来阪した管野寿哉さんをキャッチ!新たなプロジェクト<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>のことから、スタイルをつくること、大阪の古着愛まで、胸の内を明かしてもらいました。

<YSTRDY’s TMRRW>のデザイナーを経て、現在はフリーデザイナーとして活躍する管野寿哉さん。ファッションフリークや業界内からも常にその動向をチェックされてきた管野さんが新たなプロジェクト<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>を立ち上げ、しかも大阪でポップアップイベントを開催するってことで、来阪時のタイミングをキャッチ。プロジェクトのことはもちろん、自身のものづくりのポリシー、古着のこと、大阪での衝撃などなど、いろいろ聞いてきました。ちなみに管野さん、「叶うことなら大阪に住みたい!」と公言しちゃうほど、大阪が大好きみたいです!

僕のものづくりは、スタイルをつくることを大切にしてる。「こんな風に着こなしたいな。だから、これが必要か!」みたいな、アイテムありきではない発想。

現在、フリーデザイナーとして活躍する中で新たに立ち上げたポップアップイベントですが、まずは<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>とはどんなものなのか教えてください!

<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>の“THRIFT WEAR”とは、古着を意味する言葉です。服をデザインする際のサンプリングやインスピレーションソースとしてアメリカのスリフトショップには度々訪れているんですが、そこに並ぶ古着から受けた影響と敬意を込めてネーミングしました。そして、“& FLEAMARKET”を付け加えてるのは、あえて抽象的な表現にして、何でもやっていいよという想いを込めているんです。

なるほど!ポップアップでは、その名の通り古着が販売される感じですか?

古着が中心ですね。僕がアメリカでサンプリングのために買い付けた古着やこれまでのコレクション、そこに加えてオリジナルアイテムを並べています。他には、日本のヴィンテージ業界で一目置かれるバイヤーの栗原君のショップ『ミスタクリーン』や、大阪屈指のヴィンテージショップ『PIGSTY』がセレクトしたアイテムも用意。今回の大阪では<77circa>の森山さんや『wit used clothing store』の蝶野さん、開催場所である『RAYCOAL』の土岐君にも、プライベートのコレクションを提供してもらっていますね。

錚々たるメンツ!古着好きというか、服好きにはたまらないセレクトが待ってそうですね。

昔からすごく古着が好きなんですけど、古着屋で働いた経験はないんです。ポップアップする上で考えると、そんなエセなことはないなと。古着ってどれもが一点モノだし、その一点を買った人しか幸せにできないと思うと、相当な提案力がないとできない仕事なんです。

確かに。一期一会的な出会いも古着の魅力だと思いますけど、だからこそ販売する側のハードルも高い。

以前、『ミスタークリーン』の栗原君に同行してLAにサンプリングしに行ったことがあるんですけど、アイテムを細かくピックしてる姿を見て、これは自分にはできないなと思って。だからこそ、こうしてポップアップするならやっぱりプロに頼るべきだと思ったし、その人たちが関わってくれることで、お客様の安心感にもつながるだろうなと。それに、一緒に取り組むことで自分のアップデートにもなるので、今回立ち上げたポップアップではそういう想いで人を巻き込んでいきましたね。

なるほど。管野さんのアイテムも気になりますし、買い手からすると「あの人がセレクトしたアイテムなら!」という安心感は絶対にありますよね。誰から買うかって、買い物する上でもけっこう大切だと思います。ポップアップへのワクワクがどんどん膨らむんですが、そもそも<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>を立ち上げたキッカケって何だったんですか?

<YSTRDY’s TMRRW>のデザイナーを経て、現在はフリーデザイナーとして数社のブランドのコレクションを担当しています。元々は自分のブランドを立ち上げるつもりだったんですが、やってる場合じゃないくらい忙しくて…(笑)。現状では、スポット的にしかつくれないなと。

それそれで、ありがたい話ですよね。スポット的ならできそうということで、オリジナルアイテムと古着で構成するというカタチになったんですか?

