Interview & Writing
鈴木 直人
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大村 優介
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前出 明弘

ファッションに一度でも興味を持った人にとって、「見た目」ってめちゃくちゃ大事なはず。「かっこいいと思われたい」「きれいになりたい」そう思うから、人はファッションに興味を持つもんです。

大阪・堀江のヴィンテージ・セレクトのアパレルショップ『Chikashitsu +(plus)』のマネージャー/バイヤーを務める田中義朗さんは、フォロワー1万3千人オーバーの人気インスタグラマーにして、誰もが振り返るレベルの見目麗しい“男の娘”。どうしてあなたはそんなにきれいなの?ってことで、インタビューを通じて義朗さんの美しさの秘密を探ってきました。

「楽しいと思えることを、そう思えるぶんだけ」GIRO流ずっと“楽しい”でいる方法

義朗さんはショップマネージャー/バイヤー以外にも色々な活動してるって聞きました。

書道アーティストにDJ、モデルにYouTuber、あとは男の娘も活動といえば活動ですかね。あまり枠に囚われるのが好きじゃなくて、自分なりの表現をする場が6つあるという感じです。

一番伝わりやすい言い方をすれば「アーティスト」なんですけど、ちょっとカッコよすぎるんで自分では「表現したい人です」みたいに言ってます。

かなりマルチに活動してるんですね?

義朗さんの書道作品の一つ。

めちゃくちゃ気分屋で、その時々でやりたいことが変わるんですよ。書道にしても書きたいときものすごく集中して書くんですけど、「書きたくないな」って思ったら、DJのための曲を探そうってなっちゃう。曲を探すのに飽きたらYouTubeの編集始めちゃうし。

そうやって本業以外のところでやることをコロコロ変えながら、自分が今「楽しい!」って思えることを、そう思えるぶんだけやってます。人間関係もそんな感じなんですよね。

どういうことですか?

例えば仲良くしている人が5人いたら、1ヶ月の間で1人の人と毎回会うんじゃなくて、Aさん、Bさん、Cさん……って付き合う人をコロコロ変えて、グルグル回していく。人それぞれ付き合い方は違うから、お互いに飽きずに一緒にいられる。だからずっと楽しいんですよね。

「かっこいい大人から興味を持ってもらえる人間になりたい」“きれい”でいるために意識していること

義朗さんも落ち込むことってあるんですか?

めちゃくちゃありますよ。負けず嫌いなので、例えば目の前に自分より顔が小さくて、外見もきれいな人がいたら、「負けちゃったな」って落ち込みます。思ったことがすぐ顔に出るので、周りから見てもわかると思いますよ(笑)。

そういうときはどうやって立ち直るんですか?

家に帰ります。それからちょっと頭を冷やして考えてみるんです。すると自分の場合、容姿以外にもさっき話したようないろんな顔があるので、「確かにルックスは負けてるかもしらんけど、あの人より自分の方が字はうまいよな」って自分を励ますんです。そうしたらあとは寝て忘れます(笑)。

切り替えが早いんですね。

友人からは「喜怒哀楽のサイクルが早い」と言われたりもしますね。私自身、感情を素直に出す人がすごく好きなので、自分もそうありたいと思ってます。

それはどうしてですか?

他人に対して自分をさらけ出せる大人をかっこいいなと思うからです。もちろん見た目のきれいさは大事ですし、わたしもすごくこだわってます。鏡もめちゃくちゃ見ますし、他人のことも観察します。でもそういう時に見てるのって、お化粧とかの見た目だけじゃなくて、表情の作り方とか、目の置き方とか、身振り手振り、話し声のトーン―――その人の内面がにじみ出る部分なんです。

外見だけじゃなくて、内面も“きれい”を意識している?

そこに自分の美学がありますね。5年前はきれいだとかどうかというより、ただひたすら「どうやったら目立てるか?」を考えていました。とにかく外見を見てほしかった。でも今は、自分がかっこいいと思う大人から、内面に興味を持ってもらえるような人間になりたいって思ってます。

「YouTubeを始めてからめちゃくちゃ生きやすくなった」ファンを作るために打った“賭け”とは?

2020年の4月からYouTubeを始めたのは、なにか理由があるんですか?

