出会いは偶然にして必然!?総勢11名のアーティスト・コレクティブ「Soulflex」が追求する、型に囚われないクリエイティブの在り方。
みんなに出会えて一緒に音楽ができるって奇跡。尊敬し合えるメンバーが集まっているので、相互の影響力は計り知れません。
Soulflexとしての活動のモチベーションを教えていただきたいです。
Zentaro:音楽って色んなジャンルがあるけど、自分たちがやっているような、アフロアメリカンの人達が生み出したソウルやR&Bのような音楽を志す人って日本では決して多くはないと思うんです。だからそういう音楽を、自分と似たような感覚で愛しているみんなと出会えたことに奇跡を感じていて。しかもリアルにミュージシャン、アーティストとして尊敬できる人が11人も集まってる。それって信じられないことだと思うんです。僕は、このメンバーでならいい作品を生み出せるという絶対的な確信を持っているし、実際できた作品は身震いするほど好きで。そこに味をしめちゃったから、大変だけどまたやりたくなるっていうのはありますね。
音楽ではなく、アートワークで入っている木村さんのモチベーションは?
木村:私も音楽をずっとやっていて、大学卒業と同時に自分がプレイヤーであることは辞めましたが、このチームにいることで音楽の世界の末端に携わっていられる。しかもそれがめちゃくちゃかっこいいチームなんだから、それって最高ですよね。ビジュアルって音楽を世に出す手段の一つだと思うから、彼らをプッシュするためなら何でもやりたいです。
ビジュアルはどういう風に決めていくんですか?
木村:主にZenさんとhitchさん、私の3人がアート班として動いていて、hitchさんか私が手を動かしています。大体ビジュアルのイメージをZenさんが送ってくれるので、何パターンか作成して候補を絞りながら作り込んでいきます。
KenT:一番ゾクゾクしたのは「Chaotic Good」のビジュアルかなぁ。あれはアート班の会心の一撃やと思う。
木村:連続リリースしていた時は、統一感が出るようフォーマットを作っていました。毎回ビジュアルにもめちゃくちゃこだわっているので、音楽と一緒にチェックしてもらえたら嬉しいです。
音楽とアートワークが共存していること、クルーで活動していること、個々で活動していること。そうやって相互に活動していることの影響は感じますか?
RaB:最近自分のプレイや考え方が成長したと感じる瞬間があって、周りの影響もあってのことなのかなと。今年も何かと忙しい一年だったけど、みんな個々の活動もある中でSoulflexとしてしっかり動けているし、きちんと経験を積み重ねてきているんだなと思います。
KenT:そうやな。インストチームのアレンジもスムーズにできるようになったし。ここ数年、積極的に活動しているのも理由の一つかもしれないです。
ZentaroさんはSoulflexの曲作りをする際、どういうアプローチをしているんですか?
Zentaro:根がめちゃくちゃ音楽オタクで、「Soulflexのこういう曲が聴いてみたい」「次こんな曲を出したら燃えるな」とか考えながら、リスナー感覚で音楽を作っています。例えば、「Refill」っていう曲は、Soulflex流のファンクやブギーが聴きたいと思いながら作っていて。
毎回曲に込めた思いとコンセプト、作るにあたって聴いた参考音源も一緒に送って、みんながそのムードを共有できるようにしています。
Zentaroさん自身、Soulflexのファンでもあるんですね。曲作りのルーツも教えていただきたいです。
Zentaro:Soulflexの曲は、みんなが共通して影響を受けている60〜70年代のソウルや、90~00年代のR&B、ヒップホップなどをベースにしています。僕がSoulfexに取り組むときにテーマにしているのが、主にアフロアメリカンの人達が作ってきた音楽を自分たちなりに追求することなんです。かつ世代的にヒップホップに絶大な影響を受けているので、ソウル周辺の音楽を軸にヒップホップ的な手法を用いることが多いです。
RaB:それぞれ影響を受けているアーティストは違うけど、音楽的なフィーリングは結構共通していて。曲名を出してもわかるくらい、みんな好きやもんな。
KenT:イントロクイズとかも結構しますよ。
RaB:Zentaroも言ってたけど、僕らの出会いって本当にすごいよね。
Zentaro:曲を作る時に言わなくても共有できることが多いのも、向いてる方向が一緒だからなんだろうなぁ。
しかも一緒に音楽ができるって、きっと運命に近いですよね。ちなみに皆さんはいつ頃から音楽に触れてきたんですか?
