遠回りの末にたどり着いた“誰も傷つけない笑い”。ハートフルなPodcastを届ける<愛凛冴>の、知るほどに噛み締めたくなる魅力。
お互いどん底だった時期を乗り越えてコンビを結成。リスペクトの気持ちを持って、いい関係性を続けています。

愛凛冴さんの人柄や芸人としてのことも伺いたいです。お2人はどんな子どもでしたか?
玲二:お喋り好きで、1人でずっと喋ってたみたいです。スイッチが入るとノンストップで喋っちゃうところは、今でも変わってないですね。
僕、子どもの頃は結構鈍臭くて、何もないところで転んだり動きが人と違ってコミカルだったりしたんです。それを見た周りの人が、「何やってんねん」って笑ってくれていて。当時から人が笑ってくれるってなんかええなぁと思っていました。小1くらいから「おもろいなあ、そんなんやったら吉本入らなあかんで」って言われてきて、気が付いたらほんまに芸人になってましたね。「高卒でNSC入るわ」って親に言うたら、「ほんまにいくやつおらんねん」ってツッコまれましたけど。
横山:僕はめっちゃふざけてましたね。休み時間に大ふざけして、それが度を超えちゃって怒られていました。笑いを取った最初の記憶は、幼稚園の年中さんの時ですかね。「僕の胸がドキンちゃんドキンちゃん」ってリズムに乗せて言うてたら、隣の組の先生がそれをめっちゃ笑ってくれて、僕の担任の先生のところまで行って「おもろいから見て」ってやらされたことがあって。それはめっちゃ覚えています。
芸人になりたいって明確に思ったタイミングはあったんですか?
玲二:小6最後の参観日に同級生と漫才をして、めっちゃウケてヒーローみたいになったんです。それまではぼんやりやったけど、その時に将来は芸人になりたいって思いました。
横山:僕はだいぶグラデーションやったな。お姉ちゃんがお笑い好きで、よく一緒に見ていたからか、自然とおもろい人はカッコいいって思っていました。小さい頃からどんどん気持ちが高まって、ほんまに芸人になろうと決めたのは大学4回生の頃ですね。でも僕はお笑いというより、芸能界の華やかさに憧れがあって、いつかテレビに出たいとずっと思っていました。『めちゃイケ(めちゃ×2イケてるッ!)』(フジテレビ)が大好きで、あそこに芸能界のキラキラが全部詰まっている気がしてました。

愛凛冴さんは2023年結成とコンビ歴こそ浅いですが、お2人とも芸歴は10年目と苦労した期間も長かったのだと思います。コンビを結成したきっかけは?
横山:僕はネイヴィベイビーというコンビで6年ほど活動していて、あと少しで劇場に入れるところでいつも負けていました。解散して、同期の矢野レノンという子と半年くらいコンビを組んだんですが、それも解散しちゃって、どうしようかと思っていた時に玲二が声を掛けてくれたんです。
玲二:ヨコのことはNSC時代から知ってたけど、2人で遊んだりする関係性ではなかったですね。僕は2、3回コンビを組んで解散してを繰り返して、劇場入りを掛けたバトルライブにも届かず、地下の暗いところに8年間くらい潜んでいました。ヨコが同じタイミングで解散したと聞いて、一回ユニットでM-1に出てみいひんかと誘ったんです。
それは横山さんに惹かれるところがあったからですか?
玲二:僕からすると、ヨコはエリートなんです。そもそも、あと一歩で劇場メンバーになれるところまでいけるのがすごいし、NSC時代から同期の中心にいるお兄ちゃんみたいな存在で、何よりめっちゃええ人やし。ヨコと組んだら可能性がめっちゃ広がるなってワクワクしました。やけど、最初ユニットに誘う時は、ヨコが鈍感すぎて大変でしたよ。僕が喫茶店に呼び出して、「M-1とか出えへんの?」って聞いたら、「相手がおったら出るかも。玲二は出えへんの?」「また出たいと思ってんねん」「そうなんや〜」みたいなラリーをして。結局「ヨコとやりたいと思ってんねん」って言わされました。正直、こっちが急に連絡してる時点で察してほしかったです。
横山:最後の最後まで気付かへんかったな。でも玲二が誘ってくれて、なんか面白くなりそうとは思いましたね。それに、僕が小柄やからでかいやつと組んだ方がいいって同期にも言われていて、見た目のバランス的にもええんちゃうかと思いました。

