Interview & Writing
前出 明弘
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依藤 寛人

2022年4月23日、大阪のスケートボードの聖地・長居公園に『タイガーラックスケートボードパーク長居』が誕生!大阪市内初の公園内のパークということで、情報が公開された時から注目度が高かったけど、そのキッカケを生み、指定管理事業者の『わくわくパーククリエイト(ヤンマーの子会社)』と共同でプロジェクトを進めたのは4人のローカルスケーターなんです。武田知定さん、丸居賢次さん、石川大哲さん、山下真也さんの4人は、昔から長居公園をホームにしていたローカルスケーター。オリンピックの影響で近年のブームに拍車がかかり、スケーター人口の急増とともにさまざまな問題が取り沙汰される現状に悩んでいた時、まさかの偶然が重なってプロジェクトへ参加することに。そんな誕生までの裏側のストーリーやこの場所への想い、オタク領域のこだわりとスケートボードへの愛を込めまくったパークの詳細など、たっぷりと聞いてきました。今、時代的にもスケートボードができる場所はどんどん減ってるけど、この『タイガーラックスケートボードパーク長居』なら思いっきり楽しく滑れます。まさに、理想そのもの!大阪のスケートボードの聖地・長居公園、いよいよ復活です!!

路面がいいし、広くて街灯もあるから深夜でも滑れる。昔の長居公園は、スケーターにとって極上の場所だった。

左から武田知定さん、山下真也さん、石川大哲さん、丸居賢次さん。

まずは、スケートボードパーク誕生の立役者となる4人の関係性や、長居公園で滑り始めたキッカケを教えてもらいたいと思います!

武田:このメンバーの中で長居公園歴が一番長いのは丸居君ですね。

丸居:かれこれ25年くらい前かな。中学生の頃から長居公園で滑り始めて、この4人のメンバーともいつの間にか仲良くなってたもんね。スケートボードが共通してると、ファッションや音楽の趣味、人間のタイプが違ってもすぐ仲良くなれてしまうんですよ。

武田:僕は地元のスポットが滑れなくなって高校生の頃に長居公園に来たんですけど、当時から丸居君はめちゃくちゃうまくて、それこそ大阪でもトップクラスのスケーターやったんです。うますぎて、丸居君が来たら「ヤバイ!ちょっと端っこ行こ」的な状態(笑)。でも、歳を重ねるごとに打ち解けていきましたよね。

丸居:そんなドヤドヤ感はしてなかったはず…(笑)。僕も昔はそうやったけど、うまい人が目の前にいると空気感とかオーラを感じて自分の温度でその環境に入って行きにくかったり、仲良くなりたいけど踏み込めないみたいな。

石川:あるあるっすね。僕も知定君と同様に地元のスポットが滑れなくなって、「どこ行く?やっぱ長居公園やな」って感じで。僕が来た時は、丸居君がスケートボードからちょっと離れてるタイミングでしたよね。

丸居:仕事や生活の関係でスケートボードから長く離れてる時期があったからね。その間に大哲君や山下君も来るようになり、仲良くなったのはスケートボードを再開した3年前くらい。

山下:僕はこの中ではちょっと異色な感じで、スケートボードを始めたのは32歳なんです。当然、丸居君の存在も知らなかったし、何のツテもなく長居公園に来たらめちゃうまい人がいっぱい。「YouTubeで見たトリックやん!」みたいな状態で、とりあえず話しかけることから始めました。知定君や大哲君にも話しかけて、気づいたらスケーターの友だちばっかになってたんです。

武田:32歳で始めた時、既に子どもいたもんね。

山下:しかも、3人目がちょうど生まれたタイミング(笑)

子育てがさらに忙しくなるタイミングなのに、思い立ったんですね(笑)

山下:昔からストリートファッションが好きだったんでとりあえずスケートボードを買ってみて、時間はあんまりないけどやり始めたら…。おもろいし、友だちも増えるし、ずっと長居公園にいる状態になりました…。

武田:ほんまにめっちゃおった!

丸居:しかも滞在時間が長い!

