イギリスを拠点に世界規模で活躍するバンド・The fin.のYuto Uchinoさんが、再び日本から世界へ届ける、新しくて自分らしい音楽。


自分と社会っていう存在が唯一繋がれる場所が音楽。自分が変わり続けている限り、捻り出さなくても新しい音は勝手に出てくると思うんです。

あちこち拠点を移しながら曲作りをしているYuto Uchinoさんですが、訪れる場所や住む場所が音楽に影響することってありますか?

街によって自分の聞きたい音楽がめっちゃ変わったりするし、やっぱりずっと同じ場所にいたら制作も煮詰まります。コロナも終わってツアーもまた始まって、いろんなところに行けるようになったので、行く先々で得た良いインスピレーションを東京のスタジオに持ってくるようにしてます。

これからも海外でのライブは多いでしょうし、その分インプットもめちゃめちゃ多そうですよね。

自分が音楽活動してて一番恵まれているのはそういう環境ですよね。こんなにいろんな国に普通なら行けないなとか、こんな経験普通できないなって。ただ遊びに行ってるんじゃなくて、自分の音楽持ってやりに行ってるっていうのが、自分にとっては1番いい経験になってると思います。

海外で受け入れられているからこそ、いろんな国のカルチャーに触れて、幅がさらに広がっていくと。

「なんでThe fin.は海外でやっていけてるんだろう?」って周りの人によく聞かれるんですよ。多分自分の感覚が広がっていくと、だんだん自分が日本人から“地球人”になっていく感じ。そうしたら共感できるところも多くなってくるし。

グローバリズム的な。

インターネットやAIの技術で言語の壁もどんどん下がってきてるし、みんなが気兼ねなく情報や時間とか価値を共有する時代がくると思ってて。僕らはそれをちょっとだけ先取りしている感じはありますね。

そんな時代がきたら音楽にとって可能性しかないし、ワクワクしますね。

でも、僕がやってること自体は昔からずっと一緒で、音楽って結局コミュニケーションでしかないんですよ。

というと?

自分と社会っていう存在が唯一繋がれる場所が音楽っていうだけなんです。自分が今感じてるものとか、考えてるものや感覚を音楽にするっていうのは、自分のなかでの社会との繋がりを確かめてるみたいな行為に近いと思ってて。

自分の曲が社会との距離を測るものさし、みたいな。

そう。曲を社会に投げて、みんなのリアクションをフィードバックとして受け取る。結局、今の自分の音楽って今の自分からしか生まれないものですし。

お話を聞いてて、自分の内面やルーツ、社会まで、全部を俯瞰で見ている感じがスゴイって思ってます。

究極を言えば、別に音楽ってなくてもいいというか。夜中に道路工事をしているおじちゃんの方が、現実の問題に対して直接コミットしているし大事な仕事だと思うんです。音楽ってもっと遠回りなハイコンテクストなものなので、そういう意味では自分はステージに立ってるときも、ちょっと遠くに見てるところはありますね。

なるほど。Yuto Uchinoさんにとって曲作りが「ものさし」だとしたら、ライブとはなんでしょう。

ライブは飲み会みたいなものじゃないですか?(笑)。やってみるまでどんな反応が返ってくるかわからないし、なんならそこにあるものが音楽だけじゃないし。

まさかの飲み会(笑)。たしかに、会場の空気感だったり、もしかしたら他のアーティストもいたりと、自分の曲とお客さんの1対1の関係性ではないですよね。

イギリスに行った初日の夜に訪れた『Ain’t Nothin’ But』っていうブルースバーでの話なんですけど、老若男女のお客さんで一杯な店でバラードが始まったときに、70歳ぐらいの夫婦が急に手を取り合って踊り出したんですよ。

うわあ、ステキ。

「映画で観てたやつはホンマやったんや」って思うようなコミュニケーションの形が目の前で行われていて。その全部が、あの日のあの場所をスペシャルなものにしてたんですよ。逆も然りで、お客さんとなんかリズム感が合わずに、盛り上がらないまま終わっちゃったライブもあるし。飲み会も毎回盛り上がるとは限らないじゃないですか。

同じライブは二度とないって言いますしね!この話の流れで、今作ではリリースのワンマンがありますが、どんなライブにしたいですか?

去年は6人編成で大きいステージでカチッとしたライブをしてきたので、それとは違う、自分がずっと観てきたような小さいライブをやりたいと思ってます。大きいライブって入念にリハーサルして照明やエフェクトも全部しっかり決まってて、本当の意味でライブ性はないので。

今回はライブ感たっぷりということで。大阪では今インタビューさせていただいてるアメ村のクラフトビールショップ『iiie』が会場ですね。

僕もビールが大好きで、クラフトビールを作ったりしてるんですよ。今回のライブは本当に飲み会っていう感じで、俺らも一緒に飲もうと思ってたりしています。

今回のライブはアメ村のクラフトビールショップ『iiie』で開催。レアな銘柄がたっぷり揃うので、ライブと一緒に楽しんでください!

ビールもたくさんありますしね!

ステージに出てきて演奏して引っ込む、みたいな感じじゃなくて、着いたら普通に僕らが飲んでるみたいな。曲もあんまり決め切らずに、みんなで飲みながら楽しんでもらおうかなって思ってます。

客との境界線がないライブって感じで。めっちゃ楽しみです!最後に、The fin.としての今後について教えてください。

バンドとしては今新しいアルバムを作ってるんで、完成させて大きなツアーをやりたいって考えてます。ちょうどコロナ禍でツアーに行けなかったりもしてたので、これから頑張っていろんな国に行ってライブをしていけたらなってところです。

Yuto Uchinoさんとしては、今後をどんなふうに思い描いていますか?

個人としては20代と30代は自分のために生きたいなって思ってて。今は30前半で自分を運転するのに必死ですけど、これから歳を重ねていったら、自分が培ってきた知識や経験を使って、社会や人のために何かやれたら良いなって思ってます。

なるほど。

自分が変わり続けている限り、捻り出さなくても新しい音楽は勝手に出てくると思うんです。それこそ、おじいちゃんになってもジャズバーでピアノを弾いてたらシブいし。自分が恵まれてきて、経験と知識をもらえてるっていうのをちゃんとどこかで還元しながら、自分の音楽っていうのをずっとやっていけたらいいなって思うんです。


<Yuto Uchinoさんのお気に入りのスポット>

鳴尾浜臨海公園(兵庫県西宮市鳴尾浜)
大学生のころに友達とドライブでよく行ってた西宮の公園です。海沿いで芝生があって、めっちゃチルで気持ち良いスポットです。

ALFFO RECORDS(大阪市西区新町)
バーとDJブースが併設したレコードショップ。心地よいサウンドと一緒にお酒も楽しめて落ち着く場所。

中山寺(兵庫県宝塚市中山寺)
毎年初詣に行く地元のお寺。五重塔が青くてめっちゃチャラいです。


<INFORMATION>

The fin. 「Swans」リリースツアー

日程: 2024年4月5日(金)
場所: iiie(大阪市中央区西心斎橋2-9-32 B2F)
時間: OPEN 19:00 / START 20:00
料金: 前売り¥3,500(ドリンク代別途)
問い合わせ: GREENS(06-6882-1224)

チケットはこちらから

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Profile

Yuto Uchino

兵庫県宝塚市出身。2012年結成のロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。バンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONに影響を受けバンド活動を開始。80〜90年代のシンセポップ、 シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響やチルウェーヴ、ドリームポップなどを経由したサウンドスケープは、日本国内を飛び出し、海外からも注目を集め続けている。

https://www.thefin.jp/
Instagram@the_fin
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