この味、この場所、この想い。『casual KAPPOU iida』の飯田恭央さん、次はどんな道を歩んでいくんですか?


程よい緊張感は保ちたい。お客さん側もお店側もお互いをリスペクトし、そのうえで空間や時間を共有する。そして、若い子がデートで使った時に、ちょっと胸を張れるような店にしたいなと。

ではでは、新しいお店『casual KAPPOU iida 2』について、いろいろ聞かせてください!お店の構想はいつ頃から考えてたんですか?

2店舗目を出したい、事業を拡大したいというよりも、自分の仕事の成長を考えた時に必要な場所だと思ったんです。30歳を過ぎて、このままだと何もない大人になってしまうんじゃないかなと。現状維持にヤバさを感じたのが要因ですね。そこからどんな店にすべきかを試行錯誤しながら考え、ようやくオープンを迎えられました。

お店のスタイルとしては?

これまでと同じようなアラカルトのスタイルですね。家に遊びに来てもらうような感覚でお客さんを迎えたいなと。僕があえて「いらっしゃいませ」と言わないようにしてるのも、そのためです。「こんばんは」とか「おいっすー!」みたいな感じで。もちろん、スタッフは「いらっしゃいませ」と言いますが、お客さんとの絶妙な距離感は変わらず大切にしたいと思ってます。

私生活の延長にあるような場所ですよね。料理ももちろんそうだし。

ただ、程よい緊張感は保ちたいと思ってるんです。「お金を払ってるから好きにさせてくれ」というのは違う気がしていて、お客さん側もお店側もお互いをリスペクトし、そのうえで空間や時間を共有する。音楽にもこだわるし、常に清潔感を持ち、スタッフの身だしなみもカジュアルだけどピリッとしてる。それが僕らのお店『casual KAPPOU iida 2』。若い子がデートで使った時に、ちょっと胸を張れるような店にしたいと思ってます。

飯田さん自身も若くして独立したからかもですが、目線は高めつつも、常に若い子たちを見てる気がします。

昔から世話好きというか、世話焼きなんですよね。例えば「100万円出すから貸切にして」と言われても首を縦には振らんけど、若い子が「すいません予算これくらいなんですけどいけますか?」と言われたら、「いけるでー!でもウィンナーとか入るかもよ」みたいな。行儀のいい若い子には、いろいろしたくなるんです(笑)

街のいい兄貴的な存在ですね!そんな飯田さんがいて、翔大さんやリョウさんたちも働いてる空間は、やっぱカッコイイなと。さらに内装や器、もてなしの部分にもこだわりが詰まってますし。

内装は三好工務店の三好君にお願いしました。僕のイメージを共有しながら具現化してくれたので、さすがやなと。天井とかもめちゃくちゃ大変やったみたいだし、キッチンのステンレス部分にはバイブレーション加工で錫のような重厚感も出してくれました。『casual KAPPOU iida 2』は旧店舗の同じビルなんで、僕も暇を見つけては確認しに来てたから、めちゃやりにくかったかもしれませんけどね(笑)

三好工務店の三好さんがデザインした天井。重なり合う層と縁のラインが美しくて、見惚れてしまいます。

天井とかめちゃシブいですよね。まぁ、同じビルだと気になって当然だと思いますよ。

でも、同じビルだからできることもあったんです。仕込みの途中で三好君や職人さんのごはんを作ったりもしてました。「ちょっと丼作ったから食べてー」って。リスペクトもしてるし、ちょっとした心づかいで僕の想いも伝わるのかなと。田舎的な発想かもしれませんけどね(笑)

言葉だけじゃなくて、行動が伴ってるからこそ、想いって伝わるものだと思います!

後は三好君のアイデアで、空間に対してカウンターの軸をズラしてます。お店に入った瞬間に空間の広がりが生まれ、席数もゆったり16席にしました。また、器類は『NOTA SHOP』でオリジナルを作りましたし、お客さんのコートにかけるカバーは『odd numbers』でヴィンテージファブリックを揃えました。

滋賀県の人気ショップ『NOTA SHOP』にオーダーしたオリジナルの器は、シンプルながらも風合いが素敵です。南船場の『odd numbers』で揃えたヴィンテージファブリックのコートカバー。コートをかけてもらう行為にワクワクすることは普段はないけど、ここなら別。

隅々にこだわりがいっぱいですね。

僕はもちろん、スタッフも成長し、お客さんにも楽しんでもらえるお店になったと思ってます。2022年4月1日オープンなので、ぜひ皆さんのお越しをお待ちしてます!!