石川:朝帰りとかもしょっちゅうでしたよね。

山下:休日は子どもと遊ばなあかんのに、朝帰りしてるから昼まで寝てしまうし。平日も仕事終わって深夜まで滑ってるから、家庭の危機が何回もあった(笑)

ご無事でよかったです(笑)。今は公園内で滑ることは全面禁止されてますが、昔から長居公園はスケーターが集まる場所でした。人が人を呼ぶってこともあるでしょうし、その理由って何なのでしょうか?

武田:路面がいいんですよ。

石川:スタジアムの前あたりとか、めちゃくちゃ滑りやすいですし。

丸居:広いし、満足できる明るさじゃないけど深夜でも街灯がある。それに、僕らの用語で言うキックアウトされない環境。「帰りなさい!」「止めなさい!」と言われないから、24時間いつでも滑れる場所だったんです。街中でスポットを攻めてると警備員や警察にキックアウトされるけど、ここはゆっくり滑れるので、大阪に引っ越してくるスケーターはけっこう長居公園周辺を選んだりもするほど。

まさに聖地だったんですね。

丸居:毎晩20人くらい集まってても、半分くらいは地方出身者でしたから。

石川:「スケボー・長居公園」って検索ワードがすぐ出てくるくらいやし。

武田:それに丸居君もそうですけど、やっぱレジェンドたちがいるんですよ。UFCやRIZINにも出てる総合格闘家のストラッサー起一さんとか。

丸居:起一君は僕の1つ上で地元も同じだから、10代の頃はずっと一緒に滑ってたんですよ。

武田:金ネックレスで坊主の起一さんが滑ってる姿は、マジで怖かったです(笑)

丸居:しゃべると優しいけどガタイもデカイし、真剣な顔で滑ってると確かにイカツイかも。でも、今でも総合格闘技の第一線にいてるから、やっぱすごい人でしたね。他にも長居公園出身のスケーターで花開いた子もいっぱいいて、大哲君もその一人。スポンサーもめちゃ付いてたもんね。他の場所にはないスケートボードに適した環境があったので、うまい人がたくさん輩出されたんだと思います。

石川:ほんと、マジで極上の場所やったんですよ、僕らスケーターにとってはね。

長居公園で僕らは散々やってきたけど、次の世代に何も残せないまま滑れなくなるのを見てるのがツラかった。酒を飲んだ勢いで、大阪市に問い合わせをしてしまって…。

皆さんの関係性や長居公園がスケーターから選ばれる理由も分かったので、では本題に!今回、長居公園にスケートボードパークが誕生しましたが、そもそもこのプロジェクトがスタートするキッカケは何かあったんですか?

武田:実は東京に単身赴任してて、大阪に戻って来て久しぶりに長居公園に行ったらめちゃくちゃ警備が厳しくなってたんです。コロナ禍やスケーターが急増したってのもあるけど、行っても滑れない状態でした。

山下:コロナ禍でみんな行くあてもなかったし、若い子もめちゃ増えてたんですよ。ある夜、何か違和感あるなと思ってたら一部の街灯が消えてて、また別の日に行ったら今度は街灯が全部消えてた。ライト買って滑らないといけないような感じだったんです。

石川:それから警備員が車の中で待機するようになって、スケーターを見つけたら「スケボー禁止ですよ」って言ってるし、ちょっと休止してから滑り始めて、また注意を繰り返しされるような感じになっていましたね。

山下:でも、ほんとに誰も滑れなくなってきたんです。

丸居:滑ってる場所をイベント用の柵で囲まれたりもしてたし。

石川:スケーターが帰るまで警備員も常駐するようになり、挙げ句の果てにはスケボー持って歩いてるだけでも「スケボー禁止!」って言われてましたから。

武田:警察も巡回するようになっていよいよ本格的に規制も始まり、みんなどんどん違うスポットに行くようになったんです。長居公園には思い入れがあるし、いい青春時代を過ごさせてもらい、いろんな人とも出会えた。この場所がなくなると、これからスケートボードを始める子にとっては出会いのチャンスが1つ消えることにもなる。僕らは散々やってきたけど、結局次の世代に何も残せないまま滑れなくなるのを見てるのはツラかったんです。そんな話を先輩と酒を飲んでしてる時、勢い余ってしまって…(笑)

丸居:それがファインプレーやで(笑)

武田:我慢できずに、「僕が大阪市に連絡しますわ!」と言って、問い合わせフォームに想いを書き込んだんです!

