うつわ愛が高じてショップをオープン!『secret』オーナー・黒田賢義さんの「好き」を仕事にするチカラ。


好きと好きを掛け合わせて、ブルーなオーシャンを探そうかなと。

とは言え、いきなりアパレルのお店をやるって難しくないですか?

そうなんですよ、アパレルのお店なんて山のようにありますし、僕のアパレル歴なんて言っても2年ぐらいしかないんです。そんな人間が新たに参入するなら、何で勝負するかって、自分の好きなものしかないなと思って。それで、洋服と植物を組み合わせたセレクトショップにしました。

好きなもの同士を組み合わせたわけですか?

洋服だけ、植物だけのお店はいっぱいありますよね。でも、何かと何かをがっちゃんこしたら、ブルーなほうのオーシャンに行けるんじゃないかと。組み合わせると、オンリーワンになれるんじゃないかと思ったんです。

なるほど!それで、ご自身の好きな洋服と、植物を組み合わせたと。

植物と洋服を一緒にやってるお店って実はあんまりなくて。と言うのも、鉢物だと土もさわりますから、洋服と同じお店で扱うにはけっこう注意が必要なんです。

でもだからこそ、オンリーワンになれる可能性があるわけですね。植物もお好きだったんですか?盆栽雑誌の知識も役に立ちそうですよね。

家族がもともと好きで、自分でも観葉植物とかたくさん育ててました。盆栽はどうですかね……あれはまたジャンルが違って、すごく手間がかかるので。でも手入れの仕方とか、ヒントになってる部分はあるかもしれないですね。

実際にオープンされてみて、いかがでした?

1年目はほんと苦しかったですね。開業までに商工会議所のセミナーとかにも参加して、それなりにプランを組んで臨んだつもりだったんですけど、まあ全然思うようにいきませんでした。どれだけ売れない日が続くんかな、売れない日の記録更新やなって。そもそもお客さんもいませんし、インスタもちゃんと活用できてなかったですし、1年目の売り上げなんて今の1/40ぐらいでした。

その状態から、どうやって浮上されたんですか?

コツコツとインスタを続けたのと、あとは運も良かったんだと思います。もともとマイナーなブランドを扱ってたので、「あのブランド、あそこで扱ってるんや」みたいな感じで見つけてもらって、少しずつ認知してもらえるようになりました。4ブランドぐらいしかなかったんですよ、最初は。でもそこに刺さる人がちょっとずつ現れて……っていう感じですね。

今では取り扱いブランドも増えて、WEBショップもすごく充実してますね。

行き当たりばったり的なところもありますけど、おかげさまで4月20日でちょうど5年を迎えることができました。

おめでとうございます!ちなみに、洋服のお客さんと植物のお客さんは同じですか?

お客さまはぜんぜん別ですね。植物のイベントをしたときに、海外の有名なファッションデザイナーの方が来店されたんですけど、イベントのお客さまはどなたも気付かなかったです。僕だけテンション上がって、一緒に写真撮ってもらいました(笑)

ショップオーナーのかたわら、再び掛け持ちでコンビニバイト。

うつわを取り扱うようになったのは、なにかきっかけがあったんですか?

『VELVET』を始める当初から扱いたいと思ってたんですけど、洋服×植物×うつわになるとライフスタイルショップ感が強すぎるかなと思って避けたんです。でも2年目になって少し安定してきたころに、置いてもいいかなと思うようになりました。とは言え、資金繰りにまだそれほど余裕がなかったので、またコンビニでアルバイトを始めました。

え、うつわのためにアルバイトを?

うつわだけでまわせるようになるまでは、バイトしようかなと思って。『VELVET』が終わってから、地元のコンビニで働いてました。

目標があるとすごくバイタリティを発揮されるんですね。うつわは昔からお好きなんですか?

それが直接の原因かはわからないですけど、実家が割烹料理屋をやっていて、父が窯元に買い付けに行くのによく付いて行ってたんです。父の店では備前焼のうつわを多く使っていて、どこだったかは覚えてないですが、備前焼の窯元には何度も行きましたね。当時はそれこそ、お皿1枚がなんで何万円もするんやろう?って思ってました。

ある意味、うつわの英才教育ですね。うつわのどんな部分に惹かれますか?