人として中身を好きになってもらうために始めました。わたしのインスタって、基本的に「カッコいい」が軸にあるので、つんとした感じであまり笑わないんです。でも、あれは自分の中の「理想の嘘」。YouTubeはその理想を崩して「実際に喋ってみたらこんな感じだよ、どう?」ってフォロワーに問いかけるためのものなんです。

結果はどうでしたか?

YouTubeを始めてからめちゃくちゃ生きやすくなりました。「インスタ見てます」って言ってくれる人にカッコつけなくてよくなりましたし、フォロワーというよりファンが増えて、インスタのDMでもすごく丁寧な文面で質問をしてくださる方も多くなりました。「これが自分の求めてた人たちだ~」って思いましたね。

一方で、以前はしょっちゅう来ていた「それどこに売ってるん?」みたいなDMは来なくなりました。

Instagramでは「理想の嘘」を大切にしている義朗さん。
でもYouTubeではあえてその理想を崩している。

予想通りの結果だった?

いえ、正直なところ賭けでした。フォロワーの人たちからしたら、もっとぶっきらぼうな感じの方がイメージ通りだったと思います。実際、YouTubeを始めた途端にインスタのフォロワーは300人減りましたし。「イメージと違う」って思った人が離れていったんでしょうね。でもそっちの方が良くないですか?

「ありのままの田中義朗についてこられる奴だけついてこい!」みたいな?

こっわ(笑)。そんな強気じゃないですよ~。「 アゲェ〜↑好きな人だけついてきてえ~!」って感じです(笑)。自分らしく生きて、楽しく過ごすのが一番。気持ちよく生きてたいですね。

「人間力を見極める基準になった」自分のセクシャリティをさらけ出すことのメリット

自分らしく、というところだと、義朗さんのセクシャリティが気になっている読者は多いと思いますが……。

好きになった人が好き、ですね。結婚願望もありますし、将来は子供も欲しいと思ってます。

今のセクシャリティをオープンにしようと思ったのはいつ頃ですか?

大学のあった京都から大阪に出てきた頃なので、ほんの2年前くらいからです。京都にいたときは同じセクシャリティの友達がいなかったんですが、大阪に来るとそういう人がたくさんいて、自分も自由に生きたいなって思ったんです。なんでいちいち人の目を気にして生きてるんやろって。

そう思ってからは「じゃあもう振り切っていこう~!」って思って、世間一般のセクシャリティの枠組みに囚われるのはやめました。

なかなか勇気のいる決断ですよね。

でも逆に良かったのが、自分のセクシャリティを言うことで相手の人間力を見極める基準になったんです。セクシャリティの話をしても、なんの抵抗もなく受け入れてくれる人もいて。そういう時は「あ、この人、めちゃくちゃキャパシティの大きな人なんだな」って思いますね。

逆に関わりたくない人はどんどん離れていくので、周りには居心地のいい、大好きな人ばっかりになりました。自分らしくいられるので、すごく生きやすくなりましたね。

「一歩」を踏み出したからこそ、より自分らしい自分になれた、と語る義朗さん。

セクシャリティに限らず、自分をさらけ出すのが怖い人も多いと思いますが、そういう人へのアドバイスはありますか?

ある程度仲の良い友達なら「さらけ出しちゃえばいいやん」って言いますね。そっちの方が絶対にセンスや才能が開花すると思うので。世間体を気にして言えない、怖いって子もいますけど、そういう時は「なんか言われたら言うといで!わたしが守ったるわ!」って言います。

自分らしく生きる人が増えていって、いろんな人がもっと生きやすい世の中になるように、自分がちょっとでも力になれたらなって思いますね。仲の良い友達ならなおさらです。彼らはわたしのFAM(家族)なので。

アツいんですね!

アツいんです(笑)。そこはわたしの軸ですね。

では最後に、そんなアツい義朗さんに会いたいという人はどうすればいいですか?

「DMして!」って書いといてください(笑)。DMをくれたらどこにいても繋がれますから。それにDMで「会いたいです」って送るのって、けっこうマインド強くないとできないですよ。そういう人の方が面白いですよね。

Profile

田中 義朗

ヴィンテージ・セレクトのアパレルショップ「Chikashitsu +(plus)」マネージャー/バイヤーにして、カリグラファーやDJ、モデル、YouTuber「YUNITY (ユニティ)」としても活動する男の娘。なにものにも囚われない自由な表現者。

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