何て書いたんですか?

武田:警備員や警察も巡回してるけど、長居公園ではまだまだ滑ってる子がいる。このままだとイタチごっこが続くから、何とか提案させてほしいですって。でも、酔い任せやったし、どうなるかなと思ってましたが、「話を聞きたい」とすぐに連絡が返ってきたんです。まさかの展開に「えー!!!」って、ビックリしましたね(笑)

確かにファインプレーですね(笑)

丸居:長居公園側はあふれるスケーターに悩んでて、オリンピックの競技種目に決まる前からイタチごっこが続いてた状態。どうにか整備できないかという話を大阪市に上申してたんですが、有識者もいない。それならスケートボードに詳しい人を紹介してほしいと伝えてたらしいんです。

武田:そんな時に、僕が酔っ払って問い合わせをしたと(笑)

丸居:大阪市としても、ちょうど求めてた人材(笑)。それで武田君と『わくわくパーククリエイト』さんをマッチングしていただいたんです。

それはいつくらいの話だったんですか?

武田:2年半くらい前ですかね。我ながらグッドタイミングでした。それで大阪市側から長居公園の指定管理事業者である『わくわくパーククリエイト』さんを紹介してもらったんです。いろいろ話し合う中で、スケートボードがオリンピックの競技種目になる可能性があったり、今後さらに競技人口が増えるかもしれないということもあり、大阪市の公園指定管理整備事業としてスケートボードパークの建設がスタートしました。

トントン拍子すぎませんか?まさか、まさかの展開ですよね。

武田:マジでビックリでしたね。でも、ちょうど2021年2月頃に中之島公園のスケートスポットがニュースに取り沙汰されて、大きな問題になったんです。その影響もあり、大阪市としては対応に追われていたんです。

まさかの展開から、さらにまさかの展開に…。

武田:大阪市としては民間企業のノウハウを活用して対応を検討されているようでしたが、どうなるかと思ってたところに、長居公園の指定管理事業者である『わくわくパーククリエイト』さんの神原社長が、「じゃ、うちが全額出すわ!」と言っていただけて(涙)。神原社長の男気に、僕らはめちゃくちゃ感動したんですよ。

丸居:ここは税金で作られた公共のスケートボードパークだと認識してる人が大半だと思いますが、費用は行政じゃなくて『わくわくパーククリエイト』さん。ほんと神原社長の男気で完成したパークなんですよ。だから、僕らはもう足向けて寝れません。

ローカルスケーターを代表する皆さんの想いが神原社長にも届いたんでしょうね。「何とかしたろ!」みたいな感じで。

山下:とにかく僕らの意見をすごく真摯に聞いてくれました。いろんな企業から話があったみたいですが、あくまでも一般のスケーターを第一に考えてくれていて、そこは僕らと同じ考えだったのでほんとありがたかった。でも、最初の計画では今の広さの1/3しかなかったんです。

石川:それでは狭すぎるし、スケーターの抑制にもならず結局はあふれてしまう。そんな話を伝えながらいろいろ提案してたら、いきなり3倍の広さになったんですよ(笑)

山下:丸居君もさっき言ってましたけど、スケーターが長居公園に来るのは、広さと路面の良さ。それを理解していただけて、悩むことなく「じゃ、広くしよか!」と。

武田:いきなり園内の図面が出てきて、「この場所はどうや!?」みたいな感じでしたね。

話を聞いてるだけで、神原社長のファンになりそうです。

丸居:『わくわくパーククリエイト』さんとの話が始まった後は、さらにトントン拍子やったんですよ。僕らはスケーターだけど、プロでもアスリートでもないし、言わば末端の層。そんなスケーターがあふれてる現状に対して「あなたたちはどんなパークがあれば満足できるの?」と向き合っていただき、僕らのリアルな意見をしっかりと受け入れてくれた。もうね、すごいとしか言いようがなかったですね。正直、ここまでスケーターの意見を取り入れてくれるスタンスで、プロジェクトに関わらせてもらえるパークはないと思います。

