遊ぶ・住む・働くを結集させ、味園ビルと共に過ごした24年の月日。COSMIC LABがこの場所から生み出した空間表現は、これからも拡張していく。


これからも新しい体験と新しい感覚を伝えられる空間表現で、オーディオヴィジュアルを探求していく。

今日は解体工事前の味園ユニバースに入らせてもらってますが、COSMIC LABのオフィスはもう引っ越しされたんですよね?慣れ親しんだ味園ビルから離れたことで、違和感とかってありますか?

高良:24年くらいこのビルにいたんでね。引っ越したばかりだから、これから何か感じることはあるかもしれません。ただ、とにかく荷物が多いし、プロジェクトの検証やテストができる広い場所が必要なので、最適な新しいオフィスが見つかったと思いますね。場所は、ものづくりの街でもある東大阪です。

C.O.L.O:僕の中で味園ビルが無くなることにリアリティがなくて、「無くなるわけないよね」って思ってたから、物件を探すのもギリギリで…。その中で一番ピンときたのが、東大阪の物件でした。クライアントはほぼ東京だし、中目黒にも拠点があるので場所へのこだわりはそこまでなかったんです。ただ、大阪でしっかりと自分たちのクリエイティブを作り、場所に縛られずに表現していく。そんなスタイルは続けていきたいと思っていますね。

味園ビルの外壁には期間限定で、BAKIBAKIとMONによるライブペインティングデュオ・DOPPELによるミューラルが。

ものづくりの街・東大阪でも、いろんな縁が生まれるかもしれませんね。

C.O.L.O:また何かがあるかもですね。実は引っ越し準備で自宅の資料を整理してる時に、めちゃ懐かしいものを見つけたんですよ。大学の卒論なんですが、今と考えてることのベースが、全然変わってないやんって(笑)。自分でも思い出してびっくりしましたね。

ちなみに高良さんは?

高良:僕はフランスの哲学者であるジル・ドゥルーズが発表した『差異と反復』をテーマにした卒論でした。物事の根本的なあり方は“差異”であり、そこから僕らが感じる“同じ”が作られるという考え方です。

C.O.L.O:テーマって言うてるけど、全部写経してたんちゃうの?覚えてるで(笑)

よく覚えてましたね(笑)。でも、2人とも今に繋がる思考が当時から根付いてて、COSMIC LABの表現としてアウトプットしてる。20代前半の感性って、実はその人の本質を形成するものなのかもしれないなと、聞いてて思いました。10月25日(土)には、新宿・歌舞伎町のZEROTOKYOでも公演も決定していますが、そちらはどんな感じになりそうでしょうか?

C.O.L.O:『FINALBY( )』に関しては毎回何が起こるか分からない状態でスタートしてますが、舞台となるZEROTOKYOは僕らと縁のある場所なんです。営業時間帯によって名称が変わり、昼はライブホールのZepp Shinjuku、夜はクラブのZEROTOKYOになります。ここの映像と照明を制御するヴィジュアルシステムをCOSMIC LABで開発して導入してるから、味園ユニバース無き後の新拠点にもしていきたいと思ってます。歌舞伎町は千日前とも雰囲気が似てるし、いろんな歴史と物語が眠っている土地だから、そういうところとも接続しながら表現できればおもしろいなと。

高良:味園ユニバースとは全く別物ですが、きっと新たな表現を体感してもらえると思いますし、目に見えない何かしらの繋がりも感じられるはずです。

C.O.L.O:僕らもそういった感覚があり、味園ビルのエレベーターを降りたら歌舞伎町に繋がってるんじゃないかと思うほど。それくらい近い感覚がありますね。

高良:興味深い縁がまた、ここでも生まれてる気がするんですよね。

そんな話を聞くと、東京公演もますます楽しみです!それでは、ちょっと未来の話も聞かせてもらえれば。COSMIC LABとして、2人はこれからどんな表現を探求していくんでしょうか?