Zentaro:親がよく音楽を聴いていたので、物心が付いた時にはビートルズやローリングストーンズ、ビル・エヴァンスなどをナチュラルに聴いていました。小学生になって友達と音楽の話をするようになって、初めて周りとの温度差やズレを感じたんです。それで自分が音楽が好きなことに気付いて、自覚的に掘るようになりました。中学生の頃はCDを毎月お小遣いでかなり厳選して買っていて、それを経て今のサブスク黄金期だから、この時代は僕にとって天国のようです。
RaB:シンガーのMa-Nuと幼馴染で、小学校6年生くらいから一緒にギターを弾いたりしていて、気付いたら音楽の世界に入っていました。
KenT:両親がミュージシャンなので、環境としては小さい頃から整ってました。それもあって、J-POP以外にも音楽のジャンルが色々あると気付くのは結構早かったですね。
SoulflexにはSIRUPさん、ZINさん、Ma-Nuさんと3名のシンガーがいて、それぞれ飛び抜けた個性を持っていると思います。その影響力はいかがでしょうか?
Zentaro:みんな強烈な個性とスキルを持ち合わせたバケモノ級のシンガー、ラッパーなので、自然と曲作りへの影響はあると思います。僕は曲制作の際には3人の個性を軸にアイデアを組み立てたりすることもありますね。
RaB:シンガーの特徴によってアレンジを少し変えることもありますね。
Zentaro:曲によってはそこからコンセプトを考えることもあって、例えば「Someone Like You」っていう曲は、SIRUPとZINの仮想のボーカルユニットに、Ma-Nuが客演で入ってるイメージだったりします。
『MILESTONE』はメンバー全員が集まることのできる貴重な場所。今後はもっと自由に活動していきたい。
東京、大阪で開催された『MILESTONE』を終えての感想をお聞きしたいです。お客さんの盛り上がりはいかがでしたか?
Zentaro:東京も大阪も良いパーティーでした。
KenT:イベントとしての内容は言うことなしです。
Zentaro:『MILESTONE』は、2010年のSoulflex結成と同時期にスタートしたイベントです。以前はもう少し小さなキャパで開催していたので、今回なんばhatchという大きな会場で開催できてすごく勉強になりました。
梅田サイファー、どんぐりず、Shin Sakiura、ego apartmentなど、大阪会場のゲストもとっても豪華でした。出演者の反応はいかがでしたか?
KenT:楽しんでもらえたんちゃうかな。
Zentaro:皆さんに良いイベントだったと言ってもらえました。
出演者の皆さんとはもともと繋がりがあったんでしょうか。
Zentaro:もともと繋がりもありましたが、それぞれの活動や音楽スタイルにシンパシーを感じてた部分もあり、呼ばせていただきました。
KenT:『MILESTONE』はメンバー全員が集まることのできる貴重な機会なので、もちろん今後も続けていきたいです。あとは小・中規模のイベントも企画していきたいですね。
Zentaro:フードやダンスのコンテンツも加えて、もっとクロスオーバーな場作りをしていきたいです。コロナ禍でストップしていたことも多いので、来年から少しずつ増やしていけたらいいなと思います。
Soulflexとしての今年のラストライブは12月にあると伺いました。
KenT:12月16日(金)に難波のユニバースで開催される『COCALERO PRESENTS shake』ですね。来年への決意を感じられるような曲を披露できたらと思っているので、時間があったらぜひ来ていただきたいです。
これからSoulflexでやってみたいことはありますか?
KenT:みんなでスタジオに集まって全員で曲を作ってみたいです。それによってどんなものが生まれるんやろうってワクワクするし、それくらい熱量のある作品をリリースしたいですね。
RaB:今年はバンド隊だけのアルバムを出したりシンガー2人を抜いた曲をリリースしたり、かなり精力的に活動できたと思うので、来年も引き続きそういう動きもしていきたいです。全員集まらなくてもライブができるようになるのが理想ですね。
Zentaro:僕は両方やりたいです。僕がリードしてボーカルが3人いるという曲の在り方は一周したと思ってて、RaBが言うようにもっと自由にやってもいいのかなと。せっかくバンドじゃなくクルーとして活動してるから、決まった型を持たずにやっていきたいですね。
木村:私は彼らのインディペンデントな活動を、アーカイブとして残していきたいです。これまでレコードを3枚とCDを1枚を出していて、飾ることによって視覚的にも楽しめるしカルチャーの一つとして残っていくのがいいなぁと。生活に溶け込むようなグッズも作っていきたいと思います。
Soulflex
2010年に大阪で結成。SIRUPやMori Zentaro、ZINなどを擁するシンガー、ラッパー、ビートメイカー、フォトグラファー、ペインター、プロデューサーなど多彩なメンバーで構成された総勢11名のクリエイティブ集団。それぞれのクリエイティブや趣味・思考をミクスチャーした心地いいサウンドをリリース。
シマタニケイ