武田:他のエリアでも行政と掛け合ってパークを作ろうとしてる人はたくさんいますけど、行政相手だからなかなか進まなかったり、止まってるという話もよく聞きますし。

丸居:普通は僕らの意見に対して守りから入るというか、リスクヘッジをすぐに考えるけど、『わくわくパーククリエイト』さんに関しては、「もっと意見して!教えてほしい!」というスタンス。そして、実現に向けて一緒に走ってくれる。ほんと、スケーターにとって理想のパークができたと思いますね。

僕ら、こだわりがオタクなんです(笑)。だから、持ってる知識や滑って気持ちいい感覚を全てブチ込んで完成したのが、このパーク。

では、皆さんそれぞれのプロジェクトの関わり方を教えていただければ。

武田:僕と山下君で『わくわくパーククリエイト』さんとのやりとりを行い、プロジェクト全体を見つつ、基本的な運営方法とかを考えました。

石川:僕は、知定君からパークの図面を書いてほしいと頼まれたので、基本の図面設計を担当。丸居君は、現場監督ですね。現場の視察をめちゃくちゃしてくれて、細かいところまでチェックしてくれました。

丸居:平日の仕事終わりとかに現場に顔出して、施工をめちゃ確認してましたね。ナイターの照明角度を調整したり、テストランして滑り心地を確かめたり。

石川:それぞれの役割があったし、マジで『わくわくパーククリエイト』さんと僕ら4人じゃなければできてなかったかも。

丸居:それは間違いない!

武田:トリックを決めたりするセクションを売ってる会社もあるので、その類のものを置くとどうしても似てしまうし、他と同じようなパークになってたかもしれないし。

営利目的のパークじゃなく、スケーターがほんとに楽しめる場所にしたかったと。もちろん、長居公園にあふれてたスケーター問題の抑制がスタートラインではありますけど。

武田:そうですね。打ち合わせに来る時とかにスケーターを見かけたら、「今パーク作ってるから、ごめんやけどガマンしてな!」って言うてました。

丸居:長居公園で散々滑り倒してきた僕らが言える立場じゃないですけどね。「もうちょっとやから!ガマンして!」って。

石川:打ち合わせに来るたびに、どんどん減っていきましたからね。「友だちにも言うといて!」と頼んでたから、広まっていったのかなと。

山下:大哲君に言われたら、みんな怖がるもんな(笑)

石川:やめてや、怖くない怖くない(笑)

でも、ローカルの子たちからすると先輩スケーターがこうやって動いてくれてることに希望を感じてたでしょうね。いろいろトントン拍子に進んでたそうですが、大変なことや苦労したことはなかったんですか?

山下:プロジェクトが進み出した当初は、不確定要素がありすぎて大変でしたね。実際、本当にできるのかどうかも分からなかったし、不安もありました。

武田:いろんな意味で注目度が高かったし、意見の集約が悩ましい所でした。

山下:知定君は長居公園歴も古いし、多かれ少なかれしがらみはあったと思いますね。要望とかもたくさんあったやろうし。

丸居:ほんとオリンピックで大注目されたからね。僕らはご縁に恵まれて携わらせてもらえたけど、やっぱりマネタイズより優先すべきなのは一般のスケーターが気軽に練習できる場所の整備でした。そこは『わくわくパーククリエイト』さん含めて、僕たち全員の共通認識であったと思いますね。

武田:あと、苦労したと言えば、まず僕らの言葉や認識が通じないこと。

山下:スケーターでは当たり前のことなんですけど、知識のない人からしたら分からないですよね。

武田:大哲君の基本設計をもとに設計会社に図面を起こしてもらったんですけど、レッジ(縁石)の高さが15cmやったんです。「なんやこの低さは!」と思ったんですけど、スケーターじゃないとその用途すら分からないのも当然やなと。だから、ほんと細かい部分まで伝えないといけませんでした。「レールのパイは何cmで、高さは何cmで」という感じで。