ユニットを組んで出たM-1はどうでした?
玲二:芸人史上1番スベりました。
横山:スベりすぎてお客さんにどつかれるんちゃうかと思ったな。
玲二:お互い相手におもんないと思われたくなくて、置きにいきまくったネタを作ったんです。そしたら案の定、ありえへんくらいスベッて……。僕はその時のダメージが思いのほかデカくて、芸人を続けるのがしんどくなっちゃって。コンビを組む話は一旦保留にして、そこから半年間2人でいっぱい遊びました。
横山:お笑いの話を一切せずに、キャッチボールしたり僕の地元の喫茶店で喋ったりして。
お互いのことを知る準備期間ですか?
横山:そんな下心もなかったですね。組むなら玲二かなって思ってたし、焦らずにいっぱい遊んでゆっくり考えてもらったらええやんと。当時は8年目で、同期の中には売れていく子もいたんですけど、まだギリギリ遊べるやろうと思って。
玲二:その期間がめっちゃ楽しくて。やっぱりヨコと組んでやりたいなと思って、「一緒にやろう」と僕から伝えました。
玲二さんの反社キャラはいつからやられてるんですか?
玲二:ヨコと組む前からですね。僕は単にそのスタイルが似合うから、カッコいいからと思ってやってたんですけど、周りの人に怖すぎるって言われていて。じゃああえて怖さを強調したら、声も高いしいいギャップが生まれるんじゃないかなと。色眼鏡を掛けたりパンチパーマを当てたり、金の時計を付けたり、よりイカつい見た目に寄せてキャラ感を強めることにしました。
横山:それが功を奏しましたね。でもパンチパーマを当てたての時は、僕でも笑ってしまいます。令和の時代にこんなヤツおらんやろって。
玲二:自分の見た目の怖さを忘れて、後輩に強く言うノリをやってたら、後輩が言葉を失うくらいビビっていました。その辺は怖がらせんように気を付けなあかんすね。

ちなみに“愛凛冴”というコンビ名の由来は?
玲二:梅田阪急の高架下にある「アリサ」っていう喫茶店です。平仮名やカタカナにすると、ありさちゃんと被ってしまうので、僕が1番カッコいいと思う漢字を3つ当てました。愛、凛とする、冴えるという3文字ですね。
横山:10パターンくらいあったけど、これが1番ええなっていうので。でもふざけて付けたところはあるので、取材していただけるところまで来るとは思わんかったですね。
玲二:僕は絶対なんかなると思ってました。ロエベとかサンローランとか、海外のブランドロゴって読めへんやつ多いから、それと一緒で1つのブランドやぞと言う気持ちでやってます。
コンビを結成して新たに知った一面はありますか?
横山:いっぱいあるけど、1番は誠実なところです。こんなに古風な人間っておんねやと。あんまりSNSとかも見てなくて、世の中の流れは押さえつつも迎合せず、自分の好きなことだけをやっている。だいぶ渋いヤツなんやって思いましたね。玲二は僕の5つ下で、NSCで出会った頃はこんなにイカつくもなかったし、歳が離れてる従兄弟みたいな感じやったんです。コンビを組むまで玲二の人間性もほぼ知らなかったので、いざ相方になってびっくりしました。
ラジオを聴いていて、玲二さんの誠実さや温かさをすごく感じます。
横山:愛凛冴を組むまでの8年間、誰の目にも留まってこなかったという話を玲二がたまにするんですが、その期間中ずっと自分の信念を曲げずにやってきたんやなって思います。同期がどんどん結果を出す中で、自分が何者にもなれてないことにしんどくなって、TikTokを始めるとかインスタをバズらせようとするとか、みんな焦って何かしらしちゃうんですよ。でもそれをやらずに自分の芯を貫き通して、なんてヤツなんや玲二はって思います。

