お笑い、音楽、俳優……ジャンルレスに活躍する藤井隆さんが登場!今秋出演する舞台に対する想いや、大阪時代の思い出についてもインタビュー!
「この役を藤井にやらせてみよう」と思ってくださったことの連続なので、これからも「この舞台に藤井に立ってほしい」と思っていただける自分ではありたいなと思ってます。
そんな藤井さんが、なんばグランド花月でお客さんを沸かせるようになったのがすごいです。
でもそんなにすぐ、NGKの本出番をもらえたわけではなくて。僕、テレビの深夜番組のレポーターやってたときに、会社員もやってたんですよ。それを2年続けたときに、よしもとの人に「これからどうするつもりなん?」って言われて、「じゃあ会社員辞めて、よしもと一本でやります」って返事をしたんですね。
テレビのレポーター時代、拝見してました。あの当時は会社員もされてたんですね!
そうなんです。でももう、よしもと一本でやるって決めて。その頃の新喜劇は若手がいっぱい出してもらえるタイミングだったので、会社員を辞めた次の週から出番がありました。最初は1回目に出て「あれ?」、2回目に出て「あれあれ?」、3回目に「やっぱりあの人おかしい!」みたいな役だったんですけど、とにかく下手すぎて。師匠方が、「下手くそやからもうええ」っておっしゃって、出番が3回から1回に減ったんです。普通やったらショックやし、なんなら「もう一度チャンスをください!!」ってなると思うんですけど、当時の僕はアホやから、「出番減って休み増えた!」みたいな感じで。今から考えると、周りの先輩たちは大変だったと思います。自分がもしそんな若手を育てろって言われても嫌ですね。
今、舞台でイキイキと演じている藤井さんからは想像もつかないです。いつしか、演じることが好きになっていたんですね。
演じることが好き、というわけではないですね。もちろん、嫌いということでもなくて。僕自身が演じることが好きとかではなくて、恵まれて、演じる機会をいただけているんだと思います。
では、例えばこれから演じてみたい役柄などはありますか?
それも、もともと僕の仕事は声を掛けていただいて初めてできるものなので、自分が望んでも、できないものはできないんですよ。むしろ、自分では望んでないけど、周りが「この役を藤井にやらせてみよう」と思ってくださったことの連続なので、これからも「この舞台に藤井に立ってほしい」と思っていただける自分ではありたいなと思ってます。
お笑い、音楽、舞台など幅広いジャンルで活躍される中で、ご自身としてはどこに軸足を置いておられますか?
若い頃からそれよく聞かれるんですけど、すごく困るんです。お笑いって言っても別にネタ番組に出てるわけでもないし、歌を出したから歌手ってことでもないし。どこが軸とかはなくて、そうさせてもらってないこと、そこがいいと思ってもらえての今なのかなって思います。
たしかに、藤井さんを語るときに、なにかひとつの肩書っていうのは、違う感じがします。
もちろんね、何かを突き詰めたり、ひとつの道を貫くのは美しいけど、僕はそうではなかったな、そうはなれなかったなって。
では最後に、今回の舞台に関して、「ここを見てほしい!」という見どころを教えてください。
いろんな年代の方に観に来ていただけたらとても嬉しいです。物語は、年を重ねるとはどういうことか、生きることや死ぬことはどういうことかって大きなテーマはあるんですけど、若者の衝動だったり中年の葛藤だったり、そういうものも描かれているので、子供から年配の方まで幅広い世代の方に観てほしいです。
子供たちにもおすすめなんですね。
そうなんです、子供たちにも興味を持ってもらえる舞台装置や舞台美術になっているので。本当に小さい子はまだわからないかもしれないから、中学生ぐらいのお子さんにはぜひ。竜星涼さんってスタイルがよくて顔が小さくて、もう宇宙人みたいなんです。本当にこんな人が生きてるんですよっていうのをぜひ観に来てください。あと高橋惠子さんも本当に美しくてエレガントで、もう見ていてうっとりします。そんなお2人が舞台に立つわけですから、その世界をぜひ目撃していただきたいですね。
では一言、このインタビューを読んでいる皆さんに、メッセージをお願いします。
京都劇場という大きな劇場ですけど、物語はすぐそばにそっと寄り添うようなお話になっています。残暑厳しい折かと思いますが、劇場の中は快適ですので、来ていただけたら嬉しいです。京都は3回しか公演がないので、スタッフも出演者も寂しいなって思いがあるんです。どこかに寂しさを感じながら演じると思うんですけど、そういう気持ちもフィットする物語なので、ぜひ劇場にお越しください。
<INFORMATION>
『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』
<劇団はえぎわ>の主宰であり、脚本家、演出家、俳優として活躍するノゾエ征爾が2010年に発表した傑作を、2023年版としてブラッシュアップし、再構築して上演する。「老い」と「進化」という一見正反対のふたつのベクトルを重ね、その先に描かれる滑稽で愛おしい人たちの物語。竜星涼を中心に、藤井隆、高橋惠子をはじめ、青柳翔、瀬戸さおり、芋生悠、山田真歩、菅原永二ら、若手からベテランまで、バラエティに富んだ個性豊かな実力派キャストが結集した舞台となる。
公演期間: 9月30日(土)~2023年10月1日(日)
料金: 11,000円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可。
会場: 京都劇場
一般発売: 8月27日(日) 10:00
お問い合わせ: キョードーインフォメーション
TEL: 0570-200-888(11:00~18:00/日祝休業)
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/6584
藤井 隆
1992年吉本新喜劇に入団。2000年に「ナンダカンダ」で歌手デビューし、年末の紅白歌合戦に初出場。最近の舞台出演に、『おとこたち』(岩井秀人演出)、『ゲゲゲの鬼太郎』(田村孝裕演出)、『広島ジャンゴ 2022』(蓬莱竜太演出)、こまつ座『雪やこんこん』(鵜山仁演出)、大パルコ人④マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』(宮藤官九郎演出)、『大地(Social Distancing Version)』(三谷幸喜演出)などがある。12月に『ジャズ大名』(福原充則演出)、2024年に『カラカラ天気と五人の紳士』(加藤拓也演出) に出演予定。