【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.7】 街のみんなが憧れる、あのファッションアイコンに会いに行く。『JAMMRU』のyu-coさんが見てきたアメ村のこと。

「ホンマにおしゃれな人ばっかりやってん。あの頃は良かった」と、その時代を知る誰もが熱っぽく語る1990年代後半から2000年代初頭のアメリカ村。20年ほど経った今でもその温度感は健在で、いつまでも色褪せることのない宝物のような記憶として語り継がれています。今回は、古着ブーム真っ只中のアメ村で大人の青春時代を過ごした『JAMMRU』の名物スタッフ・yu-coさんに、当時の様子や街の変遷について伺いました。「街のおしゃれな人が憧れる、アメ村のファッションアイコンといえば?」という質問に対し、たくさんの人から名前が挙がった彼女。そのライフスタイルは想像した以上に古着まみれで、まるで漫画で読んだ世界のようでした。最高にクールなのに飾らない、魅力的な人柄にも注目です。当時の情景に思いを馳せつつ読んでみて!

ひたすら古着にまみれていた大人の青春時代。休日も必ずアメ村に来て、休憩もそこそこに古着屋を巡るのが日課でした。

今回「アメ村のファッションアイコン」をテーマに、どなたにフォーカスしたらいいか色んな方に聞いたところ、yu-coさんの名前が数多く挙がりました。

yu-co:この企画に私が選ばれたことがびっくりです(笑)。期待に応えられるかどうかわからないですが、今日はよろしくお願いします。

yu-coさんはいつからファッションに興味を持ったんですか?

yu-co:高校生の頃です。もともと好きやったんですが、バスケ部に所属していたので休日は試合や練習で自由な時間があんまりなくて、部活を引退してアルバイトを始めてから好きな服を買えるようになりました。バイト代は全部服に消えていましたね。

今みたいにSNSもなかったと思うのですが、何が情報源だったんでしょうか?

yu-co:やっぱり雑誌かな。高校の友人たちと雑誌を買って回し合いっこをしていたんです。『Zipper』、『CUTiE』、『non-no』、『Seventeen』、『Olive』、色んな雑誌を読んで何が流行っているのかチェックするのが楽しみでしたね。ちなみに私は『Zipper』担当でした。

幅広いですね。そんなに読んでたらめっちゃ詳しくなれそうです。

yu-co:古着にハマる前は、<HYSTERIC GLAMOUR>や<OZONE ROCKS>、<SUPER LOVERS>とかを着ていました。

yu-coさんの愛犬の小鉄。ときどき一緒に出勤して店番をしているそう。

何歳くらいからアメ村に通っていたんですか?

yu-co:18歳の頃からですね。高校を卒業してすぐにアメ村の古着屋で働き始めたんです。『DIG IT』、『アトミック・ライフ・グラマー』、『ハリス』。その後は南船場の『Mirriam』、東心斎橋の『RAIN』を経て、33歳の頃に独立して『JAMMRU』をスタートしました。

色んなお店で経験を積まれてたんですね。ちなみに古着屋で働こうと思ったきっかけは?

yu-co:アメ村には高校生の頃からたまに遊びに行っていて、もともと古着は好きやったんです。だけどグッとハマったのは、高校卒業後に同級生だった今の旦那さんと付き合ってからかな。彼がめちゃくちゃ古着好きで、古着に触れる機会が増えて色んなことを知っていくにつれ、より興味を惹かれるようになりました。

旦那さんの影響もあるんですね。

yu-co:当時は2人ともアメ村の古着屋で働いていて、ほぼ毎日出勤しているのに、休日も絶対アメ村にいたんですよ。休みの日くらい他の場所に遊びに行けばいいのに、飽きることなく毎週旦那さんと古着屋巡りをしていました。アメ村以外でデートとかしたことなくて、遊園地に行ったのも1回あるかないか。いつもマクドでちょっとだけ昼休憩して、古着屋が閉まる20時までストイックに回るんです。今思うとおかしいですよね(笑)。なんで文句も言わずに続けられたんやろうと思います。

本当に2人とも古着がお好きやったんですね。

yu-co:それもありますし、今はSNSがあるから簡単に情報収集できるけど、その頃はネットも普及してなかったから、実際に行かないと何が入荷しているのかわからなくて。だから1軒1軒、隅々までラックをチェックしていました。

コースは決まっていたんですか?

