
FMラジオから聞こえてきた、アネゴ感あふれるバリバリの関西弁。あまりにイキの良いトークに声の主が気になってラジオ局のサイトをチェックしたら、声のイメージと全く違うゴージャスな美人で驚いた……というのが、私の赤松悠実さんとの一方的な出会い。FMと言えどしゃべりの面白さが不可欠な関西で、約10年もレギュラーを務めるトーク力は圧巻なのです。そんなあかまっちゃん(リスナーの間ではおなじみの愛称)が、YouTubeチャンネルで新企画をスタートしたと聞き、収録現場におじゃまして取材を敢行。6月にはベイビーをリリース予定とのことで、そのあたりも伺ってきました。
SPEEDやモー娘。に憧れて、小6で芸能事務所へ。
赤松さんはラジオの印象が強くて、今も冠番組「赤maru」を担当されてますが、もともとしゃべるのは得意だったんですか?
ぜんっぜん(笑)。全然です。ラジオのお仕事は21歳の時にオーディションで決まったんですけど、技術点はゼロだったらしくて。そらそうですよね、私それまでほとんどラジオを聞いたことなかったので。スタッフさんに聞いたら、「人間力」で選ばれたそうです。技術はこれから育てていこうって、覚悟して雇ってくださったのがFM大阪でした。
もともとDJになりたかったわけではないんですね。
歌って踊れるアイドルを目指してたんですよ。SPEEDとかモー娘。に憧れてダンスを習ってたんですけど、父親に「センターに立ちたいならダンスだけではあかん!」って言われて、芸能事務所に所属してレッスンを受けるようになりました。それが11歳、小学校6年生の時ですね。
ということは、芸歴は既に20年?
それぐらいですね。実家の奈良から大阪までレッスンに通って、再現ドラマに出たり、バラエティに出たり、ちょっとずつステップアップして。でも大学生の頃は仕事がゼロってこともありました。その仕事のない時期に、ラジオのオーディションに受かったんです。
いきなりDJデビューが決まったんですね。
最初は本当に知らないことばっかりで。知ったかぶりしてしゃべってたこともあったんですけど、知ったかはやっぱりバレますよね。それがわかってからは、開き直って、「私なんも知らんから!」っていうのを全面に出すようにしました。そうしたら、肩の力が抜けて。こうあるべきみたいなものに縛られず、私が、私スタイルを作ったらええねん!っていう割り切りができた瞬間でした。
そこで、今の赤松悠実スタイルが生まれたと。
未完成の私を、リスナーの皆さんの力で完成させてもらうというか。リスナーさん頼みますー!って感じでゆだねたところが、可愛がってもらえたのかなって今になって思いますね。懲りずに見守ってくれた、リスナーさんとスタッフさんの存在が大きいです。

ゲストのトークを引き出すスキルは、毎日の筋トレと一緒。
YouTubeの新企画「ユーチャンヌーボ」でもラジオでも、ゲストのトークを引き出すのがすごく上手ですよね。事前にどんな準備をするんですか?
あえて、あんまり準備はしないんです。私の場合は、そっちのほうが面白くできるってわかったので。準備しすぎないから、なんでもない話ですごい盛り上がれたりするんです。事前にすべて調べ尽くしている人より、あれも知りたいこれも知りたいって思っている人のほうが、相手も話しやすいと思うんですよ。ゲストをお迎えするときは、あなたのために空っぽのタンクを用意しました、この中をいっぱいにしていきましょう!って感じです。
なるほど……勉強になります。
もちろん、盛り上がらない場合もありますけどね。そういう場合はさくっと切り上げます(笑)

本当に初対面!?と思うほど、仕事や出産、子育て、果ては夫婦生活まで、盛り上がりまくりでした。
冠番組の「赤maru」では月~木まで、日替わりで芸人さんが出演されてますよね。
相手が芸人さんなので、芸人さんの番組だと思われがちなんです。芸人さんがメインで、私がアシスタントって。だから、「あ、これは赤松の番組やな」って、聞いている人に納得してもらえる仕事をしないといけないっていうのは、すごく意識してます。
そこはやっぱり、自分の冠番組としての責任感というか。
気を抜けないですよね。始まった当初は、私も芸人さんも探り探りの部分があったんです。でも回を重ねるごとにだんだん噛み合ってきて、今はお互い信頼し合えてるなっていうのが実感できる。だから私も、常に全力で挑んでます。
日替わりで芸人さんを相手にトークって、大変じゃないですか?
そこは、ずっとラジオを続けてきたことで、知らない間にスキルが身についてました。筋トレもそうですけど、続けるうちにいつの間にか筋肉がつくじゃないですか。そんな感じで、少しずつ力がついてたんだなと思います。

