⼭本:そう、今回はイーグル野村の⽸バッジを⽤意してます。ちなみにナチョス店⻑の時も差し⼊れが多くて、イベント終了後には太ってるという現象もありましたから(笑)。
お客さんからの愛ですね(笑)。ちなみに今回はコロナ禍という状況でしたが、イベントは開催するつもりだったんですか?
安藤:こんなご時世ですからね。今回は中⽌やなって思ってたんですよ。例年では9⽉頃の開催でしたし。
山本:ただ世の中の流れもふまえつつですが、⾃分たちでできる対策は万全にして開催するのもありかなとは思ってました。それに、イーグル野村もめちゃくちゃ気合い⼊っててね。本⼈から「どうしてもやりたい!」って、直談判があったんですよ。
安藤:そう、意志が強すぎるほどの直談判がね(笑)。
山本:そこまで⾔うならってことで、12⽉がブランドの周年だったので強引にハメ込んだ感じです。
相当な覚悟があったんですね!ちなみに、イベント当⽇のお2人は?
安藤:僕らは、事務所で普通に作業して普通に帰りますよ。そして、イベント2⽇⽬はお休みしてます(笑)。
⼭本:もう任せっきりです。お客さんはイーグル野村⽬当てなので、僕らが店頭に⽴っても場が冷めちゃうんで。だから裏⽅に徹すると⾔うか、何もしない!当⽇も、気づかれないように帰る予定です (笑)。
イーグル野村の本名は、野村翔。でも、その名はもう捨ててると思いますよ。
イーグル野村。名前がやっぱり独特すぎるんですが。
安藤:⼊社したのが2017年4⽉で、当時はただの野村翔。イーグル野村を襲名してからは3年くらいですかね。実は僕の前職(ピグスティ:関⻄を代表する古着屋)時代のお客さんで、付き合いとしては9年ほどの仲なんですよ。
⼭本:⼊社当時はボロボロで、彼⾃⾝も⾃分のキャラを分かってなくてね。ホンマ、垢抜けないスタッフやったんです(笑)。
顔はかなりのイケメンですけど?
⼭本:イケメンとも⾔われてなかったですよ。普通の⼤⼈しい可愛い⼦やった。
で、その名前の由来は?
⼭本:展⽰会⽤のルックを⾃分たちで作ることになってね。モデルは野村翔、写真は安藤が撮って、デザインは僕というスタッフィングで進めてたんです。で、南港で撮影してて、最後の最後に⼣陽を迎えたカットの時!安藤が「もっとや!もっと!もっと!」って野村翔を煽ってたら、スゴイ写真が撮れて(笑)。その姿がもう⼈間を超越してて、それを⾒て「これ、イーグルやん!」となったんです。
安藤:野村翔という名前のごとく、まさに⽻ばたいてたな(笑)。指の先端まで⼒がこもってて、 「まさにイーグル!」そのものでね。
それでイーグル野村になったと。
⼭本:はい。そこから意識が変わったんちゃうかなと。
安藤:今までの野村翔にはなかった社交性が芽⽣え、⾃分の顔を売るために⾊んな交友も深めて⾏くようになったし。野村翔の時は、そんなこと全然なかったから(笑)。
名前⼀つで、そこまで⼈間が変わるんですね。
⼭本:だから、本名の野村翔はもう捨ててると思いますよ(笑)。イーグル野村として今⽇まで歩んできたから、今があるんじゃないかなと。僕らも店のことは全て任せてるし、なんて⾔っても<THE モンゴリアンチョップス>のファッションミューズやから。彼がいないと、⾃分たちの作ったものがちゃんと消化できないレベルにまで達してますよ。
安藤:そう、アイツが着てカッコよかったらOK!僕らの中では、アイツがゴールなんですよ。
あの2⼈から⾃分の名前が付いた冠イベントを仕掛けてもらえるのって、スゴイ特別なこと。
いよいよ“イーグル野村の32時間営業”が開催されますが、その意気込みは後編に置いといて、なぜ<THEモンゴリアンチョップス>で働きたかったんですか?
⽯川県出⾝で、⼤学で⼤阪に来ました。当時はSNSもまだ普及してないし、ファッション情報の頼りになるのはカジカジとかの雑誌くらい。で、偶然⽬にした雑誌で全国の古着屋ランキングで『ピグスティ』が上位に掲載されていて、看板スタッフとして安藤さんが載っていたんです。
最初は雑誌で⾒かけたんですね。
はい。それで直感的に「この⼈と仲良くなりたい!」と思って。速攻で『ピグスティ』に⾏き、⾃然と声をかけてもらえるように安藤さんの近くで服を⾒てたんですが、全然声をかけてもらえずで…。他のスタッフの⽅には声をかけてもらえるのに、何度通っても安藤さんは変わらずずっとスルーでした(笑)。
近いのに遠い!