yu-co:『スマートアレック』、『ラブバズ』、『ブルー』、『マグネッツ』、『BIG MAN』、国産の古着を扱っていた『魔法屋』……、行く店は大体決まってました。当時は色んなジャンルの古着屋を見て、店ごとの値段を比較して「このアイテムはここが安い」っていう買い方をしてたんです。古着って値付けが自由だから、お店のカラーじゃないものは安く付けることが多くて。例えば、『BIG MAN』はヴィンテージがメインやから、そうじゃないものは結構安く売っていて、そういうのを狙って買っていました。

すごいです。たくさん古着屋を巡っているからこそわかることですね。

yu-co:私は『スマートアレック』っていう店がかわいくて好きやったんですが、実際のところはあんまり買い物してなくて。そこで見て気になったアイテムを他の店で安く探すみたいな。今考えるとめっちゃ嫌な客ですね(笑)

それも古着の醍醐味のような気がします。

yu-co:あとは<Vivienne Westwood>のこんなアイテムがほしいけど、新品では買えないから古着で似たようなデザインを探してみるとか。<UNDERCOVER>のナイトカモがほしいけど古着でいいかとか、自由に使えるお金も限られていたので現行品によく似たアイテムを古着で探すことも多かったです。

それだけ買い物に行っていたら、毎月の洋服代もすごいことになりそうです。

yu-co:めっちゃ吟味してこれってやつだけ買ってたので、割と使ってないんですよ。昔から服をたくさんは持っていなくて、気に入ったものをずっと着てました。それは今でも変わりません。

今日のようなTシャツ×デニムスタイルがyu-coさんの定番のように思いますが、もっと色んな服を着ていた時期もありましたか?

yu-co:昔は幅広いジャンルの着こなしをしていました。『ハリス』で働いていた22歳くらいの頃、オーナーをしていた双子の宮崎兄弟から「色んなチャンネルを持ちなさい」って言われていて。その方たちをとっても尊敬してたので、彼らのアドバイスを参考にしていたんです。めっちゃ70'sな日もあれば、グランジっぽい日もあるし、パンクな感じも着るし、星の総柄スカートを穿いてTHE アメ村っ子みたいな格好をすることもありました。今じゃ考えられないかもしれないけど。

yu-coさんにもそんな時期があったとは知りませんでした。

yu-co:『ハリス』の宮崎兄弟は憧れの存在で、もともと可愛がってもらっていたんです。オリジナルの服がすごくカッコよくて、「これを着てスナップ撮られろ」って服をたくさん支給してくれていました。それをしばらく続けていると、「ここで働かへん?」と誘われて『ハリス』に入ったんです。

インフルエンサーの先駆け的な感じですね。当時はどんな風に遊んでいたんですか?

yu-co:以前MARZELさんで取材していた<MOMA PATCHWORK>のまいふぉんや、今は旦那さんと一緒に『TAU』をやってるAUちゃん。アメ村で働いていた同世代の女の子7人くらいでいつも集まってました。BIG STEPの上に『にしん御殿〜蝦夷〜』っていうめっちゃ広い居酒屋があって、仕事終わりは大体そこで飲んでました。毎日22時になると店全体でビンゴ大会が始まって、1位は「会計から50%OFF」とか「1,000円OFF」とか値引きサービスがあったんですよ。同世代ならきっと全員知ってるはずです。

めっちゃ楽しいお店!私も行ってみたかったです。

yu-co:みんなの休みを合わすのはハードルが高くて、仕事終わりに飲みに行くのが楽しみでした。

『ハリス』の方もそうだと思いますが、yu-coさんがアメ村で憧れていた方はいますか?

yu-co:『無国籍百貨』に入っていた『marble』のアラちゃんっていう女性オーナーさん。ショートカットが似合うとってもきれいな方で、スキニーパンツにふわふわのファーのサボを履いたりして。洗練されててカッコよかったなぁと。私の思う“カッコいい”をそのまま体現しているような方でした。

アメ村はたくさんの友達がいるホームであり、常におしゃれに気の抜けない戦場でもありました。いつの時代も若者が楽しめる街であってほしい。
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Profile

yu-co

1978年生まれ、大阪府出身。18歳からアメ村の古着屋で働き始め、33歳で夫の実景さんと共に独立しセレクト&ヴィンテージショップ『JAMMRU』をオープン。自身が手掛けるブランド<ENDLESS NAMELESS>のディレクターも務める。愛犬の名前は小鉄。

Shop Data

JAMMRU

住所: 大阪市中央区東心斎橋1-19-23 尾形ビル 2F
電話: 06-6226-8612
営業時間: 13:00〜19:00
休日: 不定休

http://jammru.com/

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