錚々たるメンツの芸人さんを相方に、さらにトーク筋肉は増強中。
「私、チャンスはピンチだと思ってるんですよ」
今までの活動に加えてYouTubeチャンネルを開設したのは、どんな理由が?
自分のキャラクターとか強みを、映像でも発信したいなと思って。ラジオではいつも正直にしゃべってるんですけど、テレビは自分を通じてディレクターさんの指示を伝える仕事になってしまう。そこに違和感があって、やっぱり自分の言葉で、自分の感想として伝えたいと思ったんです。
自分の言葉で、想いを伝えられる場に。
リスナーさんから相談をもらうことも多かったので、そういう声にちゃんと応える場も作りたかったんです。2020年3月に開設したんですけど、コロナもあったので、自分で発信できるメディアを作ったのはタイミング的にも良かったと思います。
コンテンツ企画はすべて、赤松さん自身が考えるんですか?
カメラマンと二人三脚で、思いついたらやってみようって感じです。でも途中から、何がしたいかじゃなくて、何をしたら数字が取れるかを考えてしまってたんですよ。したいことをするために開設したのに、これはダメだ、数字を追いかけるとしんどくなるって、一回気持ちをリセットしました。

新企画の「ユーチャンヌーボ」は、ゲストを迎えるスタイルですよね。
私1人だと知識やキャラクターにも限界があるし、単純に新しい知識を持った人の話を聞きたいなっていう思いもありました。あと、関係者が見たときに、「赤松インタビュー上手いな」って思ってもらえたらいいなと。

あ、自分のPRにもなるんですね。
自分を商品だと考えたときに、世の中に出すものはすべて、ちゃんとしておきたいんです。私、チャンスはピンチだと思ってるんですよ。
ピンチはチャンス、ではなくて?
チャンスには、常にピンチも備わってるんです。表に出られるのはチャンスだけど、その時にちゃんと自分の技術やキャラを出さないと、評価してもらえない。下手すれば、ダメな人だとレッテルを貼られる危険もある。だから、チャンスの時こそピンチが潜んでると思って、自分の持てるものは全部発揮しようと思ってます。
そのセルフプロデュース力も、長く活躍されている秘訣なのかなと思います。
でも昔からというわけではなくて、特に意識し始めたのはここ1~2年かな。冠番組というチャンスをいただいて、注目されているというピンチ感が常にありますね。
ちなみに、冠番組の話が来たときは、どんな気持ちでした?
大丈夫かな?って思いました。でも夫が、「やってみて、もしあかんかったらやめたらええやん」って言うんですよ。私、無駄に責任感が強くて、始めたことは最後までやり通さないと!って思い込んでたんですけど、そうか、あかんかったらやめたらいいのかって。それで思い切って始めたら、すごくハマったんですよ、私も、番組も。

仕事を取っても一緒にいてくれる人と出会って、最強になれた。
旦那さんが背中を押してくれたんですね。結婚されたことで、気持ち的には何か変化はありましたか?
結婚して、強くなりました。私にはもう大事な人がいるから他の人にどう思われてもいいし、媚びたり取り繕ったりすることもない。仕事でも、自分のままで素直にやってダメだったらそれでいいっていう気持ちがあるから、大胆になれましたね。いま多分、最強だと思います。
最強!
私今まで、自分から仕事を取ったら何もないと思ってたんです。でも夫は、私がタレントじゃなくても関係ない。そこで初めて、私生活の赤松悠実に確固たるものができたんです。仕事を取っても私と一緒にいてくれるだろうなっていう人と結婚して、無敵ゾーンに入りました。
無敵!!でも、その媚びなさや大胆さが、タレントとしての魅力になっている気がします。
私の場合はそうですね。ラジオではずっと自分の言葉で正直にしゃべってきて、その人間性をリスナーさんも信頼してくれてると思うんです。だから今はタレントとしても、一人の人間としても、言動が一致していることは大切にしたいです。

6月には赤ちゃんも生まれる予定なんですよね。
今度は、仕事、子育て、自分の楽しみをバランスよく両立できることを証明したいですね。女性が働きながら結婚や出産を選ぶのは、勇気がいると思うんです。だからこそ、前向きに結婚や出産を選んでも、自分の人生を妥協しなくてもいいんだよ!ってことを伝えたい。最強伝説をさらに超えていきたいですね。
ちなみに、ご結婚されるとき、タレントとしてためらいはありました?
男性ファンは減るかなって思いました。…あんまり変わらなかったですね。女としてみてないんかいって(笑)
将来的にやりたいことや叶えたいことって、どんなことですか?
やっぱり細く長く、この仕事をしていたいですね。
東京進出とかは?
昔は考えたこともあります。でもラジオが決まって大阪にとどまって、本当に良かったと思います。私はしがめばしがむほど味が出るタイプなので、東京で疲弊するより、大阪で壊れずに長く仕事できるほうがいいです。
お子さんが生まれたら、YouTubeに登場する機会も増えそうですね。
そうですね。できたら、出産の一部始終を収録して流したいんですよ。でもコロナでなかなか難しいので、定点カメラを置いて撮影しようかな、とか。出産って本当に「究極の素の自分」だと思うので、そこもオンエアできたらって考えてます。

赤松 悠実
1990年1月16日生まれ、奈良県出身。2012年からFM大阪でDJを担当し、現在は”真っ赤な本音”をコンセプトにした「赤maru」のメインDJを務める。YouTubeチャンネルでは特技の料理やゴルフも披露。ピラティスの奥深さに目覚め、将来はピラティススタジオを開設したい!という夢も。