心が赴くままに、楽しい“遊び”を提供し続けたい。大阪発の4人組バンド・DENIMSと、彼らが主宰するパーティー『ODD SAFARI』について。
4月13日(日)の『ODD SAFARI vol.7』は、僕らが味園ユニバースで開催する最後のイベント。音楽が好きな方はぜひ足を運んでください!

昨年の『ええあそびばtour(※)』も面白い企画でした。
※「全国のおもしろい場所で、おもしろい人たちと、おもしろいコトを!」をテーマに、大阪のクルーズ船をはじめ、福岡のカフェや東京のボウリング場、滋賀の診療所など全国5カ所を回ったツアー。
釜中:あれめっちゃ面白かったな。ノルオブも来てくれて。
ノルオブ:いいライブしてたね。肩肘張ってなくてめっちゃ良かった。
どなたの発案だったんですか?
釜中:考えたのは僕っすね。変なところでツアーをやってみたくて。『ええあそびばtour』ていうタイトルはおかゆのアイデアです。
江山:最初は『変なとこを回るツアー』みたいな名前やって。
釜中:“変なとこ”っていうのも失礼やなって言ってたらおかゆが出してくれました。おかゆはむっちゃワードセンスあるんすよ。アルバムや曲の名前はおかゆに頼ることも多いです。
回った中で印象的だった場所はありましたか?
釜中:全部楽しかったから難しいなぁ。その地域でパーティーやってるDJを呼んだりして、僕らはもともとDJやヒップホップのパーティーでバンドをしたいっていうところから始まったバンドなので、今回のツアーはめっちゃ性に合ってるなと思いました。ライブハウスを回るワンマンツアーも頑張っていきたいけど、こういう毛色の違う企画もめっちゃいいなって。
江山:福岡の『como es』っていうカフェでライブをしたんですが、小さなハコなので喫煙所もお客さんと一緒だったりして。タバコを吸ってたら、「こんな小さいハコでやってくれてありがとうございます」ってお客さんに言われたんです。僕らは規模でライブの場所を決めてるわけじゃないし、むしろどこでもやりたいくらいだけど、こんな風に感じてくれる人がいるんやなって。いつもより僕らを身近に感じてもらえるんやと思って、こういうツアーっていいなと思いました。可能であれば今後も続けていきたいです。

4月13日(日)に『ODD SAFARI vol.7』が開催されます。改めて、どんなイベントなのか教えてください。
釜中:『ODD SAFARI』は7年前に味園ユニバースで始まったイベントです。当時は味園でライブをやってるバンドが周りにいなくて、先輩たちのライブを見に行った時に「俺らもここでやりたい」って強く思って、味園ユニバースありきでスタートしました。
『ODD SAFARI』は文字通り「奇妙な体験」みたいなことをイメージしていて。愛はズボーン、ナードマグネット、ドミコ、TENDOUJI、Tempalay……。当時のシーンのつまはじき者というか、メロコアとかギターロックっていうわかりやすいジャンルじゃないバンドを集めて一括りにできたらなと。みんな似通った音楽性ではないけれど、“属さない人たち”っていう共通点があって。自分たちの音楽を追求している、僕らの好きな人をブッキングしてきたイベントです。
ノルオブ:なんかわかるよ。DENIMSやTempalayとかって、ただ音楽だけでつながった仲間だから結束がめっちゃ強いんだよね。

