大阪で商店、兵庫の山奥で宿泊施設!『Clan2F』の豚座大輝さんがカタチにした、人に喜びと豊かさを届けるための2拠点式の接客スタイル。

中崎町のちょっと北、最近じわじわと高感度なお店が増えつつある本庄エリアにまた1つ、ニューカマーが仲間入り。2024年4月6日にオープンした『Clan2F(クランツーエフ)』は、界隈でも人気の飲食店『Tosui』の2階にあり、オーナーを務めるのは豚座大輝(いのこざ だいき)さん。ファッション雑誌をよく読んでた人なら、この名前と顔は見覚えがあるかもしれませんが、数年前まで人気ショップのスタッフをしていた彼の新展開がこちらのお店なんです。生まれ育った兵庫県豊岡市の但東町に戻り、宿泊施設や販売の事業をしていた豚座さんが、再び大阪に戻って来てお店を始めたのにはどんな理由があったのか。その想いや歩んできた道、ルーツを振り返りながら、いろいろ話してもらいました。「人生の迷子だったんですよ」と語りながらも、残してきた点と点が繋がり、理想とするカタチの輪郭が見え始めてきた今、お店や接客の新しい在り方も生まれてきたんじゃないかなと。これからおもしろい展開が起こりそうなので、皆さんも要CHECKでお願いします!

田舎の商店って、なんでもOKというか、地域密着で人のニーズに応えながら経営してる。『Clan2F』も洋服だけにこだわらず、衣食住を軸にラインナップはコロコロ変えて、喜ばれるものをセレクトしていきたい。例えば新鮮な野菜だけが並ぶ、そんな日もあるかも。

現在、兵庫県豊岡市の但東町でランチカフェや家具、雑貨の販売を行う『dim store』と、その別邸となる宿泊施設『オモテ』をされてますが、今回『Clan2F』を大阪に立ち上げようと思った経緯から聞かせてもらえれば!

但東町は自分の育った地元なんです。大阪から戻って来て宿泊施設やカフェ、販売の事業をスタートし、この町の魅力を伝えるためにいろいろ発信してました。みんなが想像してるよりも田舎で、大阪や東京から遊びに来てくれた方々も「豚座君、雑誌とかにも出てるから都会っぽい感じしてたけど、びっくりするくらいの田舎者やってんな」と言われるくらい(笑)

そんなにですか?

めちゃくちゃ山奥なんで(笑)。でも、但馬牛や但馬鶏、日本海の魚、浜坂の蟹、野菜とか、食にはすごく恵まれてる場所だし、ザ・田舎な雰囲気だから「ええとこやね!」とは言われるんです。僕の中では日常だったけど、普段そういう場所にいない人からすると非日常で、ここで過ごすだけでリラックスできたりする。人から言われて改めて「地元、ええなぁ」と再認識できましたし、この町をもっと知ってもらうためにはどうするべきか。いろんな人たちに遊びに来てもらうためにはどうしたらいいか。そこを突き詰めて考えた時、大阪にまた別の拠点を作るのもアリだなと思ったんです。

各県がPRのためにフラッグショップを街中に出店するのと似てる感じですね。

それに近いかもしれませんね。今までSNSで発信もしてましたが、やっぱり自分が店頭に立って伝えたかったですし、接客しながら自分の言葉で届けたかった。そうじゃないと、ほんまの良さは伝わらないかなと思ったので、大阪に再び戻ろうと決めたんです。

そういう想いがあったんですね。『Clan2F』とは、どういう意味なんですか?

“Clan”は、直訳すると一族なんですが、族の集まりというか、昔の大家族的な意味合いがあるんです。大阪での拠点は“商店”をイメージしてて、洋服だけじゃなくいろんなことをいろんな人と展開したいと思ってましたし、個人的にも子どもが4人いて大家族なんでね。繋がりのある人も含めて、そんな大家族が営む商店になればと考えて、“Clan”と名付けました。ちなみに、“2F”というのは、2階にあるからです。まぁ、そのまんまなんですけど(笑)

商店!いいですね、この場所の雰囲気ともマッチしてて、地元感もあるし。

田舎の商店って、なんでもOKというか、地域密着で人のニーズに応えながら経営してて。食料品や日用品はもちろん、お菓子とかお酒、裏で作った惣菜、文房具とか、小さな空間に必需品が揃ってるんですよね。そんな感じの地域に密着した商店が理想。

1階は人気の飲食店『Tosui』。入って右側にある階段を上がると、豚座さんのお店『Clan2F』に。

スーパーとはまた違うし、店主の想いや人々のニーズが反映されてるから品揃えにちょっと偏りがあったり。そこが商店のおもしろさかなと。『Clan2F』としてのラインナップは、どんな感じなんですか?