僕のものづくりは、スタイルをつくることを大切にしてるんです。着たときの雰囲気をイメージしながら服をつくっていて、「こんな風に着こなしたいな。だから、これが必要か!」みたいな。このアイテムがつくりたいという発想ではなく、こんなスタイルがしたいという感じですね。とは言え、着想したスタイルのアイテムを全てつくることはできない状況だけど、古着をMIXすればできる。古着は大好きだし、自分のつくったものもフィーチャーできるってことで、ポップアップ形式での開催に至ったんです。

雑誌のファッションスナップを見ても、アイテムよりもまずスタイルが気になるので、その考えはすごく共感しました!

それに、これまでお世話になっていたショップさんをフォローしたい気持ちも大きくてね。自分のつくったものとコンテンツを共有していくためのポップアップでもあるんです。デザイナーという本職と古着が大好きという趣味を兼ね合わせて、ショップさんやお客様と自分も一緒になって楽しむ。そんなポップアップが<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>です。

Tシャツブランド<TANGTANG>との別注アイテム。管野さんデザインのバギーシルエットのボディには、“FREEDOM”と“FLEAMARKET”の単語をミックスした“FLEADOM”の刺繍が施され、周りにはペンキの飛び散ったグラフィックが効いた仕上がりに。

めちゃめちゃいいですね!オリジナルアイテムについても聞かせてください!

ポップアップ限定の別注アイテムとこれまでデザインしてきたリメイクアイテムを用意しています。<TANGTANG>との別注アイテムはこれまでも人気で個人的にも無くすのがイヤだったので、特徴的なグラフィックと刺繍のTシャツをお馴染みのバギーシルエットでデザインしました。他にもデニムブランド<WRANGLER>や帽子ブランド<COMES AND GOES>との別注アイテムもあるので、ぜひ手にとって見てもらいたいですね。

人生初のリーバイス501XXは、大阪で買ったんです。

昔から古着が好きということですが、いつ頃からハマっていったんですか?

兄が古着好きだったということもあるし、小学生のときにスラムダンクが始まってバスケをするようになり、バッシュに興味を持ち、雑誌のBoonを読むようになって、古着にハマっていく。そのルートですね(笑)

そのルート、世代的にも分かる気がします。

僕は東京生まれで、古着を買うと言えば原宿や渋谷あたりでした。でも、19歳くらいのときに「大阪の初売りの古着はヤバイ!」って聞いたんです。当時は大阪に行ったこともなかったし、往復の新幹線代を払ってまで行くことに魅力を感じなかったんですけど、「まぁみんなで行ってみるか」と。<77circa>の森山さんと<スタビライザージーンズ>の矢實君と正月に大阪に遠征したんですが、ド肝を抜かれましたね。価格の差だけじゃなく、古着に対する視点や価値観の違いもあり、プロダクトとして全く別物の印象で、その瞬間から大阪のトリコに。

そんなに衝撃的だったんですね!

まずは東心斎橋の『RAIN』へ。12時オープンだけど6時頃から並んだんですが、それでも先頭から3番目でしたね(笑)。そこからショウザンビルや『ビッグマン』に行って、ワナカのたこせん食べて、梅田に行って、とにかく今じゃ考えられない行動力で古着屋を巡ったんです。だから、自分の中で大阪の古着屋の存在はすごく重んじてますね。

いい買い物はできたんですか?

人生初のリーバイス501XXを、この遠征で買いましたから!確か、アメ村の『ケーク』で。しかも、4万5000円で!今でも覚えてるくらいなんで、当時もかなり衝撃的でしたね。

今じゃ考えられない価格ですし、当時でもやっぱり安い!

