世の中の不条理に吠える、こじらせボーイの伝説の始まり。次世代のラジオスターと名高い<三遊間>の“ほそ犬”マインド。


ユニットで出場した2019年のM-1で手応えを感じ、正式にコンビを結成。真逆な性格なので理解できないことも多いけど、だからこそバランスがいいのかも。

2人のパーソナルな話もお伺いしたいです。それぞれお笑いの世界に入ったきっかけを教えてください。

稲継:僕はとにかくバイトとかが全然できひんくて。大学の時に就活でエントリーシートとか送っても全部弾かれて、就職するんキツいなって思ったタイミングで友達に誘われて学祭で漫才をしたんです。それがむっちゃウケて、じゃあお笑いしようかって感じで芸人になりました。

それまでお笑いをやろうと思ったことはありましたか?

稲継:お笑いは好きやったんですけど、自分がやるとは思ってなかったです。ずっと野球をやってたけどめっちゃ下手で、勉強もできひんし、バイトをしても仕事ができなくて。そんな中で、学内のお笑いの大会に出たら7組中1位になって、初めて自分の能力が評価された気がしたんです。じゃあこれが1番俺の得意なことなんかもしれへんと思って、お笑いの世界に入ろうと決めました。

さくらい:僕はラジオがめっちゃ好きやったんで、いつかやりたいなと思ってて。でも俳優やミュージシャンになるのは無理やしっていうので芸人を選びました。オードリーさんやくりぃむしちゅーさんのオールナイトニッポンが好きで、いつかこんな風になりたいと思っていました。

ラジオがやりたくて芸人さんを目指したと。じゃあラジオのパーソナリティーを任されている今の状況は、夢が1つ叶っていることにもなるんですかね。ちなみに2人はどんな子どもだったんですか?

さくらい:あんま重く捉えないでほしいんですけど、一言で言うと嫌われ者ですね。

稲継:そうなんや。

さくらい:仲のいい友達もおったけど、よく僕が嫌われてるっていう話をいろんなところから聞いていました。それをお母さんに言ったらほんまに悲しそうな顔をしてましたね。小学生の頃からそうやったんで、もう慣れてるんですけど。

稲継:お母さん悲しいやろうな。

お笑いにつながることも何かされてましたか?

さくらい:みんなの前でなんかやったりとかもしてましたよ。もともとお笑いが好きやったので、中学と高校の頃は漫才したりとか。友達はいたんですけど、やっぱり僕のことを嫌いな人もいて。あの頃、嫌いな人ランキングで票を取ったら堂々の1位やったかもしれないですね。

さくらいさんって学校に関するあるあるをたくさん持ってるじゃないですか。そういう経験が今につながってるんですかね。

さくらい:もしかしたらそうかもですね。小学生まではめっちゃ明るい子どもで、みんなを率先して遊びに誘うリーダーみたいな存在だったんです。でも小6くらいから仲のいい友達が変わってきて、中学生になって少し暗くなりました。これもむずいんですよ。毎日暗い気持ちで過ごしてたわけじゃなく、学校に楽しく通って楽しく帰ってくる日もあったんで。小学生の時は別に勉強もスポーツもできたけど、中学生になって何にもあかんくなって。ちょっと歪んだ感情が生まれてきたのかもしれません。

自分が1番になれない苦しみがあったりとか?

さくらい:それはありましたね。全部中の上みたいな感じやったんで、自分は何者にもなれないというか。ほぼ八つ当たりみたいな感じだったのかもしれないです。だから、上の上のやつが気に食わんくてしゃあなかったすね。

それは、今のスタンスにも通ずる部分があるのかなと。「カップルは笑かさんでええ」っていう話もラジオでされてましたよね。

さくらい:それで言うと、隣り合わせで歩いてる男女の横をチャリンコで通る時、僕は絶対男側から抜いていくって決めてるんです。2回くらい女性側から抜いたら、男が手を引いて守るみたいな仕草をしてて、なんで俺がこいつの点を上げなあかんねんって思って。女性は女性で、「私を守ってくれた。この人優しい」みたいな顔をするんで。それなら俺は絶対男側から抜かなあかんと思って、男側から抜かすっていうルールを作っています。僕のおかげでいい雰囲気とかになったらムカつくじゃないですか。

そのルールはさくらいさんすぎます(笑)。稲継さんはいかがですか?

