冠ラジオ『ブロスポ』の初イベントも大盛況!きれいごとは言わず、常に正直に泥臭く。笑いも本音もギリギリを攻める、黒帯のリアル。
M-1ラストイヤーは「やることはやった。あとはもうやるだけ」。少数派にも寄り添えて、長く愛されるラジオでありたい。

今年はM-1ラストイヤーですね。意気込みはいかがですか?
大西:てらうちもそうやけど、今年は家庭の事情でいろいろ忙しすぎて。あんまり集中できてなかったですね。
てらうち:気付いたらM-1シーズンに突入してたって感じやな。
大西:てらうちが今年の初めにバタバタして、僕が夏くらいにバタバタして。その間の5〜6月くらいはM-1に向き合ってたんですけど、お互いしんどい期間ではありましたね。でもそこでネタの方向性が決まったので、やっといてよかったなと思ってます。
てらうち:あの時期がないと結構やばかったかもな。
大西:まだネタの方向性が決まってない時は、ラストイヤーはこんな感じで終わるんかと思ってました。
てらうち:その時はね。今は正直めっちゃいいと思います。やることは決まってるし、忙しい中でできる限りのことはやったんで、これであかんかったら仕方ない。もうこれ以上はできんかったもん。
大西:僕は考えすぎてあかんくなるパターンもあるんで、逆にバタバタしててよかったかもですね。
てらうち:あとはもうやるだけですね。マジで忙しかったです。

少し前にはなりますが、ずっと一緒にやってきたツートライブさんがTHE SECONDで優勝されて。そこでギアが上がったりもしましたか?
てらうち:もちろんツートさんの優勝は嬉しかったけど、俺も続くぞ!みたいなんはなかったですね。ずっと一緒にやってきたし、くすぶってる感じはあったので、やっと上に行きはったなぁっていう。ツートさんは僕らより前からずっと頑張ってたから、順番みたいなものなんかなとも思いました。忙しいと会えなくなるからちょっと寂しいとのと、勇気付けられるのと半々くらいですかね。
大西:ツートさんにはもっと幸せになってほしいってみんな思ってたんじゃないですかね。そんなみんなの思いがあの時に爆発したんかなって。
てらうち:僕らもいつかは、とは思いましたけどね。
最近は、ピンでライブを打ったりアイドルユニットのプロデュースをしたり、コンビだけじゃなく個人でも活動されてますよね。どうしてやるようになったんですか?
てらうち:最近大西さんが大喜利ライブに呼ばれることが多くて、毎月の舞台数が僕より数本多いんです。それで僕だけ空いちゃうことが増えてきて、焦りとまではいかないけど、このままいくと僕だけが暇になる時が来るんかなと思って。YouTubeもSNSも、コンビとしてやれることはもうやってるなって思ってたんで、何か自分にできることを考えて、思いついたのが芸人アイドルユニット「漫烈」でした。それをラジオで言ったら面白そうって話になって。劇場に申請したら、思っていたよりいろんな人を巻き込む大掛かりなプロジェクトになりました。これからオリジナルソングとかも作る予定です。
何となくですが、てらうちさんはプロデューサー的立ち位置にすごく向いてそうですね。大西さんはいかがですか?
大西:僕はピンの企画ライブはあんまりやるつもりがなかったんですけど、今年の5〜6月くらいに2人の仲が良くない時期があったんですよね。その時、てらうちの企画ライブで「黒帯てらうちとエルフはるのよりを戻すライブ」っていうのを何回か満席で続けてて。「俺はこんなんやってるけど大西は何ができんねん」っててらうちに言われてケンカになったことがあったんです。それで自分は何ができんねやろって考えたのもありますね。
てらうち:今の段階からもう1個上のステージに上がるにはどうしたらええんやろうって今年は結構考えました。同じことをやってるだけやと次の景色は見えないですからね。大西さんには申し訳なかったけど。
大西:当時は割と長いこと揉めましたね。僕はM-1のネタができてなかったんで、そんなことより今年ラストイヤーやろっていう焦りもあって。結局ラジオの中でやりたいことを考えて、「俺を舐めるなよ」っていうライブを打ちました。
確かそれも満席でしたよね。前にインタビューさせてもらった時、「俺らは自分たちで仕事を作る」って言われてて。他の方にはあんまりない発想なのかなと思いつつ聞いていました。
てらうち:やってないわけじゃないけど、やってるやつはごく一部ですからね。松竹時代に先輩やったさらばさん(さらば青春の光)とかも、常におもろいコンテンツを探してたりとか。やらなあかんことをわかってるのに動かんのはあかんと思います。
大西:ラジオでもよくその話になりますね。劇場にはおもろいやつがいっぱいおるんで、代わりはいくらでもおるんすよ。ライブに呼んでもらわれへんなら、自分で何かをやるしかない。満席のライブを続けてたりおもろいって話題になったりしたら、他のライブにも呼んでもらえるようになるんです。
てらうち:僕らは吉本のサラリーマンみたいなもんやから。常に数字を提出し続けないといけない。何かはやっていかないとですね。
今後は上京なども視野に入れてらっしゃいますか?
てらうち:収入が増えるなら行きたいけど、今行っても変わらんか舞台減るかのどっちかかなって。
大西:給料一緒ならこっちにおりたいかもな。家賃とか高いし。
てらうち:将来のこと考えて行っとくべきって言われたら行くけど、今は大阪でやりたいことができてるんで。東京でしかできないことが正直思いつかないですね。
大西:ライブに毎日出る生活なら、今大阪でやれてるんでね。もっとテレビに出たいって思ったら行くかもしれないですけど。それこそ賞レースで結果を残して状況が変わったら、そのチャンスに乗っかればいいんかなと思っています。
てらうち: 劇場卒業とかになれば行くかもしれないです。結構急に来るみたいやから。