玲二さんの横山さんに対する第一印象は?
玲二:さっきと被るけど、同期の中心にいるエリートですね。ほんでギャルまみれなイメージ。
横山:ギャルまみれ……(笑)。それはだいぶ説明しなあかんで。
玲二:NSC時代にお客さんをライブに呼ぶってなって、普通はコンビで3、4枚はける程度のチケットが、ヨコのコンビだけ30枚くらいはけて、大量のギャルが来たんです。まぁ大学の友達やったらしいんですけど、きっと学内でも中心人物だったんやろうなって。当時からカリスマ感はありました。
コンビを組んで深く知るようになって、イメージは変わりました?
玲二:もともとお兄ちゃんみたいな存在やったから、距離が近くなるとちょっと怖いんかなって思ってたけど、それとは真逆でほんまに少年みたいな人でした。
それはどういうところに感じますか?
玲二:めっちゃ無邪気ですね。好きなことをバーって喋ってると、言ったらあかんことまで言ってしまったりとか。あとはやっぱり素直なところはええなと思います。「あかんで」って言ったら、「ごめん」って素直に言えるところ。
わかっていても、なかなか謝れないですもんね。
玲二:しょっちゅう謝ってる33歳もあんまり見られないので、僕からしたらええもん見させてもらってるって感じです。いい関係性でコンビを続けていこうとすると、きちんと謝れるって感謝よりも大事なことかもしれないですね。

最近あった、これ玲二さんらしいな、横山さんらしいなという出来事を教えてください。
玲二:とあるライブのコーナーで、キャラクターのセリフをモノマネしながら言う企画があったんです。そこでヨコがやったベジータがめちゃくちゃ似てて、みんなうわって驚いたんですけど、その様子を見て何があったかわからず、1人でテンパっとったのがヨコらしいなって思いました(笑)
横山:人生で初めて発したベジータの声がめっちゃ似てたみたいで。今何が起きてんねやろって思いました。僕のモノマネが似てたんやって気付くのに、めっちゃ時間が掛かりました。
玲二:なんか全部含めてヨコっぽくて。自分ではできないって思い込んでるけど、本当はできることがめっちゃ多いんです。僕もたまに「こんなんどう?」とか勧めるんですけど、距離の近い僕が言っても本気にしてくれへんくて、第三者的な人に背中を押してもらわな動き出さないんですよね。
横山:近くにおる人間の評価って、近すぎるほど信じていいのかよくわからなくないですか。オカンに早よご飯食べやって言われたら、「今いらん!」ってなるみたいな。
玲二:俺ばりうっとおしいんちゃん(笑)。20年後にあの時ごめんなとか言わんといてな。オカンちゃうからそんなん言われても喜ばんで。

(笑)。逆に、横山さんは玲二さんらしいなって思った出来事ってありますか?
横山:ちっちゃくなるまで箸袋を畳んだりとか、おしぼりのゴミをリボンみたいに結んだりとか。日常の細かい所作に玲二らしさを感じます。誰も気にしてないでって思うことに、落ち込んでため息ついてることも多くて、家帰ってからどうしてんねやろって思いますね。
玲二:毎日耐えてる。もう日本刀がギリギリまできてるわ。
横山:なんで家に日本刀があんねん。玲二はほんまに気にしいなんですよ。
玲二:気にしいですね。ライブ終わりは基本浮かない顔をしてて、全然上手く回されへんかった、今日でおもんないと思われた、とかいろいろ考えています。
そういう時はどうするんですか?誰かに話を聞いてもらうとか。
玲二:誰にも言わないですね。その日周りを巻き込んでしまったなと思ったら、まず楽屋で全員に謝って、1人でゆっくり帰ります。家で熱い風呂に浸かって、重たい布団をかぶって気が済むまでどうしたらいいか考えて、気付いたらもう朝ですね。
それは大変です。いっぱい寝てください。
玲二:最近はよく寝てますよ。でもそれだけ考えてきたからこそ、今があるのかなとも思っていて。あの時いっぱい考えて答えを出して、それでうまくいくようになったから。もちろん表に出さへん努力はしなあかんけど、これでもだいぶマシにはなったと思います。
横山:玲二の見た目と繊細な部分のギャップも、僕はいいなと思っていて。それにしても考えすぎやけどな。

愛凛冴の電波調句
“誰も傷つけない笑い”をモットーにするお笑いコンビ・愛凛冴による、芸人界一平和なPodcast。「優しさが身に沁みる」との声も多数でマダム層にも評判!コワモテな玲二とロン毛の横山が展開するハートフルなトークを要調句(チェック)!ラジオ関西Podcastにて毎週水曜23時頃配信。
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