石川:逆に僕らはスケートボードのことは熟知してるけど、設計においては素人。そこの認識のすり合わせは大変でしたね。

丸居:具体的な数字で示すことに慣れてなかったからね。例えば、「レールの高さは地面から37cmでお願いします」と伝えてたけど、設計側は高さのTOP部分をパイの真ん中に合わせるのが基準だったんです。すると、パイの直径が6cmだから、必然的に高さは40cmになりますよね。実際、着工されて現場で見ると、僕らも目が肥えてるから見た瞬間に「何かちゃうな。ちょっと高いんちゃう?」って。で、聞いてみたらTOPの測り方が違ってたので、たかが3cmだけどやり直してもらいました。

その3cmの差は、スケーターにとってはもっと大きな差だったんですね。

石川:他にも、初心者向けに設定してたカーブの段差は30cmだったんですが、37cmで伝わってたからやり直してもらったり…。

丸居:「ここは初心者向けだから、お願いします!すいません!」って。オープンギリギリのタイミングで変更してもらいました。

「まぁ、しょうがないか。まぁ、いいか」とはならず、徹底的にこだわったんですね。『わくわくパーククリエイト』さんもそうですが、設計や施工会社さんもちゃんと納得させた皆さんの想いがやっぱすごい。

石川:妥協したら終わりですもん!

武田:レールも全て一回抜いて、やり直してもらってますから(笑)

石川:レールって横と縦の太さが同じだと、トリックする時にスケートボードのウィールが引っかかりやすいです。だから、縦の差し込みの部分を細くして埋め直してもらいました。

丸居:僕ら、こだわりがオタクなんです(笑)。だから、持ってる知識や滑って気持ちいい感覚を全てブチ込んだのが、このパーク。

皆さんの想いの結晶ですね。他にはどんな部分にこだわりが?

山下:長居公園と言えば路面がいいので、まずはこのコンクリートの床面。当初は大理石で見積もりしてたんですけどね。

石川:スタジアム側の路面と同じ石を使いたくて。

山下:でも、えげつない金額になってしまって(笑)。さすがにこれは無理やなと。

丸居:それでコンクリートにしたんですが、通常のスケートパークを作る時には導入できないようなすごい機械を使ってフラットにしてもらいました。日本の建築では勾配をつけるのが一般的だけど、あえてのフラットです。「雨水が流れない!」と散々言われましたが(笑)

石川:断固して、「勾配はゼロです!」と。

丸居:「ほんのちょっとでも勾配はつけた方がいい。雨が降った後は大変ですよ!」と言われ続けましたが、「水かきは僕らでやります!」って感じで譲りませんでした。勾配はない方が滑りやすいし、やっぱり楽しい。他のパークだと、ボールがコロコロ転がるくらい勾配がついてるところもありますからね。で、今朝も雨上がりだったんで水かきしてたんですが、大哲君だけ寝坊しました(笑)

石川:すいません…。社長出勤しちゃいました(笑)

武田:他には丸居君こだわりの床面のカッター(溝)ですね。

丸居:基本的に導線は縦向きで、長く広く使えるようにレイアウトしていて、レールやカーブも縦向きです。コンクリートのひび割れ防止のためにカッターを入れる必要があるんですが、導線に対して斜めにカッターを入れることでスケートボードが引っかからないようにしています。そして、レールやカーブ周辺のトリックを踏み切るところにはカッターを入れず、トリックしやすいようにしているんです。カッターのくぼみもなるべく極細の2mmにしてるので、他のパークよりも細いんじゃないかなと。

ほんとオタク領域のこだわりですね。

丸居:挙げればまだまだありますよ。初心者でも入りやすい、人数もたくさん収容できる、街中のストリートみたいなレイアウトもそう。それに、全長6mのレールは端の棒から50cm(4mのレールは30cm)はみ出すようにすることで、トリックしやすくしてます。市販のレールは端が角状になってるので、使いづらいしトリックする時に恐怖心が出てしまうんです。レールやカーブに塗ってる塗料も高価なもので、スケートボードがより滑りやすいものを選んでいて、ワックスのノリもいい。他にもサンフランシスコの有名なストリートスポットを再現したセクションがあったり、階段の幅を広くすることでケガをしにくくしていたり。セクションの踏み切り部分にはオレンジのフチを塗り、境目を肉眼で見れるようにすることでトリックに集中できるようにしたり。

