累計来場者数8,500人以上!THE Wの賞金でセミヌード写真展『MARRY MIKI』を開催した、紅しょうが 稲田美紀さんに話を聞きました。
なんか知らんけど、みんな私のセミヌードに勇気をもらえてるみたいです。私は脱いだだけなんですが……(笑)
改めて、写真展を開催したきっかけを教えてください。
昨年いただいた『THE W』の賞金の使い道に迷っていて。家族に渡したり旅行に連れて行ったりもしたんですけど、自分がほしいと思うものが特になかったんです。さや香の新山くんになんかできへんかなぁって相談してみたら、「写真集を作って無料で配ったらどう?」って言われて。でも印刷物に残るのはちょっと抵抗があったんで、写真展にすればみんなに集まってもらえるやんと。それで写真展を開くことに決めました。
写真展のテーマを「新しい婚活」に決めたのはどうしてですか?
上京して知り合ったデザイナーさんに写真展を手伝ってもらうことになって、その方に色々相談したんです。でも最初は写真展をやるって、どういうことかわかっていなくて。「美紀ちゃんはどういう写真が撮りたいの?」って聞かれて、「あ、それも自分で決めなあかんねや」と初めて気付きました。例えば今日みたいな取材であれば、私たちは身なりを整えてその場に行って、指示されたままに撮ってもらうだけじゃないですか。そんなんじゃなくて、私自身がどう撮ってほしいのかを聞かれたんです。改めて考えるとそれがわからなくて、思いつくままにLINEで送ってみて。私が今婚活をしてるので、婚活系のワードもいくつか。その中にあったキーワードの1つが「新しい婚活」でした。「あまり聞かないワードだからいいと思うよ」と言ってくれて、このテーマに決まったんです。ちなみにこの写真は、ベールを被った花嫁をイメージしています。
他はどんなテーマ候補があったんですか?
何があったやろな。ちょっとLINEを見てもいいですか?
送ったLINEを見つけたんですけど、他はひどいもんですよ(笑)。前にセミヌードを撮ったことがあるので「より美しく撮ってほしい」っていうのは前提としてあるけど、「ええ女と思われたい」「かっこいいやんと思われたい」「婚活がうまくいってないので、新しい形の婚活写真みたいになったらいいな」っていうのを送ってますね。
あ〜、あと「年齢を重ねると体もたるんできて悔しいから、好きな自分を美しく撮れたら嬉しい」っていうのも送ってました。まぁこれは無視されてますけど……(笑)。「婚活写真がセミヌードってすでに面白いから、それがいいんじゃない」って返してくれてます。
婚活写真がセミヌードってなかなかないですよね。
写真展を見に来てくれている男性も多いので、みんな一応婚活写真をチェックしてくれてることになりますね。この後、婚活はどうなっていくやらです。
しかも今回が初のセミヌードではなく、以前も撮ったことがあると。
前回はカメラマンさんの練習台みたいなもので、写真も自分だけ持ってるくらいの感じです。今回は、カメラマンさんにとある映画を見てから撮影に臨んでくれと言われて。コンテンポラリーダンサーのピナ・バウシュさんいう方の映画なんですけど、砂の中で人が泳いだり感情をさらけ出したりするシーンが有名やと思います。ただ映画の内容が難しすぎて、とりあえず縮こまらんかったらええんかなくらいしかわからなかったですね。やけど全編を通して“解放”のニュアンスは感じました。「脱ぎっぷりが良かったね」とカメラマンさんに言ってもらえましたし。
どんな撮影だったかも気になります。
真っ白のスタジオで撮影しました。黒のバック紙も一応用意してたけど、撮影しながら全部白でいくことになって。肌に痕が付くので前日から下着はつけず、楽ちんなワンピースを着てスタジオに入って、すぐ行けますという感じでパパッと脱いでデザイナーさんが用意してくださったランジェリーに着替えました。
特に脱ぐことに対する抵抗はなく?
全然、普通ですよ。スケスケのランジェリーを着て後ろから撮ってる写真があるんですけど、実はガバッと前が空いていてめっちゃセクシーなんですよ。エロ目的みたいなやつを、おしゃれに落とし込んでる感じですかね。ランジェリーを着て色んな動きをしてたら、「あ、今肩撮ってたんや」みたいな感じで、カメラマンさんが勝手に体の色んな部分を撮っていました。「ちょっと足組んでみて」って言われて組んでみたら、その部分をカメラマンさんが狙って撮っていて、どんな風に撮れているか想像できなかったので、仕上がりを見てびっくりしました。正直ずっと顔キメてたのに、全然そこじゃなかったっていう……。顔の写真めっちゃ少ないですもん。
お顔じゃない、普段は服で覆われている部分にも、稲田さんらしさが滲み出てるということなんですかね。これはどこの部位で、どんな風に撮ってるんやろうと思う写真が結構ありました。
そうやって丁寧に見てもらえてめちゃくちゃ嬉しいです。芸人の中にも考察組が何人かいて、写真の前で議論している姿を見かけました。恥ずかしいからってサッと帰る男性の先輩芸人さんも多かったですけど。私も色々考えて撮影したので、じっくり見てくれたら嬉しいなと思いますね。私の新たな一面を知ってほしいです。
セミヌード写真展の前後で、自分の中で変わったことはありますか?