マジでそう思いますよ。それに今回のポップアップを開催させてもらってる『RAYCOAL』の土岐君はBoonでもよく見てたし(笑)、大阪のシーンをつくってきた人たちとこうやって一緒に取り組めてるのはすごくうれしい。自分的にも大阪は、切っても切れない関係だと思ってるんですよね。

大阪愛、かなりですね。

これはちょっと言い過ぎかもしれないけど、マジで住みたいと思ってるくらい好き(笑)

言い過ぎだとしても、うれしい言葉です!

<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>は、自分らしさを表現できる空間。

「スタイルをつくる」ってお話がありましたけど、管野さん自身が好きなスタイルってどんな感じですか?

基本的にはスポーティーな感じが好きですね。今日もノースリにひざ丈のショーツを合わしてますけど、6月から10月頃まではほぼこのスタイル。

マジですか(笑)

スポーティーなことって、アウトドアにもつながるし、ミリタリーにも縁がある。そこにはやっぱりルーツがあって、例えばスポーツで言えばフィジカルエデュケーション。生活のための身体運動から水泳、ダンス…などいろんなものが派生していく、そんなのが好きなんです。だから、ファッションにその要素をどう昇華できるかってことは、常に考えてますね。

スタイルの雰囲気はもちろんだけど、その背景も追いかけるとよりおもしろさは深まりますよね。

結果、今日のポップアップにはノースリ&ショーツが自分含めて3人もいるという。この空間はおかしな感じかもしれないけど、そうやって認知してもらえるのもファッションだし、それぞれの視点で自分らしく楽しむのがいいなと思ってます。

今、<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>とフリーデザイナーとしてブランドのコレクションを担当する2つの顔がありますけど、走り出してみてどうですか?

これまでもファッションブランドでクリエイティブなことはしてたけど、ここからは自分の色をどれだけ打ち出してビジネスとして成功させていくかが重要。その意味でもビジュアル的な表現はすごくストイックになるし、<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>に関してはどこまでも突き詰めていくだけだと思ってます。フリーデザイナーとしては、担当ブランドのお題に確実に応え、どこまで自分らしく落とし込めるか。だから、考えの振り幅がすごく広い状態ですね。

自由がある中で突き詰めるのと、制限がある中で突き詰めるのではまた思考も違いますもんね。でも、その両軸があるからこそ、互いのステージで力を発揮し合えるのかなと。

それは絶対にそう思いますね。フリーデザイナーとしての強みもあるし、それがあるから<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>では自分らしさを消すことなく表現できているのかも。

僕ができるのはファッションの領域だけど、つながりや手を広げながらファミリーコンテンツをはじめ、サステナブルなこと、オーガニックなこともこれから展開していきたい。

新たにスタートした<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>ですが、最初に開催された東京での反応はどうでしたか?

アイテムをつくっただけじゃないし、初めての試みだったので開催前は正直ビビってました(笑)。お客様が来てくれるかどうか、不安で不安で…。友だちにも来てくれるよう声をかけたけど、それよりも自分のことを知らない人がどれだけ来てくれるか、そこにも重きを置いてたんです。

<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>のアイテムと古着をミックスした、今回のポップアップイベントのために制作されたルックがこちら。管野さんが言う「スタイルをつくる」とは、まさしくこういうことだと実感。

なるほど。余計にヒヤヒヤしますよね…。

これまでの展示会で言えば、アイテムを着こなしたルックを撮影して、こんなスタイルであることを伝えてお客様に来てもらうやり方しかしてなかったので、今回のイベントでも同じカタチでトライしてみました。古着中心のポップアップイベントでルックまで撮影し、ファッションに落とし込むようなやり方は見たことなかったので。

言われてみれば、見たことないかもです。

そこからWEBメディアにリリースして、<ヤングアンドオルセン>の尾崎君のYoutubeチャンネルでもいろいろ告知させてもらったんです。

それで、当日はでしたか?

