世の中の不条理に吠える、こじらせボーイの伝説の始まり。次世代のラジオスターと名高い<三遊間>の“ほそ犬”マインド。

昨年5月から12月まで配信された、次世代を担うパーソナリティーを発掘・育成するラジオ番組『MBSヤングタウンNEXT Podcast』(以下、ヤンネク)。大阪・よしもと漫才劇場に所属するcacao、三遊間、空前メテオの若手3組が、レギュラー化を懸けてPodcastと映像付きのYouTubeの再生回数で競い合い、見事三遊間が1位に輝きました!その結果を受けて、今年2月にスタートしたのが『三遊間のほそ犬スピリッツ』(MBSラジオ)。毒っ気や自虐を交えつつ、自らの人間性をさらけ出すさくらい(右)さんの弾丸トークと、独特の感性がにじむ稲継さん(左)のおっとりマイペースな発言。そんな絶妙なコントラストの掛け合いで、“次世代のラジオスター”との呼び声も高い、今大注目の2人です。“ブサイク侍”、“闇堕ち童貞ジョーカー”など、数々のパワーワードを生んできたヤンネク時代から、あえてコーナーを設けず、トーク1本のストロングスタイルを貫いています。今回は、第2回目の収録にお邪魔して、ラジオに関するお話やコンビの関係性、今後の展望などを伺いました!
全配信を自分たちの納得できる内容にしたい。僕らの意図ではないですが、周りからすると、安心して見下せる2人に見えているのかも。

cacao、空前メテオとの熾烈な再生回数争いを勝ち抜き、見事レギュラーの座を掴んだお2人がパーソナリティーを務めるMBSラジオのPodcast番組『三遊間のほそ犬スピリッツ』が今年2月にスタートしました。まずは、新番組が始まった心境を聞かせてください。
稲継:え〜と、うーん……(沈黙)。
さくらい:インタビューの時は稲継の答えを待つっていうルールがあるので、僕は一旦待ちますね。
稲継:まぁありがたいですね。
さくらい:お前普通のことゆっくり出すなよ。
稲継:決まって良かったなって周りの芸人やお客さんが言ってくれて、その期待に応えたいなと思っています。

さくらい:正直MBSラジオ側が再生回数をいじくってでも、僕らが勝つと思ってました。ちょっと偉そうやけど嬉しい感情に浸るとかはなく、すぐに次のことを考えましたね。勝利に喜ぶのは一瞬で、次の番組をどう伝説にするかっていう。たぶんWBCとかで大谷翔平も同じことを言ってるんじゃないですか。ヤンネク時代は納得できる回とできない回があったので、今回は全部納得できる回にしたいと思っています。
新番組をどんな風にしていくか、皆さんで話し合う機会などもありましたか?
さくらい:特になかったんですが、これまでの延長線上っていうイメージですね。新しいノートを使う時、全部きれいに描きたいなって思うじゃないですか。そんな感覚です。各配信の平均点を上げて、全部おもしろい回にしたいなって。
お便りを募集するコーナーなども作らず、トーク1本で展開していくストロングスタイルは前回同様ですか?
稲継:僕は別にコーナーをやってもいいんですけどね。
さくらい:お前チーム三遊間から出ていけ。

稲継:個人的にはお便りを絶対読まへんみたいなこだわりはなくて。読んでも読まへんくてもいいんですけど、番組の評価が僕ら次第ってところはやりがいがありますね。このコーナーが、このお便りが面白いってなると、作家さんやリスナーさんのおかげにもなるじゃないですか。そうじゃなく、ダイレクトに僕らの評価につながる構成になっているので、より頑張ろうと思えます。
さくらい:お前はふらっと来てるだけやけどな。
稲継:ややこしいねんこいつ。
さくらい:僕らはノリが得意なタイプじゃなくて、リスナーさんからのメールを面白く広げるのがそこまで上手くないんです。言うたら1通のメールをめっちゃ面白がって、別の企画に派生させるパターンもあるじゃないですか。トークに自信があるとかじゃなく、2人で喋るのが1番シンプルでやりやすくて。僕らとスタッフさんの5人だけで、濃いものが作れたら嬉しいなという思いもありますね。
他局で申し訳ないですが、以前ぎょうぶ、空前メテオと3組で担当していた『ラジオ参観』(ABCラジオ)時代の配信を聴いていて、当時は2人がケンカをするように喋っていた印象があったんですね。その頃と比べて、2人の関係性ってどう変化しましたか?
稲継:あの頃はあまりコンビ仲が良くなくて。確かに仲は良くなったと思いますね。僕ら、Artistspokenっていう月額制の音声配信アプリでも毎週ラジオをしていて。コンビでコミュニケーションを取る時間が増えたので、さくらいもストレスを発散できる機会が多くなって、普段からやいやい言われることは少なくなりました。
さくらい:関係性は明らかに変わってきたけど、僕はラジオによって変わったとは思ってなくて。こういうインタビュー取材を受けることが増えたのが、コンビの関係性の変化に影響してるんかなって思います。
それはどういうことですか?
さくらい:僕は普段から思ったことを伝えるけど、稲継は基本自分の気持ちを口に出さないんです。例えば、稲継が三振をした時、僕には“三振をした”っていう事実しか見えなくて、今まではそれにムカついてたんですよね。でもインタビューを受ける機会が増えて、稲継がどんな考えを持ってるのかがちょっとずつわかってきて。なるほど、変化球が来ると思ってたけどストレートやったから三振したんか、とかって僕も納得できるようになったんです。稲継のスタンスを理解できたことで、僕も腹を立てることが少なくなって、関係性が変わってきたと思います。
あと、お互いのできること、できひんことが何となくわかってきたのも要因の1つですね。もちろん2人で喋る時間が長くなったから知れたのもあるけど、いい意味で割り切れるようになりました。できひんことをやってもらうのは不可能やから、稲継が苦手な部分は僕もちょっと引いて補うくらいのバランスがいいんかなと。もともとラジオが好きやったから、『ラジオ参観』時代は「自分はこれだけできるんやぞ」って言いたくて勢いのまま喋ってたけど、互いに足りへんところを補うように作っていくのがラジオなんかなって。この数年で少し考えが変わってきました。