私自身は何も変わらないけど、「勇気をもらえました」ってたくさん言ってもらえました。ただ脱いだだけなんですけどね。撮影前は、一応私になりにダイエットして2kgくらい痩せたんです。でも写真を見た人は、「そのままでいいんや」「飾らんでいいんや」って受け取ってくれて、なぜか背中を押せてるみたいです。それを狙ったわけじゃないんですけど、そういう面でもやって良かったと思えました。なんか知らんけど、みんなめっちゃ勇気をもらってるんすよね。
セミヌードを撮ろうという発想がなかなか出ないので、私は抵抗なくそれをできる稲田さんが、女性としてカッコいいと思いました。
ありがとうございます。セミヌードというパワーワードに引っ張られず、アートとして私を見てほしいなと。それが実現できたのも、協力してくれたスタッフさんたちがいるからこその奇跡やと思います。
シシガシラの脇田さんが、ラジオで写真展の話をされていました。「あれは稲田さんにしかできない。他の人がやるとお笑いになっちゃうけど、アートとしてやれてるのはすごい」と仰っていましたよ。
そう言ってもらえると嬉しいです。性の生々しさを感じさせてしまうと、芸人として笑ってもらえなくなるリスクもあって……、そうならなくてほんとに良かったと思います。
きっと皆さんのチームワークや目指していた写真のテイストが良かったんでしょうね。
そういう私の思いは汲んでくださったように思います。ただ、ほんとはバストの写真にちょっとだけ乳輪が写り込んでて、さすがに見せたらあかんやろと思ってトリミングしてもらいました。デザイナーさんは気に入ってたから渋々って感じでしたけど(笑)
今回展示している写真は撮影できませんが、稲田さん的にお気に入りの写真はあるんですか?
芸人が笑ってくれるのは、BCG(ハンコ注射)がめっちゃ多い写真。時代を感じさせる1枚やと思います。人と違う自分のいいところを聞かれて、「首周りにホクロが多いです」って答えたら、「首何周か回してみて」って言われて撮った写真も好き。「ほんまにホクロめっちゃ多いやん」って言われましたけど。足の親指をめっちゃ上げれる特技もあって、その写真も自分らしいなと思います。カラコンだけ気付けなかったのが悔しいですね。全体的にナチュラルなのに、目だけちょっと作り物っぽくなっちゃいました。
それも含めて稲田さんらしさなのかもしれませんけどね。今日の撮影を担当した木村さんからも感想があるそうです。
「私は全体的に湿度がない写真だなという印象を受けました。カメラマンの写真ってそれぞれ一定の湿度を感じるんですが、今回の写真は湿度がなくてドライな感じだから、セミヌードだけどいやらしさを感じさせないのかもしれないですね。稲田さんを1つの彫刻として美しく撮っているのがすてきです」
“湿度がない写真”ってめっちゃいい表現。自分じゃ絶対出てこないです。ありがとうございます。
最後に、もし次にセミヌード写真展をするとしたらどうします?
いやいや、そんなアホみたいにセミヌードはやりませんよ(笑)。毎年恒例の単独ライブみたいに。
ちなみにシシガシラの脇田さんは、結婚後に「『MARRIED MIKI』をやればいいじゃん」って言ってましたよ。
まぁ結婚したらもう1回するのもアリなんかなぁ……。考えときます。
(ちなみに大阪会場には4,500人以上の方がご来場されたそう!稲田さんは、毎週聴いてるラジオからそのまま出てきてくれたような、自分を飾らないすてきな方だなと思いました。これからのご活躍、そしていつか開催される『MARRIED MIKI』を楽しみにしています!)
紅しょうが 稲田美紀
NSC大阪33期生、大阪府出身。2014年に<紅しょうが>を結成し関西を中心に活動。2023年に東京へと拠点を移し、同年『THE W』で優勝を果たす。コンビでリスナーを務めるPodcast番組『紅しょうがは好きズキ!(ラジオ関西)』も好評。サバサバした性格や物言いに惹かれるファンが多く、テレビやラジオで婚活中であることを公表している。