Interview & Writing
羯磨 雅史
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羯磨 雅史

2017年9月に彗星の如く現れた中津のショップ『IMA:ZINE』のディレクターであり、世界から注目を集めるグラフィックアーティスト、verdy氏が描く<Zepanese Club>、 THE UNIONの長、牧田耕平氏との<tion>、大阪名物・THE モンゴリアンチョップスとの共作<BOKU MO TANOSII>など様々なブランドのディレクションも手がける大阪ファッションの重要人物、谷 篤人さん。 サッカー選手のカンポスやヤンキーから影響を受けた中学時代、そしてファッションの門を叩いたビームス時代を追った前編から、後編では『IMA:ZINE』と<zepanese club>のこれからを話してもらいました。

ビームスを辞めた40歳。IMA:ZINEを立ち上げに帰阪。

大阪から東京へバイヤーとして異動って、アパレルに関わっているひとからすると成功者コースですもんね。

いま思うと、ビームスキャリアのなかで一番楽しかったですね。そんな時期に、イマジンの代表である岩井と、ショップマネージャーの稲葉からの誘いを受けて。なんか面白そうやなと。自分のなかでは、東京から地元・大阪に帰って自分が盛り上げたろ、とかそういう安いノリではなく、自分がやってきたことがどこまでみんなが楽しんでくれるか。競争心というか、みんなで共存して大阪を盛り上げれたらって。

で、退社したのがイマジンのオープン3ヶ月前でしたね。

ノリにノッている時に転職ってすごい。かなりの覚悟と勇気がいります…。

家族もいるし色々と考えましたが、ちょうど40才になる節目の年でしたからね。 イマジンのオープンまで約3ヶ月間、バイイングもしつつ、平行して<ゼパニーズクラブ>の準備も進めて。もうその時はビームスの谷ではなく、イマジンの谷やったんで海外では通用しない場面もありました。ビームスの名前がどれだけ大きいか肌で感じましたね。

そこまでのドタバタ劇でよく間に合いましたね。しかも新ブランドまで。

あの時期は本当に大変でしたね。
オープンと同時にローンチした<ゼパニーズクラブ>も、製品が届いたのがオープン前日でドキドキしました(笑)。Verdy君も忙しい中合間縫って協力してもらってほんまに感謝してます。 ゼパニーズクラブのグラフィックを作ってもらっているのは、ご存知のとおりverdyくんなんですが、実はその年まで面識がなかったんですよ。

え、意外ですね!

前年に、<ANTI SOCIAL SOCIAL CLUB>というブランドの、自分が企画したローンチイベントを原宿の『ビームスT』でやったときに、デザイナーのニークの横にverdyくんがいはって。僕はインスタでverdyくんをフォローしていたんですが、Verdy君も僕をフォローしてくれていてたことをその時知って。その時聞くと、大阪出身でアメ村で遊んでたし、カジカジをめっちゃ見てたひとで僕もカジカジで知ってもらっていたとその時伺いました。
それが初対面だったんですが、彼が「もうすぐ個展をするのでぜひ!」って誘ってもらって。そこからご飯行ったりして自分の想いなど、彼に話すようになりました。
そのときの展示が「WASTED YOUTH」の展示(写真)で。
海外の共通の知り合いも多いし彼の発信するメッセージ「WASTED YOUTH」は自分のあの時のマインドにしっかりはまったんです。 あの時に買ったワッペンやステッカーは大切に保管してますね。

偶然の出会いがきっかけでブランドが立ち上がるわけですね。

そうなんです。出会いは生物です。
元々、イマジンで自分たちのブランドを立ち上げるなんて考えてなかったんですが、verdyくんと出会ってなかったですし、もともと、自分は計算して人に会って何かをクリエイションするっていうのが嫌いで。お互い大阪出身やし地元愛もあるし。 それから3人でスタートしたのがZepanese Clubです。

初めてverdy氏の個展に訪れた際に展示されていたもの。
「WASTED YOUTH」をテーマに描かれた作品に共感を受けたのが<Zepanese Club>スタートのきっかけだった。

Zepanese ClubのZeってどういった意味があるんですか?

まず“Ze”って、ある大学の教授がHeとかSheとか性別を区別せずに“Ze”にしましょう、という提言から生まれたスラングなんですよね。自分的に解釈すると、先入観を取っ払える素敵な言葉だな、と思って。例えば、ラスタカラーを使っているのも、それぞれの色の意味を自分色に染めてほしい、その思いを日本から届けたいっていう思いからjapaneseを組み合わせてZepanese Clubにしたっていう。

なるほど。深い意味があったんですね。スタート当初はグラフィック物の印象強かったのですが、現在のラインナップを見ると少しテイストが変わっていますよね?

