お笑い芸人・九条ジョーが描く<レ・ヴァン>の未来。知られざるコンビ結成の裏話と撮影を終えての感想を聞きました。
東京へ行く前に、何としても自分の力で劇場メンバーになりたかった。僕の芸人人生において、無くてはならないピンの期間でした。
ここからは芸人としての話を聞かせてください。
九条:1つ言っておきたいんですが、僕が真面目にお笑いの話をするって珍しいんですよ。お笑い専門誌ではボケ倒してますけど、実はMARZELさんにだけガチで語っています。これは大事なことなので書いておいてください。
イーグル:だそうですよMARZELの皆さん。ご縁を繋げた僕にもっと感謝しないと(笑)
九条:赤字で太くしといてくださいね(笑)
名だたるお笑い専門誌を差し置いてありがとうございます。ピンで活動を始めたのはいつ頃からでしたっけ?
九条:前回のMARZELさんの撮影をする少し前、去年の2月頃です。仕事がゼロだった時にMARZELさんがお仕事を振ってくれて、めちゃくちゃありがたかったですよ。漫才劇場の出番がもらえる所属メンバーでもなかったので、オーディションライブを勝ち上がろうと必死でした。
インディーズからのスタートですもんね。同じくらいの芸歴の方もおられたんですか?
九条:先輩方もいますけど、やっぱり後輩が多かったです。スタートラインに立ち返って初めてのピンネタに挑戦するというすごい山場を経験しました。最初はメンタル的にも結構キてましたね。
もともとマンゲキを主戦場にしてきましたが、再びインディーズからのスタート。心境はいかがでしたか?
九条:やると決めたからには突き進むしかなかったです。実は、コウテイ時代から「次の年に東京へ行く」と決めていて、例えピンになっても東京でお笑いをやるつもりでした。そう決めたなら、これまで切磋琢磨してきた漫才劇場に自分の力で戻ってからじゃないと東京に行けないと思っていて。オーディションには2回ほど落ちたけど、なんとか勝ち上がって劇場に所属することができて、1人でも笑いを取れるという自信がつきました。コンビで使っていた筋肉とはまた違う筋肉で笑いを取れるようになって、芸人としてはムキムキになりましたよ。僕が今後より飛躍していくために、無くてはならないピンの期間だったのかなと思いますね。
ピンで活動を始めて、約8ヶ月後の10月頃には劇場メンバーになっていましたよね。長い期間インディーズで泥水をすする芸人さんも多い中で、それってすごいことじゃないですか?
九条:そうですね。先日、同期の<黄昏の森>というコンビが14年かかってようやく劇場に上がってきたんです。本当に大変な世界ですよね。僕はコンビでずっと舞台に立っていたので、笑いの取り方みたいなものを、何となくわかっているのかもしれません。その感覚って大事なんやなと思います。
私、ちょうど九条さんが劇場メンバーになったタイミングでライブを観に行きました。その時、ロボットのようなものを装着されていましたが、あれは何やったんですか?
九条:あ、スケルトニクスね!あれはR-1グランプリ用で、東京・八王子市のロボット会社から80万円くらいでロボットをレンタルして使わせていただいてたんです。マネージャーさんと2人でハイエースに乗って取りに行きました。僕がスケスケのロボットをまとって出ていったらおもしろいかなって思って。
イーグル:漫才劇場でのピンの単独ライブでもあのネタやってたもんな。めちゃくちゃおもしろかった。
九条:結局そのネタもウケたけど、R-1は準々決勝で負けちゃったんですよね。六車さんが観てくれたネタはめっちゃ荒削りだったかもしれないけど、色んなボケやフリップを盛り込んでパワーアップさせたものをR-1の予選でやりました。
ロボットはレンタルやったんですね。私、九条さんがピンでどんなネタをするのかすごく楽しみにしていて、スケルトニクスをまとって舞台に登場されたので本当にびっくりしました(笑)
九条:「優勝したら買います」って言ってたんですけど残念ながら買えなかったです。安くするって言ってくれてて、とってもいい会社さんでしたよ。
イーグル:買ったらいくらするん?