オープン前から20人くらいのお客様に並んでもらえました!しかも、そのほとんどが「Youtubeを見ました!」というお客様。ソーシャルの力を改めて思い知るキッカケにもなりましたね。他にも、フォロワーを持った方がインスタにUPした直後にそれを見たお客様が来たりと、そういった連鎖反応も今っぽいなと。若い頃に販売員はしてましたけど、こんな経験はしてなかったからやっぱり現場が大切だと実感できました。

展示会でバイヤーさんと接する機会は多かったと思いますけど、今回は一般のお客様ですもんね。

「管野さんが接客までしてくれるんですね!」なんて言ってくれる方もいて、「そりゃ、接客してなんぼですから!」と話したり、そんなやりとりもホントに楽しくて。実感できる熱量がすごく大きかったので、開催してよかったなと思いましたね。

お客様からすると管野さんと直接会えることも少ないでしょうし、<YSTRDY’s TMRRW>時代からファンの方もたくさんいると思うので、双方にとっていい機会ですよね。これから行われる各地での開催も楽しみです!

当初は9月17日から熊本、11月13日から長野の予定でしたが、10月に東京での2回目の開催も決定しました。ちなみに東京の回ではレディース中心でいく予定です。レディースファッションもやっぱり奥が深いし、古着もピックしつつ飛び込んでみるのもありだなと。

大阪でのポップアップ開催前夜に集まっていた皆さんをパチリ。左上から時計回りに<noverlap>の青野さん、<77circa>の森山さん、管野さん、『RAYCOAL』の土岐さん、「俺の週末がはじまる」でお馴染みの有山さん、テキスタイルメーカーの岡村さん、『RAYCOAL』の柏木さん、『wit used clothing store』の蝶野さん。

それは気になりますね。管野さん視点のレディース古着のピックもおもしろそう!今のところ年内のポップアップは11月の長野がラストですが、<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>の今後のビジョンや展開を聞かせてください!

ビジョンは明確ですよ。最初にも話しましたが“THRIFT WEAR”は古着を意味し、 “& FLEAMARKET”と付け加えてるのは何でもやっていいよということ。だから、ファミリーコンテンツをはじめ、サステナブルなことやオーガニックなことも盛り込んでいきたいと思ってます。僕ができるのはファッションの領域だけど、つながりを大事にしてたくさんの人を巻き込む感じでね。

フィジカルエデュケーションのお話もしてもらいましたが、<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>自体も想いの軸があって、そこからどんどん派生していく感じですね。

そんな動き方ができれば理想的。家庭を築いてから視野が広がった気がするし、最近は特にプライベートと仕事の境がなくなってきてるんです。ずっと服が好きだから服の仕事をして、子どもが好きだから子どものことも仕事になっていく。じゃないと、いい発想も生まれないですからね。今後はファッションとそれ以外のことを半々くらいでコンテンツ展開していきたいと思ってるので、楽しみにしていてください!大阪でもまた開催する予定だから、大阪の皆さん、そのときにまた会いましょう!


<EVENT INFO>
THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr

KUMAMOTO
日程:9/17〜会期未定
店頭販売:memphis
住所:熊本県熊本市中央区上通町8-21
ONLINE販売:https://www.memphis.jp/store/

TOKYO
日程:10/16、10/17
店頭販売:場所未定
住所:場所未定
ONLINE販売:未定

NAGANO
日程:11/13〜会期未定
店頭販売:hostel mog
住所:長野県上田市中央2-24-2
ONLINE販売:https://hostelmog.stores.jp/


Profile

管野 寿哉

東京都出身。販売員、企画、生産などの経験を元に、<YSTRDY’s TMRRW>のデザイナーを経て、現在はフリーデザイナーとしてさまざまなブランドのコレクションを手がける。その一方で<THRIFTWEARMARKET & FLEAMARKET TOUrr>を立ち上げ、オリジナルアイテムもつくりながら全国各地でポップアップイベントを開催している。

INSTAGRAM:thriftwear_and_fleamarkettourr

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