だから、諦めてアメ村店ではなく梅⽥店に通うようになったんです。もう、関われないなって…。
なんだか失恋みたいですね(笑)。
ホントそうです。ただ、梅⽥店には変わらず通ってて、偶然にも安藤さんがヘルプで⼊ってる⽇に遭遇!以前のように近くで物⾊してても声はかけてもらえなかったので、⾃分から「試着していいですか?」って声かけちゃいました。そして、試着後に思いきって「ファンです!」と⾔ったんです。
もう、告⽩…。
でも、そこから仲良くしてもらえるようになって、またアメ村店にも通うようになりました。
その後は?
独⽴するお話も聞いていたので、「ぜひ⼿伝わせてください!」とは伝えていて、展⽰会の⼿伝いなどもしていたんです。就職活動の時も、情報系の学部だったのでそっちの道に進むか、アパレルの道に進むか迷っていたんですが、お2⼈から「違う道に進むのはもったいない!」と⾔われて。背中を押してもらえたからこそ、迷わずアパレルの道を選びましたね。
もう、完全に師匠ですね。
はい(笑)。そして、親からも⾔われてましたけど、お2⼈からも「まずは3年は勤めろ」と⾔われ ていたので、3年間みっちり働きました。それから3年⽬がちょうど終わる頃に連絡があったんです。 「来年に<BOKU HA TANOSII>のショップをオープンするから、戻って来い!」と。
どんどんドラマチックな展開になってますよ!
もう、その時はうれしくてたまらなくて。「はい!辞めて戻ります!」と、即答でしたね。⾃分⾃⾝、接客が得意じゃないタイプだとは⾃認してましたが、そんなことも関係ないと思えるくらい興奮しましたし、迷いなんか⼀切なかったです。
それでようやくチームの⼀員になれたと。そして、イーグル野村も襲名(笑)。名前をもらった時は、どんな感覚でした?
うーん、単純に「あ、オレ変わるんや!」って感じでしたね。お2⼈からはずっと「髪も変えろ!」と⾔われ続けていたので、ターニングポイントがまたできたなと。
髪も?
はい。まずは⾦髪にしたんですが、伸び続けてちょっと汚らしくなっていて…。でも、その後は何も⾔われなかったので、どうしようか悩んでいたんです。「勝⼿に変えたら、ヤバいかな」って。
めちゃめちゃ気にしいですね(笑)。
気にしいの、神経質なんで…。お伺いするべきか、勝⼿にやってもいいのか、ずっと悩んでました。そんな時、「桜⽊花道みたいな髪型シブいよなー」とお2⼈が⾔ってたんで、思いきって真っ⾚な短髪にしたんです。まぁ、何も⾔われなかったので⾃⼰判断もありなのかなと思うようになって、次また伸びてきたので真っ⾚な2ブロックにして、今度はヒゲも⽣やしました。すると、お2⼈から「カッコええやん!」と⾔われて!
師匠から褒められた!
あ、勝⼿にしていいんやと!そこからは⻘にしたり、髪型だけじゃなくて⾊んなことに主体的に取り組むことで、評価も結果も変わると実感するようになりました。
名前と髪で、⼤きく変わったんですね(笑)。そうして野村翔からイーグル野村となり、冠イベントもできるようになりました。今この現状をどう思います?
お2⼈から⾃分の名前の冠イベントを仕掛けてもらうことって、スゴイ特別なこと。イベント⽤にイーグル別注とかも⽤意してもらえてますし、うれしさしかないですね。前職時代も仕事に対しての責任感はありましたけど、今は使命感が強い。⾃分は、<THEモンゴリアンチョップス>のイーグル野村だという使命感。それがあるから、⽇々の充実感や達成感も⽣まれるのかなと。
みなさん、これがイーグル野村という漢です。真⾯⽬でひたむき、そして熱すぎる使命感(安藤さんと⼭本さんは「使命感て。オレら、変な団体みたいになってないか?」と苦笑いしてましたが、それもうれしさの裏返し!)。
そんなイーグル野村が挑む32時間営業当⽇の舞台裏は、後編にて!
イーグル野村
⽯川県出⾝。⾼校時代はバスケに明け暮れ、県代表としてウィンターカップにも出場するほどの実⼒者。でも、中⾝は超がつくほど真⾯⽬な漢。<THEモンゴリアンチョップス>の看板スタッフ&ファッションミューズとして、今⽇も新世界からブランド愛を世界に発信中。
THEモンゴリアンチョップス
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