このこだわりはオタク領域かもしれませんが、スケートボードとスケーターへの愛そのものですね。

武田:僕らも含めて街にいるスケーターのみんながここに来て、楽しんでもらうことが大前提ですからね。ストリートでも似たようなスポットがあるからこそ、ここが代用できる場所になればなと思ってます。

僕らもこの場所で出会い、今もずっとスケートボードを通じてつながっている。これから20年、30年先もそんな関係が築いていけるような場所にしたいなと。

皆さんの想いが詰まりまくったスケートボードパークが誕生したわけですが、今後の運営などについても聞かせてください!

武田:GWの5月8日まではテスト期間として9:00〜21:00の営業になりますが、5月9日からは24時間営業になります。僕らを含め、後輩たちにもある程度の権限を持たせて運営クルーを構成し、クルーの誰かが腕章をつけて見守る感じですね。パーク内での飲食禁止や上半身ハダカで滑らないといった規則もあるので、それらを案内したり、パークの清掃したり、セクションの破損箇所などを確認するのが僕らの役目。利用ルールとマナーを守り、他の公園利用者にも気持ちのいいパークにしたいですね!!

丸居:ルールやマナーをみんなに共有するような立場ですね。それと、このパークの特長でもあるのが、仕事帰りの方でもふらっと来て楽しめる24時間営業。利用するには事前登録が必要で、年齢を識別してQRコードで開錠できるようにしています。大阪府の条例に従い、利用できる時間に年齢制限をかけているので、24時間営業を実現することができたんです。

ナイター設備もしっかりあって、24時間楽しめるなんてまさにスケーター天国ですね。

丸居:最寄り駅からもすぐだし、しかも利用料は年間登録費の500円だけですからね。

石川:おまけにノーヘルOKです!当初は「ヘルメット着用で!」という話もあったんですけど、それだと意味がないなと。

丸居:スケートボードはストリートカルチャーだし、みんなヘルメットは嫌がるんですよ。公共のパークではヘルメット着用が義務付けられてたりしますが、そうすると街中で滑ってるスケーターたちは引き込めませんからね。せっかく街中にあるようなレイアウトのパークで、キックアウトされずに自由に滑れるのに「あそこはヘルメット着用だからうざい」なんて言われると、ほんと本末転倒なので。13歳未満はヘルメット着用を義務化してますが、それ以上の年齢の方は自己責任でお願いしてます。

確かに。運営する皆さんもスケーターだからこそ、スケーターの心理が分かるんですよね。この長居公園で4人が出会い、新たなパークの誕生に深く関わってきた皆さんにとって、スケートボードってどんなものなんでしょう?すごく抽象的な質問なんですが、教えてもらえれば!

武田:そうですね…。今までそんなに深く考えたことがないくらい、楽しいから滑ってきただけ。でも、改めて答えるとすれば、遊びと本気の間にあるものかな。ただ滑って遊んでるんだけど、自分と向き合える時間があったり、今までの自分を超えていける瞬間がある。精神的に追い込まれながら何度もトライして、何度もこけて、でもメイクできた時の達成感や充実感はたまらないんですよ。遊びだけど、いつも本気ですから。メンタルもめちゃ鍛えられたし、スケートボードがあったから自分の芯ができたんじゃないかなって思いますね。

丸居:僕は途中スケートボードから離れてる時間も長かったから、復活してから特に思うのは、常に物事に対して攻めの姿勢や考え方でいられるなと。正直、離れてる時は心のどこかでスケートボードをしてた頃の自分を引きずってて、「うまいって言われたぞ!大丈夫やぞ!」と、自分に自信を持たせようとしていたんです。きっと、スケートボードと関係のない人生を送ってる自分に自信が持てなかったんだと思います。

なるほど。やっぱりスケートボードは、メンタルのスポーツでもあるんですね。

丸居:スケートボードはスタイルに自分の色が出せるし、滑ってる時も「自分はこうだ!」と思ってるから、自然と自信が持てるようになるんです。だから、僕にとってスケートボードは人生の一部だし、GOOD MINDの根源だと思いますね。

石川:僕にとっては、足枷ですね。もう外すことのできない足枷(笑)

ちょっと闇を感じますよ(笑)。その足枷を外したいけど、外せない時期もあったと?

