湯浅醤油も服になる!?『RAY COAL』の⼟岐さんが仕掛ける、セレクトショップの向こう側的アレコレ。
関⻄の服好きなら、誰もが知ってるであろうセレクトショップ『RAY COAL』。2013年9⽉のオープン以来、<YSTRDY’S TMRRW>や<hobo> <FILL THE BILL> <tone>といった良質なブランドをセレクトする⼀⽅、デッドストックやヴィンテージアイテムも取り揃えたり、サンドイッチやベーグルのPOP UPをしたり、ネジ屋さんとコラボしたり…。そのジャンルレスで気持ちいいMIX感に、「あ〜イケてるな〜」と思った⼈はたくさんいるはず。
しかも何やら、「なんで?」って⾔いたくなる新しい展開があるらしい。
ってことで、そんなイケてる世界を仕掛けてる張本⼈、代表の⼟岐典⽣さんを直撃。ちょっとした回り道のあったアパレル⼈⽣の話も交えつつ、⼟岐さんのバックボーンと気になる展開を深掘りしていきます。
“ノリオ”っていう名前でも、カッコいい⼈がおるんや。
サラ着と古着をMIXした着こなしがお馴染みですけど、昔からですか?
中学3年でアメ村デビューしたんですけど、その当時から根っこの部分は変わってないですね。どっちもバランス良くMIXするっていうのは。
当時のアメ村には今よりもたくさんの古着屋さんがありましたけど、どこ⾏ってました?
ラガマフィン!⾃分の中では最初に衝撃を受けた店で、当時そこで働いてた⼭元典夫さん(現Silver and Gold代表)がめちゃくちゃシブくて。ヴィンテージの取り⼊れ⽅とか合わせ⽅とか、 完全に憧れて参考にしてましたもん。
名前も同じ“ノリオ”ですもんね。
マジで、そこなんですよ。⼭元さんに出会うまでは“ノリオ”って名前にすごいコンプレックスがあったんですけど、「ノリオでもこんなにカッコ良くなれるんや!」って思いましたから (笑)。⾃信が持てたというか、⾃分もあんな“ノリオ”になりたいって決意が芽⽣えましたね。
“ノリオ”⾰命ですね(笑)。で、それをキッカケにアパレルの道へ?
⾼校を卒業して、BIG STEPにオープンした『ステューシー』に⼊りました。
あれ、古着屋ではなく?
ですね。⾼校時代からオールドステューシーは好きだったので(笑)。店に⽴つ時もオールドステューシーやヴィンテージばっか着てたから、「店の商品を着ろ!」って怒られてましたね。でも、⼊って半年くらいで先輩たちが⽴て続けに辞めてアッという間に店⻑になったもんだから、店の商品も少しだけ着ながら相変わらずのスタイルで攻めてました。
店としては、たまったもんじゃない(笑)。ステューシーの次は、ビームスでしたよね?
ステューシーは2年ほど働いてたんですが、やっぱり⾃分の着てる商品を売りたいなと思うようになって(笑)。じゃ、着ろよって話なんですが…。
その通りDEATH!それ以外にも、何か決め⼿は?
セレクトが好きでサラ着の服はビームスで買うことが多かったし、HEP FIVEに新店舗がオープンしたばかりだったし。それに、雑誌の企画で藤井君(現nonnative)と出会ったのも⼤きかった。⾃分の中では古着=ヴィンテージという考えができあがってたけど、出会った時の藤井君はレギュラーに近い⾚⽿デニムにインバーアランのニットを合わせてて、それがまためちゃシブくて。アメリカ⼀辺倒だった20歳の⾃分にとっては、ヨーロッパのアイテムもアリだと思えた瞬間でしたね。視野も⼀気に広がったし、そんな藤井君も東京のビームスに⼊るってことで、改めて決意が固まった感じかなと。
そうした出会いもあって、サラ着と古着&ヴィンテージのスタイルが確⽴されていったと。
まぁ、ビームスに⼊った当初も、古着&ヴィンテージの⽐率が⾼すぎて、またまた「店の服を着ろ!」って注意されてましたけど(笑)。
ただの問題児ですやん(笑)でも、ビームス時代は、Boonなどの雑誌でもよく特集されていたのを覚えてます。
⼊社当時はそんな感じでしたけど…、いろんなアイテムに触れるにつれて着こなしの幅はどんどん広がりました。ヨーロッパのもの、アウトドア、もちろんアメリカのものも。雑誌でも取り上げてもらううちに、「着てる商品を売りたい」から「いいものを伝えたい」って想いが強くなったし、ファッションのおもしろさをさらに深く知ることもできたなと。
名物スタッフから、憧れの⼈の元へ。そして、喫茶店、郵便局、OA機器の営業を経て。
『ビームス』を退社して、その次は『COMES A TIME』でしたね。
はい、ビームスに勤めてた6年間はホントいろんな経験ができましたが、⾃分の店を持つっていう将来のビジョンに向けて、やっぱり⼭元さんの下で働きたいなと。ずっと背中を⾒続けてきた存在だったので、無理くりお願いして『COMES A TIME』(現在は中崎町に移転)で働かせてもらったんです(笑)。で、偶然にも半年後に『Silver and Gold』の南船場店がオープンすることになり、⾃分としては店をゼロから⽴ち上げるプロセスも勉強させてもらえたし、個⼈オーナーが店を経営するってことも間近で学ばせてもらいました。
でも、アパレルの道を外れることになったと。
まぁ、よくある話かもしれませんが、親⽗が体調を崩しちゃって。実家の喫茶店を⼿伝うことになったんです。ただ、「ヤバい、この仕事だけじゃ⾷えないぞ!」ってことで、約2年間は郵便局のバイトも掛け持ちしてましたね。
そんな状況でも、いつかはカムバックするつもりで?