前回もお伺いしたんですが、10年後はどんな風になっていたいですか?
てらうち:芸人を辞められるようになりたいっすね。辞めてなくていいけど、辞める選択肢を選べる立場でおりたいです。
それは十分に蓄えがあってということですか?
てらうち:そうですね。最悪辞められる選択肢も持っておきたい。よく考えると20代の頃にも「40歳になったらゆっくりしたい」って言ってたから、結局50歳になっても辞めてないんでしょうね。僕は慎重派なんで、頭の片隅ではずっと安定した生活を求めています。なんで芸人してんねんって感じやけど。今のところこれが1番儲けられそうやからっていうのはありますね。
でも今の夢で言うなら、尊敬されていたいですかね。周りに尊敬さえされていれば、僕が望む状態にもきっとなれるやろうし。
大西:僕は60歳まで逃げ切りたいです。今から60歳になるまでにお金を貯められるだけ貯めて、そこからゆっくりできたらいいですね。僕らが60歳になった時にどうなってるかわからんけど、現状60歳の芸人がめっちゃ求められてるかって言われると決してそうじゃないんで。
てらうち:別に60歳の新ネタ見たくないもんな。むっちゃおもろくて尊敬してる40〜50代の先輩でも、新ネタは別に見んでええと思っちゃう。それなら仕上がったネタが見たいわ。
大西:確かに。例えば炎とかの方が新ネタ見たいよな。だからそれまでに金をいっぱい貯めて、ゆるやかに生きていきたいです。
てらうち:そんなん考えたらあと何年やっていけんねやろなぁ。
大西:タレント的な売れ方してたら息は長いかもですけど。僕らくらいの漫才師は50歳が限界かもしれないですね。
てらうち:ずっと漫才師でいたいかって聞かれると、それはどっちでもいいかもな。もちろん漫才は好きやからやっていたいとは思うけど。
大西:たぶん「尊敬されたい」があるからできてるんちゃう?
てらうち:そやなぁ。今は漫才をやってる方が尊敬されるんです。その風潮がずっと続くならやり続けるでしょうね。僕の意思だけじゃなく、お金を稼ぐために必要やからやる。もちろん漫才は楽しいですけど。
今後はいろんな道がありそうですね。ちなみに、最近あったこれめっちゃ大西さんっぽい、これめっちゃてらうちさんっぽいって思たった出来事を教えてください。前回は、大西さんが25万円のジーパンを買ったこと、てらうちさんはマイスイートメモリーズの福田さんと大喧嘩したことでした。
てらうち: 最近やと、ラストイヤーのM-1が始まるギリギリのタイミングでメガネを掛け始めたことですね。めっちゃ大西さんなんすよこれ。こういうことを始める時、いつもギリギリなんです。逆に僕の気持ちが追いつかなかったりしますね。そこが大西さんのええところでもあるんですけど。
大西:それこそ揉めてた期間中、「もっとキャラを付けてくれ」っててらうちに言われてたから、頭の片隅でずっと考えてたことではあって。僕自身もいろんなバタバタが落ち着いて、ようやくネタ以外のことに気持ちを向ける余裕が出てきたんかもしれないです。
てらうち:この変化がどう出るか楽しみですね。あかんかったらあかんかったで、ちょっとおもろい話ではあるし。
大西さんはてらうちさんに対して何かありますか?
大西:てらうちは最近車を買って。ベンツとかも迷ってたみたいやけど、結局セルシオを選んでたのがてらうちっぽいなと思いました。高級感があってちょっと悪そうな感じ。
てらうち:なるほどな。

