心が赴くままに、楽しい“遊び”を提供し続けたい。大阪発の4人組バンド・DENIMSと、彼らが主宰するパーティー『ODD SAFARI』について。
DENIMSを結成したばかりの頃は精神的にキツい時期で。同世代のバンドとつながったことで、自分たちのやりたい音楽が見えてきました。

(ここで友人のノルオブさんが登場)
釜中:あ〜来てくれた! 今度『ODD SAFARI』のムービーを撮影してくれるノルオブです。もともとJABBA DA FOOTBALL CLUBっていうラップグループに所属していました。
ノルオブ:いきなり来てすみません。

釜中:ノルオブがいると裏を盛り上げてくれるので、どの現場でも重宝されてるんですよ。彼は普段東京なんですが、昨日僕と江山が観に行ってたドミコのライブの撮影で来ていて、打ち上げにも一緒に行ってたんです。
ノルオブ:「今日取材あるわ。来るか?」って言われて本当に来ちゃったけど大丈夫?打ち上げ後もカマチューとドミコのひかると一緒にいて、3人で『ODD SAFARI』の話をしてたんですよ。
釜中:ひかるとノルオブの方が俺より『ODD SAFARI』のことを考えてくれてて。ノルオブは第1回の『ODD SAFARI』にJABBA DA FOOTBALL CLUBとして出演してくれてたんです。ドミコ、愛はズボーン、tricot、TENDOUJI、Tempalay……、のりともSpecial Favorite Musicで出てくれてたし、今考えると第1回からすごいメンツが揃っていました。
せっかくなのでノルオブさんに質問なんですが、長い付き合いの中で感じるDENIMSらしさって何だと思いますか?
ノルオブ:ダメな大人じゃないですか? (即答)
一同:(笑)
ノルオブ:本人たちは全然ダメだと思ってないところがまた面白いんですよね。
岡本:……青天の霹靂やわ。

ノルオブ:そうそう、そういうところが1番滑稽で。俺がいないとDENIMSは崩壊する、俺がいるからDENIMSは成立してるって全員が思ってる感じが最高。そこがめっちゃDENIMSだなって思います。
これってバンドは大体そうなんですけど、DENIMSは他のバンドよりその感じが強くて。でも本人たちはゆるっとしてて、別にバンドを背負ってるわけでもないっていうスタンスがダメな大人感を増してるんですよね。
「DAME NA OTONA」の歌詞って自分たちのことなんですね。
ノルオブ:ね、あれってカマチューのことでしょ。
釜中:俺を含むって感じかな。一応“あいつ”って呼んでるし、自分じゃない風には歌ってるけど。
ノルオブ:「DAME NA OTONA」を聴くとみんなの顔が浮かぶもん。のりと以外の全員のことを歌ってるように思います。
土井:さっき『PISTOL(DENIMSが全員通っている桜川のヘアサロン)』に行ってきたんですけど、「カマチューさん最近マシになってきたよね」っていう話をオーナーのMikityさんとしていて。でも今日取材に来て様子がおかしいから聞いてみたら、「昨日から家に帰ってない」って。結局あんまり変わってないじゃないですか。

ノルオブ:でも取材にちゃんと間に合ってるからね。大きな成長でしょ。8時間前入りしてるからむしろ間に合いすぎてる。
岡本:昔、カマチューがあまりにも寝坊して遅刻することが多いから「カマチューだけ嘘の時間を伝えよう」ってなって、神戸に13時入りのところを12時半入りで伝えたんです。そしたら13時半に着いて。ちゃんとした時間を伝えてたら1時間遅刻やったわけで。掛けてるメガネにすら腹が立ってたわ。
ノルオブ:だけどこのダメな感じがいいんですよ。『RICORITA(2024年にリリースした4作目のフルアルバム)』とか考えられるようになってんだから、昔だったらそんな発想になんないし、人間的に成長してるんじゃない?
釜中:それは周りに言われたかもな。自分ではそんなつもりはないけど、リリースを通して人として成長してるのかな。でも今はすごくちゃんとした人みたいな見え方になってる気がするから、もう1回崩壊するのもいいかも。