稲継:僕は野球に取り憑かれてたので、学生時代は野球しかしてこなかったです。逆に野球のためなら何でもしてました。兵庫の社高校っていう野球の名門校出身で、僕自身はめっちゃ下手やったんですけど、この高校の野球部でおるために明るくせなあかんと思っていました。中学、高校は野球のことしか記憶にないですね。

さくらい:それたまに言うよな。確かに、プロ野球選手とかが普通に出てる強豪校やし、相当ガッツがないとやっていかれへんやろうから、野球への思いはすごかったんでしょうね。

稲継:そこでやっていくために、頑張って明るくもしてました。下手な暗いやつはマジでやばいので、部内で上手くやっていくためにめっちゃ明るく振る舞って、めっちゃ声も出してました。

さくらい:それは稲継のいいなと思うところですね。稲継って強豪校でやってきたからなのか、周りが強い人ばっかりでも気にせず飛び込んでいってくれるんです。僕は勝てる勝負しかしない汚い人間なので、そういう面では稲継が引っ張ってくれてるところはありますね。こいつが強豪校で野球をやってなかったら、今の僕らの形も変わってたかもしれないです。

じゃあ結構バランスのいい2人なんですね。

さくらい:まぁ確かに。

稲継:さくらいはめっちゃ理論派やけど、僕は雰囲気でやってるとかもありますし。陰キャラっていう括りでは一緒やけど、性質的には真逆なので、相性はいいかもしれないですね。

さくらい:まぁ稲継が2人いても、もうちょっとせこせこしてへんと上手くいかんやろうし。逆に、僕が2人いても回らんやろうしな。全然違うタイプの人間やから、互いにちょっと引っ張られる部分はあっても、大きくズレずにやっていけてるのかもしれないですね。

お2人がコンビを結成したきっかけも教えてください。

さくらい:僕らNSC41期の同期なんですけど、卒業後にユニットを組んで、2019年の『M-1グランプリ』に出場したのがきっかけです。僕から稲継に声をかけました。

稲継:僕は当時相方がいなくて、ピンでネタをしてたんです。それでさくらいが声をかけてくれました。

さくらい:最初は別の人とコンビを組んで、僕が書いたネタでオーディションライブとかにも出てたんですが、1人でネタを考えるのは限界があるんじゃないかと思ってしまって。漫才をやるうえで、僕はボケの面白さをそこまで重視してなくて、設定が1番大事やと思ってるんです。言うてもボケって嘘なんで、人によってはおもろいかの判断も違ってくるじゃないですか。設定を最優先にした漫才をやりたいと考えた時、NSC時代から設定を考えるのが上手かった稲継が浮かんで。まぁ中身はそんなにやったんすけど。

稲継:グロいこと言うな(笑)

さくらい:設定を考えるのが得意な人とコンビを組みたくて、稲継に声をかけました。

ユニットで出場された2019年のM-1は、いかがでしたか?

