世界のお土産物と、オリジナルアクセと、天むすと。好きなことしかできない『行先』店主・ブルボンさんの行き着く先はどこ?
最初の買い付けで、入国審査で止められたんです。でも、アイ・ラブ・サンフランシスコ!とか叫んでたら、「君はもうええわ」みたいな感じで解放されました。
お店を経営するノウハウとかは全くない状態でのオープンだったんですね。最初の買い付けは、どちらに行かれたんですか?
初めての買い付けは、サンフランシスコですね。アメリカのドラマを観てて、舞台がサンフランシスコやったから。27歳の6月9日、ロックの日にチケットを買って行きました。でも最初、入国できなかったんです。別室に連れて行かれて。
何があったんですか!?
私ほんまに英語ができなくて。一応アメリカに行く前に英会話は習いに行ってたんですけど、1年かけて、自己紹介と挨拶だけは完璧にマスターしました(笑)。外国人の先生が教えるのが売りの英会話スクールやったのに、私の英語力が低すぎて、私だけ受付の日本の人に教えてもらってたんですよ。そんな感じやったから、入国審査で適当に答えたら、別室に連れて行かれたんです。多分、911のテロの後やったから厳しかったみたいで。でもほんまに意味わからへんから、アイ・ラブ・サンフランシスコ!とか叫んでたら、この子はただのアホやと思われたみたいで、「君はもうええわ」みたいな感じで解放されました。
すごい経験されてますね…!その後のサンフランシスコの旅は、上手くいきました?
トラブル三昧で、警察にも保護されました。
ええ!?大変じゃないですか。最初の買い付けがトラブル続きで、心が折れたりしませんでした?
まあ大丈夫でしたね。いや、心は折れてるんですよ、毎日めっちゃ泣いてましたし。でもね、知らない国でも、ほんまに困ってる人にはみんな優しいんです。何回も道端で泣いてて子供とかにも助けられたりしましたし、もう多分かわいそうすぎて、みんなが助けてくれて今に至るって感じですね。
エピソードが全部強いです(笑)
ほんまにね、アホすぎてなんとかなってる人です。
そのサンフランシスコ珍道中を経て、最初のお店『OMIYAGE』をオープンされるんですね。当初は、利益をのせずに商品を販売されていたんですよね?
いろんな国のお土産を買って、旅をしながら雑貨屋したい!ぐらいの感じで始めたので、知らなかったんですよね。でもお店を開けて3か月後には、もうバイトに出ました、お金がなくなって。めちゃくちゃ安くで売ってたから、あっという間に商品がなくなったんです。それで、バイトして2回目の買い付けに行くお金を貯めて。ようやく2回目から、ちょっと賢くなって利益を考えるようになりました。
ちゃんと上乗せされたんですね!
お店をしてる人に「アメリカに買い付けに行って、なんでこの値段で出せるん?」って言われて、「え、この値段で買ってきたから」って答えたら、ええ!?ってなって(笑)。それで、買った値段で売ったらあかんと知りました。今やったらネットで「お店の始め方」とかすぐ調べられますけどね。当時はそんなんなかったし、私も人見知りで人に聞けなかったので。
ちなみに、海外に買い付けに行かれる際は、事前にリサーチしてから行かれるんですか?
いや、全然。でもとりあえず、その国の都会に行きます。ノリで行ったら、なんか見つけられるんですよ。その辺の感覚は持ってるんです(笑)。お土産物屋さんとかは行かなくて、飲食店に飾ってるものとかがかわいかったら、お店の人に教えてもらったりもします。
こんなにかわいいものを、そう簡単に見つけられる気がしないです。
確かにインドのシャンデリアとかも、行った人でもみんな全然見つけれないって言いますね。ベトナムのビーズのれんもそうですけど、ある所にしかないんです。でもそういうところに導かれるんです、偶然。
すごい、持ってますね。
いやいや、すぐ見つかるかもしれませんけど。
なんとなく嗅覚が働くんですか?
そんな感じです。タクシーで移動中に偶然見かけて、「あ、そこ停めて!」とかも結構あります。
今はもう、言葉で困ることはないですか?
困ってばっかりですけど、日本語しか喋れないので、押し通す感じですね。何か問題が起こると、泣くほど本気で困り果てて絶望感が丸出しになるのか、この子そうとうピンチなんやな?って、とにかくどこの国の人も助けてくれて。まさに救う神ありで、世界は優しさでできてる!を実感してます。
ブルボン
富山県出身。美容師を経て、27歳で南堀江に雑貨屋『OMIYAGE』を開業。その後、森ノ宮のアトリエに移り、2022年野田に『行先』をオープン。<poi>のブランド名で、ピアスやバッグなどのオリジナルアイテムも製作。ブルボンの名前は、「ブルボンのお菓子が好きだったこと」が由来。
行先
昭和な長屋をリノベーションした空間で、インドやベトナム等で買い付ける雑貨と、オリジナルのアクセサリーやバッグなどを販売。飲食スペースでは、不定期で天むすなどの料理も提供。
大阪市福島区吉野3-16-4
営業日はInstagramで案内