これまで会場として使用してきた味園ユニバースでの実施はラストになりますね。
釜中:大好きな会場なので寂しさはありますね。今回のポスターは、味園ユニバースではラストということで、いつもお願いしているイラストレーターのDLOPくんにお願いして味園っぽさを出していただきました。
味園ユニバースが閉館しても、『ODD SAFARI』自体は続いていくんですか?
釜中:まだ明確には決まってないですが、必ず別の場所で開催したいと思っています。
岡本:「『ODD SAFARI』はめっちゃいいイベントやから、ここがなくなっても絶対に続けてほしい」と、以前ユニバースのオーナーさんが言ってくれて。ある意味僕らだけのイベントじゃなく、色んな人の思いが詰まったイベントになりつつあるのかなと。頑張って続けていきたいと思っています。
味園ユニバースでの思い出はありますか?
釜中:僕は『ODD SAFARI』を始める前に、先輩のイベントに酔っ払ってスケボーで乗り込んで、ライブの最前列にいたお客さんに突っ込んじゃったことがあるんです。強面やけど優しい方で、「お前めっちゃおもろいやんけ」って言われました。
岡本:で、僕がカマチューにぶつかられたっていう人に飲み屋で再会して。DENIMSっていうバンドやってるって言ったら、「え、カマチューの?ユニバースのライブ中にカマチューがスケボーで突っ込んで来てんけど、そのDENIMS?」って聞かれました。「ご迷惑をお掛けしました」って謝っといた。ちなみに『サカソング』のマスターさんでした。

釜中:そんな思い出もあって、味園ユニバースってめっちゃええなと思ってて。
岡本:それでまとめるのはさすがに無理あるって。
江山:Chilli Beans.やego apartmentを呼んだりとか、2023年から『ODD SAFARI』のブッキングの感じがガラッと変わってて。それまでは仲間とか、どこにも属さないバンドが中心だったけど、僕らも先輩になったから若いバンドを呼んでいこうかと。そしたらイベントがめっちゃ盛り上がったんです。その年から若いバンドを呼び始めて、そこから『ODD SAFARI』も別の化け方をしたように思います。
釜中:ライブが楽しすぎて、全員打ち上げまで参加したもんなぁ。

数年前から芸人さんも出演されていますよね。
釜中:それもきっかけがあって。ある時、ロングコートダディさんから単独ライブでDENIMSの曲を使っていいか連絡が来て、「もちろんいいですよ」っていうところから、DENIMSのグッズを送る流れになったんです。そしたらおかゆの近所に堂前さんが住んでいて。
岡本:めっちゃ近所やったんで直接渡して、そこから交流が生まれました。堂前さんがやってる芸人バンド「ジュースごくごく倶楽部」と対バンさせてもらったりとか。
釜中:ジュースごくごく倶楽部のメンバーが色んなコンビの集まりやから、そのコンビを呼んでライブをするようになって。ロングコートダディさん、ニッポンの社長さん、マユリカさん。で、今回は滝音さん。4年前から始まったノリやけど、関西人は芸人さんへのリスペクトがすごいんで、お客さんもめっちゃ盛り上がってくれますね。
江山:歓声も1番すごいよな。芸人さん目当てのお客さんがめっちゃいるとかではないけど、バンドを観に来たそれ以外のお客さんが、芸人さんのステージをめっちゃ楽しんでくれてる。
釜中: ちなみに僕は最近エバースが好きで、YouTubeに上がってるネタとかめっちゃ見てます。僕とおかゆは『おぎやはぎのメガネびいき』っていうラジオをめっちゃ聴いてて、一時期の目標が「おぎやはぎさんに会いたい」でした。おかゆはメールを送って実際に読まれたりとかもしてて。ラジオネームなんやっけ?
岡本:“こんにゃく”やな。のちにラジオのプロデューサーさんに会わせてもらえることになって、「ラジオネーム・こんにゃくです」って自己紹介したら「覚えてます」って言ってくれました。
釜中:そこから『メガネびいき』で新曲を解禁させてもらったりもしてて。『メガネびいき』をきっかけにDENIMSを好きになったっていう方も多いんですよ。
江山:メンバーでラジオの収録を見学させてもらったりもしたよな。コロナ禍だったんで、カマチューとおかゆだけ出演させてもらって。
釜中:なんも喋れんかったけど……。
江山:カッチカチで全然おもんなかった。
岡本:『メガネびいき』のリスナーってシャイな人が多くて、「クソメン・クソガール」って呼ばれてるんです。僕らが出演した回のオンエア後にエゴサしたら、「DENIMSクソメンすぎてめっちゃ好感持てる」ってクソメンの方たちに言われてました。
お笑いのカルチャーともつながってるってすごく大阪らしいですね。最後に、DENIMSさんの今後の展望をお聞きしたいです。
釜中:納得する最高の音源やアルバムを作るのはもちろんですが、もう1度自分たちの強みって何だろうという原点に立ち戻って、そこをギュッと凝縮したいいものを作りたいです。その曲をリリースしてツアー会場を埋めて、いい感じに成功している姿を見せることができれば、関西住みのインディーズバンドに夢を与えられるんかなと。現実はなかなか厳しいですけど。
ノルオブ:いい感じのこと言ってるけど、とにかく色んな形で遊んでるだけでしょ。
釜中:僕らの遊びがより良い形になっていけば1番いいですね。
江山:リュックと添い寝ごはん、離婚伝説、Chilli Beans.、今年でいうとNagakumoとか、大阪以外の地域で生まれたバンドの子たちが、僕らの音楽をもともと聞いてて、『ODD SAFARI』に呼んでもらえて嬉しいって言ってくれるんです。だからそういう存在であり続けたいなと。そのためにも、いい曲を作っていいライブを続けていかなきゃいけない。僕らが僕ららしく続けていくために、気合いを入れて頑張ろうと思っています。
釜中:『ODD SAFARI』に出たら売れる、とか思ってくれるようになったら最高ですよね。