「iidaはいつ行っても気持ちいいな。スタッフみんなキラキラしててチャキチャキしてるし、店もピカピカやん。人に対して平等で優しいし、手話もできるんや!」みたいなことを目指してる。

では最後に、飯田さんのこれからの目標だったり、『casual KAPPOU iida』としての目指す姿を教えてもらえれば!

これはずっと考えてることなんですが、体のどこかが不自由な人でも働けるようなお店にしたいですね。「耳が聞こえないから飲食店では働けないとか、誰が決めたん?」って思ってるので。例えば、スタッフ全員がその子と手話で会話して、通じ合ってるとか。日本ではそんなお店を見たことないけど、ヨーロッパとかには普通にありますからね。さっき翔大に伝えた言葉のように、今はまだ実現してないだけだし、これは自分が実現していきたいと思ってます。

素敵なことだと思います!飯田さん自身がそう思うキッカケとかが何かあったんですか?

キッカケがあるわけじゃないですし、知り合いに障害を持った方がいるわけでもないです。ただ、iidaとして大切にしてる社訓があるので、僕らはそれを体現したいと思っていて。

社訓ですか?それも教えてください!

「人に感謝。弱い人に優しく。人に元気を与える」です。ありがとうございますの気持ちは常に忘れてはいけないし、おじいちゃんやおばあちゃん、子ども、障害を持った方々には優しくありたい。ほんの少しの時間でも僕らと会うことで、元気になってもらいたい。これを当たり前にできる僕らでありたいと思ってるんです。

めちゃ素晴らしいです。人として大切にするべき根っこの部分でもあり、飯田さんやお店そのものの存在の大きさも感じられます。

「iidaはいつ行っても気持ちいいな。スタッフみんなキラキラしててチャキチャキしてるし、店もピカピカやん。人に対して平等で優しいし、手話もできるんや!」みたいなことを、お客さんに感じてもらえるかなと。そうすれば自ずと人が集まる場所になるだろうし、僕らがこの社訓を体現することで、何より親が喜ぶかなと。

それもお店のスタイルですが、スタイルって言葉じゃ表現してはいけないくらい厚みや深みがあるもの。ここにしかないSOULだったり、脈々と受け継がれていくDNAやカルチャーに近い気がします。

僕自身もまだまだ若輩者ですが、これまで経験してきたことはスタッフたちには伝えていけますからね。お客さんからの言葉でスタッフが凹んでる時もたまにありますけど、「その人への感謝の気持ちがまだまだ足らんかっただけちゃうか」って、そんな助言ができるくらいの経験はしてきたと思ってます。だから、この社訓がみんなの根っこになっていけば、お店としても人としても結果はついてくるはず。その最初の結果が、2店舗目の『casual KAPPOU iida 2』。自分はもちろんですけど、スタッフにとっても、このお店がさらなる成長の場になればいいなと思ってますね。


<飯田恭央さんがお気に入りのお店>

Bar PANCHERINA(大阪市中央区上町)
外食したり飲み歩くことがほぼない中、唯一の行きつけと言えるバー。お店の営業後にサクッと飲んだり、営業前に顔出したりしてます。

THE GROUND depot.(大阪市西区南堀江)
10年来の先輩が営む南堀江のセレクトショップ。持ってる服のほとんどをここで買ってます。

odd numbers(大阪市中央区南船場)
『casual KAPPOU iida 2』のコートカバー用のファブリックを揃えたお店で、なんと言っても空気感が抜群。唯一無二を体験できるお店です。

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Profile

飯田 恭央

兵庫県豊岡市出身。18歳で大阪に出てきて、26歳で谷町6丁目駅の近くに『casual KAPPOU iida』をオープン。2022年4月1日に2店舗目となる『casual KAPPOU iida 2』をオープンする。休日はNETFLIX三昧か、友だちと自宅のバルコニーでBBQしてのんびりチルするのがもっぱら。

Shop Data

casual KAPPOU iida 2

大阪府大阪市中央区上町1-1-1 1階
TEL/080-2423-4590
営業時間/18:00〜24:00
定休日/水曜・日曜・祝日

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