いやもう完全にデザイン、ビジュアルですね。美しい、かわいい、かっこいい、すごいとか、そういう視点で選びます。なので、基準があいまいかもしれない。土っぽい焼き物を得意とされているところや和食器を専門にされているところなどもありますが、うちはけっこう混在しています。伝統的なものもあるし、前衛的なものもある。その辺りは、派手なものも落ち着いたものもある、『VELVET』の洋服のセレクトと似てますね。

選ぶ基準は、モノとしての美しさ。「まず見た目に惹かれて、それをどう使おうか考えるのが楽しいんです」

ご自身が購入したうつわは、飾っておきます?それとも使います?

ぜんぜん、使います。洋服に近い感覚ですね、着てテンションが上がるのと同じで、使ってテンションが上がるというか。うちは作家さんのうつわを揃えているんですが、作家さん一人ひとりにすごい世界観があるんです。これも洋服のデザイナーさんと同じ感覚なんですけど。

アパレルとうつわって遠いようですけど、黒田さんの感覚の中では近いんですね。うつわのセレクトも、黒田さんご自身で?

そうですね、気になる作家さんがあれば、お伺いしてお話しさせてもらうっていう形で。

直接会いに行かれるんですか?関西以外でも?

いま『secret』でお取り扱いさせていただいている作家さんは、ほとんど直接お会いしました。服屋の人間が適当に販売する感じではいけないと思うので、実際にお会いして、きちんと想いをお伝えするようにしています。どの作家さんも、ご自身で販売されても十分に売れる方ばかりなので、そういった方が卸してくださってるっていう意味を考えないといけないなと。もちろんお断りされるケースもありますが、それでもお話しだけでもさせてもらえるなら、北海道から沖縄までどこにでも行きます。

ガラス器、陶磁器、漆器などジャンルはさまざま。常時20~30名の作家の作品を、毎週入れ替えて展示。

うつわへの愛というか、作家さんへのリスペクトがすごいですね。でもだからこそ、錚々たる人気作家さんの作品を取り扱うことができるんですよね。

大阪は文化的なものなのか、東京などと比べると、人口比でもうつわを扱うお店さんが少なめなんです。だから、名のある作家さんのものも置かせてもらえるのかなという部分はあります。コロナで家にいる時間が長くなってうつわのオンラインショップも増えてますが、うちはその前から始めていたので、タイミングも良かったですね。

たしかに、うつわに詳しくない私でも知っている作家さんの名前がずらり……。

作家さんのラインナップでいうと、全国でもトップレベルじゃないかなと思います。以前は『VELVET』の物置スペースを改装して『secret』として展開してたんですけど、これだけの作家さんの作品を扱うのにふさわしい場所が必要だなと思って。ずっと物件を探していてようやくここが見つかって、うつわと香りのショップとしてスタートさせました。

香りと組み合わせたのはなぜですか?

『VELVET』を始めたときと同じで、好きなもの同士を組み合わせようと。香りも好きだったんですよ、中学時代にキムタクがつけてたスカルプチャーが流行って(笑)。香水のブランドも『VELVET』で少しずつ取り扱いを増やしていたんですけど、『secret』を始めるときに、うつわと香りを組み合わせてみようと思って。

空間を彩る香りのアイテムもラインナップ。写真は、天然石に香りのコーティングをするポプリタイプのルームフレグランス。

黒田さんの基本は、好き×好きの組み合わせなんですね。

とにかく好きなものが多いんですよ。広く浅くなんですけど。コーヒーも好きなので、次に出すならうつわとコーヒーのお店がいいですね。

レイアウトを毎週変えて、いつ来ても“なにかある”ショップに。
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Profile

黒田 賢義

姫路市出身。関西大学法学部卒業。割烹料理屋を営む父の影響で、幼いころから窯元を訪ねるなどうつわに親しむ。司法書士事務所、アパレルメーカー、出版社を経て、2017年セレクトショップ『VELVET』を開業。2022年3月に国内の著名作家約80名のうつわを取り揃える『secret』をオープン。

https://velvet.ocnk.net/

Shop Data

secret

うつわと香りを中心としたライフスタイルショップ。営業日は毎週木・金・土(日曜はアポイント制)。営業時間は13:00~19:00

https://secret2019.thebase.in/

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