ノルオブ:いやなってないでしょ。のりとの「今日家に帰ってない」から始まった話なんだから。
釜中:みんな種類の違うヤバい奴の集まりだとは思うけど。
岡本:ここに来ること自体が成長か。そうやとしても俺はマシやと思う。
釜中:手に「PUNX」ってタトゥー入ってる奴がまともなわけない。マジで一生背負ったギャグやから。
それはいつ入れたんですか?
岡本:中学生の時っすね。コンパスと墨汁を使って入れました。
釜中:「PUNX」なんかまだいい方ですよ。おかゆ指見せたってよ。

「FUCK」……(笑)
岡本:これも中学っすね。通ってた中学がめちゃくちゃ田舎やったんで、これくらいしかすることがなかったんですよ。和泉市はマジでそういうところです。でも自分で入れたから逆になっちゃったんですよね。
釜中:メディアでは初出しじゃない?これ見せたら先輩たちは絶対気に入ってくれるよな。

ギターを弾く時、ちょうどお客さんから見える良い位置かもしれないですね。釜中さんと江山さんは小、中学校の同級生ですが、どんなことをして遊んでいたんですか?
江山:小学生の頃のカマチューとの記憶で1番覚えてるのは、カマチューがウクレレを公園に持ち出してコードを練習し始めて、僕がハーモニカを吹いて合わせてたことかな。それが5年生くらいの時。

釜中:当時ゆずが流行ってたんで、ハモリのないユニゾンのゆずを歌ってました。
岡本:ダブル悠仁やん(笑)
江山:できるだけきれいな場所でやりたくて、近所にあったハーベストの丘で練習してました。そこからカマチューのウクレレがアコースティックギターに変わり、僕がタンバリンを叩くようになって、少しずつバンドの形になっていったんです。
釜中:ハイスタとかモンゴル800のコピーを始めて、「脳みそ」っていうオリジナル曲も作ったよな。
江山:「みんな脳みそからの声で……」っていう曲やったかな。
ノルオブ:それはハモってたん?
江山:もちろんユニゾンで。
釜中:「脳みそ」はめっちゃマイナー調の曲で。周りからは「天才や」って言われてましたよ。みんなハイスタとかに憧れてメジャーコードで作るのが主流やったから、俺らだけマイナーコードなのが珍しくて。

岡本:あんま中学生でマイナー調の曲って作らへんよな。
釜中:厨二病やったからな。でも江山も近所のライブハウスが経営してるドラムスクールに中学から通ってて、上手やってんな。
江山:若かったからか吸収が早くて、今の僕の7割はその先生から教わったものでできています。家から500mくらいの場所にライブハウスがあって、ドラムを教えてもらいたくて建物の前に行ったんですけど誰もいないんですよ。しばらくしてヒゲがボーボーでめっちゃ背の高いロン毛の人がタバコ吸いながら出てきて、「なんじゃお前」って怖い顔で言われて。「ドラム教えてもらえるって聞いて来ました」って伝えると、「じゃあ次の水曜来いよ」って言われて通い始めました。それがドラムを始めたきっかけです。ゆくゆく聞いたら、X JAPANの直属の後輩でゴリゴリに音楽をやってたみたいです。
釜中:いいライブハウスだったよな。田舎のベッドタウンなのに結構にぎわっていて、近所の高校の軽音楽部が出るライブがソールドアウトとかしてました。AWAYOKUBA時代も結構出してもらって。

