古着を生まれ変わらせて、新たな世界観を広げていくブランド<Chinatsu Aoyama>。デザイナーの青山千夏さんのもとから旅立つ、1点ものたちが見せてくれる景色とは。


作れる点数が限られてるので、待ってくれてるお客さんが最優先。だから、めちゃ欲しくても私は買えないんです。

元々は古着屋『森』の販売員だったと伺いましたが、その前はどちらに?

高校を卒業して、HEP FIVEの『SUPER SPINNS』で1年半くらい働いていました。それから、USEDを拡張する進化型古着屋をコンセプトにした『森』が中崎町に立ち上がるタイミングで、異動することになったんです。

ってことは、昔からアパレルの販売員になりたかったと。

そうですね。小学生の頃から『SUPER SPINNS』には通ってて、初めて行った時の衝撃が忘れられなかったんです。広さとか品揃えがすごくて、「いつかこんなお店で働きたい!」って思ってました。だから、私の中での働き先は完全に一択だったんです。

ずっと抱いてた想いを叶えてるし、そこから新たな道を見つけてるのって素敵ですね。現在は<Chinatsu Aoyama>の服作りに専念してる感じなんですか?

今は『森』のオンラインストア『THE TINY SHOP by MORI』の所属で、アイテムの買い付けや商品撮影、オリジナルアイテムの企画、ポップアップの運営などを担当しながら、<Chinatsu Aoyama>のディレクター&デザイナーとしても活動してる感じです。

同時並行でやってるなら、なおさら追い込まれてそうですね(笑)

はい(笑)。常に追い込まれてます…。『THE TINY SHOP by MORI』でも全部ではないですがオリジナルアイテムの企画やデザインもしてるので、頭の中はいつも服のことでいっぱいなんです。

京都の河原町にある『森』では、青山さんが手がける『THE TINY SHOP by MORI』のアイテムも店頭で販売しています。

幸せな悩みかもしれないけど、そんな毎日の中でモチベーションを高め続ける秘訣って何があるんでしょう?

やっぱりお客さんが手に取った時に、喜んでもらうためですかね。実は私自身、<Chinatsu Aoyama>のアイテムはソロエキシビジョン用に衣装として作ったものを持ってるだけで、可愛いと思っても買わないようにしてて…。というか、買ったらダメだなと。

量産じゃない1点ものだから、サンプルもないですもんね。

アイテム点数も限られてるからこそ、お客さんを優先したいんですよ。あと、個人的にモチベーションとなってるのは、アメリカに買い付けに行けるようにするため!ブランドを立ち上げさせてもらったからには、会社側からも成果を求められますし、それを達成していくことでどんどんチャレンジもできますからね。アメリカでの買い付けは決してラクなもんじゃないですが、やっぱり自分でピックした古着があった方が服作りのひらめきにも繋がって、いろんな素材を直接目にすることもできる。一昨年から3回行ってますけど、毎回刺激的でもっと頑張ろうって思えるんです。

青山さんの制作スペースには、これから<Chinatsu Aoyama>として生まれ変わる古着がいっぱい。買い付けたアイテムやそれぞれの素材感と向き合いながら、いろんなアイデアを練ってるそう。

服作りの理想的な環境を自分で叶えるために!ってことですね。ここ数年で日本でもリメイク系のブランドは増えてきますが、アメリカでのリメイクやアップサイクル事情ってどうですかね。青山さんの感覚としては。

私が見て感じたことで言えば、リメイクを楽しんでる人はすごく多いし、アップサイクルへの意識はとても高いなと。可愛くしたり、かっこよくして長く着ることを大切にしてて、古着のリメイクが当たり前の感覚になってる気がしますね。その一方で、日本だとまだまだ「えっ、古着はちょっと…」と思ってる人もいるので、文化的な側面も含めて、ずっと根付いてきた意識や価値観の差はあるのかも。

大量生産、大量消費が色々と言われてる時代だからこそ、ものへの愛着ってなおさら大切ですよね。壮大な話にはなりますが、<Chinatsu Aoyama>ならそんな意識や価値観の差を少しでも埋めていける存在になる気も。特にニュートラルな若い子たちにとっては!

そこまでの存在になれるかは分かりませんが(笑)、今まで新品の服しか着なかった人にも手に取ってもらえてるので、ほんの少しでも役に立てたらうれしいですね。<Chinatsu Aoyama>は、意識的にTHE古着なテイストとも違うようにしてるから、「着てみたい!」「チャレンジしてみたい!」と思ってもらえる存在になれたら。

基本的にお客さんは女性とのことでしたが、それこそメンズにも波及できればいいですよね。あのサッカーマフラーを使ったアイテムとか、メンズ的にもグッとくるだろうし、サイズ感とか調整できれば…。

ポップアップやソロエキシビジョンでは、メンズのお客さんも数名ですが購入いただいてます。メンズアイテムの要望は多いんですが、なかなか難しいんですよね。そもそもここまでのショート丈を着る人が少ないし、かといってメンズ用に着丈を長くすると可愛くなくなっちゃう。メンズを作ってみたい願望はありつつも、なかなか実現できていないので、ショート丈のトレンドが来てくれたらいいなって思ってるところです。

夢の1つが叶い、ロサンゼルスの『フレッド・シーガル』でもアイテムが展開中。次の夢はヨーロッパ進出と…。
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Profile

青山 千夏

アップサイクルブランド<Chinatsu Aoyama>のディレクター&デザイナー。『THE TINY SHOP by MORI』の買い付けやオリジナルアイテムの企画・デザインなども担当。高校卒業後、幼い頃から憧れていた『SUPER SPINNS』で販売員のキャリアをスタートさせ、『森』を経て現職に。メロウ加工を施した愛らしい世界観の<Chinatsu Aoyama>は、同世代の女性を中心に圧倒的な支持を集め、ブランドコラボやロサンゼルスの『フレッド・シーガル』でも展開されている。パーソナルカラーは、推しの色でもある青。

Instagram:@chinatsu_aoyama/
Instagram:@the.tiny.shop.bymori
https://mori-store.net/

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