スタート当初はロンTやコーチジャケットにverdyくんのグラフィックだったりメッセージを落とし込んだプロダクトを展開していたんですが、初年度の年末に、ジェイソン・タカラというホピ族のアーティストに、Zepanese Clubのロゴを象ったリングとバングルの製作を依頼しました。自分がずっとやりたかったアーティストですし、おそらくグラフィックカルチャーとインディアンジュエリーの融合って歴史上はじめてだったと思います。外見でストリートを表現するんではなくて、ストリートの考え方を表現したかった。先入観を取っ払うっていう意味では素晴らしいプロダクトになりましたし、こういった考え方や行動がストリートなんじゃないかって。
その後もニューメキシコのチマヨという村で作られる伝統的なベストにZepaneseのロゴをハンド製作してもらったり、サンフランシスコの有名なテーラーにジャケットを作ってもらったりだとか。

平面から立体で表現するようになったと。

自分としてはそういった取り組みをエディトリアルプロジェクトと言っていて。
別注ではなくきちんと編集されたものを、という意識は強いですね。 2Dから3Dになることで、作り手側のいろんな思いを乗せられますし。

IMA:ZINE4年目の新たなフェーズ

オープン3周年とともに設置されたzepanese clubのショップ。これを皮切りにイマジンの第2フェーズがスタートした。

9月16日に3周年を迎えたイマジンですが、ちょうど同じタイミングで1Fに『ゼパニーズクラブ』のショップを設置されました。これにはどういった思いが込められているのですか?

僕たちとしては、この4年目を第2フェーズとして捉えていて、自分たちの思いのあるブランドのお店を作りたいと思っていたんです。かといって、それをほかの場所で新たに展開するのではなく、あくまでイマジンの中に新しい命を吹き込みたいという思いがあって。その最初のプロジェクトがゼパニーズクラブだったんですよね。
で、いままでのプロダクトを一冊にまとめたZINEも作りました。

zepanese clubのアーカイヴを1冊にしたZINEも発行。
写真家・名越啓介氏がインドのサドゥー(巡礼者)やコンゴのサプールたちを撮影した貴重な写真も掲載されている。
イマジンの店頭&オンラインストア「not e book」にて販売中(¥2,000)

今後は、仮定の話ですが、もしかしたらどんどんIMA:ZINEの中にショップができるかもしれない。
そうすることで新たな化学反応が起きるのではないかと思っています。
そのファーストステップがゼパニーズクラブのショップ。

それは面白い動きですね。イマジンの第2フェーズ、楽しみにしています! 最後に、コロナウイルスの影響で様々な業種が苦境に立たされています。イマジンにも少なからず影響があると思いますが、どのような変化がありましたか?

いままでは、イマジンの2階スペースで基本週一、年間だと48回のポップアップイベントを開催していましたが、今年はコロナの影響もあるので中断してしまいました。いろいろと面白いものを仕込んでいたんですが…。
とはいえ、コロナ禍がなかったら実現していなかったこともあるんですよね。
というのも、今までは国内外問わず現地に足を運んで商談していましたが、特に海外となると簡単には会いに行けなくなった。それがオンラインに変わったわけですが、実際に会うよりオンライン上だと無駄話もできるし、その無駄が楽しかったりするし、それが新たなヒントやアイデアになったりするので、面白いですよね。 それこそ、<10匣>のpiguとはオンライン上で話をするタイミングがあって、いろんな彼の思いを聞くことができたし、自分も話せた。彼はいろんなところを飛び回っているので、普段ならなかなか会えないですからね(笑)。それで生まれたのが<11匣>で。

そういった、僕たちでしかできないものをこれからもエディットしていけたらと思いますね。


【前編はこちら】

Profile

谷 篤人

堺市出身。ビームスにてバイヤーを務めたのち、2017年に帰阪し『IMA:ZINE』の立ち上げに加わる。ショップのディレクションのみならず、国内外のアーティストと深いパイプを持ち、唯一無二のプロダクト生み出す関西ファッションのキーマン。4児の父。

<ショップデータ>
IMA:ZINE
大阪市北区中津3-30-4
TEL /06-7506-9378
営業時間 /12:00-20:00、日12:00-18:00
http://imazine.osaka

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