ノルオブ:てか、AWAYOKUBAもデビュー早かったよね。俺もiTunesでAWAYOKUBAの音源ダウンロードしてたよ。ナマケモノのジャケットのアルバムも持ってたし、iPod nanoに入れてた。フジロックも出てたからめっちゃ覚えてて、当時珍しいことをやってる変な人がいるなと思って注目してた。
釜中:同世代のミュージシャンもAWAYOKUBAのアルバムを聴いてた人が多くて、「聴いてたよ」って結構言ってくれますね。
当時はそういう評判を知ってらっしゃったんですか?
釜中:いや全然。大学を卒業したばかりの頃だったので、正直ワケもわからず音楽をやっていて、本格的にバンドをやるとかは全然考えられなかったです。ありがたいことに色んな人の助けがあって、フェスにもたくさん出させてもらったけど、技術と心が追いつかなくて爆発しそうでした。そこでメンバーが辞めたりして、ほぼ改名みたいな状態でDENIMSになっておかゆが入って。ほぼ半年くらいで動き出したから、心境としてはハチャメチャでしたね。おかゆのキャラはめっちゃ良かったけど、曲や音作りの面でいくと思い悩んでいた時期でもあったかな。
DENIMSはスタートダッシュから評判が良くて、どちらかというとずっと順調な印象でした。
釜中:すぐではないですね。僕らはずっと自主レーベルでやってきて、会社の後ろ盾もなかったんで、結構大変やった思い出はあります。新曲をリリースして全国を回るようになってから同世代のバンドと繋がって、徐々に出る機会が増えていったけど。
苦しかった時期から抜けたって思えたのはいつですか?
釜中:『Daily use』という1stミニアルバムを出したタイミングで、同世代のドミコやSPARK!!SOUND!!SHOW!!と一緒にリリースツアーをやったんです。みんな音楽のジャンルは違うけど、オルタナティブな思考や自分たちにしかないものを追求する姿勢に共通するものを感じて。そこから地に足をつけて活動できるようになったと思います。

江山:売れたり報われたりしたタイミングが明確にあったわけじゃないけど、2017年にリリースした「ゆるりゆらり」は1つの転機になったと思います。これは、アニメーションがループするMVが付いた曲で、海外のMVからカマチューがアイデアを得て僕が編集したものなんです。鹿児島の車中で一緒に編集作業をして動画サイトにアップロードしたら、今の言葉でいうとめっちゃバズって。急に再生回数が何十万、何百万と回って、こういう些細なことが世間に知られるきっかけになるんかもとは思いましたね。
釜中:しかも「ゆるりゆらり」は大衆ウケを狙った曲でもなかった。もう知らねえ、自分たちの好きな曲を出そうぜっていうので自己満的に作った曲だったんです。ループアニメも海外ではよく見る手法だけど、当時は真新しく映ったのかもしれませんね。
江山:それ以来、結局アイデア勝負なんやっていうので、カマチューがディレクションしたMVを結構作りました。割と回ってるものも多いですね。
釜中:MVやグッズは大体僕がディレクションを担当しています。でもパソコンを使った作業はできないので、江山が手を動かして編集やデザインをしてくれる。のりとにグッズのデザインを任せたり、絵を描くのが得意なおかゆに描いてもらったり。もちろん外注もするけど自分たちでやっちゃうことも多いです。



DENIMS
釜中健伍(Vo, G)、岡本悠亮(G)、土井徳人(B)、江山真司(Dr)からなる4人組バンド。ソウルやファンクをルーツに、ヒップホップ、ジャズ、パンク、シティポップなどさまざまな要素をMIXした絶妙にゆるくて心地いいサウンドで注目を集める。
HP: http://denim-s.jp/
YouTubeチャンネル: @denimschannel9695

THE HANARE IN SHOCK
『THE MUSEN IN SHOCK』の姉妹店。4月から営業日を増やし、木曜以外はオープンすることに。0時以降はカラオケもでき、普段使いはもちろん打ち上げや歓送迎会にもおすすめ。
住所: 大阪市中央区博労町4-3-14 柴田ビル 3F
営業時間: 20:00〜翌3:00
休日: 木曜休