石川:最初は楽しくて趣味でしてたのに、やらなアカンみたいな感じになってた時期もあってね。ちょっと嫌気がさしてたことも正直ありましたね。

山下:大哲君はスポンサーもめちゃ付いてたしな。すごい荒れてる時期とか、長居公園に行ったらデッキが何枚も割れてて後輩連中はビビってたし(笑)。そんな時は、「ちょっとコーヒー飲みに行こや!」って、よく誘い出してましたね。

石川:よくないことなんですけど、自分の動きや滑りに納得できなくて…ついつい。誰かに怒ってるわけじゃなく、ただただ自分に腹が立ってるだけやったんですけどね。

プロとアマの境界線というか、その間にある気持ちの揺れ動きって当事者からするとツラいですよね。大好きなのに、しんどいみたいな。

石川:徐々にスケートボードと距離をおくようになった時期もあったんですが、このパークのおかげで「またやろう!」って思えるようになったんです。だから、完成した時はめちゃくちゃ感動したし、最高すぎましたね。まぁ、結局は外すことのできない足枷なんですよ(笑)

山下:その言い方…(笑)。僕にとっては、スケートボードは人生を変えたものかなと。32歳でスケートボードを始めてから友だちも100人以上増えたし、特に大人になってからほんとに仲のいい友だちができることってなかなかないと思うんですよ。僕なんかよりみんなめちゃくちゃうまいし、歳の差もあったりするけど、そんなことも関係なしに友だちができた。それもスケートボードの魅力やなと、実感してますね。しかも、普通じゃありえないプロジェクトにも関わらせてもらえましたから!

スケートボードが、皆さん自身の内面や人生に大きな影響を与えてくれたんですね。『タイガーラックスケートボードパーク長居』も、きっとたくさんのスケーターや人々に影響を与え、いろんな出会いを生み出す場所になると思います!最後に、このパークを待ち望んでいたスケーターのみんなにメッセージを伝えていただければ!!

武田:大阪が誇るスケートボードの聖地・長居公園で、みんなと再会できる場所ができました!僕らもこの場所で出会い、今もずっとスケートボードを通じてつながっているので、これから20年、30年先もそんな関係が築いていける場所にしたいと思ってます。もしスケートボードから離れてる人がいたとしても、時間はすぐに取り戻せるし、ここでまたつながっていきましょう!!

丸居:毎日滑って遊んでたあの頃のように、またみんなでワイワイできたら最高!スケーターみんなの想いが詰まった場所なので、OBの皆さんもぜひ戻ってきてくれたらうれしいです!!

山下:もう滑れないと思っていた長居公園で、正々堂々とスケートボードが楽しめるパークです。年齢やキャリアも関係なく、みんなで思いきり自由に滑りましょう!!

石川:スケーターにとって、ほんと最高のパークです。このパークから絶対、オリンピック選手が100%輩出されていくはず!!!

武田:それは間違いない!きっとバケモノみたいにうまい子が出てくると思うので、みんなでスケートボードを楽しみましょう!!!

Profile

タイガーラックスケートボードパーク長居 運営クルー

昔から長居公園で滑っていたローカルスケーターの武田知定、丸居賢次、石川大哲、山下真也で形成されるパーク運営クルー。長居公園にスケートボードパークを誕生させた立役者たちであり、オタク領域のこだわりと深すぎるスケートボード愛で、指定管理事業者の『わくわくパーククリエイト』とともにスケーター想いの最高のパークを作り上げた。

Instagram
武田知定:@tomosada_t
丸居賢次:@maru_411
石川大哲:@hiroaki666
山下真也:@shinkinpark_0519

Data

タイガーラックスケートボードパーク長居

大阪府大阪市東住吉区長居公園1-1
営業時間: 24時間(4月23日〜5月8日までは9:00〜21:00)
※本登録は9:00〜18:00

利用料: 年間登録料500円
登録についてはこちら

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