「アパレル辞めて、珈琲とたまごかけごはんの店を始めました」『zawa』店主ざわさんのこれまでとこれから。
「アパレル辞めて、珈琲とたまごかけごはんの店を始めた人がいる」。
はじめそんな話を聞いた時、真っ先に思い浮かんだのは「なんで?」だった。「しかもたまごかけごはんは1杯1,000円以上するらしい」。やっぱりそこでも「なんで?」と思った。珈琲とたまごかけごはんのお店『zawa』は、大阪梅田から東へ1駅の福島の街にあります。「なんで?」で頭がいっぱいになったMARZEL取材班は、いても立ってもいられず、早速予約(現在同店は原則予約制)。
取材班は実際にzawaで珈琲とたまごかけごはんを食べたのですが、1つ1つの卵についてのガイダンスがあるし、たまごかけごはんが出てくる時は木の箱に入って配膳されるし、醤油は4種類もあるし、たまごは塩気・甘み・苦味と色んな味がするし……。とかくアメイジングなんです。
そんな興奮冷めやらぬまま閉店後に時間をいただき、ざわさんをよく知る、こうちゃんこと河野伸平さん(株式会社グローレベル代表)と、同じくみかちゃんこと楠本美佳さん(アパレルブランド<MIHEY>デザイナー)にも同席していただき、店主のざわさんに疑問をたっぷりぶつけてきました。
すべては「珈琲淹れてそうやし、淹れたら?」から始まった。
まずは3人の関係について教えてください。
ざわ:こうちゃんは 僕がzawaをやっているGrowLevel galleryのオーナーで、みかちゃんは僕と同じくこのギャラリーの一角にアパレルブランド<MIHEY>を展開する仲間です。
ざわさんはアパレル辞めて、珈琲とたまごかけごはんの店を始めたと聞いたんですけど、いったいなぜそんなことになったんですか?
ざわ:発端はこうちゃんが僕に「珈琲淹れてそうやし、淹れたら?」と言ったことなんですよ。
そんな軽いノリ!?
ざわ:しかも当時の僕は珈琲が苦手でほとんど飲まなかったんです。意味わからんでしょ、ほんまに(笑)。でも、こうちゃんが言うならやってみるか、と思って。
いや、ほんまにわけがわからないんですが……。
ざわ:僕は専門学校を卒業したあと、新卒でアパレル企業に入社したんですが、そこで10年ほど働くうちに、入社当時の目標を実現してしまい、仕事へのモチベーションを保てなくなっていました。会社の仲間や上司にはとても恵まれていたし、支えてもらっていたのですが、どうしても次の目標が見つけられなかったんです。
もうそろそろ限界だなと思っているときに、同じ大阪文化服装学院の出身で、すでに起業して飲食店のコンサルティングやウェブデザインをやっているこうちゃんのところに相談に行ったんですよ。
河野:それがちょうど2019年の6月くらいでした。僕はそれまでに今のGrowLevel galleryの空間を使って飲食店をやっていたんですが、当時ちょうどスペースが空いていたんです。だから、ざわに「なんかやるか?」と持ちかけた。
その結果が、「珈琲淹れてそうやし、淹れたら?」だった(笑)。
ざわ:そうです。ただなにしろ珈琲が苦手だったので、どうしようかなという感じでした。でも2019年の9月に大正にある井尻珈琲焙煎所で、人生で初めて美味いと思える珈琲に出会って。「これなら飲める。どうしてもこの珈琲をやりたい」と思い、マスターの井尻さんに頼み込んで、取り扱いをさせてもらえることになったんです。
ざわ
大阪文化服装学院を卒業後アパレル企業に就職するが、31歳の時に学院時代の友人で経営者の河野伸平さんの言葉をきっかけに珈琲とたまごかけごはんのお店zawaを開業した。「本質は変態」(河野さん談)。