去年はすごく反響があったんじゃないですか?
稲継:ありがたかったですね。
さくらい:8ヶ月間で雑誌の取材が5冊くらい来ましたね。全部のラジオが終わったんかと思いました。
衝撃的に面白くて、ずっと続いてほしいって思ってました。
さくらい:それっていっぱい喋ってるのと、声が大きいからじゃないですよね?もう辞められたマンゲキのスタッフさんが僕らのラジオを聴いてくださってて、「文字数が多くてお得なんです」って仰ってたみたいなので。同じ30分使うならいっぱい聴けた方がいいから、僕らのラジオはお得らしいです(笑)
文字起こししたらすごいことになりそうです。ラジオを通して、自分たちのどんな一面をアピールしていきたいと考えていますか?
稲継:僕は予定通りに進んでいくのがちょっと嫌で、変なことが起こってほしいと常に思っています。
変なこと?
稲継:ラジオをしている時、さくらいの話をスッと通してスムーズに進めてもいいんですけど、なんか普通のラジオじゃない感じの流れを作りたくて。普通の動きじゃないラジオ、これは持ち味にしたいと思っています。
さくらい:それは変な構成とかってこと?
稲継:うーん。言い方ちょっとむずいねんなぁ。
別媒体でインタビュー記事を読んだのですが、作家の津村さんが「稲継はさくらいに攻められる隙を与えるのが上手い」と仰っていて。普通なら何事もなく終わる話に対して、稲継さんの変な発言が際立つから、そこで何かが生まれるんだと。そんなニュアンスでしょうか?
稲継:そうですね。見たことのない流れや動きを組み込んで、会話のテンポに違和感を作りたくて。それでやってるかもしれないです。別にめっちゃボケたいわけじゃないんですけど。
意識的にそういう振る舞いをされてるんですね。
稲継:はぁ、はい……。まぁそんな感じですね。
さくらい:ちょっと怪しいところはあるけどな。頭の中にマニュアルがあるから変にしてるみたいな口ぶりやけど、それがずっとそう思ってきたがゆえの言動なのかはわからないですけどね。
稲継:でもちょっとあんねん。普通の人はやらへんようなことを、あえて言ってみるみたいな感じ。
さくらい:なるほどな。まぁ僕らは思ってないんすけど、周りの人からすると、安心して見下せる2人ではあるんですかね。私生活におったとしても、人間としてなんの脅威でもない。
稲継:あ〜なるほど(笑)。下の人間として見下せるから、安心して聴けるっていう。
さくらい:マジで僕らは思ってないですけどね。なんやねんこれ。そんなやつ、誰とも付き合えへんやん(笑)

取材の冒頭でさくらいさんから“チーム三遊間”という言葉が出ましたが、プロデューサーの西畑さん、ディレクターの中川さん、作家の津村さんを含めた5人のチームについて、どんな風に感じていますか?
稲継:僕らのために頑張ってくれて、こんなに真剣に考えてくれてありがとうございます、という感謝の気持ちです。
さくらい:そうですね。僕がめっちゃラジオが好きっていうのもあるんですけど、ヤンネクが始まった時は、僕が1番ラジオに対して本気やし真面目やなって思ったんです。回を重ねるにつれ気持ちが横一線になってきたんかなって。僕がチームの最年少なんでちょっと偉そうですけど、これは僕の体感です。僕らが真面目に取り組めば、みんなそれに応えて力を貸してくれるんやと思いました。僕は人見知りで、人に頼るのも苦手なんですけど、収録前の打ち合わせでも相談することが増えましたし。信頼していろいろ言えるようになって、ちょっと深い関係性になれてきたと思います。
頼れるチームになってきたんですね。ヤンネク時代は丸々録り直しをした回もあったそうで、周りの愛を感じたりもしました?
さくらい:まぁ津村さんは映画(『国宝』)を観に行こうとしてましたけど(笑)
もともと『国宝』のチケットを買ってたけど、録り直しになって行けなくなったんでしたね。
稲継:ぎょうぶの澤畑さんと空前メテオの大門と一緒にやってる『トークライブ おかわりっ!』で、僕が水以外飲まない約束をしてたんですが、間違えてお茶を飲んじゃって。収録中に澤畑さんに謝罪の電話をしたら、なんか全然うまくいかなくて。どうすんねんこれってなった回ですね。「こんな回があってもええか」っていう意見もあったけど、「評価されるのはお2人ですから」っていう中川さんの一言で録り直しを決めたっていう。
さくらい:ははは(笑)。中川さんが言ってましたね。あの時の中川さん、スラムダンクの木暮くんがマジになった瞬間みたいでカッコよかったです。
稲継:結局僕らが評価されるのに、周りのスタッフさんが僕らを凌ぐほどに頑張ってくれるという経験が今まであまりなかったので、その心強さを感じることができました。





三遊間のほそ犬スピリッツ
吉本興業のお笑いコンビ 三遊間のPodcast番組。弱気を嘲り強きにへつらうブサイク侍さくらいと、不可思議カントリーボーイ稲継のこじらせアラサーコンビが、小さなことにこだわり大きな声で鳴き叫ぶ「ほそ犬スピリッツ」でラジオ界のエースを狙う!毎週木曜20時頃配信。
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