九条:性能とかピンキリやけど、色んな機能とか足したら1,500万円とか。
一同:(笑)
九条:やばいでしょ。これまでレンタルや購入実績があるのが、タイの有名なアーティストと<バレンシアガ>、そして僕らしいです。
イーグル:その並びに名前を連ねるんはやばいな。
九条:危うくそこに並ぶところでした。「買います」ってもう少しで言いそうやったけど、ちょっと今回はということで諦めました。ちなみに<バレンシアガ>はルック用にレンタルしたみたいで、長身のモデルさんがスケルトニクスを装着しつつ、バチバチの服を着ているのがカッコよかったです。
イーグル:もし第4弾の撮影をすることになったらぜひ使わせてもらおう。
九条:社長とLINEの交換してるんで、いつでも取り寄せできますよ。色んなカラーもあるし。
イーグル:ほんまに想定外のお笑いすぎて。これが九条やなぁって思った。
九条:好きなのよ、僕。ああいうことをするのが。だけど悔しかったです。劇場入りの関門を抜けて、次なる目標はR-1の決勝だったので。だから去年1年間はコンビを組まず、ピンの集大成を見せようと思って挑んだのですが準々決勝で負けちゃいました。ただ去年から芸歴制限が撤廃されて、逆にまだまだ挑戦できるようになったんですよね。僕自身も色々と落ち着いたら、また改めて挑戦しようと思っています。
東京に異動したのは今年の2月ですよね。
九条:そうです。お芝居のスケジュールの関係で、めっちゃ変なタイミングで異動しました。吉本って4月にまとめて異動するのが定石なんですけど、僕が2月に移籍した初めての芸人らしいです。
東京に異動してから今までの間、お笑いの舞台はどんな感じやったんですか?
九条:ゼロです。
ゼロ!そうなんですか!
九条:1度だけ森ノ宮の漫才劇場でピンネタの集大成ライブをしましたけど。みんな大体異動前に卒業単独を打つんですが、できるタイミングがなかなかなくて。お芝居の合間を縫って森ノ宮で1公演だけやって、そのまま東京にとんぼ帰りしました。お笑いの舞台はここ3〜4ヶ月で1度だけです。早く立ちたいですけどね。
イーグル:しばらくお芝居だけに打ち込んでると、芸人とのスイッチの切り替えが難しそうやな。
九条:そうなんよね。その期間、1度だけオズワルドの伊藤さんと東京で飲ませてもらったんです。喋りながら伊藤さんがボケてくるんですけど、僕は「いや〜」しか返しが出てこなくって。「伊藤さんダメっすわ。僕やばいかもしれないです」ってちょっと泣いちゃいました。でもそこで泣いた僕を笑いに変えてくれるから、やっぱ芸人すげぇなって思ったんですけど。その辺の勘はすぐに衰えてくるんやなって感じました。
芸人さんと俳優さん、関わる人が全然違いますもんね。
九条:だけど今日でまたちょっと鍛えられましたよ。みんな撮影中に変な球ばっか投げてくるから、バシバシ獲らなあかんくて、だいぶムキムキになったような気がします。マッスルメモリーというか、1回鍛えた筋肉って脂肪になってもまた戻しやすいっていうじゃないですか。それと同じでだいぶ復活したような気がします。鍛えていただいてありがとうございます。
良かったです。日々劇場や楽屋で芸人さんと関わることって大事なんですね。
九条:そうだと思いますね。お笑いを職業にしている方と話すと、自然とボケたりツッコんだり、イジったりイジられたりして。毎日当たり前にしている会話がテレビや平場の練習になってるんやなと。でも真剣に芝居について語り合う今の現場の熱量も大好きで、どちらもいいなと思います。
イーグル:……てか、話遮ってごめん。今気付いたけど僕靴履くのずっと忘れてたわ。あかんわ。
九条:おいおい、最後大失敗してるやん。「僕のスタイリング完璧でした」とかヒゲ触りながら満足そうに言ってて、靴履いてへんやんお前。めっちゃ満足そうにしてたのに何してんねん。
イーグル:わ〜ミスったなぁ。
今日は本当に満身創痍だったんですね(笑)
九条:これがイーグルですよ。こういうところがかわいくて好きなんです。完璧なギャップじゃないですか。
カッコよすぎない抜け感がありますね。
イーグル:お前いじっとるやんけ。小洒落た言葉使うなよ。
九条:さすがっすね。どれだけじゃらじゃらアクセを付けてキメ顔してても靴履いてないですから。
イーグル:あかんでほんまに。
九条:撮影中ずっと靴履いてたやん。こういう抜けてるところが大好きです(笑)
九条ジョー
NSC大阪35期、今年2月に東京へ拠点を移したお笑い芸人。コンビ解散、ピンでの活動を経て5月2日に新コンビ<レ・ヴァン>の結成を発表。芸人としてはもちろん、俳優やモデル、作家としても活躍。自身が運営する公式ファンクラブ「ボクノ終脳室」も要チェック。
公式ファンクラブ:https://www.kujo-jo.com/
イーグル野村
石川県出身。端正な顔立ちが特徴の<THE モンゴリアンチョップス>看板スタッフ。「NGなし」を合言葉に、どんな時も身体を張れる貴重な人材。九条ジョーとは2018年に知り合い意気投合。九条のメディア出演時のスタイリングやグッズ制作を担当するなど、活躍の場を広げている。