オープンしたばかりなんで、まずは慣れ親しんだアパレル類が軸になってます。今はオリジナルのブランド<HOUSE>やセレクトした古着、そして器などがラインナップ。器は丹波立杭焼で、釉薬なしの素焼きだから経年変化も楽しめるんです。1階にある飲食店の『Tosui』と合作したもので、お店ではパスタの器として使用されているからそちらもチェックしてもらえれば。

オリジナルブランド<HOUSE>は、プリントものやパンツがスタンバイ。豚座さん着用のパンツがそれで、ヴァゼロ加工という特殊加工を施し、シルクのような光沢感を演出。ナイロンパンツを大人っぽく着こなせて、日常的にもガンガン穿けるのがポイントです。

実際の使用感が見れるのも、1階に飲食店がある強みですよね。

そうですね。お店としては衣食住をテーマに展開したいと思ってて、例えば但東町の野菜やお米を持って来て日曜日に朝市をしてもいいなと考えてます。僕が2拠点で動いてるメリットの1つは、新鮮なものをすぐに届けられることでもあるので、朝市をして夕方からは『Tosui』でおでんや一品にして食べてもらったり。他にも陶芸品や照明などもフィーチャーしたいなと。

まさに豚座商店!

近所の方にも足を運んでもらえるお店にしたいので、スポット的にラインナップをコロコロ変えながら、喜ばれるものを揃えていきたいんです。正直、洋服だけにこだわる必要もないですし、野菜をフィーチャーする時は洋服を全部しまってもいいくらい。野菜だけ並べたり、作家さんの陶芸品だけ並べたり、そんな商店になる日もアリかなと思ってます。

お店の色、特長がどんどん様変わりしていく…、それもおもしろい!お店の空間がちょうどいいコンパクトさだから、なおさら色や特長の変化が分かりやすいですよね。内装も豚座さん自身がされたんですよね?

はい。『Tosui』の内装デザインも担当させてもらったんですが、1階は日本家屋の中にモダンなグレートーン、厨房の無機質なステンレスなどを組み合わせて、空間にギャップを演出した一方で、あえて2階はガッツリと土壁で作ってます。昔からある日本古来の土を用いてるので、現代的な土壁じゃなくて、本来の土壁なんです。僕自身、日本の伝統的なものは好きだし、大事にしたいと思ってるから、うまく取り入れつつも古風過ぎないようにしてるのがポイントかなと。

土壁の上部に施してる青い生地とか、絶妙ですよね。

みんなSNSでおしゃれなものを見てますし、感度の高い人も多いから、日本家屋に土壁だけの構成だと若い人には受け入れられにくいなと思ったんです。この青は、ファッションの差し色みたいな感覚で取り入れましたね。例えばモノトーンのスタイルに靴下だけ色を変えるように、スタイリングを組むのと同じテンションで考えたんです。

なるほど。この青がめっちゃ効いてます。

アメリカの70年代物のデッドストック生地なんです。ツイルっぽい厚手の生地を縫い合わせて、土壁の上部に貼り付けちゃいました。

内装で生地を貼り付けるって、あんまり見たことない気がします。

かもしれませんね。僕自身もファッションのスタイリングを考えるような感覚で内装をしてるので、プロの人が見たら「はぁ?」って思われるかもしれませんけど(笑)。でも、簡単に貼れるし、気分を変えたくなればすぐに貼り替えもできるから意外と機能的なんですよね。

選択肢のある人生じゃなかったし、言われるがまま流されて、迷子にもなってきた。でも、そのおかげで出会えたのが、アパレル販売員の仕事だったんです。
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Profile

豚座 大輝

1991年生まれ、兵庫県豊岡市但東町出身。『ロフトマンコープ梅田』、『IMA:ZINE』を経て独立し、地元の但東町に『KOBUTA HAUSE(現dim store/オモテ)』を創業。その後は兵庫県垂水区のセレクトショップ『Ii』の立ち上げにも参画しつつ、現在は自身の事業である宿泊施設の運営と内装業に専念。2024年4月6日に、但東町の魅力を発信するための大阪の拠点として、『Clan2F』をオープン。商店的なスタイルで衣食住の側面から、人生を豊かにするためのコンテンツを自ら店頭に立って伝えている。4人の子どもを持つ、ビッグダディな一面もあり。

Instagram: @clan_2f_osaka
Instagram: @dim_store._omote_

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