高良:表現の根本的な部分では、今まで見たことがない景色を見せたいし、自分も見てみたいという想いがあります。今回の『FINALBY( )』を見てくれた方の中にも、それぞれがさまざまな想いを重ねてたのではないかと思いますし、僕自身、空間表現の中に祈りや祝いの要素が込められるものに惹かれるんです。ずっと続けてきてもその興奮は更新されているので、これからも新しい体験と新しい感覚を伝えられる表現を残していきたいと思っています。

C.O.L.O:COSMIC LABとしてオーディオヴィジュアルを探究し続ける中で、僕自身は映像作家でもあるから音と映像と光が常に同時に存在してて、それがますます高まってる状態です。『FINALBY( )』でも自分の作った映像が音に変換された瞬間に、会場が一気に音に包まれ、そこに光が入ることで音が現象として成立してる。その空間表現を儀式的に感じてもらうこともありますし、多くの人が慣れ親しんだ音楽とは異なるかもしれませんが、「イベント終演後は耳の聴こえ方が変わった」という声も多いんです。感覚や認知が変わる、その体験は僕もあるのでよく分かりますね。音と映像と光が不可分な状態であり、それが一つの空間や現象になっているものに興味があるので、これからもその道を探求していきたいですね。

写真は味園ユニバースで開催されたフィナーレ公演の『FINALBY( )』より。
取材時の味園ユニバースは、ビルの解体工事を控えて撤去作業が始まっていました。

耳の聴こえ方が変わるのは、すごく分かります。どれかだけではなく、音と映像と光が常に密接であることが重要であるなら、今後は機材や技術などの進化もポイントになったりするんでしょうか?

C.O.L.O:進化を追うだけじゃなく、進化の中でこぼれ落ちていくものもありますし、その両方に目を向けることが大事だなと。例えば味園ユニバースのネオンも古いものですが、『FINALBY( )』では最新のシステムで制御したから、あの空間も相まって新しい表現になりました。最新テクノロジーへの関心はありますが、視点はいつも広く持っていたいですね。この前もVHSのテープが出てきたから再生してみると、色味の質感や音が意外と良くて。僕の中では、味園ビルがそういった感覚をセットしてくれたと思ってます。もし、COSMIC LABのオフィスが最新のクリエイティブスタジオみたいな感じだったら、偏った先鋭的なものにしか目を向けてなかったかもしれない。やっぱり、いろんな面で味園ビルの影響は大きいですね。

何を食べるかで人も変わっていくように、どこで過ごしてきたかの影響も大きかったと。では、最後の質問です。2人にとって、味園ビルとは?

高良:ホームですね。まだ建物自体は無くなってないから、自分の感覚がどう変わっていくかも楽しみにしてます。

C.O.L.O:僕にとっては道場。鍛錬する場所でしたね。


<C.O.L.Oと高良さんのお気に入りのお店>

シンズキッチン(大阪市中央区日本橋1)
インド料理のお店で、味園ビルにオフィスがある時はちょくちょく行ってました。オーナーのインド人がおもしろい人物で、味園みたいな総合レジャービルにビジネスチャンスを見出したようで、インドに味園ホテルという宿泊施設を始めてるみたいです。


<INFORMATION>

FINALBY( ) LIVE in 歌舞伎町EXPANDED presented by COSMIC LAB & TST Entertainment

日程: 2025年10月25日(土)
場所: ZEROTOKYO (東京都新宿区歌舞伎町1-29-1 東急歌舞伎町タワー B4F)
時間: OPEN 17:30 / START 18:30 / CLOSE 20:30

出演: FINALBY( ) ∈Y∋(BOREDOMS) ∞ COSMIC LAB ∵ KANTA HORIO∅TAIKI NIIMI

チケット: EarlyBird早割先行入場券 ¥5,000
発売開始:2025年8月27日(水)18:00~
※規定枚数に達し次第、期間中であっても発売終了となります。

一次一般前売り入場券 ¥6,500 / U25前売り入場券 ¥5,000
※それぞれ規定枚数に達し次第、発売終了となります。

https://expanded.cosmiclab.jp/
https://www.finalby.net

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Profile

COSMIC LAB

ダンスフロアから世界遺産までを舞台に、新しいオーディオヴィジュアル体験を通じて、意識や感覚の拡張を探求するミックスメディアプロダクション。革新的でアンダーグラウンドなクラブ、パーティーカルチャー、アートシーンに精通し、幅広く柔軟な発想をもとに活動を展開する。アメリカ・バーニングマン発、大阪・味園ビル経由のアートパーティー『FLOWER OF LIFE』が起源。代表のC.O.L.O(写真右)とプロデューサーの高良和泉(写真左)は大学の同級生。

https://cosmiclab.jp/

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