広く、浅くのお付き合い。日替わり店主のカフェバー『週間マガリ』の小西亮さんは、どのクラスタにも属せない<はざまの人>。
うちの店に向いてないのは、南森町に勤めてる4人組のサラリーマンかな(笑)。仲間内で盛り上がりたい人は絶対、鳥貴族とか行ったほうが楽しいと思います。
いよいよ来年は10周年ですが、これから何か始めたいこと、挑戦したいことはありますか?
特にはないんです。仮にあるとすれば、今年34歳なんですけど、40歳ぐらいになったら移転するかもしれないですね。もうちょっと広さが欲しいんです。あと、路面店も1回やってみたいですね。日替わり店長の店にはしますけど、広いところで路面店でやったら、どんなふうになるのかなって構想はありますね。でもわからないです、定年までここでやってるかもしれないし。
ここ2年ほどはコロナの影響も大きかったと思いますが、コロナ禍を通じて変わったところはありますか?
お客さんが若返りましたね、10歳ぐらい。コロナの前は僕より年上の人が多かったのが、今は年下の人が大半です。あと、客層の幅も広がりました。カップルや家族連れなんて、コロナ前は全くなかったですから。お客さんの数自体も、1.5倍ぐらいになってると思います。
客層が若返って幅が広がって客数も増えてって、最高じゃないですか。
コロナ前までは、日替わり店長の店1本だったんですよ。でもそれだけだと、射程距離が狭かったんだなと思います。いくらいろんな人が来ると言っても、日替わり店長の店って普通の飲食店に行くよりハードルが高かったと思うんです、変なイベントばっかりやし。それが、本屋を3日で潰したことで大量の本がマガリに入ってきて、ブックカフェという側面が出てきたんです。あと、僕が懐古厨なのもあって、コロナの最中に暇すぎてメルカリとかヤフオクで90年代ぐらいの雑貨を買いまくったんですよ。そしたら、たまたま平成レトロブームが来て、レトロカフェみたいな見え方もするようになって。
日替わり店長の店、ブックカフェ、平成レトロな映えスポット、3つの顔を持つお店になったわけですね。
あとは、コロナ禍の最中にオンライン営業をしていたことも大きいですね。オンライン営業の時は、1000人ぐらいが見てくれてたんですよ。コロナの最初の頃は売上もなくて本当にやばい状況で、オンライン営業と掛け合わせてクラウドファンディングもしたんですけど、そこでもたくさん応援していただけて。結果的に、今までお店に来たことのない人にもリーチが広がりました。
コロナ禍を経て、新しい客層にもアプローチできたんですね。これまでで延べ3万人以上の人と出会ってこられましたが、これからどんな人に来てもらいたいですか?
僕自身がこんな人と会いたいとかはないですね。お客さんもこんなメガネのサブカル崩れより、お客さん同士で喋ってたほうが楽しいと思うので、僕は交通整理に徹します。面白い人に来てもらって、カウンターでいろんなドラマを見せてほしいです。
逆に来てほしくないのは?
全種族いろんな人に来てほしいですけど、向いてないのは、南森町に勤めてる4人組のサラリーマンかな(笑)。それはあくまで例えですけど、居酒屋のように仲間同士で予定調和を楽しみたい人には、中々きつい空間だと思います。内輪で盛り上がりたい人は絶対、鳥貴族とか行ったほうが楽しいです。
4人組ってところが重要ですね(笑)。では最後に、来られるお客さんに、マガリをどんな風に楽しんでもらいたいですか?
オープンした時からお店のキャッチコピーは「ヘンな出会いがきっとある」なんですけど、これは自分で振り返ってもほんまやな、と思います。いろんな「ヘン」な出会いがあるので、そこを楽しんでもらえたらいいですね。
<小西さんのお気に入りのお店>
YAMASTORE(大阪市北区中崎)
古着と雑貨、セレクトブランドを取り扱うお店。よく買うんですけど、集めて来る服とか物のセンスがぶっちぎりに好きです。どこで見つけてくるんや!みたいな。
JYUKU(大阪市中央区西心斎橋)
塾をテーマにしたお店。古着を扱ってるんですけど、店長はレトロじゃなくて、今これがかっこいい!という感覚。あくまでモードファッションの店なんです。
tototoRECORDS(大阪市北区天神橋)
行ったらワインを飲ませてくれることもあるレコード屋さん。まちのレコード屋さんをテーマにしているから、値段も手頃。南森町で数少ないカルチャー系のお店です。
小西 亮
『週間マガリ』オーナー兼アルバイト。大阪府豊中市出身。甲南大学卒業。ゆらゆら帝国が大好きな文系サブカル男子でありながら、中高時代は水泳部に所属。2013年に24歳で、一日店長が日ごとに店を「間借り」するカフェバー『週間マガリ』を開業。
週間マガリ
「ヘンな出会いがきっとある」がコンセプト。1000職種の日替わりマスターが様々なテーマを持ち寄り、バーやカフェやイベントを開催。テーマに関係なく、通常の喫茶バーとしても楽しめる。
大阪市北区天神橋1丁目11−13 2階
水~金 19:00~24:00/土・日 17:00~24:00(月・火 定休)
入館料チャージ ¥500(茶菓子付き・本も読み放題)+別途ドリンク代
※フードのご用意はありません。