稲継:それが3回戦までいったんですよね。

さくらい:それがあったから、正式にコンビを組んだと言っても過言ではないな。

稲継:今考えると、2回戦でやったネタがめっちゃおもろかったんですよ。でも当時は経験もないからこれが面白いとかの判断もつかなくて、3回戦までいけなかったら組んでなかったかもしれないです。

さくらい:僕の提案で、野球のユニフォームを着て出たんです。相当大恥をかきましたけど、あれを着てたからウケたっていうのもある気がする。こいつにはそこを評価してほしいですね。たまたま野球のネタやったから、ユニフォームを着ただけなんですけど、僕らなんかが普通のスーツ着て出たら話聞いてもらわれへんのちゃうかって思ったんです。ギリギリまで悩んだけど、M-1当日になんばパークスの『ゼビオ』でユニフォームを買いました。もしかしたらあの判断もデカかったんかな。

稲継:ウケは変わってたかもしれへんな。あの日ウケへんかったら、たぶん組んでなかったやろうし。

さくらい:当時の金属バットさんよりウケましたからね。

それはすごいですね。

さくらい:『THE SECOND』3年連続決勝戦出場の金属バットさん、『THE W』チャンピオンのにぼしいわしさん、錚々たるメンツを差し置いて、ユニフォームを着た1年目の僕らが1番ウケました。「今日重いなぁ」「誰がウケんねん」とか周りの人が言ってる中でめっちゃウケたんで、それは忘れられないですね。

別の媒体で、「去年のM-1で自分たちの方向性が決まった」という話をさくらいさんがされているのを読みました。そのお話も聞きたいです。

さくらい:僕はそう思ってます。こいつは全くそんなこと思ってないやろうけど。僕らは2人ともネタを書くんで、その辺のすり合わせは稲継的にどうなん?

稲継:あんまり絞ったら思いつかへんくなるので、僕自身は別に絞らなくてもいいとは思いますね。ただ、どれをやるか選ぶのはさくらいに任せてるから、1番ウケそうなやつをやればいいんかなって。

さくらい:形を1つに決めてしまうと後が厳しいので、僕も絞らんでいいとは思うんですよ。長く漫才をやっていくためには、いろんなパターンのネタを持ってた方が絶対いい。でも、ことM-1に関してはある程度形が絞られてた方がいい気がしますね。その方が単純に思考回数が増えるので、より考え抜かれた濃いものが生み出せると思うんです。M-1でいろんなネタをやってきた中で、去年のネタに1番手応えを感じて。だったら僕はこのラインを積んでみようかなと考えています。
方向性としては、自己紹介を兼ねた、僕らがどういう人なのかが伝わるネタですね。でもそれはM-1に向けてってだけなんで、寄席ではパターンを絞らず、いろんなネタをやっていきたいです。

稲継:結局、M-1でウケるネタがやれたら1番いいので。さくらいは考えを突き詰めていくのが得意やからその方向性で考えて、僕は同じようなネタを何個も作るのが不得意やから、遠回りではあるかもやけど僕なりの別のものを考える。それでいいんかなって思っています。

ネタはもちろん平場でも、僕らがおれば安心できると思ってもらえる存在になっていきたい。将来的には、どんな形でもいいので有名になりたいです。
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Profile

三遊間

共にNSC大阪校41期。1995年生まれ、兵庫県出身の稲継諒(左)と、1996年生まれ、滋賀県出身のさくらい(右)からなるコンビ。ユニットを組んで出場した2019年の『M-1グランプリ』で3回戦まで進出し、正式にコンビを結成。稲継は、昨年開催された大阪・よしもと漫才劇場に所属する翔メンバーの人気投票企画「第2回 翔総選挙」で1位に輝く。さくらいは、昨年放送されたラジオ特番「多弁師さくらい」(ABCラジオ)にて単独でパーソナリティーを務めた経験も。5年連続M-1準々決勝に進出。

稲継諒: Instagram / X
さくらい: Instagram / X

Data

三遊間のほそ犬スピリッツ

吉本興業のお笑いコンビ 三遊間のPodcast番組。弱気を嘲り強きにへつらうブサイク侍さくらいと、不可思議カントリーボーイ稲継のこじらせアラサーコンビが、小さなことにこだわり大きな声で鳴き叫ぶ「ほそ犬スピリッツ」でラジオ界のエースを狙う!毎週木曜20時頃配信。

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