ですね。「このままじゃアカンやろ!」と思って、30歳の時に開業資⾦を貯めるためにOA機器の会社へ就職したんです。営業の仕事は初めてだったんですけど、妙にハマったというか、どんどん成績を上げてみるみるうちに昇進しちゃって(笑)。あれ、この仕事向いてるんじゃない?って感じでしたね。会社のみんなも素敵な⼈ばかりで、ずっとアパレルにいたら出会えない⼈たちと出会えたのはホントに良かった。それに、客観的にアパレルを⾒れたし、⾃分⾃⾝がお客さん⽬線で商品と単価のバランスも考えたり、営業だったから数字にも強くなれた。今考えると、独⽴に向けていろんな準備ができた時期だったと思いますね。
それから満を持して『RAY COAL』がオープンするわけですね。
2013年の初めに退職して、知り合いのバイヤーさんと⼀緒に3週間ほどパリやドイツへ⾏きました。バイイングの経験はほとんどなかったので先輩たちに教えてもらいながら、⾃分の店でセレクトしたいブランド買い付けたり、直アポでブランドと交渉したり、ベルリンの壁を触ったりね(笑)。出店した靱公園界隈のエリアは今ほど栄えてなかったので、⽇本国内でも知り合いの紹介を通じていろんなブランドと出会い、他店とは被らないセレクトを⼼がけていました。
セレクト次第で店のカラーも変わりますが、『RAY COAL』はPOP UPや別注、コラボも多いように思います。
レストランで例えると、服を作るデザイナーさんは料理⼈で、僕らはその服を魅⼒的に演出してお客さんへ届けるウェイターのような感じ。もちろん重要な役⽬なんですけど、やっぱり服が好きだから⾃分でも作りたくなってね。デザイナーさんと⼀緒に作らせてもらうことで、お客さんに伝えられることももっと多くなるし、想いの部分だって共有できますから。オープン以来、いろんなブランドや古着屋さん、ベーグル屋さん、⼋百屋さんなどのPOP UPをしたり、別注やコラボもどんどん増えてますね。
なんで?って感じの、湯浅醤油×RAY COAL×kurryという組み合わせ。
今回も新たな仕掛けがあるってことですが、なんで湯浅醤油と?
その「なんで?」って聞かれたり、⾔われるのが、⾃分の中では最⾼の褒め⾔葉(笑)。興味とか好奇⼼を持ってもらえてるなーって感じで。
なるほど!でも、そりゃ気になりますよ。そもそも、創業140年の超⽼舗とコラボできたのが不思議です。
偶然、ビームス時代からのお客さんが湯浅醤油の⽅でね(笑)。和歌⼭にある本社は蔵の⾒学ができたり、カフェがあったりして観光地化されてるんですが、やっぱりコロナの影響があるみたいで。何か⼀緒にできればって、話してたんですよ。
それはいつ頃?
4⽉くらいかな。異業種コラボは⾃分たちの得意分野だし、服好きの⼈たちへ湯浅醤油の魅⼒を広げることはもちろんだけど、アイテムを通じて醤油を作ってる⼈にも楽しんでもらえたらなと。
なるほど。しかもkurryさんのイラストに、スウェットのボディはJERZEES!
これまでネジ屋さんやカレーパン屋さんともコラボしてきましたけど、コラボアイテムを作る時のデザインはkurry君しかいないって思ってて。今回もさすがのイラストを描き下ろしてくれました。<JERZEES>はアメリカ本国のアプルーバルもしっかり取ってるし、タグも現⾏ではなくオールドタイプのものを採⽤してるんです。
着ると⾒えないけど、そんなこだわりがニクいですよね。
好きな⼈は、やっぱりタグの年代にもめちゃめちゃこだわりますからね(笑)。スウェット以外には、実際に使⽤されてる前掛けをリメイクしてバッグも作りました。12⽉6⽇まで<湯浅醤油×RAY COAL×kurry>のPOP UPを展開してるので、ぜひぜひ遊びに来てください!オリジナルラベルの醤油をはじめ、湯浅醤油の⼈気商品やバームクーヘンなども販売してますよ。
街のセレクトショップがアパレル以外のメーカーとコラボするって、関⻄のみならずなかなか珍しい。今後も、いろんな仕掛けを期待していいですか?
僕らみたいな街の⼩さなセレクトショップだからできることを、どんどん仕掛けていきたいと思ってます。いつも⽬にしてるものでも、視点を変えるといろんな⾒え⽅がするし、そういった新しい感覚を楽しんでもらえたらなと。みんなから「なんで?」って⾔われるような仕掛けを、これからもこの街から発信していきますよ。その⽅が、僕ら⾃⾝だって楽しいし、おもろいからね。
⼟岐 典⽣
靭公園エリアを牽引する⾼感度ショップ『RAY COAL』の代表。良質なブランドとヴィンテージのセレクトで、ブランド関係者からの信頼も厚い頼れる存在。関⻄の名物スタッフだった時代から約20年経っても変わらない、フランクなキャラが魅⼒。
<湯浅醤油×RAY COAL×kurry>
12⽉6⽇(⽇)まで開催中!スウェットやバッグのスペシャルプロダクトをはじめ、オリジナルラベルの醤油や湯浅醤油の⼈気商品がたっぷりスタンバイ!
<ショップデータ>
RAY COAL
⼤阪府⼤阪市⻄区靱本町1-14-8 鈴⽊ビル1F
TEL/06-6147-8030
営業時間/12:00〜20:00
https://raycoal.jp/