世界のお土産物と、オリジナルアクセと、天むすと。好きなことしかできない『行先』店主・ブルボンさんの行き着く先はどこ?
天むす屋を始めたのは、お休み処を作りたかったから。おばあちゃんになった時に、みんなが遊びに来てくれるスペースがあったらいいなと思ってたんです。
この建物もすごく素敵ですが、どうやって見つけられたんですか?
普通にネットで探しました。もともと、テレビ局の昭和の撮影スタジオやったみたいです。小ぎれいな古民家やったので、ちょうどいいなと思って。キッチンもあったし。
内装もご自身で?
そうです、ほんまにちょっとずつ。20代の頃から金銭感覚が変わってなくて、ある分を使うっていう感じなんです。だから、お金ができるたびに1部屋ずつ工事して…ってやってたら、ここまでくるのに1年半かかりました。
最初に資金を用意されたわけではなく?
そうなんです。みんなにも、普通はお金が貯まってからお店借りるんやでって言われましたけど。キッチンを作るのに予想以上にお金も時間もかかりました。ノリで始めてしまったけど、飲食店って大変なんですよ、許可を取るにもいろいろあって。
キッチンは、天むす屋さんのために改装されてるんですよね?あらためて伺いますが、なぜ天むす屋さんを?
コロナで出店が減ったときに、ずっとポップアップばっかりやってたから、拠点となるお店も欲しいし、飲食と半々くらいでやっていけたらいいかなと思って。もともと、お休み処みたいな、おばあちゃんになった時にみんなが遊びに来てくれるスペースがあったらいいなと思ってたんです。
メニューが天むすなのには、なにか理由があるんですか?
両親が富山でお米を作ってるんですよ。私バリバリにお米派やし、実家のお米おいしいし、それで天むす。あと、旦那さんが三重県出身で、三重に『千寿』っていうめっちゃおいしい天むす屋さんがあるんです。塩がいい塩梅の天むすなんですけど、大阪ではそういうの食べられないから自分で作って手土産とかにしてたら、友達に褒められて。注文したいとか言ってくれるんですよ。それで、お休み処するなら、天むすがいいなと思って。
お休み処を作りたいと思ったのはなぜなんですか?
オリジナルで鞄を作ってるんですけど、縫製は70代のお母さん何人かにお願いしてるんです。そのお母さん方がみんな「将来あんた喫茶店したらええわ~」って言うんですよ。皆さん自宅で洋裁教えてたりとかする方なんですけど、「年とってから、誰かが家に来てくれるってええよ、ボケ防止にもなるし」って。
たしかに、自分が出かけなくても、誰かが来てくれるのはいいですね。
そうなんですよ。うちの店こんな感じやから来てくれるお客さんもおもしろくて、こういうのが好きな人やから気が合うし、喋ってても楽しいんですよ。だから、こういう感じを続けていける場所がほしいなと思って。ほら、年齢がいくと、海外に買い付け行くのもしんどくなるから。
そんなに先のことまで考えておられるんですね。
実はけっこう、計画性あるんです(笑)。今もう老後がもう始まってる感じ。多分この先またどこかに移転すると思うんですけど、そのために、とりあえずここは実験というか、厨房作ったり、いろいろ模索してみようかなって思ってます。
そして、ゆくゆくは、みんなが立ち寄ってくれる天むす屋さんになると。
そうそう。なんかね、おばあちゃんが握る天むすって、聞いただけでおいしそうやし、しかも説得力あるでしょ。
説得力ありますね(笑)。でもそれ以上に、思ったことをなんでも実践していくブルボンさんの行動力がすごいです。
多分、何も分かってないから。思ったことって、できることやと思うんですよ。自分がこういう風にできたらいいなって思うことは、多分できる。私の場合は、できないことにはまず考えが及ばないというか。
やりたいと思うってことは、できることなんですね。
例えば、今から弁護士になろう!とは思わないじゃないですか。でも、どこかの国に行きたいとか、お店を始めたいとかは、できるんですよ。
何かを始めるときに、失敗したらどうしよう…みたいな不安を感じることはないですか?
あかんかったらどうしようって、今まで考えたことないかも。想像力がないからか、やりたいと思ったときに、あかんかった場合のことを考えられないんですよ。
できる未来しか見てないんですね。かっこいい、すごい!
すごくないですよ。ノリというか、できるかなみたいな。私の脳はめちゃくちゃ単純なんです。働いてると思ってないし、好きなことやから、続けたいんです。提灯もアクセサリーも作るし、買い付けもして雑貨も売るし、普通で考えたらめっちゃ働いてるんですけど、全部やりたいことやからできてるんやと思います。
ブルボン
富山県出身。美容師を経て、27歳で南堀江に雑貨屋『OMIYAGE』を開業。その後、森ノ宮のアトリエに移り、2022年野田に『行先』をオープン。<poi>のブランド名で、ピアスやバッグなどのオリジナルアイテムも製作。ブルボンの名前は、「ブルボンのお菓子が好きだったこと」が由来。
行先
昭和な長屋をリノベーションした空間で、インドやベトナム等で買い付ける雑貨と、オリジナルのアクセサリーやバッグなどを販売。飲食スペースでは、不定期で天むすなどの料理も提供。
大阪市福島区吉野3-16-4
営業日はInstagramで案内