<DENIMSのお気に入りスポット>
THE MUSEN IN SHOCK(大阪市中央区南船場4-11-25)
メンバーの行きつけでもある立ち飲み店。MUSENに通い始めて、音楽関係以外の同い年の知り合いがめちゃくちゃ増えました。色んな人とのつながりを作ってくれた大切な場所です。(釜中)
立呑処 岡室酒店直売所(大阪市都島区東野田町3-2-13)
おっさんが1人飲みできる居心地のいい店が好きで、京橋で飲む時は大体ここに行きます。ここで隣になって仲良くなったおじさんもODD SAFARIに来てくれるみたいです。(岡本)
レザークラフトフェニックス(大阪市浪速区敷津東1-4-17 ニュー浪速第二ビル1F)
革や金具といったレザークラフトの材料を扱うお店。レザークラフトが趣味で、よく材料を買いに行きます。製作したものはライブの物販コーナーで販売することも。(江山)
PISTOL(大阪市浪速区幸町2-6-2 ADDICT bldg 2F)
『ODD SAFARI』でDJとしても出演してくれるmikityさんが営むヘアサロン。メンバー全員通わせてもらっていて、僕もイベント前に気合いを入れるため、この取材の日に髪を切りに行きました。(土井)
<INFORMATION>

ODD SAFARI vol.7
日程: 4月13日(日) OPEN 13:00 / START 14:00
会場: 味園ユニバース(大阪市中央区千日前2-3-9 味園ユニバースビル B1F)
チケット料金: スタンディング6,000円(+1Drink)、学割3,000円(高校生以下)
出演: DENIMS / グソクムズ / ザ・おめでたズ / MONO NO AWARE / TENDOUJI / muque / Nagakumo / 滝音
DJ: Mikity(PISTOL)
SHOT LIVE: HYPER TAMADE(KOPERU&ISSEI TERADA)
FOOD: DOCORICE / 酒パンつつみ
SHOP: FLAKE RECORDS

DENIMS
釜中健伍(Vo, G)、岡本悠亮(G)、土井徳人(B)、江山真司(Dr)からなる4人組バンド。ソウルやファンクをルーツに、ヒップホップ、ジャズ、パンク、シティポップなどさまざまな要素をMIXした絶妙にゆるくて心地いいサウンドで注目を集める。
HP: http://denim-s.jp/
YouTubeチャンネル: @denimschannel9695

THE HANARE IN SHOCK
『THE MUSEN IN SHOCK』の姉妹店。4月から営業日を増やし、木曜以外はオープンすることに。0時以降はカラオケもでき、普段使いはもちろん打ち上げや歓送迎会にもおすすめ。
住所: 大阪市中央区博労町4-3-14 柴田ビル 3F
営業時間: 20:00〜翌3:00
休日: 木曜休