入り口はキャッチーに、中身はディープに。満を持して京都にオープンしたレコードショップ・pinks vinylの正体。
今、“わざわざ”レコードを買う人って、本当に好きな人しかいないんです。

「レコードのセレクトはこだわる」という話が出ましたが、オープンしてから特に力を入れているジャンルはなんですか?
タカト:今は、誰もが知っている王道のアーティストが多いですね。マイケル・ジャクソンとかマドンナとか。二十歳くらいの頃は「みんなが知らないアングラな音楽で上がってるのがかっこいい」って思ってたりもしたけど、今は定番の音楽に興味があります。やっぱり世界的に売れてるのには理由がありますからね。
一方で、CH.0さんのような長いキャリアを持つDJにとっても熱いレコードも揃っているわけですね。
CH.0:自分は京都に長く住んでいますが、似たお店は恐らくないと思います。京都は比較的ジャンルごとに特化した店舗が多いし、大手のお店も東京とか大阪に比べると少ないので、間口が広い個人店は、むしろユニークに映る気がしています。

オープンしてからまだ数ヶ月ですが、お客さんからの反応はいかがですか?
CH.0:土地の関係で、ふらっと訪れられる場所ではないんですけど、だからこそ来る人は本気の人が多いとは思います。何も買わずに帰る人はかなり少ないですね。
たしかに、京都の中でもやや奥まったエリアですもんね。「せっかく来たからには良いレコード掘り出したい!」って思いそうです。
タカト:遠方からわざわざ足を運んでくれたことを聞くと、めちゃめちゃ嬉しいですね。ダイちゃんやCH.0君の友達も来てくれたりするんですが、そういうのも僕1人でやってたらありえない。僕が代表ではありますが、やっていけてるのは二人のサポートのおかげです。

ちなみにCH.0さん、GRADEEさんから見て、お店がオープンしてから、タカトさんのこういうところが変わったなって思うところはありますか?
CH.0:やってることとか性格は変わってないけど、前よりもエネルギーに満ちているというか、火力が上がった感じがしますね。
タカト:たしかに「よっしゃやったるぞ!」っていう気持ちにはなってますね。

GRADEEさんはいかがですか?最近のタカトさんの変化は。
GRADEE:変わったところ。そうですね……、んー……。
タカト:なかったらええで!(笑)
GRADEE:火力が上がったところです。
タカト:それもう言うたって!(笑)
一同:(笑)

この時代にレコードを売買することの楽しさだったり面白いところを、それぞれコメントいただいても良いですか?
GRADEE:かつて自分がお客さんとしてレコ屋に通っていた時の店員さんの気持ちが、今なら分かるんですよね。「あの時こんな気持ちやったんや」ってしみじみ思います。だからこそ、僕がかつてレコ屋の店員さんに「これかっこいいすよ」って教えてもらっていたように、今お店に来てくれた人に僕が伝える、みたいなコミュニケーションをとりたいですね。
タカト:自分は、他とは違うきっかけ作りをできた時が嬉しいですね。本来、レコ屋って「こんなレコードが入った」と宣伝して、お客さんに来てもらいますが、『pinks vinyl』は、違うアプローチで「気になる」って思ってもらえるのが特徴だと思います。レコードにハマるかハマらないかはその人次第ですが、「この映像やってるお店面白そう」と思って来てもらえた時はやってて良かったと思います。
CH.0:レコードって衣食住から離れたものだから、万人が必要としているわけではない。お客さんのパイが少ないのは、難しいところだと思います。でも裏を返せば「好きな人しか集まらない」っていう良さがあるんですよね。今、“わざわざ”レコードを買う人って、本当に好きな人しかいないんです。だからこそ実店舗があると、実際に足を運んでくれる熱量の高い人たちと対面で話せるのが楽しいです。これはオンラインの時にはなかった醍醐味ですね。

素敵ですね。対面だからこそ生まれるコミュニケーションがありますもんね。
CH.0:それから、お店があることの良さは、やっぱりレコードを一覧できるところですね。オンラインやと、ストックリストを一覧で見るのが難しいんですよ。今はお店に全部並んでるから「タカト、こんなん持ってたんや」っていうのが分かるし、購入もできる。......もはや、お客さん目線で喋ってますね(笑)
CH.0さんは、メンバーでもあり、同時にお得意さんでもあるんですね(笑)
タカト:この店の和モノのレコードを一番買ってるのは間違いなくCH.0君ですからね。
CH.0:家も近いので、夜な夜なレコードを物色しています。オンライン時代から、数年をかけてやっと理想の状態を作ることができました。


実店舗を持ったからこその展望だったり、やりたいことがあれば教えてください。
タカト:お店ができてからは、マーケットに出店しに行ってないので、今後はやってみたいなとは思います。
出店依頼を取ってくるために、またCH.0さんの“外交力”が必要になりそうですね。
CH.0:頑張ります。僕には一円も入らないですけどね(笑)
タカト:代わりにCH.0君が買うレコードは少し値下げしたりしてますよ(笑)。まあそういう意味では、3人でやって売上も折半していたオンライン時代と比べると3人の関係性も少し変わったけど、CH.0君とダイちゃんがいないと店舗オープンはできなかったですね。感謝しています。

<3人のお気に入りスポット>
平安湯(京都市左京区吉田下大路町)
pinks vinylのすぐ近くにある銭湯で、よく行ってます。CH.0君がpinks vinylで買い物が終わったあと、2人でよく行きます。(タカト)
なぶら元田中店(京都市左京区田中里町ノ前町)
ラーメン店で、この辺では珍しく夜1時まで営業しています。この辺りに住んでると夜9時くらいで既に深夜くらいの静まり方なので、助かりますね。(CH.0 )
枚岡神社(東大阪市出雲井町)
自分の地元・東大阪のおすすめスポットで、ランニングする時とかにもよく通ってます。滝行もできたり、秋祭りっていう大きなお祭りもあって小さい頃から好きな場所です。(DJ GRADEE)

pinks vinyl
住所: 京都市左京区田中東春菜町30-3 THE SITE - C
時間: 13:00〜19:00
休み: 火曜・水曜
TEL: 075-741-8399

ニシウチタカト
岡山県出身。大学進学を機に大阪に出てHIPHOPシーンに触れる。共通の友人を介して出会ったGRADEEと意気投合して遊ぶうちにTha Jointzのメンバーとも出会い、自然とクルーに加入。現在は、『pinks vinyl』オーナーとして店舗運営やレコードの買い付け、買い取りを行う一方で、映像ディレクターとしてブランドCMやアーティストのPVなども作成する。

CH.0(チョウ)
京都出身・在住のDJ/ビートメイカー。兄の影響で小学生時代からHIPHOPに興味を持ち、高校からDJの活動をスタート。二十歳ごろには、西海岸のHIPHOPカルチャーに触れるため、カリフォルニアで丸一年ほどを過ごす。現在は自主レーベル・「Onda Bubbles」のファウンダーとして関西から発信を行う一方で、KID FRESINOのライブDJとしても全国的に活動中。

DJ GRADEE(グラディー)
東大阪出身。大阪を拠点に活動するHIPHOPクルー・Tha Jointz所属。小学生時代から周りと違う音楽性を養い、高校からは日本語ラップに熱中する延長で海外のHIPHOPも聞き始め、DJデビュー。『pinks vinyl』のCMに出演する名アクターとしても知られる(他の2人からの呼び名は「ダイちゃん」)。