大阪・粉浜のアートギャラリー『opaltimes』を営む内田ユッキさんの、人生をもっと楽しくするポジティブでしなやかなスタイル。
ギャラリーの運営と作家活動、頭の切り替えが難しいなと感じます。絵を描くことに集中すると、メールの返信が疎かになっちゃって……(笑)
屋号の『opaltimes』にはどんな思いが込められているんですか?
結構ふわっとしているんですが、眺める角度によって様々な色や表情を魅せてくれるオパールのように、それぞれが色んなことを感じてもらえる時間を提供したいという思いを込めました。
ギャラリーの店主として業務をこなしている時とイラストを描いている時、思考の巡らせ方は変わってくるんですか?
すごく変わりますし、頭の切り替えが必要だなと実感しています。制作する際はギャラリーの2階にあるアトリエを使っていて、普段好きな作家さんの作品を見すぎているからなのか、自分の描きかけの作品を全然良いと思えなくなるんです。私は私、作家さんは作家さん、そこは切り離して考えなきゃいけないから、ギャラリーの店主としてのスイッチを切ろうとするんですが、そうするとメールの返信がめちゃくちゃ遅くなっちゃう。普段は3日返信しないとパソコンが爆発するって自分に言い聞かせてるので早めに返しているんですけど……(笑)。そのバランスを取るのが難しいです。
事務作業とクリエイティブ……、全然違う作業ですもんね。
絵の具を使って描いていると絶対そうなっちゃうから、デジタルでできる仕事は可能な限りデジタルでやるようにしていて。絵の具を使う時は、店番の合間に描くようにしています。
事務作業はやったら終わるけど、何かを作ることって明確な終わりがないし、すごくパワーが必要だと思います。
事務作業って結局人のためになるじゃないですか。それにはすごくやりがいを感じるんですけど、特に発注があるわけでもなく自分の作品を生み出すことは、ギャラリーの運営という別軸があるからこそパワーがいる作業だなって思います。
ギャラリーを運営されていて、困ったことやつまずいたことはありましたか?
つまずいたことというか、思っていたより集客できないと焦りますね。自分がやりたい展示ばかり追い求めていると、お客さんが全然来てくれない時もあって。それが続くと運営していけなくなるので、3ヶ月連続赤字は絶対避けなきゃいけないなと。続けていくためなら何でもやりますよ。逆に人が来すぎてしまう場合もあって、とある絵画の展覧会をした時、想像以上にたくさんのお客さまにお越しいただいて。住宅街の中にポツンとあるギャラリーなので、オープン前に行列ができていた時はめちゃくちゃ焦りました。
閑静な住宅街ですもんね。内田さんがこの場所を選んだのはどうしてなんですか?
特別な理由はなく、私がこの辺りに住んでいるからです。息子が小学校に上がるタイミングで物件を探していて、小学校からも駅から近くて、そこまで内装に手を加えなくてもギャラリーになりそうな場所がここでした。大正時代からある長屋の端っこで、もともと食堂だったみたいです。
近くの商店街を取材したことがあるんですが、すごくいい街だなって思いました。
そうなんです。難波より南は地の果てのように思われてるけど、意外と街中からも近いし住みやすいんですよ。
個人的なことなのですが、まだ自分で絵を買ったことがなくって。買ってみたいなぁと思っています。
絵がある生活ってすごくいいと思いますよ。目に入るだけで何かしらの栄養になる気がします。最初は無理せず、小さなアートから取り入れてみるのがいいかも。実際に買ってお部屋に飾ってみると、その魅力がもっとわかるんじゃないのかな。
そうなんですね。気に入ったものがあればお迎えしてみようと思います。
内田ユッキ
大阪府出身。アートギャラリー『opaltimes』店主、ペインター。高校時代から絵を描き始め、会社勤めや結婚、子育てなどを経て2016年に『opaltimes』をオープン。自主企画をメインに、個展やグループ展を実施する。プライベートでは2児の母親。
opaltimes(オパールタイムス)
大阪市住之江区粉浜1-12-1
月木金13:00〜17:00、土日祝13:00〜19:00
(展覧会期中のみ営業)
不定休