今後、ラジオでやっていきたいことはありますか?
大西:自分のおもろいと思ってることはできてるので、正直すでにおもろいとは思ってて。これ以上はマジで知名度を上げることなんかなと。そうすれば聴いてくれる人が増えるかもしれないですね。
それこそ賞レースで知名度が一気に上がれば……。
大西:まぁそうっすね。キワキワのこと言ってるんで、逆に炎上するかもしれないですけど。
てらうち:するやろなあ。
大西:僕ら不倫を肯定しちゃうんで。
今の時代なかなかないですよね。
てらうち:有名なったら炎上はあるかもですね。今は好きな人にしか届いてなから何とかなってますけど。
大西:でも自分の好きな人が「不倫はダメだよ」ってラジオで言ってたら、ガッカリするんですよね。ちょっと冷めるなぁみたいな。もしかしたらほんまなんかもしれんけど、嘘つくんやって思いますし。なるべく聴いてる人が冷めやんようにはしたいですね。
最後に、『ブロスポ』に関して今後の展望を教えてください。
てらうち:俺は、大きくバズるより長く続けていきたい。マユリカの例もあるから最初はバズりたいって思ってたけど、俺らはマユリカにはなられへんから。とにかく息の長い番組になればいいですね。バナナマンさんとかおぎやはぎさんとか、今でもたまに聴きますけど、ラジオをずっとやれてる人っていいですよね。
大西:僕ももちろん続いてほしいけど、少数派のやつに寄り添ってあげたいですね。コンプラを気にして思ってもないこと言って、聴いてる人をガッカリさせたくないというか。僕もおぎやはぎさんのラジオが好きなんですけど、たまに小木さんが炎上することもあって。聴いてる側は「正直に言ってくれてありがとう」って思うんです。こんな僕でもええんやでって言ってくれてる感じがして、やっぱりええなぁと思うんですよね。
てらうち:わかるわ、小木さんが正直すぎるだけの時あるよな。
大西:リスナーをガッカリさせへんように、僕もブレんとこうと思いますね。
てらうち:プロデューサーの神吉さんと守山さん、炎上したら守ってください。


黒帯
(左)大西進、(右)てらうち。共に東大阪市出身、高校の柔道部で出会い結成した同級生コンビ。松竹芸能の養成所を経て活動するも2014年に退所し、翌2015年にオーディションライブに合格して吉本興業に所属。大阪NSC32期と同期扱い。2024年に初となる全国ツアーを実施、さらに冠ラジオ『黒帯のブロンドスポーツ脚研究会(ラジオ関西Podcast)』がスタート。今年9月に開催した初のラジオイベント「黒帯のブロンドスポーツ脚研究会初イベント~オトナのべんきょう部屋~」は大盛況。最近は、てらうちがプロデューサー兼リーダーを担う芸人アイドルプロジェクト「漫烈」なども注目を集める。