終焉を迎える味園ユニバースで送る、怒涛のエンターテインメント「全日本赤犬歌謡祭」

2025年7月5日、大阪・千日前のランドマークとして親しまれてきた味園ビルが、約70年もの歴史に幕を閉じました。6月29日には地下のライブホール・ユニバースにて13人編成のバンド・赤犬がワンマン公演「全日本赤犬歌謡祭」を開催。ユニバース、そして味園ビルの終焉を惜しむバンドと観客の熱気が一体となり、2時間半にも及ぶ凄絶なステージが展開されました。今回は、赤犬のメインボーカルを務めるタカ・タカアキによる公演レポートをお届け。キャバレーからライブホールとなったユニバースで最初にライブを行い、ホームとしてきた赤犬だからこそ実現した、やりたい放題の限りを振り返ります。
開場から見逃せない、ものまねスターたちの夢の饗宴!

みなさま、ごきげんよう。赤犬のメインボーカル、タカ・タカアキです。
2011年以来、ライブホールになったユニバースで開催してきたワンマン公演「全日本赤犬歌謡祭」ですが、味園ビルの閉館にともなって、ついに最後の時を迎えてしまいました……。勘違いされるかもしれないので念のため、味園ビルとユニバースが終わるということで、我々は今後もしぶとく活動していく所存です。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、我々、2025年2月にも閉館を見据えたワンマン公演を行ったのですが、ユニバースの総支配人こと地獄大帝ゴーゴンより、「もう一度、本当に最後のユニバースでの全日本赤犬歌謡祭をやれ!」と指令が下り、急遽、今回の公演が開催されることになりました。




夏の日差しが照りつける中、会場は16時にオープン。全日本赤犬歌謡祭では、毎回、様々な物販が展開され、さながら物産展の様相を呈していますが、今回もTシャツにフィギュア、ファンシーグッズなど、多様な商品が販売されており、おかげさまでたくさんのお買い上げをいただきました。なお、書類から弁当箱まで、なんでも入るトートバッグは、まだまだ在庫がございます。次回以降のライブで見かけた際は、お1人につき3個お買い上げください。

開場と同時に始まったのが、全日本赤犬歌謡祭ではおなじみの歌謡番組コーナー。今回は、「オールスターものまね王座決定戦」が催され、どこかで聞いたことあるような名曲が、どこかで聞いたことがあるようなものまねスターたちによって披露されました。司会は、レギュラーのグッチ&ともみそ、アシスタントを2025年5月にデビューしたばかりのフレッシュな2人組アイドル・ELLICが担当しました。




トップバッターは、シンガーソングライター・溝渕厚さんのものまね一筋のヒロキが、『おにやんま』を熱唱。熱いメッセージソングで会場を沸かせました。2番手は、ものまねユニット・東京レンジャーズの一員であるどっこい浜中。松竹亭円笑さんによる猥歌の名曲『パイオツポルカ』が高い再現度で披露されました。続いて登場したKIYOMIは、台湾のスター歌手・陽鈴鈴(ヤンリンリン)が日本でヒットさせた『霧のあべの橋』をハスキーに歌い上げました。
審査は「ブルースの女帝」の異名を持つ阿波座より子さん、童謡からアンビエントまで、幅広い作風で知られる作曲家のロッキー星野さんが担当。鋭くも温かい批評で、出演者たちをジャッジします。




後半戦は、ものまね三銃士の1人、ナゲットが歌う五美きよしさんの『よこすか・なかおれ』でスタート。似ているを通り越してオリジナルの域に達した顔芸、クライマックスでのかつら開閉ギミックなど、数々のアクションで爆笑をかっさらいます。しかし、これが阿波座先生の逆鱗に触れ、あやうく失格の窮地に。誠意の土下座でことなきを得るという肝を冷やす場面もありました。
トリを飾る岡浩司は、純烈の元メンバーである小田井涼平さんのソロ曲『六本木は嫌い』をムーディーに歌い上げますが、なんと中盤から御本人が登場! 2月の公演に続いてのサプライズ出演に場内も大いに盛り上がりました。
すべての出演者の歌唱が終了し、厳正なる審査の結果、優勝は『おにやんま』を歌唱したヒロキに決定。熱唱につぐ熱唱で、場内はすっかり火曜ワイドスペシャルを見終えたような茶の間テンションに。改めてになりますが、こちらは開演前の催しで、今からが本編になります。


赤犬
1993年、大阪芸術大学の学生で結成。大阪のライブハウスを中心に活動し、2010年、二代目ボーカルとしてタカ・タカアキが加入。2015年には渋谷すばる主演の映画『味園ユニバース』に本人役で出演する。各種イベントへの出演のほか、ワンマン公演『全日本赤犬歌謡祭』など、自主企画も開催している。2023年に30周年を迎え、現在もマイペースに活動を展開中。